2011年9月11日日曜日

なみ~だの数だ~け、強くなれ~るよ! フラミンゴと岩田健太郎先生

あっという間の2日間。
準備に関わったすべてのみんなと、会を大いに盛り上げてくださった参加者の皆さんに敬意を表したい。

岩田健太郎先生をお迎えするにあたり、いわきが誇る「メヒコ」いわきフラミンゴ館で、ウェルカムランチョンセミナーを行ったわけだが、

「こんなに近くでフラミンゴを観る時が来るとは・・・」

とやや興奮気味に語りカニピラフを召し上がる岩田先生のお口と、ガラス越しのフラミンゴの肛門との距離は、40cm未満だったかもしれない。

メキシコ料理が置いてない「メヒコ」、ラーメンよりも焼肉定食が定番な「どさんこラーメン」、東北に「ハワイ」、レストランにフラミンゴ。
この唐突さにしびれたらしく、岩田先生から「いわき深いね~」と最大限の賛辞をいただいた。

さあ!
フォーラムの始まり。

「私たちは、震災後の6ヶ月で涙もろくなりました。しかし、その分強くなりました」

という葛西教授の言葉でフォーラムは幕を開けた。


1日目>
①特別講演プライマリ・ケアでの感染症診療岩田健太郎先生
(神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野教授)
インフルエンザのマネジメント、被災地での洗浄、消毒の考え方などを含め、フロアからの日常診療上の疑問をベースに明快なご回答をいただいた。

まったく台本なしの荒技。
すべて質疑応答の濃い90分であった。
どんな質問においても、その歴史から最新のエビデンスまでを網羅した回答で、本当に勉強になった。質問の内容はさまざまであったが、岩田先生のご回答から、一貫して

「物事の本質を見失わないで!」

という強いメッセージを感じた。
病気の断片にとらわれ過ぎて、とかく手段が目的に誤認されがちになる現代の診療の現場をズバッと一刀両断していただいた気がした。

「所詮フラガールの前座」と自虐謙遜される岩田先生の気さくさに惚れた。

決して前座じゃなくてスペシャルゲストですよ~

Reflection of the Month 後期研修2年目 山入端 浩之
「慢性疾患の家族アセスメント」
患者と家族に対して疾患だけでなく、心理・社会的にもバランスよくケアするための方法を多職種間で議論した。

Cinemeducation 葛西龍樹 主任教授
フラガール2006
いわずと知れた、いわきが誇る名映画。
危機的状況における人々の葛藤を通して、同じく災害による危機に瀕しているいわき(福島)の再生と復興への努力の重要性を確認した。
どのシーンを観ても5分ともたない涙腺。
おのれの前頭葉の機能不全を感じた。

さあ、おまちかねの懇親会。

神々しきフラの動きに鳥肌が立つ。
そしてみんな真剣にフラ体験し、熱い熱い懇親会はあっという間に過ぎていった。


ホテルに入り、恒例の二次会は・・・

ムフフ・・・

噂によると客室でないところで朝を迎えた者もいるそうだが、真実は定かではない。
少なくも「家庭医は夜育つ」という格言は正しいようだ。

翌朝、心地よい気だるさ。
無残にも三角形に削り取られた照島を露天から眺めながらの朝風呂。
海鵜が生息できる場所は残っていないかもしれない。
あらためて津波の爪痕を痛感する。

2日目>
④考える診断学 助教 石井 敦
症例の模擬診断体験を通して、痛みの特徴をとらえるツールとしての「OPQRST」と、悪性疾患と決めつける前に、根治可能な良性疾患を見逃さないことの重要性を紹介した。
詳細な医療面接と、鑑別診断を丁寧に吟味することの威力を再認識した。

Reflection of the Month  後期研修4年目 星 吾朗
Genogram 家族図」について
家族志向ケアにおけるツールとしての家族図の書き方から、その有用性についてまで分かりやすい解説がなされた。

「家族図」もっと書きたくなったよ!


⑥ワークショップ「災害と地域ケア」
かしま病院 看護部 鈴木則子さん
災害時でも機能し続ける多職種による地域医療連携の方策について活発な議論がなされた。
今すぐ変えていかなければならない。
gooヘルスケア医療と健康コラムで綴った思いのとおり、
今から変えていく覚悟が固まった。

とっても有意義な議論だったので、頑張って良い報告書を完成させよね・・・Y君!

