2017年10月22日日曜日

雲海の会津 ~第126回 家庭医療レジデント・フォーラム@只見~


台風接近前の雨天の中、家庭医医療レジデント・フォーラムの会場の只見に移動。
道すがら、色付き始めた山々と秋空とのコントラストが楽しめなかったのは残念であったけれど、代わりに見事な雲海を臨むことができた。

さて、秋雨の風情の中、フォーラム開始!
繰り広げられる専攻医の振り返り、ポートフォリオ発表とそれぞれに対するディスカッションを通して、各領域で何を学ぶべきかが確認され、それは研修の改善の過程そのものであると同時に、指導医の役割を再認識する場面でもある。
日頃 直接 絡めない別サイトの指導医からアドバイスを直に受けることが出来るもの重要なポイントである。

恒例の締めのプログラム「Cinemeducation」の前に「ゆる体操」が入るのが、最近のトレンドのようで、事情を知らない方が、もしも会場に迷い込んだら、おったまげてしまいそうな光景が展開されている。

2017年10月16日月曜日

三位一体の地域医療創生

 


20171014日、いわき市医師会 第52回 市民公開講座「いわき市の地域医療を守り育てるために」が開催されました。制定・施行されて間もない「いわき市の地域医療を守り育てる基本条例」に市・医療機関・市民の三者それぞれの役割が明記されていることを受け、市を代表して地域医療課 藁谷孝夫 課長から「いわき市の医療の現状と今後の取り組み」について、医療機関を代表して私から「急病や怪我で困らないための上手な医療の利用方法」について、市民を代表して磐城実業株式会社代表取締役の宮野由美子さんから「いわきの医師を応援するお姉さんの会」について、それぞれの立場からプレゼンテーションする三部構成の講演会となりました。
 藁谷課長からは、多主体連携による「防ぎ・治し・支える医療」の実現を目指し、医療機関ハード面と連携基盤の充実、人材育成・招聘の強化、医療に関する意識の共有化などの市の取り組みが紹介されました。
 私からは、急病や怪我で困らないための極意をお伝えしました。困らないための最強の対策は「予防」つまり急病や怪我を起こさないことです。そして実は、急病を防ぐために最も効果的で誰もが今日から取り組むことができることに「禁煙」「受動喫煙対策」があります。極端な話、いわき市内全域禁煙が実現すれば、いわきの医師不足問題は一気に解決するかもしれません。さらに、超高齢・多死社会においては、寿命が近づいたら慌てず騒がず安らかに逝くための事前準備「終活」が重要です。責任を持って看取ってくれるお医者さんを早めに確保されることをお勧めします。寿命が近づいて徐々に衰弱し、結果的に心肺停止に至る過程は急病ではありませんし、高次医療機関に搬送する適応ではないので、救急車を呼んでもなかなか受け入れ先が見つかりません。いざ、急病や怪我が発生してしまったら、救急医療を利用するべきか否かを「考慮」して、不要不急の救急要請、休日・夜間の時間外受診を減らすことが肝要です。
 「いわきの医師を応援するお姉さんの会」の会長を務める宮野さんからは「いわきの若い医師の胃袋をお姉さんの手料理でガッチリつかもう!」というコンセプトで発足した会の誕生から現在までの活動報告がなされました。医師を応援するための会の運営を通して、互いの立場を理解・尊重し、深い学びと明日への原動力になる集いへと醸成されている過程がよく理解できました。市民から発生した活動は、今や大きなムーブメントに発展しています。「お医者さんのために始めた会は、実は自分たちのためのものだったことに気づきました」宮野さんの言葉はとても感動的で印象に残りました。
「いわき市の地域医療を守り育てる基本条例」を単なる理念に終わらせることなく、いわきが誇る実効性のある条例として成熟させていくために、市民一人ひとりが自身の健康について主体的に考え行動し、私たち医療・介護関係者、行政らも一体となって、この市民中心の地域医療創生の動きを全力で盛り上げていきましょう。