2015年5月31日日曜日

嫉妬するほど楽しそう ~家庭医療に学ぶ3つのカタ~

今回はいわきでお留守番のわたくしですが、今週末は福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座の主催で「臨床能力を深める! 家庭医療に学ぶ3つのカタ」なる、主に臨床研修医向けの泊りがけ教育セッションが開催されています。
同じく恒例のFACEとかぶってしまったのも残念ですが、Facebook等で紹介されているセミナーの様子があまりにも楽しそうです。独り嫉妬しているところですが、折角なのでこのブログでも内容を紹介してみます。
初日の会場は、郡山市街の「ほし横塚クリニック」
本セミナーの企画者、豊田喜弘君(専攻医2年目)の司会。アイスブレイクのお題は 「草食系⇔肉食系 情熱的⇔理性的 のマトリックス」を利用していたようですが、自分がどこに当てはまるか分かりません。時に草食、時に肉食、時に情熱的であり理性的でもあるので分類不能、、、やっぱり変人(変態?)なのでしょう。
葛西教授の基調講演
神田祭の話、FRCGP(英国家庭医学会最高名誉正会員・専門医)の話から今回のテーマである「カタ」へ。時代の変化で変わることと変わらないこと。医師としての行動の根本に据えるものとして、変わらない「カタ」をこの勉強会から学んでほしい、というメッセージが贈られたそうです。
 
髙栁先生による1つ目のカタは「身体所見の診カタ」
病歴でおおよその診断をつけた上で身体所見を有効に活用していくことが大切で、日ごろなんとなく儀式的とっている身体所見にも、案外使える・使えないがあること。その一方で認知バイアスを避けるきっかけに身体診察が役立ったりすること。症状のあるところを見て触って診察して、という基本に忠実な診療が大切であること、というメッセージが伝えられたようです。
初日終了後は、三春町にある三春の里田園生活館に移動し、懇親会・バーベキュー。
ビールがメチャメチャ旨そうで、MAX嫉妬します。
鉄人(教授)自ら焼いていただけるのはいつもの光景(笑)


 二次会ではゆる体操を交えて楽しく、更に交流を深めた様子っですね。

心地よい風の吹く三春町さくら湖近くにある会場(自然観察ステーション)での2日目。

菅家先生による2つ目のカタは「患者の訴えの聴きカタ」
患者さんのまとまらない話を「不定愁訴」というラベリングをせずにどう対応するか。患者さんの話を「聴く」ために何ができるのかを学んだようです。

望月先生による3つ目のカタは「悪い知らせの伝えカタ」

SPIKESSHEREモデルを踏まえた基本知識を紹介し、ロールプレイでポイントを踏まえた病状説明に挑戦したようですが、マニアック(上級かつ応用編かつ独創的)な内容が得意な望月氏が本当に初級編をレクチャーしたのか?半分は信じていません(笑)


2015年5月28日木曜日

二次医療圏から見た風景とは? ~家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾~



今年も、東京慈恵会医科大学病院の臨床研修医が、月替わりでいわきに学びに来ています。
今月の彼は武闘派アスリート!
暇を見つけては、車に頼らず自分の脚でいわきの街並みを走りまくり、この地の風土を肌で感じでくれた。
そんな彼が、地方都市の二次医療圏から見た風景は、いささか衝撃的だったようだ。
大学病院など高度先進医療を担う特定機能病院(三次医療圏)では、「○○科の○○先生に○○病の患者さんを診て欲しい」という、いかにもピンポイントな紹介状を持参して受診する患者さんが比較的多い。当然、紹介を受けた医師がなすべき仕事・役割が非常~に分かりやすい。
ところが、当院のような中規模医療機関(二次医療圏)では、むしろ「何科の先生に診てもらえばいいか分からない」という理由で受診する患者さんが かなり多くみられる。

「おやっ?」

「何科の先生に診てもらえばいいか分からない」という患者さんの相談にのる。
それって、診療所(一次医療圏)の役割では?

