2012年7月28日土曜日

第74回 Family Medicine Resident Forum in 只見

再びこの地にやってまいりました。
天気は最高!
自然が我々を手招きしている。
絶好の行楽日和。
外は青々としているのに、みんな真面目に屋内でお勉強・・・
イイェーイ! いいぞ、いいぞ!

はじめに、横浜からいわきに2週間臨床実習に来てくれていた学生さんからのプレゼン。
都会の大学では学べないことを、いかに楽しく学んでくれていたかを再確認できた。

次に、「あっちゃんの考える診断学」
最近 自身も夏風邪をひいて辛かったこともあり、改めて「風邪」の診断についてまとめてみた。
いわゆる「風邪の患者さん」と呼ばれてしまう方々に対し、多彩な鑑別疾患を想起できること、多彩な病気の経験を探ることができることが大切であるか、少しでも伝わったなら嬉しい。

恒例のレジデントによる「Reflection of the month」では、後期研修2年目のT先生から、意見が対立する家族を含む難しいケアを通して、より広い視野で見ていくことの意義を再認識できたという経験が紹介された。
医師側が、ケアにおける困難にぶち当たり、「もやもやする」感情を持った時、「これって家庭医の腕の見せ所?」って思えるアンテナを張っておきたい。

後期研修プログラムについて考える その②
先月に引き続き、後期研修について、ワークショップ形式でディスカッションが行われた。
今回は、家庭医療学専門医コースにおける、よりよい技術研修について話し合われた。
これまで、当講座のプログラムでは、多くの各科専門医の先生方のご協力とご理解のもと、多くのプライマリ・ケアに役立つ診療技術の研修を提供してきたわけだが、このことをより見える化していくことが重要だと感じた。

Cinemeducation 「THIS IS IT (2009)」
映画の一部のクリップを観て感じたことを言語化すること、他の人が言語化したことを聴くことで自分にはない視点を知ること。
これは、診療所を訪れる患者さんの日常生活全体のごく一部にあたる診察室での言動から、患者さんがどのように辛いのかを深く理解することを求められる、我々の日常診療に通じるところが多い。
本作品も、感情や感性に訴えかけるところが多く、感想を言語化しにくい映画であったが、敢えて言語化することで、やはり自分では気付かなかった視点を知ることができた。
その中で、高いレベルで完璧なものを目指す場面でありながら、ギスギスせずに自由に意見が言える環境というものに、教育環境を提供する立場として大いに憧憬の念を感じた。

2012年7月27日金曜日

改めて「聴く技術」 家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾

定例の勉強会。

今日のテーマは、改めて「聴く技術」

THE PATIENT HISTORY 2nd. edition
An Evidence-Based Approach to Differential Diagnosis
を参考に、身体診察がモノを言いそうな「肩の痛み」をテーマに、敢えて病歴だけで どこまでつめることができるかを検証した。

そこで分かったこととしては、この領域では、有病率すら明らかになっていないほど、非常にエビデンスが少ないということ。
だから、やはり適切な身体診察の技術は、当座 必要そうである。

しかし、その中でも、肩そのものの問題なのか?放散痛としての肩の痛みなのか?急性発症なのか?慢性の経過なのか?を探ることは、病歴だけでもある程度できそうだし、特に放散痛を想起した病歴聴取ができることが、緊急疾患や重篤な疾患を拾い上げるのに役立ちそうである。

2012年7月26日木曜日

“もっこり”には ご注意を!

かねてから気になっていた“もっこり”と、昨夜ようやく出会うことができた。
“もっこり”といっても、北海道生まれの まりも のキャラクター“まりもっこり”ではない。
3ヶ月ほど前、この“もっこり”というやや卑猥な単語を焼き肉レストランのお品書きの中に初めて発見した時は、単なる印刷ミスだと思ったのだが、後で調べてみると・・・
なんと!
本当にそんな飲み物があるではないか!
その実はいたってシンプルで、“マッコリのビール割り”である。

それを知った時から「いつか試してやろう」と虎視眈々とチャンスをうかがっていた次第である。
昨日訪れた焼き肉レストランでは、残念ながら“もっこり”は提供していなかったけれど、「それなら作っちゃえ!」というわけで、ビールとマッコリを注文し、配合実験開始!!!
見た目は濁ったカルピス様。
飲んでビックリ!
あら不思議!!!
ビールの苦みやコク、マッコリ独特の酸味、見事にみ~んな消えてしまい、まるで氷水のようにさわやかな飲み口に!
とはいえ、アルコールが消えるわけもなく、とっても酔っぱらう危険な飲み物となった。
ちなみに韓国語で“モッコリ”とは、本来 首飾りという意味だそうだ。
左から “生ビール” “もっこり” “マッコリ”

