2012年6月29日金曜日

家庭医療サマー・フォーラム in 福島 2012

「探してた未来… キミの医師像が見つかる!」

今年もやってまいりました・・・熱い夏!
当講座の一大イベントの告知をさせていただきます。
詳細が決まり次第、随時 福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座HP
(URL: http://www.comfam.jp/ )
にてアップしてまいります。
Family Medicine Summer Forum in Fukushima 2012

日時:2012年8月11日(土) 14:00~18:00
8月12日(日) 9:00~12:00

会場:福島県男女共生センター「女と男の未来館」 (福島県二本松市郭内一丁目196-1)

プログラム:
<1日目>
・Reflection of the Month
  家庭医療後期研修医による診療経験に基づいた振り返り

・整形外科的診察法「診察のコツを教えます!」
  福島県立医科大学 整形外科学講座 准教授 大谷晃司 先生

・Cinemeducation
  映画を用いた家庭医療の教育セッションです

・その他

<2日目>
・症例模擬カンファランス
  家庭医が患者中心の医療の方法を適用していく過程を学びます

・その他

 ※ その他 懇親会・各種イベント等盛り沢山です

対象者:学生、研修医ほか家庭医療に興味のある方

参加費:(宿泊費・懇親会費込) 学生 5000円、初期研修医 8000円、その他 12000円

申し込み期限:2012年8月1日

主催者(下記)まで事前にお申し込み下さい

主催:福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座
    URL:http://www.comfam.jp/
    TEL/FAX:024-547-1516 内線2931
     E-mail:comfam@fmu.ac.jp (担当:國分、玉木)

19th Wonca 済州島 報告 ~実践家庭医塾~


本日の家庭医療セミナーinいわき「実践家庭医塾」では、2012年5月24~27日に韓国の済州島で行われた、世界家庭医機構 アジア太平洋学術会議に参加した教授から、その内容の報告があった。




① アメリカの家庭医で、Wonca会長のRichad G. Roberts先生のプレゼンテーション

まず、今の健康は危さの中に立っているという前提で、プライマリ・ヘルスケアの役割の再確認がなされたという。

その中で、患者を初めから最後まで知っている家庭医の役割を、癌のケアを例に述べられた。

また、プライマリ・ケアのシステムの充実が、その国の患者満足度を高め、医療に費やされる時間や費用を削減し、死亡率を低下させるというエビデンスが示された。

Starfield B, Lancet 1994;344:1129-1133 Macinko J et al, Int J Health Serv 2007;37:111-126



プライマリ・ケアが充実していないと何故よくないか?というと、多彩な問題を同時に抱えている患者さんに対し、包括的に診ることの困難さが挙げられていた。




② オーストラリアの家庭医で、Wonca次期会長のMichael Kidd先生のプレゼンテーション

5月19日が、世界家庭医の日(Happy Family Doctor Day)であることが紹介された。

奇しくも、養生会名誉理事長のご生誕記念日と一致していた。

そして、ヒポクラテスは家庭医だった。

プライマリ・ケア領域におけるEBMに造詣の深いMichael 教授は、多過ぎるガイドラインや先行研究結果を有効活用するために、良心的、明示的、かつ思慮深く エビデンスを利用することの重要性を主張していた。

アスパラガス摂取と異臭尿



「アスパラガス食べると、その後にオシッコが臭くなるよね~」

何気なく同僚に尋ねると・・・

きょと~ん・・・

あれっ?
これって常識じゃなかたんだ。

40年近くもの間、経験的に常識だと思って別に気にしてもいなかったのだが…

てな訳で、調べてみると、素朴な疑問に挑んだ偉大なる先人達の深~い歴史が見えてきた。

以下、米国 Diccovery Chanel Online の関連記事によると・・・

Why Asparagus Makes Your Pee Stink by Hannah Holmes


1891年、化学者の Nenki さんが、4人に1 人あたり7kgのアスパラガスさせて食後尿を採取。
(謝礼は何だったんだろう?)
Methylmercaptanと言う代謝物質を発見した。

1975年には、カリフォルニアの化学者が Science誌に、S-Methyl Thioesters説主張しMethylmercaptan説を否定。

その後、1980年に、BMJ誌に、代謝物質として、6つの硫黄元素を持つ物質が原因というレポートを発表している。  

云々かんぬんで、結局、腸内蛋白質の分解産物 Methylmercaptan が尿中に排泄されることによる臭いということに落ち着き、その構造の大半は硫黄でできていて、腐った卵系の臭いになるということだ。

そして、『The ReSearch Guide to Body Fluids』(by Paul Spinrad, Juno Books, N.Y., 1994) という本にアスパラガス摂取後に異臭尿をする人はたった 22% との記載があるそうだ!

ところが、goo注目ワードコラム( http://kwsearch.goo.ne.jp/health/910.html )に、この異臭を感知できる人が、たった1割との記載が!

これは全体の1割なのか?

それとも、異臭尿をする人と掛け合わせていいのか?

もしそうなら、単純に…

22%×1割=2.2%

アスパラを食べた後に、トイレで尿臭を楽しめる人はこんなに希少ってこと?

