2018年6月19日火曜日

大いに学び、伊勢の美味いものを大いに呑み喰いする ~第9回 日本プライマリ・ケア連合学会 学術大会~


2018616日・17日の両日、三重県津市で開催された 第9回 日本プライマリ・ケア連合学会 学術大会に参加してきました。
実は個人的に初の三重県入りでした。


せっかくなので、大いに学び、伊勢の美味いものを大いに呑み喰いすることが今回の旅の目標でした。

到着して早速、立命館大学薬学部の髙橋直子先生によるインタレストグループ「多職種連携における医療・介護従事者のコミュニケーション向上のためのアンガーマネジメント」でワーク!
一般社団法人「日本アンガーマネジメント協会」のHPhttps://www.angermanagement.co.jp/ )によると、アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれたとされている怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングで、怒らないことを目的とするのではなく、怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになることを目標としています。
当初は犯罪者のための矯正プログラムなどとして活用されていましたが、時代の変遷とともに一般化されていき、企業研修、医療福祉、青少年教育、人間関係のカウンセリング、アスリートのメンタルトレーニングなどの分野で幅広く活用されるようになりました。
このセッションでは、自他の「怒りの感情」をみつめ、イライラする原因をグループで考察しました。ディスカッションをとおして「怒りの感情」を上手にコントロールすることで、セルフケア、家族や職場スタッフとのコミュニケーション、患者満足度の向上にとても有用な手法であると直感しました。日常の中で積極的にトレーニングしていきたいと思いました。

初日の夕方には「アドバンス・ケア・プラニングの光と影 ~ちょっと立ち止まってみませんか?~」という気になるタイトルのシンポジウムを聴講しました。シンポジストの中で函館陵北病院の川口篤也先生の「ここがヘンだよACP」と題してご発表された内容は一字一句 共感できる内容で、日々の診療でおきるジレンマを代弁していただけた気持ちでした。ACPのサポートとは、結論を急がずに、患者さんとご家族の側で腰を据えて(いや、曖昧な中腰の姿勢で)とことん付き合う覚悟を決めることであり、とてもやりがいのあるお仕事であると再認識しました。
さて、もはや学び過ぎてお頭いっぱいになったので、お腹いっぱいになるために津の街で酒場放浪…
写真はイメージです(笑)
出来の良すぎる高校・大学の後輩と合流し、美味しい地酒を堪能したのであります。

2日目。
出張恒例の朝ラン!
曇天ながら、太平洋はここでも爽やかでした。

朝一での総会で代議員の責務を果たすと、インタレストグループ「コミュニティホスピタルにおけるプライマリ・ケア医の役割」に参加しました。
コミュニティホスピタルジャパンとして、プライマリ・ケア医が、地域包括ケア病棟を含む入院、外来、在宅看取りを含む訪問診療、家庭医・総合診療医の教育・臨床研究を遂行し、疾病予防・健康増進・医療サービス等を地域に提供している4施設の取り組みを共有した上で、現状の課題・問題点や改善・解決策を議論し、おおいに親睦がはかれました。頴田病院、金井病院、豊田地域医療センター、亀田森の里病院の取り組みは、まさに当院が目指す役割そのものであり、これから協働するべきパートナーに出会えた、有意義なセッションとなりました。

帰路につく前に もうひと踏ん張り!
病院総合医委員会企画のインタラクティブセッション「病院総合医が遭遇する症例へのアプローチ」に参加!
日常診療におけるリアルワールドの苦悩を体現(再現)・共有できる楽しいセッションでした。
途中から他科コンサルトにおけるストレスやトラブル回避のための各施設における多くの工夫・取り組みが聴けて、とても参考になりました。

今回の学術大会全体をとおして強く感じたことは、日本のプライマリ・ケアの醸成のために、多くの人たちが努力し、日々研鑽を重ね、試行錯誤しながらも、楽しみながら、やりがいをもって取り組んでいるということです。
某専門医機構は、こういったエネルギーをしかと受け止めて、日本の医療の未来の構築に寄与してもらいたいと切に願っています。

2018年6月14日木曜日

動機づけから始まるプライマリ・ケア ~実践家庭医塾~

今宵の実践家庭医塾のメインプレゼンターは、慈恵会医科大学附属病院 臨床研修医
大学から離れ、プライマリ・ケアの現場に出ることで気づいたこと
それは、患者さんの意識の違い…
高度な先進・専門医療を要する状況を、あらかじめ理解・認識して受診する大学病院とは異なり、プライマリ・ケアの現場では、二次健診など時に健康問題意識が全くない段階での受診されるか方も散見されます。
そういった点への気づきを契機に、動機づけ面接について学んだことをまとめてくれました。
豊富な臨床経験を持つフロア参加者からも、それ自体が治療・介入的側面をもつ動機づけ面接に対して支持的な意見がでました。
それは、患者さんに内在する動機を呼び覚まし、行動変容をサポートするという手法そのものが、患者中心の医療の方法そのものだからだと思います。



2018年6月6日水曜日

嘘も100回言えば真実になる(笑)


表1

表2


 誰も信じなかった真実を、常識に変えたい! 

 社団医療法人養生会月刊発行新聞かしまHOThot通信編集部から依頼を受けて、20097月号から気ままに執筆を始めたコラム「ようこそ家庭医療へ!」も、20186月号で記念すべき100回目を迎えました。有名なフレーズ「嘘も100回言えば真実になる」は、ナチスのヨーゼフ・ゲッベルスによるプロパガンダを語るときによく引き合いに出されます。例え間違った内容のことでも同じことを何度も耳にするうちに、人はやがてそのことが本当であると信じるようになる現象があることがさまざまな研究から明らかになっています。「家庭医療は重要である」という私の訴えに何の嘘・偽りもありませんが、100回繰り返したことで、読者の皆さんが家庭医療に対して何らかの良いイメージを抱くようになっているとすれば、まさに私の思う壺なわけです(笑)
 さて、100回と言えば、今年85日に開幕する全国高校野球選手権(夏の甲子園)も、第100回記念大会を迎えます。その応援ソングが、人気男性アイドルグループ「嵐」の新曲「夏疾風(なつはやて)」に決まりました。作詞・作曲を担当した「ゆず」の北川悠仁さんからのコメントの通り、高校球児たち、そして多くの皆さんの夢が、「夏疾風」によってこの夏、輝くことでしょう。
ここで私見を述べると、日本の家庭医は国民から愛され続けている存在の代表格とも言える嵐を目指したらいいと思います。勿論、国民的アイドルである嵐と家庭医を同じ土俵で扱うつもりはありませんし、表1のごとく知名度も実績もファンの数も、何もかも差は歴然です。しかしまだ確立していない分野を切り拓こうとしている日本の家庭医たちは、患者さんの健康にとって有益であると考えれば、仕事の内容も患者も選ばずに日々行動しています。表2の通り何よりも大切な国民の幸せを願う「でっかい愛とか希望」の探求心だけは嵐の5人に負けません。未だ希少な家庭医ですが、日本中どの地域でも家庭医が活躍し、すべての国民がその恩恵を受けられる社会の到来が楽しみです。