2012年7月24日火曜日

奥の深い研修を終えた いわきのヒーロー

いわきでの4年間の研修を終え、指導医としての道を歩み始めているG君が、県内の別の拠点に異動となり、いわきを去る。
といっても、彼は人気者過ぎて、彼の転勤を知らされた患者さん達は泣きまくるし、各部署ごとに連日の送別会シリーズ状態となり、簡単には離れられない様子であった。

患者さん、ご家族、スタッフらを愛し、患者さんにも、ご家族にも、スタッフらにも愛されるG君。

彼の患者さんを引き継いで実感したことは・・・

「どんだけ深く関わってきたの?」

驚かされるのと同時に、家庭医として深く、深く 尊敬する。
いわきでこれだけの逸材が、熱い魂をたずさえた立派な家庭医が育ったことを嬉しくも誇りにも思う。

2012年7月23日月曜日

認知症 家庭医の視点

本日は、市内の認知症勉強会で、新人レジデントM君を公園デビュー・・・
じゃなくて講演デビューさせることに成功した。

堂々たる話し口に感心しながら、認知症のケアというものは、疾患としても診断から治療、終末期医療に至るまで非常に奥が深いし、同じ認知症の患者さんであっても個々の病気の体験は異なり、家族・背景も全く異なる。

プライマリ・ケア老年医学の世界では、認知症に限らず、うつ、転倒、尿失禁、移動困難などの、高齢者の生活機能を脅かす代表的な問題を、Geriatric Giants と呼び恐れる。
これらはみな、原因が多岐にわたり、慢性の経過をたどり、自立を困難にさせ、単純な治療法はない。
これが巨人として恐れられる所以である。
まさに家庭医を特徴づける能力を総動員し、医療・福祉資源をフル活用する必要がある領域なのである。

このことを再確認する貴重な機会となった。

今年も奮闘! キッズ医者  ―小学生の医師職場体験プログラム―


いわき発. 福島に元気, 日本に未来を!

というわけで、今年も頑張った・・・ 子供が!

“キッズ医者”奮闘記  ―小学生の医師職場体験プログラム―

今年もかしまキッズ病院を舞台に過酷な研修が展開された。
7月21日、午前の部と午後の部の2回に分けて、延べ34名程のキッズ医者たちが大活躍!
今年は個性豊かなキッズ研修医たちに恵まれててんやわんやながら、事故もなく全員無事研修を修了してもらえて、かしまキッズ病院の4代目院長としては、疲労困憊ながらもかなり嬉しかった。
せっかくなので、改めてキッズ医者について解説しておく。

近年、子供の職業体験がブームである。
キッザニア(メキシコのKZM社)が火付け役になったようだ。

<キッザニア>
子供向けの職場体験型テーマパークとして 1999年にメキシコで誕生.
日本では東京都江東区豊洲(2006年10月開業)兵庫県西宮市甲子園(2009年3月開業)に 2施設が展開し、各施設とも年間約100万人の来場者数を記録。

<キッザニアのコンセプト>
子供たちが本物さながらの設備・ユニフォームで 好きな仕事にチャレンジし, 楽しみながら 社会の仕組みを学ぶことができる。
保護者は子供に手を貸すことを許されず、子供には真剣に職務を果たすことが要求される。
「子供だから○○するのは早すぎる」という既成概念を捨て, 子供扱いせずに厳しく指導する ユニークなコンセプトは「education(教育)」と「entertainment(娯楽)」を合わせた造語 「edu-tertainment (エデュテインメント)」と表現され、各国で社会的に高く評価されている。

現在ブームとなっている子供の医師職場体験を地域包括ケア・地域保健の向上のきっかけとして活用できないか?
そんなリサーチ・クエスチョンを定式化する前に、実際に子供の医師職場体験を提供してみよう。
折角なので, ついでに小学生の夏休み自由研究をサポートして, 地域の皆さんに喜んでもらおう。
そんな想いから3年前の夏休みに発足した企画!

