2018年2月24日土曜日

いわきサンシャインマラソンに学ぶ地域医療

今年で第9回目となり、すっかり地元に定着して東北最大級のイベントに成長しつつある いわきサンシャインマラソン!
職場からも多くの職員が、かしまRC(ランナーズ・クラブ)のメンバーとしてレースに挑んで完走を達成し、また医療スタッフやボランティアとしても大会を大いに盛り上げました。
ちょうど3年前から突然ランニングを始めた私も、本大会へは3度目の参加となりましたが、今回はフルマラソンでパーソナルベストを更新し、(いい意味で)初の新聞沙汰と相成りました(笑)。
私は他地域開催のマラソン大会にも幾つか参加していますが、その多くは、沿道の声援のほとんどが「頑張れ~!」であったり、そもそも声援自体が少なかったりします。レースに出たことのある方ならご理解いただけるかもしれませんが、自分なりに相当頑張っている状況で「頑張れ~!」の声援は、もちろん有り難いのですが、叱咤激励や鞭撻の文字通り意外に身に堪えるものです(苦笑)。
いわきサンシャインマラソンでは、沿道からの声援の質と熱量が物凄いだけでなく、他ではあまり聞かれない「(走ってくれて)ありがとう」という「こっちがありがとうだよ」と返したくなるような泣ける声援が多く、ランナー達の心を震わせ、参加者とサポーター間の感謝の連鎖が大会全体を包み込みます。
参加したランナーを対象としたアンケートでも全国有数の高い評価を得ています。来年第10回の記念大会となる本大会が、いわきが誇る日本一の大会へと更なる成長を遂げることを願っています。
そんなこんなで若干燃え尽き気味の私ですが、そんな中、いわき市医師会附属いわき准看護学校への来年度の志願者が極端に減少し大幅に定員割れしているという、この冬の大寒波や平昌オリンピック会場の極寒の競技環境を象徴するような身も心も凍るニュースが飛び込んできました。
准看護学校への志願者減少の原因として、大学看護学部新設や看護学校定員増、大型商業施設オープンにともなう求人増加などによる競合激化があるのでは?と愚察しますが、医師会理事として「何とかせねば!」と、お尻に火が付いています。
地元を盛り上げたいという個々の想いが集結し成果を出しているサンシャインマラソンを手本として、いわきの地域医療を守り育てるために地域住民・行政・医療機関が一体となり、それぞれの立場で出来る役割を果たし、お互いに敬意もって感謝し合える関係づくりが必要だと思います。
私も微力ながら、愛するいわきの医療を支えることができる人財を集め育てていこうという決意を新たにしました。





2018年2月18日日曜日

臨床技能評価 ~第130回 家庭医療レジデンント・フォーラム~


今月の家庭医療レジデント・フォーラムは臨床技能評価でした。
講座スタッフにより作成されたシナリオを用いて、指導医らが模擬患者に扮してロールプレイします。
専攻医の修了試験と専門医試験のリハーサル的な役割を兼ねた企画で、毎年の恒例となっています。
他者の診療を見させてもらうと、一人ひとりの特長を見つけることができて、とても勉強になります。
癖のある手強い設定の患者さん(意地悪問題)も登場しましたが、参加した専攻医らの基本的な診療態度は概ね良好で感心しました。

2018年2月15日木曜日

複数の健康問題 ~実践家庭医塾~


生物医学的に複数かつ難しい問題が絡み合った事例において、主治医として専門医や医師以外の医療専門職との協働を適切にマネジメントし、心理社会面、家族といった側面にも配慮できることが、家庭医には求められます。
今回の家庭医塾では、専攻医が経験した複数の健康問題をかかえた事例を通じて学びました。
先ず、山ほどある、しかもそれぞれが複雑に絡み合ったプロブレム・リストをどのように整理・マネジメントしていったらよいか?
小グループ・ディスカッションを通して、みんなで真剣に考えました。
優先順位を意識して管理したらよい。
そもそも、プロブレム・リストを用いること自体が、長期的な経時的変化や、システムとして互いに影響しあっている複数の問題の管理に不向きである。
そんな意見が挙がりました。
次に、結果的に行き詰まった時にどうしたらよいか?
更に議論を進め、優先順位を決めて、重要かつ緊急性のある明確な問題を抽出して、専門医にコンサルトして、診断・治療内容について再検討する。などの意見が挙がりました。
提示された事例では、教育入院管理が、期待以上に功を奏しました。
何がうまくいくかは患者さん毎に異なるので、健康問題が多く複雑であればあるほど、各々のコンテクストを考慮した個別のケアがより重要になるということを再認識しました。

