2013年9月28日土曜日

家庭医として終末期ケアに関わるということ ~第86回 FaMReF@郡山~

秋晴れの今日。
皆様、稲刈りにレジャーに精を出していることだろう。
おいらも負けじと車に乗って着いた先は・・・

会議室 ( _ _ )..........o

月例の勉強会。
窓から見えるほんとうの空を垣間見ながら気を取り直して頑張っていこう!!!

終末期というものをあらためて考えていみると、漠然とした暗いイメージとは裏腹に、実はそれは人生の締めくくりであり、クライマックスであるわけで、ある意味 華やかに花道を飾りたい時期でもあると思う。
個別のこだわりや希望を、時に遠慮なく我がままを叶えたいところ・・・

レクチャー担当のゴローちゃんが示してくれた、終末期の定義:「死」を意識しだしたころから
私たちは、家庭医としてどのように関わっていけばよいか?


比較的「死」が身近な存在である医師として、「死」を受け容れることに慣れていない患者・家族への配慮がどれだけ大事であるかを再認識した。

終末期の緩和医療の手法には、ある程度の標準的なマニュアルが出来つつあるが、ケアの方針の選択や、個別の事情への対応をどうしていくべきかということに関しては、必ずしも一定の正解があるわけではない。
例えば、本人の意思確認がこんな状況下であれば、患者中心の医療の方法の適用は大変難しくなる。

よりよいケアのために、プロとして上手に悪い知らせを伝えること。
日頃から、「死」を異常なこととしてではなく、日常的なあたりまえのこととして、患者さんや家族との診療上の話題にできる雰囲気づくり、関係づくりができたら良いと思う。

これからの多死社会。
あたりまえの医者として、患者さんがあたりまえの死を迎えることができるよう、サポートしていきたい。

嬉しい歓送迎会

平成25年9月26日。
初期研修(地域医療)で頑張ってくれたI先生の慰労会と、来年度以降、故郷いわきの地域医療に一肌脱いじゃおうかなぁ~いうことで、遅い夏期休暇を利用していわきに見学に来てくれたW先生の歓迎会。


I先生は、いわきで気づいた日本の地域医療の現状を踏まえて、20年先を見据えて問題提起してくれた。
その中で、僕らのようなジェネラリストの必要性を深く深く、理解してくれた。
ご自身の進路についても熟慮して、いい選択をしてもらいたい。

W先生は、一人の医師として地域医療にどのように貢献できるかを追究し、研鑽を積んでてこられた、とても尊敬できる方であった。
地元の医療の現場では、暗いニュースばかりが続いていただけに、地域医療を支えてくれる若い医師を新たに迎えることができるとすれば、この上なく嬉しいことである。
彼女の熱意が地元で実を結ぶことを祈っているし、そのために私たちにできるサポートは何でもしていきたい。

そんなこんなで、熱く議論を交わしつつ、旨い肴と酒をたんまりいただきながら、夜は更けていくのだった・・・

2013年9月25日水曜日

2030年 超高齢未来を考える勉強会 ~いわきのあすを明るくするために~

超高齢化が進む中、いわきが日本で最初の「幸せな長寿市」になれるようにしよう!
というわけで、本日はその第1回の勉強会であった。
商工会の方々、医療関係者を含む、多職種40名弱が一堂に会し、2030年超高齢未来 破綻を防ぐ10のプラン」 東京大学高齢社会総合研究機構 著 (東洋経済新報社) を参考書に、熱心に学んだ。
臨床研修医のHちゃんも、現在の社会保障制度の問題点について、いわきで学んだことを含めてプレゼンしてくれた。
2030年・・・彼女が医師として働き盛りとなるころに、私たちはどんな時代を切り拓いているだろうか?
これからは、高齢者が増えすぎて、高齢者を若年者が支えきれる時代ではなくなる。
素直に長寿を喜べない現状がある。
その中で、いかに元気な高齢者の自立を支えていけるか、実は宝の山である高齢者の溢れるパワーを未来の日本のために活かすことができるかが、これからのカギになると思う。
そもそも、今回の勉強会のような興味深い取り組みをリードされている方の中に、たくましい後期高齢者が含まれている事実自体、心強い限りである。

