2014年11月9日日曜日

ようこそいわきへ! ~第97回 FaMReF@いわき~

県内各地で行われる月例の講座の勉強会
家庭医療レジデント・フォーラム(Family Medicine Resident Forum: FaMReF)
今日の会場はいわき!

「力を合わせて全体の進歩を図る」
かしま病院の病棟にある熱い日めくりカレンダーも、いわき開催を祝福しているようだ。


レジデントからの話題提起

日々の診療を通して高齢者の転倒の問題は多いし重大であるということを実感をしているというあるレジデント

しかしながら、転倒・骨折を予防するために有効な手段や・指導方法は、案外良く分からなかったりする。

玄関などのマットにつまずかないように配慮する
ヒッププロテクター
バリアフリーや手すりなどのハード面の整備
栄養管理や健康体操などによる身体機能の維持・向上
多職種の意見や協力をあおぐ
薬剤の副作用の可能性の吟味・・・

本当に有効なのか?
何が最も有用で効率的なのか?
この問題ひとつとっても臨床上の疑問は尽きない・・・
こういったところから新しい研究テーマを見出していこう。


次のレジデントは、最近たまたま予測し難いような病態の患者さんを立て続けに経験し、ある程度検査や治療ができる環境だと、検査や治療をどこまでやるべきか迷うという。

まず、難しい病態なのにどうして診断できたのかを振り返ってみよう。
そこに、どんな時は検査を省けるのかというヒントが隠されているかもしれない。

次に、診断はついたものの、どこまでの治療をすれば良いか?
超高齢社会では、患者がどうありたいのかという健康観を考慮せずに治療方針は決められない。
しかも、多様な要素が複雑に絡み合ったなかで、総合的に判断してくことが求められる。

一人ひとりの患者さんに対して、この時は、こう判断してこうした。
そういった積み重ねのデータが、医療経済への寄与も含め、今後の医療界の財産にできるよう、まとめあげていくことになった。

そして本日のメインのプレゼンは、後期研修医のS先生
「地産地消」と題し、いわきへの熱い思いを持つ仲間として、地元から地元を支える医療人を輩出していこうという、妄想半分・本気半分の作戦会議となった。
震災を経験した子供たちは、社会貢献したいという傾向が強まったという(ベネッセ教育総合研究所調べ http://berd.benesse.jp/magazine/opinion/index2.php?id=2013 )
地元愛の強い若者の夢が叶えられるように、私たちが憧れの大人として影響を与えていこうじゃないか!

2014年11月2日日曜日

はばたこう いわきから 日本へ 世界へ 未来へ ~いわき志塾~


 いわき生徒会長サミットをご存知だろうか?
斯く言う私も昨日知ったようなものだが・・・

震災の直前から準備が進んでいて、2011年度はじめから立ち上がる予定だったそうだが、震災の影響で延期になっていた。
公益財団法人 東日本大震災復興支援財団の「福島こども力プロジェクト」の支援を受け、なんとか震災の年に立ち上げることができたそうだ。
もともと「30年後のいわきのリーダーを育てよう!」ということで始まった企画だったが、震災直後に大多数の子供たちが一時いわきを離れたという現実に直面した時、いわき市教育委員会の先生方は「これでは未来のいわきはない」と危機感を持ち、もっともっと、「いわきじゃなくちゃダメなんだ!」と、いわきを熱く愛する若者を育てていかなければならないと痛感し、ますます熱意をもってこのプロジェクトを推進しているそうだ。
今年で4期目に突入し、生徒会役員でなくとも、志さえあれば参加は自由となり、いわきグローバルアカデミー「いわき志塾」と命名された。
各界で働く大人を講師に招いて、小グループに分かれて、講師の生き様についてレクチャーを受け、次のセッションでは、インプットされた情報から得た個々の考えをグループ内でアウトプット。最後のセッションでは、各グループが参加者全員に向けてプレゼンするという構造。
で、今回(第6回)のテーマが医療ということで、講師としてお声がけいただき、喜んで馳せ参じた次第である。







