2012年2月28日火曜日

無口な芸人?家庭医? そして職人としてのコミュニケーション!

今日は院内リレー学習会「あっちゃんのコミュニケーション法」を無事終えることができた。
ありがたいことに立ち見の出る状況ではあったが、これは法人自体が教育に熱心であるため、職員全体に参加を強く促しているのが主な理由であって、病院に前田敦子(あっちゃん)が電撃訪問したわけでもないし、ましてや講師の魅力に引きつけられて参加しているわけでも決してない。

数日前のこと・・・

「今度、コミュニケーションについて職員の皆さんに講義するようだけど、どんな話をするのか聴いてみたいものだわ!いつ何時から何処でやるの? フッ!(鼻で笑っている)」

これは先日 看護師たる妻が発したコワ~イ一言。
普段、自宅でロクに家族に声もかけず、寡黙にゴロゴロ過ごしている役立たずの“トド”を揶揄する発言である。

“プライベートですら まともにコミュニケーションをとれてないあんたが、人様にレクチャーなどおこがましい”という至極ごもっともな指摘であろう。

思えば、医師を目指していた頃「あんたみたいに、無口で ノッソリしていて はっきりしないのが医者だと、助かるもんも助からねぇ~!!!」と両親や姉にもずいぶん心配されたものである。
それも確かにその通りである。

しかし、プライベートではまったく喋らない芸人もいるって言うし…
そもそも、職業上のコミュニケーション技法を、プライベートに活かすことは難しい印象がある。
プロとして他人になら適応できることでも、身内だと照れくさかったり、ぎこちなくなったりするものである。
迂闊にも実際に妻相手にコミュニケーションスキルを試したこともあるが、

「それ、どうせどっかで教わってきたスキルでしょ? キモチワルイんですけど!!!」

という感じに いつも気味悪がられるだけで終わる度に、己の未熟さを痛感するのである。

まして、学校で教わってきたことを、親に一通り報告しないと気が済まない小学生のように、セミナーか何かで教わってきたコミュニケーション技法について「これって凄くない?」と妻に喜び勇んで報告しようものなら…

「その程度のことなら、医者が気付くとっくの昔から既に看護師は実践してますからっ!!!」

と返り討ちにあうのである。

そんなこんなでボコボコにされながら、Health literacyのギャップが、医療の利用者と医療者との間にあるのは当然のことであるが、医師と医師以外の医療従事者との間にも、そのギャップが相当あることを意識することが、よりよいチーム医療を実現する上で重要である。 と、レクチャーの準備・実際のレクチャーを通して実感した。

そして「そのことに気付かせてくれた妻に心から感謝している」

なんて書くと、また「気味が悪い」と必ずダメだしされる運命なわけだが、“トド”みたいな生活を悔い改めつつ、めげずに何度でもアタックし、必ずや愛する妻の心を掴みたいと思う。

ちなみに寂いしいことに、リレー学習会の会場に我が家の鬼教官の姿はなかった。

今回のレクチャーが、参加者の皆さんにとって何らかの参考になったかどうかは分からないけれど、常識知らずの変人が多い(と思う)医者の中にも、まっとうな人間並みのコミュニケーションをとろうと努力をはじめている者がいることだけでも知っていたき、医療を実践する仲間として真の意味で力を合わせていくためのきっかけづくりができたとすれば とても嬉しいことである!

「早く人間になりた~い!!!」

2012年2月26日日曜日

記念すべき第10回 FACE(Fukushima Advanced Course by Experts)②

【2月25日(土)】
記念すべき第10 FACEFukushima Advanced Course by Experts)の1日目 夜の部の始まりなり!

18:3020:30  夕食・温泉    ※夕食  19:00~ 会場:「2階大広間」
自己紹介だけで1時間以上かかる呑み会って・・・
どんだけ濃いの?

