2017年5月12日~15日、第8回 日本プライマリ・ケア連合学会
学術大会(以下、学会)が、香川県高松市を会場に開催されました。「うどん県」での開催だけあって、参加賞として「うどん券」が配布され、学会会場には屋台が…(笑)。コシの強いうどんを美味しくいただきました。
今回は、超高齢社会を見据え、いわき市医師会やいわき市・養生会が近年注力している地域包括ケア、病院外看取りに関する新しい知見を求めて、関連するシンポジウムを中心に参加しました。学会では、地域包括ケアに関する、各地での先進的な取り組みが紹介されていました。いずれも素晴らしい試みでしたが、そもそも今のいわき市と全く同じ状況の地域は存在しないので、そのまま模倣してもうまくいかないであろうことは容易に想像がつきました。
一方で、地域住民一人ひとりが、その地域の風土や特長を活かしながら、自分や家族、周囲の well-being(幸福・健康)の実現に向けて主体的に参加・行動し、結果として地域コミュニティーを住民自身がより豊かなものに変えていこうとする「参加」と「自治」をキーワードとした取り組みには、いわきでも参考にできる部分が多いと感じました。気候が穏やかで、観光資源にも恵まれ、農林水産業や工業も盛んな当地のアドバンテージを「参加」と「自治」の住民力で最大限に活用できれば、いわきはまだまだ頑張れると思います。
更に、鹿島地域の動きと照らし合わせて考えてみました。学会のシンポジウムを通して、「医商連携」「一円融合」のまちづくりを目指す鹿島地域の取り組みを加速させるためには、「参加」と「自治」に加えて、「縮充」という発想が重要であることに気付くことができました。縮充の語源は、ウールをアルカリ水のなかで揉むとできる、縮んで中身の詰まったフェルト状の素材(縮充ウール)です。縮充は縮小でも縮退でもなく、かといって拡充でも補充でもありません。縮みながら充実していくという発想です。人口を増やすとか、市街地を拡大するとか、経済成長を目指すようなまちづくりは、これからの人口減少時代、殊に原発事故にともなう避難から帰還への動きが加速し、更に小名浜にオープンするイオンモールとの競合が必至となる当地には不向きで、これからはむしろ縮充のまちづくりが求められるでしょう。縮充という視点から言えば、人口が減ったとしても積極的にまちづくり活動を展開する人の割合が増えれば良いのです。「自分たちのまちは自分たちで経営していくんだ!」という意識を共有する人の割合が増えることが重要であり、そういった意味では鹿島地域における地域住民主導の熱い取り組みは、超高齢社会を乗り切る「鹿島モデル」として世界に発信できる先行事例に発展する可能性を秘めていることを確信して帰還した次第です。
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