それが・・・
小学生の医師職場体験プログラム “キッズ医者かしま”である。

<“キッズ医者かしま” の目的>
・地域包括ケアの一環
    地域の子供・親に医療に関心を持ってもらう
    役に立つ医学知識を身につけてもらう
・夏休みの自由研究のサポート
・想い出づくり(子供・親)
・かしま病院の広報活動
・医師・医療職へのリクルート

<“キッズ医者かしま”の内容>
・キッズ医者へのトレーニング
    バイタル・サインの測定・聴診体験とその所見の意義の学習
・患者さんを診察する
    模擬患者(病院職員)を用いた医療面接・身体診察体験
・救命処置を学ぼう
    人工呼吸法を省略した一次救命処置(BLS)の講習会
・病院を探検しよう
    画像診断部・リハビリテーション科・検査科・病棟の見学

<「エデュテインメント」としての配慮>
・写真入りネームプレートの作成・配布
・聴診器・小児サイズの白衣の貸与
・模擬患者・実際の医療機器を用いた模擬診察
・夏休み自由研究を兼ねた“キッズカルテ”の作成
・研修修了証書授与

子供だましや遊びではなく、本格的かつ真面目に
子供たちが医師になりきれるように一貫して本物志向

<実施してみて・・・>
・既存の医療資源を活用した効率の良いプロジェクトである。
・多施設での実施・応用が可能である。

パクリ大歓迎!
ていうかこの企画自体がキッザニアのパクリであるが・・・
昨年の日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で活動報告をさせていただいた結果、複数の施設で、同様のプログラムを実施してくださった。
これが一番嬉しい!

・事後アンケート結果では, 参加者・保護者双方から高評をいただいた。
「いつでも何回もやって欲しい、何度でも参加したい」
「医者になりたくなった」
こんな記載をみると、疲れが吹っ飛ぶもの・・・

・地域包括ケア・地域保健の向上や、将来の地域医療を担う人材増加を促すための夢のあるモデルとして本プログラムを発展させていきたい!
・今後も継続的に実施していきたい!

2012年7月19日木曜日

アナログ人間 まさかのオンライン評価と振り返り

当講座の家電芸人の勧めで、地域医療臨床実習中の医学生を対象に、某クラウド型の無料コラボレーションツールを用いた、臨床指導、評価と振り返りを行なっている。

使用開始初日から結構使い勝手が良くて、何よりも、このツールを初めて使うという学生が即座に使いこなしていて「これは使える」という手応えを感じている。

第2回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会のデジタルポスターセッションで
facebookを利用したeポートフォリオによる家庭医療後期研修医の形成的評価
についての発表があったが、時間と場所を選ばず、道具もパソコン・タブレット・スマートフォンなど診療現場などに合わせて使い分けができるので、学習者・評価者ともに学びの過程をリアルタイムに整理しやすいし、時間が空いたときにフィードバックを返すことができる。
とかく総括的評価に傾きがちな教育現場において、このツールは形成的評価、未来志向の教育に親和性が高いと感じた。

セキュリティーの構築には課題はあるけれど、永遠の記録としての役割も果たせて ひじょ~に興味深い。

2012年7月17日火曜日

福島県外から医学生・研修医が訪れてくれるということ

いま、福島で医療に従事しているものにとって、福島県外から医学生・研修医が訪れてくれるということは、何よりも嬉しいことである。

それは、私たちへの最大のエールであり、最高の勇気であり、明日への希望でもある。

福島県外から医学生・研修医が訪れてくれるまでには、福島に住んでいる者には分からない様々な弊害がきっとあるだろう。

本人はもとより、ご家族・ご親族が、最新で最善の根拠を良心的かつ明確に,. 思慮深く利用しなければ、実現しないことだと思う。

残念ながら・・・

いまはそうだ。

だからこそ、敢えて福島を選び訪れてくれる彼らには、いまのありのままの福島を知ってもらえるよう、出来る限りの対応を心掛けている。

「いまの福島から、できる限りのことを学んで欲しい」

切なる思いをもとに・・・

そして、彼らが福島で何かを得てくれたことを実感する度に、私たちは、私たちが、いまここに生きる意味を、一つひとつ積み上げていくことができる。

いま、夏休みを利用して、いわきを訪れてくれている医学生がいる。

来てくれた本人、送り出してくださったご家族に感謝しながら、私たちが、いまここに生きる意味を見つめなおしている。

水泳部の学生さんにとって、未だ瓦礫が積もっているプールは衝撃的だったようだ

2012年7月12日木曜日

南相馬の今と日本の未来

昨日の学生との懇親会の余韻を残しつつ、今日の午後は南相馬出張。
未だにゴーストタウンの様相が強い飯舘村を経由し、南相馬市に入ると、かなり通常の生活が戻っている印象だ。
しかし、子供の復帰率はまだ半分程度とのこと。

沿岸部では瓦礫が片付き更地となった広大な土地がひろがっていた。


まずは腹ごしらえ。
旭川ラーメン「ゆーから」さんで呑みつかれた身体に野菜を補給!