20:3021:30  あっちゃんの考える診断学
          福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座 石井 敦
アルコール注入済みの状態でのプレゼンは研究合宿以来2回目か?
しかしFACEでは常識らしい。
そして、このセッション。
講師・参加者ともに ほろ酔い加減で実施した方が丁度いい感じで議論が進むことが分かった。
今後の教育の参考にしたい。
今回は風邪とその鑑別疾患の診断スキルをまとめてみたが、学生さんを中心とした活発かつ絶妙なボケとツッコミに支えられてつつがなく完走する事ができた。
非常にありがたい限りである。

21:3022:30  診断加療―Outcome向上の道しるべ
         ~先入観を持っていないか?前提条件は正しいのか?編~
新松戸中央総合病院             宇藤 薫  先生
診療における思い込みの弊害は、日々痛感している。
このことを丁寧に分析し、対策をまとめあげたバイタリティーに感銘を受けた。
それにしてもいつも豊富な症例を提示してくださる宇藤先生。
一体どれだけ多くの患者さんを診ているのだろうか?

22:3023:30  深夜の英会話特訓~検査編~
            ナショナル・メディカル・クリニック 田村 謙太郎 先生
英会話の講義を通して、英語で突撃する勇気と、日々の業務において一つひとつ丁寧に出来ることをきちんとこなすことの大切さを学んだ。

23:30~    福島感染症勉強会
諸先生方の熱意ある日々の診療の成果を共有し、ひじょ~に刺激を得た。
途中から本気呑み(日本酒同好会?)にギアチェンジとなり、それでも案外早く事が進んで午前3時台には全員寝静まった。
と思う・・・
最後まで粘ってくれた学生さんがその場で睡眠におちるのを見届けると、
自分も思い残すことなく・・・zzz

【2月26日(日)】           ※朝食 7:00~ 会場:「1階 食堂」
覚醒から、ご飯を口にするまでの時間・・・1分以内だったと思う。
午前4時に寝ても案外 朝の食欲はあるようで・・・

8:00 9:00 検査前確率と検査後確率
          福島県立医科大学地域家庭医療学講座   川井 巧 先生
検査前確率と検査そのものの感度・特異度、そして検査の役割を意識した診療をしていきたい。
酔い覚ましへの配慮満載のプレゼンに感謝!
9:0012:00 R-CPCで検査値を読む
         -自宅で倒れていた80代男性-
          信州大学医学部病態解析診断学教授   本田 孝行 先生
同じ検査でも、読み手の技量によって診断への寄与の度合いが格段に異なることを再認識!
ちなみに本田先生と自分との共通点は両親が田村高校卒・・・びっくり!!!

13:0015:00 目で見る赤ちゃんの身体診察 
継醫院院長                      継 仁 先生
画像と音声を駆使した素敵なプレゼン!
赤ちゃんの診察のコツを分かりやすく解説していただいた。
英語の頭文字で語呂合わせしても、英単語自体知らないと意味が出てこないので役に立たない・・・
あるある (゜゜)(。。)(゜゜)(。。)
また、発熱に対する誤解・過剰な不安「発熱恐怖症」という概念を学んだ。不要不急の救急外来受診に対して決して責めることなく、放射線リスクなどと同様に正しく適度に怖がることができるようにアドバイスを続けていくことの大切さを実感した。

15:05      クロージング
          福島県立医科大学地域・家庭医療学講座   川井 巧先生
参加者の皆さんの興奮を噛みしめつつ・・・
思えば前回は2日目に別件(2回 家庭医療レジデント・フォーラムin東北)があり1日目のみの参加だったので、個人的にも晴れてFACE初完走達成となった!

