2012年4月28日土曜日

医大生の時に知っておきたかったこと

今、福島県立医科大学のプライマリ・ケアを学ぼう会主催のワークショップ「医大生の時に知っておきたかったこと」に参加している。

絶好の花見日和にもかかわらず、屋内の学びの場に集った熱心な30名弱の学生さんと、その熱意に動かされ、ファシリテーターを買って出た医師11名が にぎやかに楽しくディスカッションしている。

1.話を「聴く」コツ教えます
2.家庭医ってなんですか?
3.将来像の悩みを一緒に考えよう

当講座の菅家先生が、芸人の域に達しつつあるベシャリを駆使して活気あるセッションを展開している。

学生の時にいだいていた不安や悩みを懐かしく思い出しながら、瑞々しい感動を覚えている。

新入職レジデント歓迎会

昨日、今年度新入職したレジデントの研修を受け入れてくださっている協力医療機関で、歓迎会を催してくださった。

熱く揺るがない使命と志をもつ若者と、彼を受け入れて暖かく見守りサポートしてくださる方々…

恵まれた環境の中、これから地域医療を担う家庭医として大きく羽ばたいて欲しいものだ!
余談だが、“パレスいわや”さん、わさび盛り良すぎッ!

地域医療実習に来てくれた医学生から学ぶこと

今週からいわきにも医学生が地域医療実習に来てくれているのだが、昨日はそのうちの一人の実習最終日であった。
彼は都心の大学の所属だが、敢えて福島県に一ヶ月住み込んで県内各地の医療の現場にドップリと浸かってくれた。

東京と福島との違い
大学病院と地域の診療所との違い
只見といわきとの違い…

まとめのプレゼンを通して、中にいると気付かないことを、外から来た彼は明快に示してくれた。

学生さんの視点に触れることは、私にとって 地域における自身の役割を再認識する良い機会となる。

もちろん、頑張って学んだ後は やっぱりご褒美(打ち上げ)が必要だよね~

2012年4月22日日曜日

イベント告知! 2nd. Family Medicine Resident Forum in Tokyo





当講座では、家庭医療を深く楽しく学ぶために、月例で家庭医療レジデント・フォーラム(Family Medicine Resident ForumFaMReF)を開催しています。
通常のFaMReFは福島県内各地で開催していますが、卒前臨床実習・初期臨床研修では触れることが少ない家庭医療について、ぜひ多くの医学生・研修医の皆さんに深く掘り下げて学んでもらいたいと考え、今回、特別にFaMReFの東京開催を企画しました。
皆さんのご参加を心よりお待ちしています。どうぞよろしくお願いします。

日時:2012512日(土) 14001800
場所:学術総合センター  6階 第2講義室
         (東京都千代田区一ツ橋212)

プログラム   
・症例模擬カンファランス
症例模擬カンファランス・レクチャー・ワークなどを通し、家庭医がその特徴的能力を駆使し 実際の症例に“患者中心の医療の方法”を巧みに適用していく過程を学びます。
私達と一緒に家庭医療の真髄に迫り、家庭医の“ほんとの醍醐味”を体験しましょう!
Cinemeducation
映画を用いた家庭医療の教育セッションです

対象者:医学生、研修医他 家庭医療に興味のある方ならどなたでも大歓迎
参加費:無料 (懇親夕食会参加費は別途)   

フォーラム終了後に 懇親夕食会があります!
当日参加も可能ですが、なるべく5月9()までに
主催者(下記)まで 事前にお申し込みください

主催:福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座
TEL/FAX024-547-1516 内線2931 
E-mail
comfam@fmu.ac.jp (担当:國分・玉木)

71th Family Medicine Resident Forum in Fukushima Medical Univ.


2012年4月21日、月例のFaMReF!
地域・家庭医療に興味を持ち遠方から参加してくれた学生さん、地域医療臨床実習を終えて家庭医療について更に深めて学びたいという学生さん、臨床研修を開始したばかりの初期研修医の先生…
今回は、良い感じに外部参加いただき、モチュベーションもウナギ登り。
もっともっと多くの方々に私たちの活動を知ってい欲しい!