講義では、高度先進医療を担う各科専門医と、プライマリ・ケアを担う町医者と、2種類の医師が上手に分業できるとよい。ということと、日本ではプライマリ・ケアを担う町医者を育てる仕組みの整備が立ち遅れている事情。そして、現状で起きている問題を踏まえて、自分が家庭医の育成をライフワークにする断固たる決意ができた過程。福島では(もちろんいわきでも)安心して家庭医を目指すことができるように教育システムを整備していることなどを伝えた。
一通り話したあと、さすが熱い連中だけあって、「これだけは譲れないものは何ですか?」という熱苦しい質問が飛んできた。
「人のために生きること、それは結局自分を幸せにする」
などとキザなセリフを吐いたのだが、うなずきながら「強く共感します」と、すんなり受け入れる凄い奴ら!
アウトプットのワークはとにかく感心した。
これまた立候補制かつ投票制のチームリーダーが、見事にみんなの意見を限られた時間内でまとめていく・・・
今期6回目ということで、だいぶ慣れてきたとのことだが、それにしても学習能力の高さが素晴らしい。


日頃、時間ばかり奪われながら、ちっとも役に立たない大人の会議を数多く目の当たりにしているので、「物事を決める時はこうやればいいのか~」と大変感銘を受けた。


全体発表は、各班それぞれの講師の熱い志を個性的に表現してくれて非常に楽しく拝見した。


もっとも嬉しかったことは、いわき志塾にキッズ医者かしまの研修修了生(OG)がいたことと、彼女が、医師を目指す「断固たる決意ができた」と発言してくれたことだ。
地道な努力を続けるとき、「本当に実がなる時がくるのだろうか?」と不安に思い心折れそうになることもある。しかし、やはり諦めることなく前に進むこと、目の前のやるべきことを続けることが最も大事なことであると確信した。
「人のために生きること、それは結局自分を幸せにする」
この言葉の意味をきちんと理解できる若者がワンサカいるこの地は、まだまだ死んでいない。
子供たちのキラキラした目を見て、いわきの未来に光が差すのを感じた。

そして、子供たちを熱く見守る教育のプロの先生方と知り合うことができたのも、昨日の大きな収穫だった!
未来を創る教育を、力を合わせて成し遂げよう!









2014年11月1日土曜日

若いエキスが老体にもたらすもの ~家庭医療後期研修医歓送迎会~

10月1日からの下半期、福島県内で働く福島県立医科大学家庭医療学専門医コースの研修医達の配属先がマイナーチェンジ!
かしま病院でも、一人出て一人はいる模様替え。
10月31日、あっという間にひと月が過ぎ去ってしまったが、遅ればせながらの歓送迎会。
かしま病院では、予防医学から、急性期疾患の診断・治療、慢性期疾患管理、リハビリテーション、在宅医療、介護・福祉支援まで、地域の医療・介護・福祉の連携と向上に力を入れている。
かしま病院での診療を通して、家庭医を特徴づける能力を充分に活用しながら、他職種との協働、患者・家族背景を考慮したコーディネートを数多く経験することができる。
地域に根差した総合診療医・病院総合医として発展できるベースがもともと備わっていて、まさに地域に生き、地域で働くことのできる医師を育てている。
また、医師不足・偏在が著しい福島県(特にいわき市)では、地域医療のニーズに応えるために、特に一次・二次救急医療において、広範な疾患領域に対応できる診療能力の獲得が求められているが、かしま病院では、救急告示病院として年間1,000件超の救急応需をしていて、複数の健康問題を有した高齢者への対応など、ジェネラリストとしての能力を磨くための環境が整っている。
そして、最大のウリは、他科の先生方が、家庭医の育成に極めて協力的であること。
どんなに忙しくても、教育に熱い!
ジェネラリストが身につけたほうがいいと思う知識やスキルは、惜しげもなく無償の愛で伝授してくださるし、いつも暖かく見守って応援してくださる。
こういった歓送迎会の場で、先生方からコメントを頂戴したりすると、あらためてその愛情の深さを実感する一方で、実はご年配の先生方も、若者の熱意に触発されて自らを奮い立たせているのだということも分かる。
結局は、老体は若者のエキスを吸って生きているのである。
かしまを巣立った研修医達が、かしまで学んだことを更に発展させて活躍している姿は、僕らにとってまさに未来への希望である。
これからの医療を救うカギは教育だと思う。
地域医療の担い手の教育、地域住民への教育、教育者の教育、一つひとつを繋げて世界を動かしていこう。
無理は承知!
だから、出来ないことを嘆くのではなく、出来ることを探していこう。
諦めずに、今できる少しの踏ん張りを積み重ねていけば、未来を変えることはできるはずだ。



2014年10月30日木曜日

「一体俺は何すりゃいいの?」 途方に暮れる研修医 ~実践家庭医塾~


いわきに地域医療の臨床研修に来てくれた研修医の学びの経験の発表の機会として定着しつつある、家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾

今回は、一見して急性の問題がなさそうに見える外来初診の高齢患者を前に、医師として一体何をして良いのかが分からずに、思考停止してしまったという研修医の体験をもとに、医師がプロとして高齢者のケアに関わっていくためのヒントを提示してもらった。

高齢者を総合的に評価し、ケアのプランを立てていく中で、家族もケアの対象であるという視点は言うまでもなく重要であるし、その結果、施設入所という選択に至るケースもあるだろう。
家族の負担は減るし、そもそも支える家族がいない患者さんにとってはベストな選択かもしれない。

しかし、ここに一つの違和感を禁じえない。
これはあくまでも、家族やケアを提供する立場の意見であり、ここに本人が不在になりかねないからだ。

本人は家族に遠慮して、住み慣れた家を離れることを受け入れたのではないか?
環境の変化にうまく順応できているだろうか?
患者本人が求める健康への希望や不安や恐れの体験に対して、充分に寄り添えているか?
患者中心の医療の方法のはじめの一歩に、いま一度立ち返ってみる習慣をつけようと思った。

で、頑張って勉強すると、やはりご褒美が待っているものだ。


2014年10月19日日曜日

オランダに学ぶ家庭医療 ~第96回FaMReF@喜多方~


秋晴れの日曜。
福島県内は、郡山で開催されているB1グランプリで盛り上がっているが、今朝はいわきを出発し、郡山をスルーして、美しい磐梯山の懐も通過して、喜多方入り!

今日は第96回FaMReF@喜多方
そう、紅葉も始まった絶好の行楽日和でもお勉強である。


当講座では、新人を対象にした海外の家庭医療先進地視察が好例となっている。
今年の第一陣はオランダ隊!
一週間の視察を終えて帰国したばかりのレジデントらがその報告をしてくれた。
診療記録がそのままプライマリ・ケア領域の疫学的なビッグデータとして研究に活用できるシステム、結果として多くの家庭医が研究を意識しながら診療していること、充実した外来教育のシステム、活気あるカンファレンス、美しい診療環境...

世界トップクラスの家庭医の診療・教育・研究の現場を実際に目の当たりにして、見るもの聴くものすべてに、強い印象を受けて、自分たちが目指すべき具体的な目標を見つけ、高いモチベーションを獲得して帰ってきたことがよく伝わってきた。


次に、今回は急遽 韓国家庭医学会 秋期学術大会に招待されてポスター発表してきたレジデントからの報告。
韓国でも家庭医が増えてきて、医療機関の規模を問わず、(賛否はあるらしいものの)大病院の中でも活躍していて、持っているスキルも様々で、お国柄 女性の脱毛処理まで自身で行う家庭医も珍しくないとのこと。


レジデント持ち回りのプレゼン
国の政策を知り、理解し、活用し、所属医療機関を健全に経営し、社会的役割を果たしていくことも家庭医に求められる重要な能力である。
今回は臨床医としての立場よりも、あえて制度・経営という視点に重きをおいて、在宅医療の業務改善をテーマにまとめてくれた。
医療費は医療の利用者・医療職員双方に、結局は国民一人ひとりにふりかかってくる国全体の問題である。
病院病床・在院看取りが頭打ちとなり、国の政策としては、かかりつけ医として責任をもって看取りまで在宅で管理する医療機関を評価する方向に改定されているので、その意図が反映されるよう、主治医としての責任を果たしている医療機関は、終末期に算定できる種々の診療報酬をきちんと請求する責任がある。普段あまり意識していない視点を与えてくれる内容だった。
国の政策も、限られた医療資源を有効活用できるような視点で舵をとってもらいたい。


最後に主任教授によるCinemeducation
「カルテット!人生のオペラハウス」(2012)
イギリスの田園地帯にある、引退した音楽家たちのための老人ホーム
その存亡をかけ、一致団結して いま一度音楽に覚醒する入所者たち
高齢者のケアにおいて、共通の興味や、輝ける姿、認められる喜びへの配慮が、第三のADL(Advanced ADL)の維持、生きがいの維持につながる。
日本の高齢者施設は、最低限の 衣・食・住 以外のリクリエーションはかなり画一的で、個々の人生を充分に尊重できていないかもしれない。
そう言う意味では、今後の高齢者ケアの環境を整えていく上で、とても参考になる題材であった。

2014年10月18日土曜日

美味い店は流行る 美味い医療機関とは?