第9回・今回とFACEにかかわらせていただいてきたこれまでの印象は、参加者・講師陣ともに活き活きしているということ。
FACEでは講師陣が個々のキャラ全開で勝手に楽しんでいるし、そのことで参加者が伸び伸びと参加できる雰囲気を創出している。
参加者は、講師陣(御高名な先生からオイラみたいにペーペーまでいるが)を遠慮なくいじってくれるので自ずと乗ってくるし、そのことで良好な学びの環境が生まれるのだろう。
各種勉強会が各地で企画される中、地方開催で しかも泊まりがけにもかかわらず、多忙のなか万障繰り合わせて参加してくれるリピーターが多い秘密が少~しだけ分かった気がする。
みんな「学んだ~っ!!!」って感じのメッチャいい顔してますもん。

2012年2月25日土曜日

記念すべき第10回 FACE(Fukushima Advanced Course by Experts)①

記念すべき第10 FACEFukushima Advanced Course by Experts

磐梯熱海の緑風宛で2度目のFACE参戦。

しか~し・・・

いわきでは珍しく行く手を阻む雪。
磐越自動車道が郡山よりも東側(普段はほとんど雪が降らない)の小野IC~郡山東ICが、雪のため通行止め!!!
小野IC手前で出口渋滞・・・
きっと、郡山東ICの乗り口も混んでるであろう。
とのことで、乗ったばかりの高速を、いわき三和ICで一般道に降り、あぶくま高原道路の平田IC~玉川ICへ迂回し、東北道の須賀川IC経由でようやく磐梯熱海入り。

いわきの山々の雪化粧はいかにも借りてきた衣装って感じだったが、さすが磐梯熱海の木々達は雪を着こなしている感じだ。

そんなこんなで、またしても珍道中ののち、今回で記念すべき第10回を数えるFACEが始まった。

【2月25日(土)】
13:0013:30 石田′sスペシャルズアイスブレイク
太田西ノ内病院 救命救急センター   石田 時也 先生
医師に必要なものとは?
真面目に答えることもできるし、ボケることもできる質問を通じて
“ブレイク”の本当の意味を教えていただいた・・・気がする。
13:3015:00 総合診療科ってどんなとこ?
        ~FACEがつなげてくれた私と福島、一年の記録~
太田西ノ内病院 総合診療科         石原 佳奈 先生
なぜ石原先生は、ひじょ~に稀な病態にぶち当たるのか?
それとも、患者さんが石原先生の救世主的オーラに引き寄せられてくるのか?
諦めない情熱と、それを支える気力・体力が医師には必要だな~
でも勿論、頑張り過ぎないことも、支える仲間も不可欠である。

15:0018:30  R-CPCで検査値を読む
         -嘔吐と発熱で入院した80代の女性-
信州大学医学部病態解析診断学教授 本田 孝行 先生
 R-CPCとはReversed Clinicopathological Conferenceの略で、検査データの評価を起点とした病態分析であり、検査値をよりよく理解するためのトレーニングでもある。
 普段は主に症候を起点とした診断をなりわいとしている自分にとって、診断過程を敢えてReverseすることは新しい視点を見出すことになり大変勉強になる。
 
 「検査の目的を明らかにして、検査プランを立てよう!」
 「診断や治療方針の決定に寄与しない検査は控えよう!」

  日頃、私はこのようなことを臨床の現場で心がけているし、この考え方を臨床推論の教育にも取り入れている。
   しかし、検査値・検査結果そのものの意義を正しく理解しなければ、有効な検査プランを立てることはでき得ない。
   本講義では全身状態のおおよその把握、各臓器の病態の把握を目的としたルーチン検査の意義について学ぶことができた。

 検査値を正しく読みとるプロセスは下記である。

1.一つひとつの検査値が異常値をとるメカニズムとその病態を十二分に理解する。
   (理解できない限り検査値は読めない)