「何科の先生に診てもらえばいいか分からない」と言って、かかりつけ医がいるのにもかかわらず紹介状を持たずに来院する患者さんがあまりにも多いので、その何人かに聴いてみる。
「かかりつけの先生には相談しましたか?」

A:「相談して薬をもらったけれど良くならないので…」
B:「相談したけれどスルーされたので…」
C:「相談したけれど専門外だから他に行くように言われたから…」
D:「怖くて相談できない…」
E:「相談したら叱られた…」

「一体なにが起きているのか?」

研修初日から衝撃を受けた彼が地域で学び行き着いた結論とは…

「地域医療とは、単に地域で医療を行うことではなく、地域に必要な医療を提供すること」
「地域に必要とされる医療と、実際に地域で提供されている医療とのミスマッチを是正しなければならないし、医師はその能力を身に付ける努力をするべきだ」
彼の力強い訴えに深く共感した。

2015年5月25日月曜日

感動のエンディングから明日への誓い ~家庭医道場 2015 in ごっくん馬路村③~

最終日…
夜遅く(朝早く?)まで頑張ったので、かな~り寝不足だが、探究心の炎は絶やすものか!
今日も気合で乗り切ろう。
前日、馬路村の人々やその生活について五感で体験したことをもとに、その中で必要な医療・福祉について考えてみようというのが最終日の課題。
社会福祉士、保健師、看護師、医師、各専門職の立場から普段の仕事、村での生活、想いなどを語ってもらった後に、学生との活発な質疑応答で、更に理解を深めていく。
最後の仕上げに、各自MYSELFを見つめ、決意表明してワークは修了!
今回の高知訪問全体を通して感じたことは、出会ったすべての人々が、職種や立場を問わず他人や地域の必要に対する深い敬意と愛情を持って真摯に生きているということ。
馬路村民900名余りが、一致団結してそれぞれが歯車になり、幾多の危機を乗り越え、これからの困難をも新しい発想力で切り拓こうとしている。医療・福祉に携わるスタッフもその一員として地域とともに生きている。
勿論、限界集落という逆にまとまりやすいコミュニティーの規模だからできることなのかもしれない。
しかし、やりにくいからやらないというわけにはいかない。
いわき市で起きている問題を、もういちど見つめなおし、地域に必要なことを見極め、地域のためになすべきことを続けつつ、少しずつでもできることを増やしていく。
コミュニティーが大きい分、一度回り始めれば、そのパワーは計り知れない。
「オールいわきをあきらめない」
これが私の決意表明である。



そして、阿波谷教授をはじめ、医学教育に携わる皆さんの根底からジワジワ滲み出てくる情熱と無償の愛に強く感銘を受けた。
今回、高知の皆さんと時間と空間を共有させていただいたことに心から感謝し、いわきへの帰路に着いた。

深く険しい山道の中、突如あらわれるヘリポート。
救急搬送のための最後の砦。




村の基盤となっている柚子加工工場
最高の天気
土佐湾がやさしく見送ってくれた

高知市から馬しか通れない路へ ~家庭医道場 2015 in ごっくん馬路村②~

さあ、今日から2日間。
馬路村を堪能するぞ~!
というわけで、昨夜夜更かしした割には興奮気味のため、きっかり朝5時30分に起床。
高知市を後にする前に、高知城までジョギング。
石段を一気に駆け上ると、眠気も吹っ飛んで準備万端。


高知大学医学部に到着し、実行委員の皆さんのミーティング。
丁寧に準備をされてきただけあって、皆さん気合が入っていて、しかもとても楽しそう。


一気にバスに乗り込んで、定刻に発車!
家庭医道場の旅が定刻通りに出発できたのはとても珍しいそうで、曇りがちの空の行方が更に心配に…(笑)


不安とは裏腹になんとか天気がもちそうで、壮大な土佐湾を拝みながら、ここからはしばし海とお別れし、一路内陸の馬路村へ!
馬路の由来は、馬でしか通れないような悪路でしかアクセスできない秘境だったからだそうだ。



今回は、交互通行が必要な細い道ながら、馬の道ではなく舗装された道を素晴らしいドライビングテクニックのバスで、順調な旅。
とは言え、よく鹿と激突する危険な道とのこと。



 さあ、馬路村へ到着。
まずは、馬路診療所で、村で唯一の医師、中川大輔先生とご対面。
施設の概要を説明していただいた。
900人余りの村民の医療ニーズに日々真摯に向き合いながら日々研鑽を積まれている様子がよく理解できた。


新築したての杉の香りに癒される診療所の中や、村のいたるところに、こんなホンワカするメッセージが散在していて、心を温めてくれる。




空と山と川と田んぼと柚子畑と小さな集落しかない長閑な風景。




今回の会場+宿舎の うまじ温泉に到着!