南相馬市立総合病院を訪問し、熱意と行動力のある先生方との面談を通して、様々なプロジェクトを迅速に効率よく進めていかなければならないとお尻に火がついた。

だいぶ回復したとはいえ、未だ入院病床総数が4割減という状態の南相馬市。
当然、在宅医療の充実が求められるところだが、若い世代が抜けたコミュニティーでは、家族の介護力がなく、医療従事者の流出が相次ぎ訪問看護師も絶対的に不足している中では、既存のシステムでの在宅医療の運営は立ち行かなくなっている。

とにかく協力してアイディアを出し合っていきたい。
しかも、大胆かつ斬新な…
もはや普通の発想ではやっていけないところまで来ているのを自覚。
でもみんなで何とかしようじゃないか!

現在の日本の年齢別人口比率の数十年先を走っているこの地での医療を立て直すということは、日本の未来を切り開くことに等しい価値があるから…

地域医療学生実習 「学びの報告」 プレゼン大会!

2012年7月11日、福島市内のビバフレンドさんをおかりして、豪快に酒を酌み交わし、美味しい肴をつまみながら、今年度の地域医療学生実習の「学びの報告」を学生さん一人ひとりからプレゼンしてもらった。

みなさん、実習した地域は異なれど、「患者中心の医療の方法」「家族志向ケア」「地域包括ケア」そして包括的・継続的かつ効率的な医療を提供していくことの大切さを、教員側が驚くほど高いレベルまで追究し学んでくれていて、圧巻だった。

ベストプレゼンターの学生は、教授直々に豪華景品を手渡され 有頂天・・・?

喋りの技術も洗練されていて、この能力はどこで身につけるんだろう?と思った次第だ。

高い感受性で習得してくれた学生さんの経験を共有することで、我々教員も家庭医療の専門性を再認識させてもらった。

謝辞:「ビバフレンド」お店の方も、他のお客さんもとても親切で、心温まる空間でした。

2012年7月9日月曜日

これが喘息発作・・・

急性(仮にそのうち治るのであればだが…)呼吸器感染症を機にここ数日咳嗽がひどくなっている。
昨夜は、呼気終末期に喘鳴と激しい咳嗽により呼吸が苦しかった。

第一選択薬はなかったが、自宅の常備薬で一晩しのいだ。
ここまで薬のお陰で楽になっていくことを実感したことはなかった。
このありがたい感覚を大切にしていこう!

そして今日は優秀な家庭医N君に“までい”に診てもらった。

妻:「昔は辛くてもそんな素振りしなかったのに、馬鹿みたいに大騒ぎして年取ったのかな~?」

私:「・・・いやいや、こんなん初めてですから~!!!」

薬剤の発展に感謝しつつ、苦痛を携えてくる患者さんに、より優しく接するよう努めようと、あらためて心に誓った次第だ・・・

雨の七夕総会

2012年7月7日、あいにくの大雨の中、出身大学福島県支部総会。

昨年は震災の影響で中止となったこの会。

それぞれが2年分の想いを語った。
そのどれもが、想像を絶する苦労の中、必死にもがきながら、医療人としての責務を利害土がえしで果たしてきた内容ばかりで、あらためて母校を誇りに思った次第である。

「生命の尊厳」を基調とする医師としての使命感を自覚し、人類社会に奉仕し得る人間の育成

これまであまり意識したことはなかったけれど、母校の建学の精神が無意識のうちに息づいていることを実感することができた。

それにしても良い仕事してる人って、いい顔してるよね~


ちなみに雨で天の川どころではなかったので、アプリの星座表で、こと座のベガ(織姫)とわし座のアルタイル(牽牛星)を対面させて遊んでみた。

2012年7月2日月曜日

馬子にも衣装


2012年も半分が終わってしまい「後半行ってみよう!」って感じに張り切っていこう!

今日から医療系職員のユニフォームが一新され、老若男女・他職種みんな嬉しはずかしER風にイメチェンとなった。

建物と衣装と着る人間がマッチしてない感があり、今のところ集団コスプレ大会状態だが、そのうち見慣れるであろう。

2012年7月1日日曜日

模擬試験で学ぶ家庭医療



模擬試験で学ぶ家庭医療

というわけで、今日は、2週間後に迫った家庭医療学専門医試験の試験対策として、自前の模擬試験を喜多方市 地域・家庭医療センターで開催しています。

福島県立医大 医学部 地域・家庭医療学講座が総力を挙げて受験者のサポートをしています。

というわけで、自前の模擬患者さんも熱演しくれています。

縫合の試験対策に豚さんも足を提供してくれています。

ちなみに、試験対策抜きにして、滅茶苦茶勉強になっています。

一人でも多くの家庭医療学専門医が誕生し、ますますの活躍・発展をしてくれますように・・・