 2.一つの検査値が異常値となる病態を他の検査値から検討する。

 3.複数の検査値から、どのような病態が生じているのかを推察する。

 これらにはいずれも近道はなく、常日頃から丁寧な考察・検討を繰り返すことで、検査値を読みとる能力が磨かれる。

詳しくは、こちら↓
ワンランク上の 検査値の読み方考え方 ―ルーチン検査から病態変化を見抜く―



何をしているかというと・・・ ビデオレビュー

何をしているかというと・・・
これは、ビデオレビューの様子。

医師の外来診療の教育は、案外自己流に傾きがち!
なぜなら、そもそも外来診療自体が伝統的に(悪い意味で)ぶっつけ本番で修得するものという風潮があったからだ。
「コンピュータばかり見ていて」とか「話を聞いてくれない」とか「横柄な態度」とか「専門用語ばかりで話が理解できない」とか、逆に「医者が小声で暗くて・・・」とか“コミュニケーション能力に難あり”と指摘される医師が存在することはよく耳にするが、そもそも元来、医師に対するコミュニケーション能力向上ための教育の機会は皆無に近かったので、これはある程度無理からぬことなのかもしれない。

それにしても、医療コミュニケーションや診断における窓口にあたる外来診療のノウハウの教育がオザナリとは、利用者である患者さんやご家族にとってなんとも不幸なことである。
現在は、医学部の卒前教育の段階から、医療面接の方法や基本的診察技術が重要視されつつあるが、実際の医療の現場では、外来診療の教育はなかなか容易ではない。
理想を言えば、マンツーマンで先輩の技を盗むのが、短時間で適切なマネジメントを要求されるアートの担い手。つまり外来職人を育てるのには良いのかもしれないが、地域医療を担う医師が不足している現状では、贅沢に指導医を配置できる施設は限られる。
これらを補うために、診察の合間に指導医と短時間相談できる体制を敷いたり、外来診療で得られた貴重な経験を外来カンファランスで同僚と共有したりして、より効率よく学べるように工夫している。
そういった教育ツールのひとつとして地域・家庭医療学講座が取り入れているものにビデオレビューがある。
方法はいたってシンプルで、患者さんに同意を得た上で、診察の様子をビデオ撮影する。
あとは、医師はいつも通りに診察し、患者さんはいつも通りに診察を受けるだけ・・・
そうは言っても実際は、医師はいつもより素敵にやろうと努力する(かっこつける)し、患者さんも少し緊張する。
そうして撮影したものを、あとでみんなで鑑賞し、あれこれ教育的に議論するわけである。
他の教育方法にないビデオレビューの良い点は、担当医師本人が自分の診療を見ることができること、普段見ることのできない同僚の診療風景を見ることがてきること、そして参加者が感想を言葉として表現することで自分一人では気付かない他者の考えを共有することができること。
「へえ~・・・こんな風にしてるんだ~」
と本人も同僚も興味深く見ることが多い。
撮影時にどうしてもかっこつけてしまうこと自体にも意味がある。
理想の診療に近付けようと努力(背伸び)することは、成長に欠かせないからだ。
たとえその時はうまく行かなくとも、背伸び(努力)し続ければいつか必ず本当に伸びるからだ。
理想の家庭医を目指し、修行の日々である。

2012年2月24日金曜日

効率的なケア 高血圧編 ~家庭医療セミナーinいわき「実践家庭医塾」~


毎月恒例の家庭医療セミナーinいわき「実践家庭医塾」
家庭医としての高血圧への関わり方とは?
どんな時でも患者さんの疾患と病気の体験の両方を確認する(背景を探る)ことの大切さを学んだ。
iPadの便利ツールを用いたリスク評価と、その数字を家庭医として患者さんにどのように伝えるのか?
201111月に改定された英国のNICENational Institute for Health and Clinical Excellence)の診療ガイドラインを参考に、高血圧診療におけるエビデンスと、その適応の方法について議論した。
それにしても海外の診療ガイドラインは実地診療に必要な最新の情報が実にシンプルにサマライズされている。
日本でも同様の環境を実現するためには、プライマリ・ケア領域での臨床研究体制を確立させる必要があるし、今後、家庭医療領域の研究・教育・診療に携わっていく僕らや、日本プライマリ・ケア連合学会の役割の重要性を再認識した。

懐かしい?見たことない?「カロム」@仮設住宅


仮設住宅の集会所を訪問すると、支援物資として届いた懐かしいグッツに出会える。

お手玉、けん玉、操り人形・・・

その中に見慣れないものを発見!

