2020年1月19日日曜日

ACPについて じっくり学んでみた ~第152回 家庭医療レジデント・フォーラム~


本日は保原に移動して月例の勉強会。
いわきに長く住んでいるので、雪山を観るだけでワクワク興奮してしまうわたくしです。

今回のFaMReFのメインテーマは「ACP」でした。
人生会議などと堅苦しい感じに和訳されたACPですが、日頃あらためて「ACPしましょう!」と言って、あらかじめ「いざ」という時のことを話し合っても、本人・家族ともにピンとこない(実感がなくイメージがわかない)状況をよく経験します。
とかく、終末期の栄養管理や急変時の蘇生処置の希望の有無にフォーカスされがちなACPですが、ACPの本質は「本人が どのような人生を歩んできて、どのような価値観を持っているか」を、ケアに関わるすべての人たちが共有し、以後に起こりうる種々の状況に応じて、本人の価値観にかなう柔軟な判断・意思決定ができるようにするプロセスなんだと思います。
医師としてどのようにACPにサポートができるか? 日々の診療を通じて追究していきます。


2020年1月17日金曜日

「生きる」を支援する作戦会議 〜地域リハビリ研修会〜

リハビリをすること、リハビリを続けること、リハビリをオーダーすること、リハビリをケアプランに組み込むこと etc. リハビリが目的になっていませんか?
そんな皆さんには是非参加していただきたい!

 

2020年1月5日日曜日

How you do not feel even more painful, when you catch a cold 風邪をひいてしまった時、更に辛い思いをしないために…

If you think is it a cold? First, check for the three main symptoms of a cold: runny nose, sore throat, and cough. If two or more of these symptoms occur at the same time, the likelihood of a cold is high, and it can be expected that the patient will naturally relieve in a few days. On the other hand, if these three symptoms are absent or only one, and the symptoms worsen, the possibility of other diseases for which natural healing cannot be expected increases, so an early consultation is necessary.
In addition, if you fall under any of the following ① to ⑦, you should have a consultation.
① Symptoms worsen  or do not decrease after 3 days
② If you have chronic disease such as COPD (chronic obstructive pulmonary disease)
③ Once recovered, it returns
④ You can not stop shivering yourself
⑤ Strong pain never experienced in the past (head, throat, chest, etc.)
⑥ Cough lasts more than 3 weeks
With breathlessness

Symptoms and situations where influenza is highly suspected, we diagnose it as flu, because it cannot be ruled out even if the result of a rapid test is negative.
But even if you have influenza, if you are a low-risk patient, rest and hydration and the minimum necessary symptomatic treatment are basically the same as for a cold.



2020年1月3日は当院が休日当番医でした。発熱で受診される方が殺到し トータルで100名を超えました。そうなると、入院や転送が必要など中等症以上の患者さんへの対応が優先されますので、結果 軽症患者さんの中には何時間もお待ちいただいた方もおられます。
内心「自分だったら絶対家で寝てるだろう」と思う病状の患者さんがほとんどでした。
たまたま 1月4日の朝刊折り込み「La ・暮らす」で小生の駄文を掲載していただきましたので、ご参照頂ければ幸いです。
以下、投稿内容の引用