家庭医道場オープニング!

実行委員の決めた今回のテーマは「知ろうよ!UMAJI、見つめよう!MYSELF

地域で働く医療者を知るには、まず地域を知ること。

また、馬路のことを知っただけで終わらせるのではなく、自分自身がどういう医療者になるのかということも考えるようになってもらいたいという気持ちが込められているそうだ。

この発展性のある企画力と、ただプログラムを与えられて受動的に学ぶのではなく、学生が主体的に企画・運営しているところにまず感心させられた。


阿波谷教授の開会宣言に引き続き、馬路村の上池村長の講演会。

村の窮地をチャンスに変えていくバラエティー溢れる発想力に驚かされるばかり。

さて、お待ちかねの昼食
 

ランチョンセミナーでは、福島・いわきの現状や取り組みについてお話する機会を与えていただいた。遠い東北の地でも、共通の想いを持ってもがいている人たちがいるということを知ってもらえたなら嬉しい。

午後は、馬路クエスト。

つまり、みんなの足と五感で馬路を楽しみ、馬路の人々の生活を知り、医療のことを考える準備としての探求の時間である。

馬路クエストでは、林業、農業、観光、子育て、川、環境、食文化、行政など9つのテーマに分かれて、地元の皆さんに案内していただきながら馬路村を満喫し、のちに夜の意見交換の場で各チーム経験したことを発表。初めてウナギをさばいたりしながら、地域の方々のあたたかさや、地域の課題などを深く感じ取っているようだった。

天然ウナギをさばいたら、すぐに炭火であぶって…


さすが西日本は、日が沈むのが遅いので、夜になってもまだまだ明るい(笑)
そして、高知県安芸郡の地酒は旨い。
ついつい酒がすすんで大盛り上がり!


 

仕上げは肝試し・・・
漆黒の闇には危険がいっぱい。


まずは停めないと四国に飛べないの巻 ~家庭医道場 2015 in ごっくん馬路村①~

「知ろうよ!UMAJI 見つめよう!MYSELF」ということで、、、


2015年5月23日、24日の両日、村の収入のほとんどが柚子・柚子加工品(グビグビ飲めるゆず飲料「ごっくん馬路村」)ということで有名になった小さな農村 高知県安芸郡馬路村を舞台に開催された「家庭医道場 2015 in ごっくん馬路村」に急きょ見学・参加できる幸運に恵まれた。
この家庭医道場は、地域医療の現場において家庭医療を実践している医師・その他のスタッフや、地域住民との交流を通して、将来、家庭医を志す医学生がその重要性を理解するとともに、基本的な診療技能、コミュニケーション能力の向上、医療人としての広い視野を獲得することをめざして、高知大学医学部家庭医療学講座が主催している。

こういった活動が、どのように学生の学びへとつながって行くのか?
とても興味があり、いつか生で見てみたいと思っていた。

しかも、実はわたくし このたび初の四国上陸ということで、わくわくしながら出発!
 
いざ高知へ!


念のため早目に出よう。ということで、余裕の泉駅着。

と思いきや、まさかの駅裏パーク&ライド駐車場が満車。
 


ティラリ〜ン!!! ティラリラリ〜ラ〜

という音楽が一瞬 脳内を駆け巡ったが、急いで駅表にまわり、一般のパーキングの空車マークを見つけてホッと一息!

念のため早目に出発というのも大事である。
いきなりこんな感じの珍道中だが、どんな体験が待っているのか?
バタバタしながらも、「ひたち」に乗り込み、上野を通過して品川までの直行初体験!
羽田から高知へ無事飛び立ったのであった。

高知空港に降り立つと、懐かしい田舎の香水の匂い?
隣は高知大学農学部の牧場だそうで…
初めての四国は牛の香りに包まれていた。
そんな中、高知大学家庭医療学講座の阿波谷教授にわざわざ空港までお出迎え&高知市内観光案内いただき、美味しい海の幸と日本酒で、家庭医道場前夜祭は更けていった。