カロム」というボードゲーム。

滋賀県彦根市では一家に一台のマストアイテムとのことだが、見たことが無い。
ビリヤードとおはじきの要素を含んだ実にエキサイティングなゲームである。

誰も正式なルールが分からないながら、白熱した勝負を繰り広げていた。

あっちゃんのコミュニケーション法

家庭医療学専門医コースの研修協力医療機関としてお世話になっている養生会かしま病院の職員を対象としたリレー学習会の講師を拝命し準備中。
といっても、来週火曜日開催という急遽ぶりで
「無茶振りじゃね?」
と思いつつも、引き出しの多い大きな人間になりたいので頑張ろう。
当日は医療コミュニケーションについて、ロールプレイなどを通して学んでいただこうと思う。

医療サービスも“もてなし”と言えばそうなのだが、レストランや宿泊施設、エンターテインメント施設といった楽しむことを前提とした通常のサービスとは真逆の境遇である。
医療の現場で良好なコミュニケーションを築き、質の高い医療を提供していくためには、単なるお客様として患者様と接していくことは適切とは限らない。
患者中心の医療の方法③で述べたように、同じ疾患の患者さんであっても、個々に異なる苦しみ(病気)の体験をしている。
疾患に対する患者さんの解釈、期待、感情、影響は患者さんごとにみな異なることを配慮・意識し、医療のプロとしての積極的な傾聴(アクティブリスニング)を実践していくことこそ、医療のプロならではの医療の現場にマッチしたコミュニケーションの実現につながると思う。
痛みや苦しみ、苛立ちを前提とした医療の現場の中で、生きること、死にゆくこと、生まれること、愛、勇気、底力、優しさ、気遣い、感謝、涙、温もり・・・
そういったものたちの美しさを少しでも分かち合えたらいい。

2012年2月19日日曜日

郷ヶ丘幼稚園の保育発表会

今日は子供がお世話になっている郷ヶ丘幼稚園の保育発表会。
たかが幼稚園の保育発表会と なめてかかってはいけない。
郷ヶ丘幼稚園では、今時の子供、いや、大人にも欠けている「たくましく生きること」を教えてくれる。
例年であれば、1日中 野山を駆け回り、泥まみれになって 自然の中で遊び尽くす。
そうして心と体の基礎をつくっていく…
これは本来、あたり前のことではあるけれど、このことを本気で考えている幼稚園・保育園はとても貴重であり、そんな保育を実践している幼稚園がいわきにあることを誇りに思う。
今年度は郷ヶ丘幼稚園にとっても葛藤の1年となった。
子供たちに存分に外遊びさせたい。
でも放射能汚染のために出来ない…
それでも毎日室内でリズム体操を行い、可能な限りの保育を実践してくださった成果を観ることができた。
ブリッジ、コマ回し、走り縄跳び、御神楽踊りなどなど、ただの幼稚園児の仕業ではない!
ちなみに、郷ヶ丘幼稚園の保育発表会は、保護者らもただ指をくわえて観ていればよいのではない。
親も子供に負けじと参加して本気をみせる。
保護者にとっても体育会系なイベントなのである。
もちろん郷ヶ丘幼稚園ではただ体づくりばかりをしているだけではなく、発達心理学をもとに、お絵かきなどを通して年齢ごとに子供の発達を促進する保育が行われている。結果として勉強は教えない。けれど、そうして基礎つくりができた子供たちは学校にあがった後、砂漠に水が浸み込むように猛烈な集中力で勉強を吸収していく…
また、郷ヶ丘幼稚園では食育にも力を入れていて(このことが今年度この地で保育を続ける上で更なる苦悩を生んだのであろうが…)食材選びからトコトンこだわった採算どがえしの給食を提供してくださる。
園児の将来を本気で考えた保育を実践し、園児を全力で守ってくれる幼稚園。
超おススメである。