Reflection of the Month
「肩こり」
後期研修医2年目 鷲阪公昭 先生
症候としての肩こりについて、発症メカニズム毎にみられる身体所見を中心にまとめた内容のプレゼンテーションが行われた。

②あっちゃんの考える診断学
助教 石井敦
意味のある限定句(Semantic QualifierSQ)の適用症例を通して、頭痛の鑑別診断における示唆を共有した。

③プロジェクト紹介
今年度の講座の活動を円滑に進めるために、各プロジェクト責任者から活動報告、活動予定などが発表された。

Cinemeducation「ソーシャルネットワーク」
主任教授 葛西龍樹 先生
SNSは絆を売りにしつつ、それを開発する者たちや、利用する側も絆でつながっている。
しかし、コミュニケーションを提供する場でありながら、最も大切な人とのコミュニケーションを危うくする可能性もあり、複雑な問題をはらんでいる。
医療においてもこういったツールの影響の波は押し寄せてくるだろう。
つながっているけど孤独!
今一度、原点に帰って、人と人との真のつながりを考え直したい。

さて、学んだ後は恒例の旨いもの。

今回は中華を食べながら新人レジデントの歓迎会を行った。
同じ夢を共有する仲間の中で学べる喜びを熱く語ってくれる主賓をよそに、
勝手に盛り上がる見た目国籍不明の2人…(苦笑)

2012年4月20日金曜日

医学生地域医療実習の振り返り ~TV会議システムを用いて~

ホームステイ型医学教育研修プログラムを提供している福島県立医科大学。
広大な福島県内各地で医学生が実習するので、それぞれの学習内容も様々!
只見、喜多方、三春、保原、いわき…
折角の多彩な経験をみんなで共有するために、TV会議システムを活用して各地での学習の成果を語ってもらいっています。
空間的にも時間的にも遠い各地がひとつにつながる不思議な時空。
地域の風土
大家さんの温もり
家族や地域の資源を考慮した医療と介護の連携の重要性
日常病の診断スキル
医療チームの一員として参加できた喜び
地域の伝染性疾患の流行状況を考慮した診療
検査の意義を考慮した診療
患者さんのペースや性格に合わせた診療の重要性
生活習慣病の管理におけるファーストコンタクトの重要性
心のケアにおける家庭医の役割
地域の家庭医として生きていくことの醍醐味…

2週間という限られた期間ながら、非常に多くのことを学んでくれたようである。
来週からはいわきにも学生さんが実習に来てくれるので、とても楽しみである。

2012年4月14日土曜日

真実の中で生き抜くこと

2012年1月15日 国宝 白水阿弥陀堂

私たちはこの1年間、
喜怒哀楽はもとより、
悔しさ、歯がゆさ、恐れ、諦め、驚き…
あらゆる種類の感情に支配されつつも、
結局はどうしたらよいのか分からない毎日を送ってきた。

しかし、いつまでも途方に暮れ続けているわけにはいかない。
私たちの経験をこのまま忘却の彼方に葬るわけにもいかない。

震災の記憶が薄れゆく前に、震災を経験した私たちがこれからの新しい時代を切り拓いていくために必要なものは何か?

無い知恵を絞り考えてみた。

2011.3.11

あの瞬間から、あたり前の毎日が消えた…

と同時に、私たちはそのあたり前の日々が、どれだけ贅沢で有り難いことであったかを思い知った。
しかし、そのことを知らずに平平凡凡と過ごしていたそれまでの日々が本当に幸福であったのか?
人として正しい道を歩んでいたと言えるのか?
この一年間、私は自問自答してきた。
その問いに対する現時点での自分なりの答えは、やはりNOと言わざるを得ない。
私は、一方的に伝えられる原子力発電の安全神話を根拠なく鵜呑みにしてきたことを深く反省した。
次世代を担う子供たちに負の遺産を残してしまうことは、どれだけ悔やんでも悔やみきれない。
また、これまで電力の利用者として原発の恩恵を受け続けてきた以上、今回の事故の責任の一端は自分にもあり、それまでの生活は過ちの上に築かれた偽りの幸福であったと感じている。
いま、私たちは震災前よりもずっと制限された生活をしている。
外部の方から「お気の毒に」と気遣われることもしばしばである。
しかし、現在の私たちは、偽りの覆面を剥ぎ取った真実の中に身を置いている。

