2012年11月29日木曜日

年忘れ「家庭医療 珍プレー・好プレー大賞 2012」

早いもので今年も残すところあと約1ヶ月。
講座月例の勉強会、家庭医療レジデント・フォーラム(Family Medicine Resident Forum:FaMReF)の12月のプログラムとして、明日への勇気が湧くような忘年企画を考えてみた。
題して 「ComFaM 家庭医療 珍プレー・好プレー大賞 2012」
診療・もしくはその他のマネジメントにおける、家庭医としての「珍プレー」「好プレー」を自薦・他薦を問わず講座員に発表してもらうことにした。
一生懸命やってても顔から火が出るような恥ずかしいドタバタ珍事ってあるよね。
一方、家庭医を特徴づける能力を発揮した結果、良好なマネジメントが得られたりすると嬉しいよね。
そんな経験を共有しながら年を忘れて、明日への英気を蓄えたい。
当日のFaMReF参加者の投票により「最優秀珍プレー大賞」と「最優秀好プレー大賞」を決定し、同日郡山駅近郊で開催予定の忘年会(懇親会)で発表&表彰式を行う。
興味のある方はぜひ、福島の家庭医の奮闘を垣間見に来て欲しい。
家庭医療レジデント・フォーラム(Family Medicine Resident Forum:FaMReF)
日時:2012年12月15日(土)14時~17時
場所:三春町立三春病院
参加ご希望の方は 福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座

2012年11月25日日曜日

情熱の坩堝 ~第13回FACE~


初日昼の部が終われば、ここからがFACE本番!
懇親会と勉強会が見事にコラボ!
こんな自由な勉強会があっていいのか?

ていうか実際にここにあるし・・・

番組はずっと流れている。
見てもいいし、見なくてもいい。
飲んでもいいし、寝てもいい。
飲みながら見てもいいし。
寝ながら見てもいい。

夜のFACEは水戸の尋常じゃないカンファレンスにも影響を与えているという証言が、徳田先生から飛び出した。

すべての予定の番組が終了したのが、午前2時前。

「なんか終わんの早過ぎて物足りなくねぇ~」

これで物足りないというのは、やはり尋常じゃないが、というわけで、急遽アンコール番組がその後も続くのであった。



2日目は水戸地域医療教育センターの徳田安春先生による
Advanced Physical Diagnosis Workshop
FACE参加者の熱いリクエストにより、徳田先生のレクチャーは毎年恒例となっている。

臨床診断を意識した、ワンランク上の身体診察。
徳田先生による工夫に溢れた熟練の身体診察の業を伝授していただいた。
そして参加者の熱演がレクチャーに彩りを添えていた。




2012年11月24日土曜日

わがままな講師 ~第13回FACE~

秋深まる磐梯熱海で、第13回福島アドバンスド・コース(FACE)が開催された。

日時:11月24日(土)~25日(日)

Fukushima Advanced Course by Experts (FACE)は、参加する学生や研修医の学びのための場であるが、同時に「講師陣がやりたいことを好き勝手にやる」という講師陣中心の勉強会的な“ならわし”があるようだ。
すでに知ってることを、知らない人たちに伝えるだけでは、伝える側が損しちゃう感じだし、つまんない。
そもそも「そんなつまらない勉強会はやりたくない」

そんな講師陣のわがままが、FACEにおいて まさかの新しい展開を生み、企画の発展と講師陣の活力を支えているようだ。




磐梯熱海で年4回、四季折々の風情の中、旨いものと旨い酒に囲まれて開催される本企画に関わることになったのはちょうど1年前。
当初、名立たる講師陣の中で自分が by Experts の一人として数えられるのは甚だ不適切な感じがしたが、先輩講師から「勝手に自分中心で楽しいことをやればいい」と言われ半信半疑で、(自称) Expert の仲間入りさせていただき、自分の萌えツボを他人に強要しながら現在に至っている次第である。

まあ、自分の場合 Experts at breaking things 担当であるが・・・

 

本番、直前にアイスブレイクの代役を依頼されても見事にこなす同僚に勇気をいただきながら、トップバッターで腹痛のレクチャーをさせていただいた。

n先ず、超緊急疾患は見逃すな! (心血管・子宮外妊娠破裂・DKA
n心血管系疾患に限って、腹部所見は乏しい! (お腹が軟らかい)
n女性を診たら・・・
n最終月経自体が妊娠兆候のことも・・・
n増悪は無視しないで!
n腹痛でも血糖チェック、チェック、チェック!!!