2012年2月5日日曜日

第69回Family Medicine Resident Forum(FaMReF) in 相馬

2012年2月4日。
1年ぶりに訪れる相馬。

昨年までは、このフレーズに特別な意味はなかった。
年に1度、2月恒例の相馬でのFamily Medicine Resident Forum(FaMReF)に参加するために相馬を訪れることは当たり前のことだった。

しかし・・・

いわきの人間が相馬に足を運ぶことが極端に不自然な経路を辿らなければならなくなっている現状。

同じ浜通り。
いわきとほぼ同じ気候の相馬。
国道6号で南北一直線に繋がっていたのに・・・
今まで通りいわきから相馬までまっすぐ国道6号を北上しようとしていたつわものな講座員(T氏)もいたが・・・(笑)

寒くなれば寒くなるほど太平洋側は良く晴れる。

冬場、一般の東北地方のイメージからかけ離れた特長(雪がほとんど降らない)を持ついわきと相馬。

こんなに近い(それは嘘か…)のにこんなに遠い・・・
原発事故で分断された福島県浜通り。

中通り経由(2度の山越え)で大きく迂回して訪れざるを得ない現状。
快晴のいわきを出発したが、中通りは行きも帰りも雪だった。
そしてそれを抜けて到着した相馬はやはり晴れていた。


そしてつつがなく始まったFaMReF in 相馬


1.Reflection of the month(後期研修1年目の北村俊晴先生)
「マイコプラズマ肺炎」
水疱性鼓膜炎(中耳炎合併による)や髄膜炎などの多彩な肺外症状をきたすマイコプラズマ感染症。
マクロライド耐性のマイコプラズマ肺炎の増加にともなう問題点や、耐性菌への配慮にとどまらない地域全体における感染症管理の視点など、家庭医に必要な発想が盛り込まれた示唆に富むプレゼンだった。


2.研究チーム報告
高澤奈緒美助手が時間をかけて取り組んでいきた女子高校生の過度なダイエットへの介入の足跡を確認し、更なる疑問が生まれたりと今後の発展性を感じさせる報告だった。


3.あっちゃんの考える診断学
診断に苦慮したときに試みることがある有名な網羅的鑑別診断列挙ツール「VINDICATE-P
この適応例を通して漏れのない診断について学んだ。

VINDICATE-P
Vascular (血管系)Infection (感染症)
Neoplasm (良性・悪性新生物)
Degenerative
(変性疾患)

Intoxication(薬物・毒物中毒)Iatrogenic(医原性)Idiopathic(特発性)
Congenital (先天性)
Auto-immune (自己免疫・膠原病)
Trauma (外傷)
Endocrinopathy (内分泌系)
Psychogenic (精神・心因性)


4.南相馬の現状報告
本日のメインプログラムの特別講師としてお招きした原澤慶太郎先生。
南相馬市立総合病院を拠点とした医療支援のご経験を紹介していただきました。
内部被曝を低減するための食物管理の重要性。
高血圧、予防接種、メンタルヘルスに対する取り組み。
包括的ケアにおける顔の見える関係づくりの重要性。
5000名程が仮設住宅で生活している地域での、圧倒的に精力的で多彩な活動に敬意を表しつつ、私たちが今いわきで為すべき行動へのヒントをいただいた。
5.Cinemeducation 葛西龍樹教授
「黄昏」(1981年)
老いと死生観に関し、毒舌夫婦のユーモアあふれる絶妙なやりとりを通して考える機会を得た。
恒例の懇親会。
恒例の地物のカニは無いけれど、メンバーのパワーはとどまるところを知らず、全員で行った「ゆる体操」の光景は壮観だった!