人が住みよい街とは?
人と社会との関わりを意識した都市計画が重要である。
生活の場、つまり住む場、仕事の場、買い物の場、娯楽の場、療養の場などをごちゃ混ぜにして、共に支え合いながら、最期までその人らしく、生き甲斐や役割をもって生きていけるような街づくりが出来たらいい。
その中で、医療・福祉を提供する立場から、私たちに何ができるか?何をするべきか?
元気な高齢者を要介護者にしないための予防戦略、介護に疲れた家族が体調を崩さないための配慮、そして、安心して看取りができる環境の整備・・・
この先、避けては通れない医療を核としたコンパクト・シティーを目指して取り組んで行きたい。

2013年9月20日金曜日

2013年9月20日 いわき市 震度5強

嫌な地響きと突き上げる衝撃・・・
強制的にあの日を思い出させられる瞬間。
その直後に緊急地震速報
「(いつものことだが)順番逆じゃねぇ?」
と心でツッコミを入れながら・・・
午前2時25分頃、草木も眠る時刻に、まさにいわき市内を震源とした直下型の地震に叩き起こされた。
幸い、揺れはすぐにおさまったので、自宅内で大きな被害はなさそうだったが、念のため自宅内を巡回したら、食器棚内の一部のコップ倒れで扉に堰き止められていたり、冷蔵庫の扉が開いたりしていた。
そして、フロアに沢山の物が散乱している・・・
いやっ!
これは、ただ単に昨夜子供が散らかして片づけないまま寝てしまっただけだ (笑)
子供と言えば、こんな揺れでも起きやしねぇ~
再三の親からの「片づけなさい」をスルーして寝てしまうだけあって、なかなか図太いものである。
出勤途中、病院近くの鹿島街道では、水道管が破裂したのか?
10メートル超と思われる高い水柱が猛烈な勢いで噴射していた。

当院では若干名の外傷患者さんを当直医が受け入れていた。
エレベーター1基が故障したことを除いて、重大な混乱や断水等のライフラインの問題はないようだった。
そして医局・・・
散々だ!
決して日頃からこんな状態というわけではない!
2011年、何度も何度もこんな風景になった当院医局。
病院で最もデンジャラスな場所であることは、どうやら間違いないらしい。
昨夜は、オーストラリアからのクレア先生や、当講座のボスも、いわきステイであったが、無事を確認できて、ひとまずほっとした次第である。
でも、地震に不慣れであろうクレア先生はきっと、かなり驚かれただろう。

2013年9月19日木曜日

実践家庭医塾 ~日本流プライマリ・ケアの構築のために~

本日、中秋の名月の夜の実践家庭医塾は2部構成!

先ずは、前回に引き続き、地域医療研修のために東京慈恵会医科大学からいわきを訪れている臨床研修医の気づきをもとに家庭医療の専門性をさぐる試み!
現在ローテート中の彼女は、わが国のプライマリ・ケアの現場で噴出している多くの問題を実感せずにはいられない事例を、僅か2週間あまりの間に数えきれないほど目の当たりにしてきた。
そのもどかしさを参加者に伝えるべく、当日の家庭医塾開始直前まで鋭意準備してくれた。
日本の医療を良くしたい。
誰もが安心して暮らせる国にしたい。
そんな熱い想いを受け止めることができた。
これからも、日本の未来を創る仲間として一緒に頑張っていきたい。


次に、夏休みを利用していわきを含む福島県を訪問してくださっている、オーストラリアのJames Cook大学家庭医療学のClare Heal准教授から、家庭医の臨床研究について、ご自身の研究のご紹介を交えてレクチャーしていただいた。

プライマリ・ケアの現場から生まれた素朴な疑問やニーズをきっかけに、日常診療に役立つエビデンスを、日常診療をしながら生み出していく文化が根付いていることにあらためて感心した。