真実の中で生き抜くことを運命づけられているのかもしれない。

私は元来涙脆いが、震災を機に更に涙脆くなった代わりに、前よりもよほど肝が据わり、忍耐強くなれた気がする。
元々警戒心の強い妻は、更に警戒心を高めたばかりではなく、深い愛情と冷静さをたずさえてくれた。
そして、とても怖がりな三人の子供たちも、家族や他人を気遣い、日々を大切に生き、自分に出来ることを自ら考え、優しさを示してくれる。
周りに目を向けると、他人のために献身的に活動している人が非常に多いことに驚かされる。
これら一つひとつの事象から人間本来の強い生命力と絆を感じることが出来るのだ。
誤解を恐れずに述べるならば、
今のいわきに生きることは、私に不思議な心地良ささえ与えてくれる。
厳しい現実に直面した私たちは今、善くも悪くもこの真の現実に正面から立ち向かい、
真の幸福を掴み取る権利を与えられているのかもしれない。

このままいわきに住み続けてもいいのか?
そんな葛藤の末、いわきで生き抜くことを決断した私たちだからこそ切り拓くことができる未来が必ずあるはずだ。
真実の世界に身を投じることで獲得した数多くの知恵を共有し、
子供も大人も力を合わせ、
震災前よりも遥かに幸福を実感できる社会を創り上げていきたいと切に願っている。

私がこのような覚悟を固めるまでの過程は決して平坦なものではなかった。
むしろ私にとってこの1年間は、
1人の父親としても、
医師という職業人としても、
不確実性に耐える紆余曲折の日々だった。

「このままいわきに住み続けても大丈夫ですか?」

と仕事柄多くの方からご相談を受けたが、
私の解答はいつも

「多分大丈夫」

という、至極曖昧で無責任なものだった。

これは私がヤブ医者だからという理由以外に、
低線量放射線被曝による健康被害に関して信頼に値する質の高い先行研究が存在しなかったことが挙げられる。
その結果、各専門家間でも意見が分かれ、広く社会に混乱を招いた。
この問題に関しては、科学としての医学知識が殆ど無力だった。
その結果、被曝許容量にしても、除染目標にしても、未だ明確な基準が設けられず、
実際にいかに行動するかは、結局は個々の判断に委ねられる状況が続いている。

震災を経験した私たちがこれからの新しい時代を切り拓いていくために必要なもの

それは…

真実の中で生き抜くこと。

それは時に悲しみや怒りをもたらすだろう。
けれどそれ自体、支えてくださった方々のご恩や、様々な事情からいわきで暮らし続けることを断念せざるを得なかった人たちの無念に報い、
震災を経験した私たちが本当に幸せな世界を切り拓いていく強さを身につけるために必要なものであると信じている。

2012年4月7日土曜日

新入職者オリエンテーション


本日は、かしま病院の新入職者オリエンテーション最終日!
新人さん達がロールプレイを交えながら接遇について果敢に学んでくれた。

研修の仕上げに、家庭医療について学んでもらう時間をいただきレクチャーを担当した。
家庭医療・家庭医という言葉を初めて聞くという新人さんがほとんどであったが、レクチャー後のグループディスカッションでは、すべてのチームで「家庭医をもっともっと育てるべし!」という結論を出してくれて嬉しかった。

多職種間のチームプレイが素晴らしいかしま病院で、地域の医療チームの一員として活躍していただけるのを楽しみにしている。
それにしても、かしま病院の講師陣は芸が細かくて感心する。