いずれにしても、やはり私は奇人変人傾向が強いらしい・・・

2012年6月24日日曜日

院内研究発表会



2012年6月23日、土曜の午後を利用して、かしま病院の院内研究発表会であった。
各演題をながめると、多職種・部署からの日常診療・業務に密着した研究が多く、あらためて地域に密着した利用者に近い医療機関として、職員が一丸となって日々活動しているということを実感した。
家庭医チームからも、当講座恒例のムチャ振りに応じてくれたG君が、天性の語り口で発表を見事にこなしてくれた。

その後、ご褒美もせずに、一人ご飯させて申し訳なかった。

2012年6月23日土曜日

運転免許更新とNarrative-based Medicine

「私、お暇をいただき『かきかえ』させていただきました。」

地域医療の臨床実習中の学生さんに伝えると、

「えっ、先生。 暇じゃなくても いつも超速で『かきかえ』てるじゃないですか?」

目を丸くする学生さん。

ここでは運転免許の書き換え(更新)という意味で使ったのだが、日本の家庭医療の業界では、「かきかえ」とは、あっちゃんのコミュニケーション法で述べたとおり、同じ疾患の患者さんであっても、個々に異なる病気の経験を探り、Narrative-based MedicineNBM を実践するためのツール(か:解釈、き:期待、か:感情、え:影響)の覚書である。

つまり、疾患に対する患者さんの「かきかえ」を確認し配慮することから、良好なコミュニケーションと質の高い患者中心の医療が始まる。

2週間、「かきかえといてね」 「かきかえは?」と言い続けてきた結果、家庭医療を実践する人間の職業病を伝染させることに成功した嬉しい瞬間だった。

ご褒美に美味いものを鱈腹ご馳走した。

「遠慮しないで まるっと食べちゃっていいよ!」って言ったら・・・




本当に丸ごと食べようとしていた。

それにしても運転免許センターは、実にスピーディーなベルトコンベアー状態で、「書き換え」の舞台でありながら、ほとんど「か・き・か・え」はしてくれなかった。

2012年6月9日土曜日

神輿に学ぶ学会運営

組織が然るべき方向に発展するための条件とは何だろうか?
我 思うに・・・

① 組織のメンバーが同じ理想(到達目標)を共有していること
② (当然のことながら)組織のトップがその理想(到達目標)を共有していること

これは最低条件ではないだろうか?

本日は、日本プライマリ・ケア連合学会の新しい理事長を決める大切な日であった。

発足間もない日本プライマリ・ケア連合学会であるが、組織としてこれらの最低条件を満たしていたと言えるだろうか?

私の答えは残念ながら「NO」である。

新しい理事長候補の先生方の中に、私のこの“もどかしい”想いを、所信表明の中で代弁してくださる先生がいらしたことは、私にとって震災以来 最大の収穫であった。

そして・・・

一言、一言、頷きながら泣いた!

(これは私の前頭葉の問題か?)

これまでよりも更にスピード感をもって理想を具現化することを求められている日本プライマリ・ケア連合学会が、窮地に立っている日本社会のお役に立てるかどうかは、新理事長のリーダーシップのもと、組織として生まれ変われるかどうかにかかっている。

帰途につくと、はからずも・・・

豪雨の中、鳥越祭の御神輿が!

苦境の中、同じ目標を共有し、これまでの某学会よりもずっと組織だって前進する力強い神輿にパワーと勇気をいただいた。



お祭りに学ぶ地域医療!!!だぜぇぃ~!!!

2012年6月3日日曜日

第73回 Family Medicine Resident Forum in 喜多方 そして・・・


広大な福島県内各地を渡り歩くジプシー軍団の醍醐味と言えば、移動の度に福島県の壮大な自然に身を委ね、極上の御馳走をいただけること…

201262日、喜多方開催のFaMReFというわけで、いわきから喜多方への道すがら、雄大な磐梯山と残雪まとう飯豊山のコラボ!


そして、お勉強の前にはこいつで腹ごしらえ。

先週は朝ラー!
今日は昼ラー!!

お店も食事時刻も異なればまた味わいも一塩!

そんな感じで始まった第73FaMReF


先ずは、喜多方市 地域・家庭医療センター センター長の高栁宏史 先生が、喜多方市 地域・家庭医療センター 開院後1年間の推移を報告してくれた。
どんなに工夫を凝らして設計された建物でも、1年間使用して初めて分かった改善点もあったりして興味深かった。地道で丁寧な診療を続けることで、順調に地域の方々からの信頼を得ている様子がうかがえて本当に嬉しかった。20125月から在宅療養支援診療所として登録され、また、医師会関連、健康診断、学校医、産業医、准看護学校講師、健康講座など地域のニーズに応えた多彩な院外活動を精力的にこなすセンター長・副センター長の奮闘ぶりを知ることができた。この施設が診療・教育・研究の拠点として更に羽ばたけるよう講座として全力でサポートしていきたい。

次に、後期研修4年目の若山隆先生から、先週 韓国済州島で開催されたWonca(世界家庭医機構)アジア・太平洋 学術会議への参加報告があった。国際学会参加により得られた知見が示されたが、特に1999年の台湾大地震を機に2003年に発足した台湾の地域ごとのプライマリ・ケアのシステムCMTCommunity Medical Teamが紹介され、複数の開業医と病院・自治体などがスクラムを組んで地域全体の医療を支えていくこのシステムは、日本でも応用が可能なように感じられてとても興味深かった。


その後も、後期研修プロジェクトチームによるワークショップや、Cinemeducationなどのプログラムが残っていたが、今回は診療の都合により、後ろ髪(そんなものはやはり私には無い)をひかれながらこの個時点でいわきにとんぼ返りとなった。

住み慣れたご自宅でご家族に看取られることとなった患者さんとの荘厳な時間を共有させていただくために…