風邪をひいてしまった時、更に辛い思いをしないために…
皆さんは、風邪をひいてしまった時どうしていますか?慌てて寒い中ブルブル震えながら医療機関を受診したものの、何時間も待たされた挙げ句、医師から「風邪を治す薬はないので自宅で安静にしていた方が良かった」などと冷たく扱われ、受診したことを後悔したという経験はありませんか?しかし、確かにこの医師の発言内容自体は正しくて、本当に風邪であれば、医療機関を受診するメリットはほとんどありません。なぜなら、風邪は自然に治る上に特効薬がないからです。そう言われても「風邪かどうか分からないから心配で受診するしかない」という方もおられるでしょう。そこで今回は、本当に風邪かどうかをご自身で判断するためのコツをお示しします。
風邪かな?と思ったら、まずは風邪の主な3つの症状「鼻水」「のどの痛み」「咳」の有無をチェックしましょう。これらの症状がほぼ同時発症で2つ以上そろっていれば風邪の可能性が高く、数日で自然に快方に向かうことが期待できます。この場合、よほど症状が強くない限り、医療機関を受診するよりも安静の確保を優先する方が賢明です。症状の緩和が必要であれば市販薬を服用しても良いでしょう。一方、逆にこれらの3つの症状が全くないか1つしかなく、その症状が悪化していく場合は、自然治癒が期待できない他の疾患の可能性が高まりますので、早目の受診が必要です。
その他、以下の①~⑦に該当する場合は、風邪をこじらせて合併症を起こしているか、放置してはいけない風邪以外の疾患が疑われますので、医療機関を受診しましょう。
    3日経っても症状が軽減しない、悪化する
    COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、肺に持病がある
    一旦よくなったのにぶり返す
    寒くてガクガク震え、自力では止められない
    過去に経験したことのない強い痛み(頭、のど、胸など)
    咳が3週間以上続く
    息が荒い、息が苦しい

紙面の都合で、インフルエンザについては大胆にも一切触れていませんが、仮にインフルエンザであっても、低リスクの患者さんであれば、風邪と同様に安静と水分補給と必要最小限の対症療法が基本ですので、迅速検査や抗ウイルス薬の処方を受けるために休日や夜間に慌てて受診することはお勧めできません。
インフルエンザが強く疑われる症状や状況であれば、迅速検査で陰性であっても除外はできませんので、インフルエンザとして業務休止や他者との隔離等の対応をしておけば良いわけです。



2019年11月28日木曜日

虎井 何男(とらい なにお)さんは 何をトライすべきか? ~実践家庭医塾~

本日の実践家庭医塾での臨床研修医からのプレゼンの主役は「生活指導を続けてきたが脂質異常症が改善しない」とのことで、とある産業医の先生から紹介受診となった 虎井 何男(仮名)さん。
脂質異常もさることながら、実は虎井さん…バッチリ喫煙者でした。
「そっちは生活指導しとらんのかい!!!」っていうツッコミはごもっともですが、現実的には禁煙の動機づけは一筋縄では行かないことが多いですね。
虎井さんも初診時には禁煙導入が出来なかった患者さんの一人です。
そんな中、虎井さんが ある出来事をきっかけに禁煙の行動変容ステージの関心期→準備期→行動期へと一気に変貌を遂げる様を目の当たりにし、禁煙導入のサポートに関わることができた経験をもとに、禁煙指導・診療についてまとめてくれました。

宣伝になりますが、2020年11月14日(土)・15(日)には、第14回 日本禁煙学会学術総会が、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開催されます。
わたくしも実行委員の一人として大会を盛り上げてまいります。




2019年11月23日土曜日

先生の先生の先生の先生(笑)

