2015年8月4日火曜日
いわきのプライマリ・ケアが支える磐城共立病院 ~「医・職・住」の清水敏男市長との談話~
2015年8月1日の午後。
いわきの一大イベント「いわき花火大会」の前の貴重な時間をいただき、清水市長さんに、家庭医・総合診療医についてお話を聴いていただきました。
「医・職・住」
医療を最重要課題に挙げて当選された市長さんには、是非ともプライマリ・ケアについてできるだけ正確にご理解いただきたかったので、殺人的スケジュールを縫ってわたくしにお時間をいただけたことに感謝申し上げます。
こういった話をすると、磐城共立病院に総合診療科を創設する準備なのか?と思われる方もおられるかもしれませんが、私は、それは別問題と位置づけています。
むしろ、磐城共立病院が働きたい病院、やりがいのある病院、人の集まる病院、人気の研修施設になるためには、磐城共立病院そのものだけでなく、周辺環境 殊にいわき市全体のプライマリ・ケアの充実が不可欠です。
すでに極限まで不足した医療資源を有効活用するためには、医療、福祉、行政、住民らが一丸となって、同時進行で事を進めない限り動きませんし、2025年問題に間に合わないことだけは間違いありません。
そういう意味で、市長さんが果たすべき役割と責任はとても大きいです。
磐城共立病院に総合診療科を創設するべきかどうかについて私見を述べさせていただけるのであれば、こういった新部門をお金をかけて創設したとしても、磐城共立病院内のスタッフ全員にその役割が充分に理解され、その科へのサポーティブな体制が維持されない限り、単なる掃き溜め科になり、それこそ誰もやりたがらない(人が集まらない)科になります。
かしま病院で総合診療科が存在し機能できているのは、たまたま創設者が、奇跡的にプライマリ・ケアを深く正確に理解し、全職員が、その役割と有益性を実感し、家庭医・総合診療医の育成を応援してくれているからです。
そういうわけで、大学病院で総合診療医を育てるのが難しいのと同じように磐城共立病院でそれをしようとするのは、得策ではないと考えています。
2025年にピークをむかえる超高齢社会、言い換えると多死社会。
どうあがいても充分な数の総合診療専門医の輩出は間に合いません。
せめて、終末期もしくは心肺停止等の急変の際に積極的治療や蘇生処置や延命処置等を望まない場合に、家族や多職種が協力し、自宅や介護施設など病院以外の場所で自然な看取りを実現できる体制をつくることが、限られた医療資源を効率よく活用するために重要です。
それは、磐城共立病院をはじめとする病院の疲弊を防ぎ、機能維持を助けるでしょう。
そのためには、かかりつけ医の役割が大きくなります。
かかりつけ医とは?
何でも相談できる上
最新の医療情報を熟知し
必要な時には専門医
専門医療機関を紹介でき
身近で頼りになる
地域医療、保健、福祉を担う
幅広い能力を有する医師
日本医師会は、このように立派なことを掲げていますが、ここまで実践できている医者はそんんなに多くはありません。
わたしは考えます。
かかりつけ医とは・・・
対象となる患者を自分で看取る
もしくは
責任を持って看取りまでの
道筋を立てることができる医師
せめてこれだけはやってほしい。
病院を守るには?
病院受診を要する患者のみ病院を受診する
つまり、病院受診を要しない患者が病院を受診しないで済む体制づくりが重要。
不要・不急の時間外受診・救急要請の抑制し、軽症は診療所で対応し、病院(入院)での治療に有益性がない場合の自宅・施設での看取り、つまりプライマリ・ケアの充実が、いまのいわきで起きている、そしてこれから日本全国で起きる長期的かつ修復困難な医療需給バランスの不均衡を根本的に解決する切り札となるでしょう。
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