プライマリ・ケアの整備という面では、診療にせよ、教育にせよ、研究にしても、ずっと先を行くオーストラリアなどの先輩諸外国の姿を参考にしながら、日本流のプライマリ・ケアを構築していくのが僕らの使命である。

2013年9月12日木曜日

福島県立医科大学 家庭医療学専門医コース 病院総合医フェローシップ


このたび、かしま病院をメインの研修施設とした「福島県立医科大学 家庭医療学専門医コース 病院総合医フェローシップ」が、めでたく日本プライマリ・ケア連合学会認定 病院総合医養成プログラムして登録していただけることが決定しました。
より多くの若い先生方に、いわきで研鑽を積み、満足してもらえるように、プログラム責任者として、このフェローシップの充実に努め、より良いプログラムに育てていきたいと思います。



<プログラム概要> 
福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座(以下:当講座)が提供する家庭医療学専門医コース 病院総合医フェローシップ主たる研修施設であるかしま病院では、予防医学から、急性期疾患の診断・治療、慢性期疾患管理、リハビリテーション、在宅医療、介護・福祉支援まで、地域の医療・介護・福祉の連携と向上に力を入れています。
研修を通して、これらすべての経験を積み、家庭医を特徴づける能力を充分に活用しながら、他職種との協働、患者・家族背景を考慮したコーディネートを数多く経験することで、より地域に根差した病院総合医として発展できるようデザインされています。
また、医師不足・偏在が著しい福島県では、地域医療のニーズに応えるために、特に一次・二次救急医療において、広範な疾患領域に対応できる診療能力の獲得が求められています。
かしま病院では、救急告示病院として年間1,000件超の救急応需をしており、複数の健康問題を有した高齢者への対応など、病院総合医としての能力を磨くための環境が整っています。

聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog

聖マリアンナ医科大学病院臨床研修の地域医療の学外研修施設として、来年度から新たに「かしま病院」を加えていただけることになりました。
研修Blogに「超おすすめ」として紹介していただき大変光栄です。
なるべく多くの先生方に興味をもってもらえて、実際にいわきの地域医療に触れてもらえたら嬉しいです。

聖マリアンナ医科大学病院臨床研修Blog
http://blog.goo.ne.jp/st-mari-rinsho




2013年9月11日水曜日

家庭医療後期研修医送別会 ~更なる飛躍を祈念して~


今宵はこれから、 1年半にも及んだ かしま病院での研修ローテーションを今月いっぱいで修了し、10月から次のローテート先で新たな分野のスキル獲得に挑戦する Michell(通称)先生の、医局・法人あげての送別会。
病院から会場へ送迎バスが出る!

かしま病院で家庭医療後期研修の受け入れを始めて、はや6年目。
Michell先生は5人目のレジデントであるが、彼はその中でも最も真面目で、計画的で、情熱的で、意欲的であった。
殊に、彼のポートフォリオの提出のペースが順調すぎて、指導医のチェックが追いつかないという、講座史上 未だかつてないような珍現象すら起きている。これは偏にわたくしの不徳の致すところであるが・・・
医学生や臨床研修医への教育にも熱心で、生涯をかけて家庭医として生きることが いかに魅力的なことなのかを、多くの学生や研修医、実習・見学者に伝えてくれた。
Michell先生を見習うべきところは多いし、教わることも多かった。
なにより、彼と一緒に学べたことを誇りに思う。
そして、彼がいわきで学んだ数多くの経験が、更なる研鑽により大きく花開き、これから出会う多くの患者さんや地域のみなさんとの関わりの中で豊かに実を結び、本人もますます光り輝いてゆくことを確信している。

ところで、Dr. Michell の有能さがゆえに、彼がいなくなった現場で、残された身の診療・教育の容量が急激に増加することが容易に予想される。
当然・・・
新たに福島で家庭医としての一歩を歩んでくれる仲間を大募集中!!!
http://www.fmu.ac.jp/home/comfam/news/news.php?page=0
ということになる。

