2012年11月24日土曜日

わがままな講師 ~第13回FACE~

秋深まる磐梯熱海で、第13回福島アドバンスド・コース(FACE)が開催された。

日時:11月24日(土)~25日(日)

Fukushima Advanced Course by Experts (FACE)は、参加する学生や研修医の学びのための場であるが、同時に「講師陣がやりたいことを好き勝手にやる」という講師陣中心の勉強会的な“ならわし”があるようだ。
すでに知ってることを、知らない人たちに伝えるだけでは、伝える側が損しちゃう感じだし、つまんない。
そもそも「そんなつまらない勉強会はやりたくない」

そんな講師陣のわがままが、FACEにおいて まさかの新しい展開を生み、企画の発展と講師陣の活力を支えているようだ。




磐梯熱海で年4回、四季折々の風情の中、旨いものと旨い酒に囲まれて開催される本企画に関わることになったのはちょうど1年前。
当初、名立たる講師陣の中で自分が by Experts の一人として数えられるのは甚だ不適切な感じがしたが、先輩講師から「勝手に自分中心で楽しいことをやればいい」と言われ半信半疑で、(自称) Expert の仲間入りさせていただき、自分の萌えツボを他人に強要しながら現在に至っている次第である。

まあ、自分の場合 Experts at breaking things 担当であるが・・・

 

本番、直前にアイスブレイクの代役を依頼されても見事にこなす同僚に勇気をいただきながら、トップバッターで腹痛のレクチャーをさせていただいた。

n先ず、超緊急疾患は見逃すな! (心血管・子宮外妊娠破裂・DKA
n心血管系疾患に限って、腹部所見は乏しい! (お腹が軟らかい)
n女性を診たら・・・
n最終月経自体が妊娠兆候のことも・・・
n増悪は無視しないで!
n腹痛でも血糖チェック、チェック、チェック!!!


n下痢が無いのに「胃腸炎」は御法度!!! (実際はありますが)
n吐き気があるのに「便秘」も御法度!!! (実際はありますが)
  上記はいずれも重大疾患を見逃すリスク!!!

n小児のアレルギー性紫斑病はコモン!
n溶連菌感染症による腹痛はもっとコモン!
nオシャレにボケよう! 「おなか痛いんですね? じゃあノド診ましょうね~」
nもちろんパンツも脱がせてね (陰部、鼠径部)

nとりあえず、痛いところぐらいは見よう
nついでに、圧痛・腫瘤・膨満・皮疹の有無と、陰部・鼠径部の異常の有無までは見よう
n起きている出来事(尿閉・腸閉塞など)の原因を考えよう!
nいくつになっても急性虫垂炎!
nどんな状態でも急性虫垂炎!
n腹部身体所見が異常なくても、致死的疾患は否定できない(特に高齢者)

nFitz-Hugh-Curtis症候群は若い女性で超多い!
nその他のSTDも忘れずに!
n尿膜管遺残膿瘍も若者で案外いるらしい
n通り一遍の身体診察を行っても、必ずしも診断に直結する情報が得られるとは限らない
n病歴をもとに丁寧に鑑別疾患を吟味して、絞り込んで狙いに行く身体診察を!
n特に突発の腹痛は、心電図必須、できれば超音波 (心・大動脈、胆、腸、腎、胸腹水、子宮、卵巣、膀胱など)チェックを!
n身体診察は、一つひとつ目的意識をもって行おう!


今回、あらためて腹痛のことを考えて、使えそうな Clinical Pearls をならべてみたが、結局のところ一番大事なのは・・・

どんなに忙しくても、「何か変!」って思った時、流さないことだと思う。

「まあ いっか!」と思ったら・・・
それが “Red Flag!”

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