全体を通して楽しく学んでいただけたフォーラムだったと思うが、そこはしっかりフィードバックの集計結果を分析して、今後は更により良い学びの場を提供していきたい。

さて、フォーラム後は小名浜魚市場の市場食堂で海鮮三昧。
地物をめいいっぱい口に頬張れる日はまだ先になるだろうが、営業していること自体から、多くの方々の復興への努力を感じることができて嬉しかった。

帰宅後、1446分をむかえた。

黙祷の間、この6ヶ月の間に起きたことが走馬灯のように脳裏によみがえり、涙が溢れ出す・・・

しかし、その分、自分が強くなっていると信じている。

2011年9月8日木曜日

無理難題・・・? ~櫻井翔君と家庭医~

福島市からいわきへ帰還。
Jフレンズな家族が録画しておいてくれた嵐の櫻井君の番組を一日遅れで観ることができた。

櫻井翔の“いま そこにいる人々”<命の現場>
Eテレ 9月7日(水) 午後6時55分~7時49分
http://www.nhk.or.jp/program/imasoko/

「とてもよくできている番組」と妻が絶賛する。
確かに・・・
地域の方々へのインタビューや、診療の実例をもとに
「家庭医ってなぁに?」という疑問に応えていて分かりやすいと思う。

少なくとも おいらの解説 よりはずっと分かりやすいだろう。
http://atsushii.blogspot.com/2010/11/11.html

初めて「家庭医」という単語を耳にする方でも、きっとどんな医者か結構理解してもらえそう。
櫻井君が「神様のカルテ」に主演していなければ、というより何事にも手抜きなく勤勉にトコトン追求する櫻井君がいなければ「家庭医」というものを知るのが10年先になっていた方々もきっと大勢いるはずだ。
とにかくオール嵐のBGMがイイ!

なんて考えていたら・・・

「うちにも櫻井君を連れて来てちょうだい!」
と鬼妻がトンデモ発言・・・

「1円を笑うものは10円で爆笑。100円で大爆笑!!!」
が家訓なくらいスーパーポジティブな我が家ではあるが、それはチョット無理難題じゃね?
<記事と画像は一切無関係です>

医学書院 「病院」 9月号 巻頭グラフ ~地域を知る,医療を知る~

 医学書院の月刊誌 「病院」 9月号の巻頭グラフで、当講座が教育にあたっている ホームステイ型医学教育研修プログラム が紹介された。
~地域を知る,医療を知る~ と題して、県内各地域で臨床実習にあたる福島県立医科大学 医学部6年生と、それを受け入れるホームステイの大家さんはじめ地域住民や地域医療に従事する指導医との交流の様子が描かれている。
白衣を着た医師としても、白衣を脱いだ一人の住民としても、地域に深くかかわっていくことの意義を雑誌を通して多くの方々に理解していただけると嬉しい。



病院 ISSN 0385-2377 (Print) ISSN 1882-1383 (Online) 70巻9号(2011.09)P.641-644(ISID:1541102078)
http://ej.islib.jp/ejournal/1541102078.html

<巻頭グラフ>
地域を知る,医療を知る─福島県立医科大学 ホームステイ型医学教育研修プログラム福島県立医科大学では,地域・家庭医療学講座が中心となって,2006年より「ホームステイ型医学教育研修プログラム」(以下,ホームステイ研修)を実施している.医学部6年生の臨床実習,または初期・後期研修において,希望すれば県内各地の一般家庭にホームステイしながら,その地域の病院や診療所で実習できる仕組みだ.新潟県との県境に近い福島県只見町,そして東日本大震災の被害を受けたいわき市において,その様子を取材した.