2018年1月31日水曜日

多職種連携で難攻不落を攻略せよ! ~地域リハビリテーション研修会~



皆さんは、地域リハビリテーションという概念をご存知でしょうか?地域リハビリテーションとは、障害のある子供や成人・高齢者とその家族が、住み慣れたところで、一生安全に、その人らしくいきいきとした生活ができるよう、保健 ・医療・福祉・介護及び地域住民を含め生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行なう活動のすべてを指します。地域リハビリテーションをサポートするため、各地域に支援体制がしかれていて、かしま病院は浜通り唯一のリハビリテーション広域支援センターに指定されています。実は、これまでセンター長を兼任されていた渡辺修病院長から引き継ぎ、昨年から私がセンター長を拝命いたしました。
障害の人とその家族が、住み慣れた場所で、その人らしくいきいきとした生活ができるよう支援するために、地域リハビリテーション広域支援センター長として自分に何ができるのか?自問した結果、「保健 ・医療・福祉・介護及び地域住民を含め生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行なう活動」という地域リハビリテーションの概念そのものが疑似体験できる研修会を企画しました。
2018130日、「家族志向の地域リハビリ―テーション」と題して、市内の医療・福祉の現場の最前線で専門職として活躍されている皆さんを対象に、多職種ワークショップを開催しました。課題山積で難攻不落な実例をモデルとしたケースを教材に、家族へのアプローチを突破口にして、各専門職の英知を集結し、難攻不落の攻略…つまり最良のケアの提供を試みていただきました。
結果、いわきの医療・福祉の現場の最前線で専門職として活躍されている皆さんの底力は凄まじく、「難攻不落」と銘打ったことが恥ずかしくなるほど、参加者の皆さんの問題解決能力の高さを見せつけられることとなりました。その中で再認識できた最も重要な示唆は「家族はケアのパートナーであり、ケアの対象でもある」ということでした。ケアに困難を感じ、どこから手を付けたらいいか迷った時は、先ず患者さん・ご家族に興味を持ち、語り合い、それぞれの想いに耳を傾けてみようと思います。

2018年1月18日木曜日

環境が育むプライマリ・ケア ~実践家庭医塾~


今回の家庭医塾では、今月 地域医療研修で いわきを訪れている臨床研修医の気づきが示されました。
例えば、同じ皮膚科領域の診療の場であっても、大学病院とプライマリ・ケアの現場とでは様相が違っていて、同じ医師であっても、異なる振る舞いが求められます。
つまり、高度な最先端医療の提供という使命が明確な大学病院に対して、プライマリ・ケアの現場では、目標がより曖昧で不確定要素が多いがゆえに、より患者中心の医療の方法を駆使したアプローチが求められます。
そのことに気づくことができただけでも、いわきに来てくれた甲斐があったのではないでしょうか?

2018年1月14日日曜日

第129回 家庭医療レジデント・フォーラム@サンシャインいわき with 第61回 小名浜地区一周駅伝競走大会


全国的に大雪被害が出ている中、変わらぬサンシャインないわき!
歴史ある第61回小名浜地区一周駅伝競走大会の応援から始まった第129回FaMReF


メインプログラムとして、いわきチーム2人の専攻医からポートフォリオが提示されました。
森薗先生からは、プロフェッショナルとして「これでもか!」というぐらい高度な複雑さと曖昧さを扱う経験ができた事例が示されました。
どのような状況でも患者さん・ご家族に真摯にかつ丁寧に向き合う、真面目で実直な彼ならではのプロフェッショナリズムを堪能できる力作でした。
藤原先生からは、学生・研修医に対する教育セッションを企画・運営に取り組んだ事例が示されました。対象者を意識して実施することの重要性や、セッションを繰り返すことでファシリテーターとして成長していく様子がわかる、これまた大作でした。

2017年12月16日土曜日

年末だよ、全員集合! ワールドカフェ@大原 ~第128回 家庭医療レジデント・フォーラム~

ポートフォリオ検討会では、いつも通り活発な意見交換がなされました。
うまくマネジメントできた時、それに満足せずに、何故うまくいったのか?
今後、同じような事例に出会った時にも再現性を持って適切なケアができるだろうか?
そのために、私たちが日常診療で励行すべきことは何か?
深く考える機会となりました。


さて、今回は特別企画としてワールドカフェを行いました。
考えてみれば、参加者全員が知り合いという状態で行うワールドカフェは初めてだったので、新しい発見や斬新な意見が出るのか疑問でしたが、講座との出会いや講座の良いところなどを一人ひとりあらためて語ってみると、やはり新たな発見があるものだと感じました。
講座の仲間のそれぞれの想いを再確認し、今後のビジョンを確立していくための、なんらかのきっかけになるのではないでしょうか?