ふくしまからはじめよう!
http://atsushii.blogspot.jp/2013/05/blog-post_17.html

2013年9月9日月曜日

第90回 いわき緩和医療研究会


市内唯一の緩和ケア病棟を有する福島労災病院における試みや実際の事例が紹介された。
医師不足やスタッフ不足を背景に専従医がいない中、かなりのご苦労をなさっているであろう様子が垣間見られた。
興味深かったのは、症状コントロールが良好になれば、極力 在宅や外来管理に切り替えておられるということ。
もちろん画一的にそうするのではなく、個別性、個々の要望に配慮した対応に留意されているようであった。
多様化する要望に応えてゆくこと。
過ごし方、過ごす場所、、、
これは一見、新しい緩和ケアの形のようにも見えるが、よく考えれば、これは患者中心の医療の方法そのものである。
患者さん固有の病気の体験。
苦しみ、怒り、不安、痛み、恐れ、期待と失望、、、
多忙な日常の中で、これらにいかに寄り添い、共通の理解基盤、手法や目標を見出していけるかが課題である。
そのために、患者-医療者 間のコミュニケーションだけでなく、いかにスタッフ間のコミュニケーションを密にしていけるかが大事かを再認識した。

<次回予告>

2013年9月6日金曜日

地域包括ケア ~学校や幼稚園おけるアナフィラキシーの初期対応~

本日、地域の小学校から要請をいただき、学校におけるエピペンを用いたアナフィラキシー対策についての講習をさせていただいた。
学校医の先生を含め、このテーマの講師がなかなか見つからないとのことで、お声をかけていただき、「こんな時こそ家庭医の出番!」とばかりに喜んで馳せ参じた。


急なご依頼だったので、充分な資料等を準備できなかったけれど、児童のために一日でも早くマスターしておきたいという先生方の熱意に敬意を表し、できる限りシンプルにまとめさせていただいた。
エピペンの使用方法はいたってシンプルであり、誤解を恐れずに大胆にまとめれば下記のような手順で覚えていただければよいだろう。


しかし、エピペンの打ち方を知っていること以上に大事なのは、「いざ」というときに、すみやかにエピペンが打てる状態をつくることができる体制づくりであり、組織づくりだと思う。
教職員一丸となって児童を守っていきたい。
そういった熱意をビシビシ感じとりながら、有意義な時間を過ごさせていただいた。

これぞ地域社会と医療機関をまたにかける究極のチーム医療!

幸い「2度と来ないでください」ではなく「継続的にご指導ください♡」というお声をいただけたので、また遠慮なくお邪魔したいと思う。

2013年9月2日月曜日

(多分) 今年最後の夏祭り!


郷ヶ丘幼稚園の夏祭りにおける「お父ちゃん」の主な役割は、「たこ焼き」と「生ビール」販売と、「ねぶた神輿担ぎ」 などの力仕事全般。
一部の太鼓バカは「MUZIMA」(スワヒリ語で“生きている”という意味)という和太鼓集団を形成し、祭りを盛り上げるのに一役買っている。
自分は、足掛け11回目の夏祭りというわけだが、新しいお父ちゃん方が、慣れないたこ焼きや太鼓に果敢に挑戦し、どんどん指導的役割を担っていくようになるのを見るのが楽しい。
医学の指導や、職場の教育も、こんな風にワイワイ楽しくできたらいいと思う。
そのためには、参加者共通の目的や目標がしっかりしていることが大事なんだと思う。
子供の健やかな成長を願う、大人の気持ちが、父兄・職員一丸となって形になった。
そんなことを実感できる心に残る夏祭りとなった。


大人の身勝手で、海を汚し、子供に負の遺産を残してしまったことへの申し訳ない気持ちと、
それでも、子供たちと共に命の源の海に抱かれて生きていきたいという想いをこめ、
子供たちをクジラの背に乗せて、大きな空を激しく泳いでもらった。


私たちはここまで来た。
そして、これからも前へ進んでいく・・・