震災から半年・・・ 家庭医として、人として

勤勉な人ほど、より勤勉に過ごそうとする。
凡人には到底できそうもないことを、平等に与えられた時間でこなしていく・・・

スゴイなぁ~

常日頃、自分にはできないこととして、ある意味他人事として片付けていた。

2011.3.11
でも、あの日を境に個人の中でも同じようなことが起こることを学んだ。

人は忙しい時ほど、より忙しく過ごそうとする。
平時には到底出来そうもないことを、今までと同じスピードで過ぎてゆく時の中でこなしていく・・・

平平凡凡と過ごしていた自分が、
I love 暇. な自分が、
筆不精過ぎて、夏休みの絵日記すら三日坊主だった自分が、
スーパーアナログ人間だった自分が、
今、なんでわざわざキーボードを叩いているのか?

その答えは、私の脳細胞と同様に単純である。

今、自分が感じていることを、独り占めしてはいけないと思うから。
そして今、自分が感じていることを、生涯忘れてはならないと思うから。

私自身の変化は、私に多くの方々との新たな出会いをもたらしてくれた。
gooヘルスケア「医療と健康コラム」の連載のご依頼をいただいたのもそのひとつ。
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h002/0143.html
いわきに住み、いわきで働く家庭医として、自分が伝えなくて誰が発信できる?
そう考え、日常業務の合間に思いを込めた。

安全と信じていた原発が爆発!
怖かったあの日・・・
けれど、私は愛するこの地で生きていくことに何の迷いもなかった。

同じく故郷への熱い思いを持ちながら、愛する住み慣れた土地を離れ、今でも長期の避難生活を余儀なくされている方々が、どれだけ無念か想像すると胸が苦しくなる。

震災から半年・・・

半ば諦めかけていた、恒例の「家庭医療サマーフォーラムin福島@いわき」
http://atsushii.blogspot.com/2011/08/in2011.html

多くの方々の励ましとお力添えのお陰で今年も開催の運びとなった。
遠方から参加してくださる方もおられる。

いわきで起きたこと、そして今のいわきを肌で感じて欲しい。
私自身は、家庭医として、人として、今自分にできることが何かを振り返る機会にしたい。

2011年9月7日水曜日

gooヘルスケア「医療と健康コラム」シリーズ最終回 ~熱っ!!!~

福島から発信する新しい医療体制の提案
どんな状況下でも機能し続ける地域全体の健康づくりを、国民一人ひとりが主体的に参加し創りあげていこう
シリーズ最終回です。
私の熱い思いが凝縮しています。


<バックナンバー>
人は、独りでは生きていけない
大規模な災害医療支援の歯車となった家庭医たち。地域に生き、地域で働く喜びと誇りを胸に、医療と向き合う
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h002/0143.html

災害時こそ、家庭医の役割はより重要になる!
長期化する避難生活では、包括的かつ継続的に診てくれる家庭医が求められている
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h002/0147.html

2011年9月3日土曜日

人を怒らせるということ ~あっちゃんキレる~

人を怒らせるということ・・・
※ 写真と記事は一切関係ありません
意味深なテーマである。

多くの方が「どうせお前が何かやらかして患者さんを怒らせてしまったんだろ!」って思うんだろう。

しかし・・・

具体的に述べることは社会的影響力が懸念されるのでひかえるが、今回は私自身の仕事とは別の、プライベートなシチュエーションでの出来事に関することである。

私めと長い付き合いがあり、オイラのキレやすさを知る一部の方なら不思議でもないかもしれないが、最近の私はあまりキレないように心がけてもいるし、実際、心がけなくとも年とともに丸くなってきたことを自負していた。

その私が先日久々にキレちゃう出来事があったのである。
こんなに本気で怒ったのは本当に久しぶりである。

その体験を通して学んだこと・・・

① 単なるミス、気が利かない、もしくは悪意を感じさせる行為だけなら、多くは人をガッカリさせるぐらいで済む
② ①のシチュエーション(単なるミス、気が利かない、もしくは悪意を感じさせる行為)を、本人が認めない、又はフォローすべき立場の人間が適切に対応しない時、人は滅茶苦茶キレる

人間は失敗や過ちの度に、反省し、改善し、前に進んできた。

少なくとも自分は生涯そうありたい。

だから、そうでない人には違和感を感じ、キレてしまうのだろう。

容易に人にキレることは良くないと思う。
相手のコンテクストも充分理解し、なるべくキレないようにするべきである。

『人はなぜ怒るのか』で著者の藤井雅子先生は、究極にキレないコツは「相手に期待しないこと」と述べている。

自分が①のシチュエーションを許容できるようになった理由は分かった。
それは、期待してないから。
でも、せめてその人を管理する人には「こうあってほしい」という期待があるのだろう。

私は改善と進化を求める一人の人間であり、自分に関わる周りの方々にも、こうあって欲しいという暗黙の期待を持っている。

一人の人間であり続けるために・・・

その感情のエネルギーの炎を絶やさないために、たまにキレることは止めないようにしようと思う!