n下痢が無いのに「胃腸炎」は御法度!!! (実際はありますが)
n吐き気があるのに「便秘」も御法度!!! (実際はありますが)
  上記はいずれも重大疾患を見逃すリスク!!!

n小児のアレルギー性紫斑病はコモン!
n溶連菌感染症による腹痛はもっとコモン!
nオシャレにボケよう! 「おなか痛いんですね? じゃあノド診ましょうね~」
nもちろんパンツも脱がせてね (陰部、鼠径部)

nとりあえず、痛いところぐらいは見よう
nついでに、圧痛・腫瘤・膨満・皮疹の有無と、陰部・鼠径部の異常の有無までは見よう
n起きている出来事(尿閉・腸閉塞など)の原因を考えよう!
nいくつになっても急性虫垂炎!
nどんな状態でも急性虫垂炎!
n腹部身体所見が異常なくても、致死的疾患は否定できない(特に高齢者)

nFitz-Hugh-Curtis症候群は若い女性で超多い!
nその他のSTDも忘れずに!
n尿膜管遺残膿瘍も若者で案外いるらしい
n通り一遍の身体診察を行っても、必ずしも診断に直結する情報が得られるとは限らない
n病歴をもとに丁寧に鑑別疾患を吟味して、絞り込んで狙いに行く身体診察を!
n特に突発の腹痛は、心電図必須、できれば超音波 (心・大動脈、胆、腸、腎、胸腹水、子宮、卵巣、膀胱など)チェックを!
n身体診察は、一つひとつ目的意識をもって行おう!


今回、あらためて腹痛のことを考えて、使えそうな Clinical Pearls をならべてみたが、結局のところ一番大事なのは・・・

どんなに忙しくても、「何か変!」って思った時、流さないことだと思う。

「まあ いっか!」と思ったら・・・
それが “Red Flag!”

2012年11月22日木曜日

科学的根拠とは何か

福島県立医科大学大学院 医学研究科特別講義 疫学セミナー
「科学的根拠とは何か」
津田塾大学国際関係学科 教授 三砂ちづる先生
「オニババ化する女たち」「おむつなし育児」で女性らしい生き方を提言し、最近では「不機嫌な夫婦」で日本人の夫婦を考察し、さらに「月の小屋」など作家としても活躍されている三砂先生の講義を聴講させていただいた。

最新の医療の現場でも、科学的根拠に根差さない医療は普通に行われている。
そこで、最新の科学的根拠を医療の分野に提供する枠組みが疫学である。

講義を通して、Evidence Based MedicineEBM)の父と称され、The Cochrane Libraryの礎をつくったイギリス人疫学者Archie Cochrane先生の名著「効果と効率」(サイエンスト社)で示された内容。人体の力と比較した場合の治療の非重要性、つまり、多くの疾患は自力で治るという事実に目を向けることの重要性を実感した。
何でもかんでも片っ端からとりあえず治療しておくという医療のインフレは、時に人間の自然治癒力を殺いでしまうかもしれない。
それを食い止めて、つまり無駄もしくは有害な治療を省いて、本当に必要で有益な治療に絞りたいという、Cochrane先生の願いが形となった臨床研究が Rondomised Controlled TrialRCT)である。

EBMの基礎>
人間にはもともとそなわった力があるのだから、介入には十分な理由がなければならない。
そして、介入するときは、人間の叡知をかたむけた最良の科学的根拠が適用されるべきである。

この言葉は重く心に響いた。
EBM実践のためには、自分に厳しく、しばしば利用者にも厳しい対応が求められるから…

しかし、研究あるところに意思あり。
つまり、研究者が示したい意図がない限り研究は始まらない。
逆に、誰もやりたくないことは研究にならない
場合によっては研究者の意図によって科学的根拠の結果自体に影響が出る。

つまり、科学的根拠を正しく評価し、EBMを使いこなすことは案外高度な業なのである。

それなのに、放射能汚染の影響に関して、一般の方々までも科学的根拠らしきものを手に入れ、批判的吟味の手法も分からぬまま、それを頼りに行動しているのは、とても通常の状況とはいえない。

より良い医療を提案するというEBMの元来の目的を見失うことなく、医学という科学のプロとして、思慮深く、良心的に、かつ明示的に、また科学的根拠に振り回されることなく、この便利な道具を活用していきたい。
 