昨夜は「かしま病院」での地域医療研修プログラムを宣伝しに江戸に出張だった。

2013年度から臨床研修施設のひとつとして「かしま病院」を加えていただいている、東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修(地域医療)プログラム。
今年度は7名を受け入れ、現在4人目が鋭意研修中。

研修医には、地域における家庭医の役割や、患者中心の医療の方法を実践しながら深く学んでもらい、その成果を実践家庭医塾などで発表してもらっている。

研修を終えた多くの研修医からは「大学病院では決して経験できない貴重な学びを得ることができた」という旨のありがたい感想が寄せられていて、教育担当として、ますますやりがいを覚え、熱心な研修に心から感謝している。

都心の大学病院で学ぶ臨床研修医のみなさん。
来年度も1人でも多くの研修医を受け入れて一緒に学びたいものである。
そして、来年度はさらに充実した地域医療研修を提供できるように、プログラムと教育体制を工夫していきたいと思う。

いわきでの研修が、医療人としての生涯の財産になるように…

で、私のプレゼンでは、認知症の高齢者に初診で遭遇した場合を例に、医師としてどう対応するのかを、診療に役立つ具体的なスキルも紹介しながら、研修を通して実際に何をどう学んでいけるのかを伝えたつもりである。
他の医療機関では、施設や土地柄の紹介が中心だったので、自分のやり方で良かったかどうかはさておき、少なくとも異彩は放っていたと思う。
幸い、今年は説明会の後に懇親会も用意していただけたので、興味のあるレジデントの皆さんには、施設や土地柄の紹介も含め、いわきの詳しい現状なども補足説明することができた。



そのまま新橋で反省会。
憧れのガード下のオッサン!
以前から気になりつつも、いつも混んでいて入れなかったお店への潜入に成功。
ものすごい活気!
でも意外に安くはない。
では何故繁盛しているのか?
単純に美味いからだと感じた。

そう、美味かった!

不景気だろうがなんだろうが、結局は客が求めるものを提供すれば、客は勝手に集まる。

医療機関はどうだろう?
医療の利用者である患者さんにとって「美味い」とは?
何をもって患者さんが「美味い」と判断するかが曖昧な世界である。
例えば、長生きさせることができることが「美味い」医者の条件の1つだとして、どの医者にかかっていれば最終的に長生きさせてもらえるかどうかなんて、かかり始めるときには容易に分かりっこない。どんなに優れた予防医療を提供していても...
逆に、患者さんが「美味い」かどうか判断できるとすれば、痛みや不眠など既に目の前にある苦痛をすぐに取り除いてくれるかどうかである。迷わず強い薬を使えば、患者さんはその時は「美味い」と感じるだろう。たとえ、その強い痛み止めや睡眠薬が、将来の転倒・骨折などの大怪我の原因になったとしても...
せめて別の立場の医療機関の利用者=研修医には、各医療機関が提供する研修プログラムが、自分にとって「美味い」研修かどうかをしっかり見極めて欲しいものだ。
そして、医師不足だろうがなんだろうが、研修医が求めるものを提供しまくって、研修医が勝手に集まるような魅力的な研修プログラムが、今のいわきには必要である。

2014年10月11日土曜日

あたりまえの生活 あたりまえの介護

快晴のアクアマリンパーク。
小名浜地区地域ケア推進会議主催の小名浜地区認知症在宅ケア講演会に参加した。

第一部
「認知症の予防と理解」~地域で生活すること~

中村病院 中村雅英理事長先生によるユーモアある詳しく盛り沢山な内容の解説。
麗らかな土曜の午後にもかかわらず、大勢の市民のみなさんが、メモをとりながら熱心に耳を傾けていた。


第二部
「認知症の妻と向き合うパートナー」
交易社団法人 認知症の人と家族の会 福島県支部 いわき地区会の小野英人氏

小野さんは映画「フラガール」で蒼井優さんが演じた小野恵美子さんの夫。
アルツハイマー病と診断された妻を自宅で介護している。
「妻のために○○してあげている」では、介護される側も、介護する側も苦しくなる。
認知症が進んでもなお、心や感情が息づいているからだ!
親が赤ん坊とともに成長していくように、まさに二人三脚で、一人では出来ないことを一緒に寄り添い歩んでゆく…
介護の実践を通した生の声は、参加者の心に響いていた。

超高齢社会を前に私たちが見直すべき原点回帰。

あたりまえに生まれ、あたりまえに育ってゆくように
あたりまえに衰えゆき、あたりまえに看取られてゆく…

台風が近づく週末。
そんな、自然な生老病死が叶えられる地域社会を創っていきたいと強く思った。