2011年9月2日金曜日

『THE LANCET』の日本特集号

THE LANCET誌ウェブサイト→ http://www.thelancet.com/japan

我が国の皆保険制度導入50周年を記念し、英国の世界的医学雑誌『THE LANCET』の日本特集号が9月1日に日英で同時刊行された。

過去50年の日本の国民皆保険制度を検証し、今日の主要課題を明らかにして、長期的な高齢化社会と3月11日の東日本大震災でもたらされた衝撃的な危機を踏まえた上で、日本の将来に向けての道筋を提唱するという趣旨のようだ。

20世紀後半に国民の健康状態を改善し強固な保健医療体制を構築した日本の実績は、国際的に高く評価されてきた。
第二次世界大戦終了時の日本人の平均寿命は、男性で50歳,女性で54歳。
それなのに、1970年代後半までにはスウェーデンを抜いて世界一の平均寿命となった成果は世界的に注目されている。

今年、日本は国民皆保険の達成から50周年を迎えた。
すべての国民にさまざまな医療へのアクセスを保証している割に、医療費は2008年でGDPの8.5%にとどまり、OECD諸国では20位という低さである。

なぜそんなことが可能だったのか?
世界的に不思議がられている。
公衆衛生政策、高い教育水準、伝統的な食習慣と運動、経済成長、安定した政治環境などが重要な要因として挙げられるが、その真意は未だ謎と言えば謎のようだ。

その中で、誌面にはこんな記載がある。
「開業した医師は自らを専門医と位置づけていたが、病院のように設備が整っていないために、ほとんどがプライマリ・ケアを提供していた。このような構造は今日に至るまで続いている。」
誤解を恐れずに大雑把に述べるなら、日本では今も昔もプライマリ・ケア専門外の先生方がプライマリ・ケアを提供してきたということになる。

9月1日に東京都内で開催された、『THE LANCET』日本特集号出版記念シンポジウムで、橋本英樹先生(東大大学院医学系研究科臨床疫学・経済学教授)はこう語ったそうだ。

 高度医療のアウトカムは、欧米と比較して遜色ない。特に、消化器外科手術のアウトカムは、優れている。これに対して、高血圧や高脂血症の未診療・未治療患者の割合は、米国よりも日本の方が高い。国民皆保険で、医療へのアクセスが保たれているのに、非常にショッキングな発見だった

橋本教授は、2008年度から開始した特定健診・特定保健指導で、状況は改善しているかもしれないものの、「日本ではプライマリケアがシステムとして位置づけられていない。医療保険では予防がカバーされておらず、予防医学と医療との間で連携の悪さがある」と指摘。さらに、専門医に偏重した医師養成に問題があるとし、「地域のニーズと必要とされる専門医・総合医の数や、大学における人材養成・教育内容にミスマッチがある。これは今後、見直していかなければならない課題」とコメントしたそうです。

名古屋大学総合診療医学の伴信太郎教授は、誌面でこう述べている。
「日本の保健医療システムが他国のモデルになるためには、プライマリ・ケアを専門分野として認定することと、この専門分野を国家の保健医療政策の優先事項として重視することが最も重要である。この施策を支えるためには、すべての医学部・医科大学に総合診療学科を創設すべきである。そのことによって、総合診療医と家庭医が、地域の保健医療関係者と連携して初期診療・長期的な患者中心医療・包括的医療を提供する訓練を受けることが可能になるだろう。また、この施策を重視すれば、病院勤務医を受診する必要性が少なくなり、ひいてはその負担が軽減され、日本の保健医療体制はもっと効率的になるだろう」

もともと予防医学も守備範囲とする家庭医。
日本の医療をより向上させるための役割は大きいようだ。

ことはじめに、近日中に仮設住宅の実態を把握するため訪問を開始する。