10年ほど前からほぼ毎日きものをお召しという三砂先生の軽快でテンポの良い2時間のレクチャーの時間はあっという間に過ぎた。

2012年11月18日日曜日

今更ながら 嬉し恥ずかし受験生


高速道路がビルを貫通している


今日は、プライマリ・ケア連合学会の指導医養成講習会in大阪 & プライマリ・ケア認定医の試験であった。
会場は、ビル本体を高速道路が貫通しているという「何これ珍百景」的な非常に斬新な構造のTKPゲートタワービル。
地下鉄の駅直結ならビルにもメリットがあるが、ビルに高速バスの停留所があるわけでもなく、ビルにメリットは無い。
単純に都市整備計画の中で(高速道を)そこに通す以外に選択肢が無かったとのこと・・・

午前中はプライマリ・ケア連合学会の指導医養成講習会。
家庭医療の方法論から始まり、研修医指導の技法、ポートフォリオを活用した教育の実際など、半日でやるにはキッツキツのベーシックかつ盛り沢山な内容。自分にとって、日頃の診療・教育の良い振り返りの機会を与えていただいた。

午後は、そのままプライマリ・ケア認定医試験に突入!
この歳で自由記載方式の筆記試験・・・あきまへん
すぐに局所的に乳酸がたまって、書く手がついていかなくなるんだねぇ~
日頃、キーボード叩きに頼っているのも災いして、漢字が出てこないこと出てこないこと・・・
ともあれ、分かることも、分からないことも、実診療と同様にドタバタで悪あがきしながらの あっという間の2時間。
久々にいや~な汗をかきながらも殴り書きで解答用紙は一応無理矢理に埋めた。
こんなありさまで認定していただけるのかどうかは分からないが、事情により、認定していただけるまで何度でもトライする心積もりである。
晴れて認定してただけた暁には、今後の診療・教育のために、その資格を大切に活用させていただきたい。

ちなみに個人的に大阪の街は初めてであった。
道端で、ボケている人がいたら、すかさず適切にツッコまなければならないのか?
ビクビクしながら歩いていたが、そういうこともなく、けれど東京とはやはり違う何か楽しげな雰囲気を感じながら心おどる旅であった。
ARASHIのドーム・ツアーがあったため、嵐ファンの方々も多く見受けられたが、こころなしか関ジャニのファンの方々なみにコテコテに感じるのは私だけだろうか?
ぜひ今度は家族連れで観光に来たいものだ!

美しい大阪駅地下道

前泊した尼崎の夜景


福島の空港に帰還すると、気温3℃とすっかり冬の様相!
札幌発着便は雪のため乱れていた。



2012年11月15日木曜日

「必要は発明の母」 かゆいところに手が届く おもてなし


みなさん、引っかけてるよね?ここに・・・
しかも、やや強引にレジ袋を!

昨日初めて乗った常磐線特急「スーパーひたちの」新型車両。

格納式テーブルを固定する“こいつ”が明らかに進化していた。

いままでは絶妙な角度に調整して、無理矢理引っかけなければいけなかった“こいつ”が、まるで「どうぞ僕に引っかけて!」と訴えかけているようだ。

更に、これまでは車窓の上の方にしかなかった上着掛けフックも、とてもありがたい位置で存在感を放っていて、もちろん上着を掛けることも出来るし、座ったまま手の届く高さに車内で飲食したいものをぶら下げることも出来る。

「必要は発明の母」という言葉の意味を深く実感し、日頃から身の周りに転がっている必要、発明のネタを注意深く探したくなった。

2012年11月14日水曜日

東京慈恵会医科大学付属病院 臨床研修(地域医療)説明会

福島県立医科大学 家庭医療学専門医コースの研修協力医療機関であるかしま病院(福島県いわき市)が、来年度から東京慈恵会医科大学付属病院臨床研修(地域医療)の研修施設の一つとして新規登録していただけることになった。

そんなわけで臨床研修医1年目の皆さんに研修内容の説明をさせていただくために東京へ
臨床研修医2年目のローテーションとして、多くの研修医の皆さんに来てもらえるようにアピールしたいところだ。


東京へ向かう途中のスーパーひたちの車窓より、ダブルの虹が!

 それにしても、大学病院とはいえ、一期46名って、都会の研修医って多いんだねぇ~!!!
こんなところでも、医師の偏在を実感するのは悲しいが・・・

都会の香りにモジモジ、慣れないスクール形式の会場でのプレゼンにソワソワしながらも、いわきで研修することの意義を自分なりに頑張って伝えたし、一応 笑いもとれたので良しとしよう。
あとは、良い結果を期待するのみ。