 この度、日本で初めて開催された英国Royal College of General Practitioners(RCGP/英国家庭医療学会)主催の指導医養成講習会に参加させていただきました。
 英国における総合診療・家庭医療の歴史は長く、医療制度にしっかりと根ざした形で外来診療・訪問診療・地域包括ケアに多くのGeneral Practitioner(GP/家庭医)が従事し、医学生・研修医の間でもGPは大変人気のある診療科となっています。また、指導医資格の取得には教育に関する学習歴や実地での教育歴などの審査もあり、高いステータスと位置付けられています。
 こうした、総合診療教育の厚い基盤のあるRCGPの指導医養成講習会に参加することができたことは、日本で家庭医療の教育に関わっている私にとって、滅多に得られない機会でしたし、実際に多くの気づきと学びが得られた貴重な日々となりました。
 講習会には英国から教育に熟達した2名のGP指導医と上級指導医を目指す1名の若手GPが来日し、日本全国から集まった熱心な指導医ら約30名が合宿形式で5日間に渡って、総合診療における成人教育、教育手法、評価法、学習環境の整備、生涯学習、困難に直面した学習者の支援、リーダーシップなど数多の興味深いテーマで、参加者も活発に意見を出し合う対話形式の講義と少人数のグループワークが提供されました。
 講習会会場と宿泊施設が一体化していたので、移動や食事などに気を遣わず、まさに缶詰状態の環境で研修に集中することができました。
 特に、小グループに別れたロールプレイでの光景はとても印象的でした。先ず、一人の先生がプレゼンテーションを行い、その内容について別の先生が指導医としてコメントし、更に別の先生が指導医のコメントの内容や伝え方について指導医の指導医としてコメントし、更に更に英国の上級指導医から全体へのコメントが貰えるという、通常では有り得ない贅沢な状況が目の前で展開されていてとても痛快でした。
 質も量も膨大な内容で使用言語も英語でしたので、シャイな私にとってとてもハードルの高いものではありましたが、親切で情熱ある講師陣とフレンドリーな参加者の皆さんのおかげで、最後まで楽しく受講することができました。
 今は脳内が飽和状態で情報の整理が追いついていませんが、今回の講習会で学んだことは、工夫次第では実際の日本の医学教育の現場にも取り入れることができるほど、英知溢れるものでした。講習会に送り出してくれた仲間への感謝の気持ちを忘れず、得たものを現場に還元して教育の質を高めていきます。

2019年10月20日日曜日

被災地の最前線で働く家庭医

 この度の台風19号では、かしま病院職員も30名近く自宅の浸水被害に遭いました。その中には同僚の総合診療科医師2名が含まれます。彼らの居住地域にあるすべての診療所が甚大な被害を受け、通常の診療を再開できる目途が立たない状況となっています。しかし、市内全域の医療機関の約9割が一時機能停止に陥った東日本大震災の発災直後とは状況が異なり、市内の医療機関のほとんどが通常通りの診療を継続出来ている今回は、自力で移動ができる患者さんであれば他院を受診することが可能です。避難所を利用すれば、巡回している医師・薬剤師・保健師等のチームが、適切な医療が受けられるよう支援することもできます。ところが、今回は発災から一週間の時点で、避難所の利用者数が被災地域の居住者数に対して一割にも満たないようです。これは、被災地域近隣が大規模な断水に見舞われ、避難所が比較的遠方に設置されていることに起因していると思われます。自家用車の水没により移動手段を失った方々や、もともと移動が困難な災害時要支援者(災害弱者)は、やむなく自宅の2階に留まっていて、持病の薬が無くなって困っていたり、心身の疲労から体調を崩したりしているかもしれません。


 このような問題点をいち早く認識し、行政や医師会などの関係団体に現場の状況を報告し、救援を求めてくれたのが、1メートルを超える浸水被害を受けて自宅の片づけをしていた当院の家庭医たちでした。彼らの現場からの声はすぐに行政を動かし、対策本部の現地事務所と救護所が設置され、現地に居ながら正確な情報の入手と医療や入浴などの生活基盤を確保することができるようになりました。災害後には急性および慢性の身体的・精神的健康問題が発生し、長期にわたりプライマリ・ケアの利用が増加することが報告されていますが、家庭医は被災者の心身の健康ニーズに対応するために適しています。まだまだ復旧まで多くの時間と労力を要しますが、地域に生き地域のために働くことができる家庭医が最前線で活躍しているのはとても心強いことです。

2019年9月29日日曜日

喜多方で どっぷり家族に浸かる ~第148回 家庭医療レジデント・フォーラム~

本日の家庭医療レジデント・フォーラムは、蔵のまち喜多方での開催。
テーマは家族志向ケアでした。


夫婦のありかた、親の役割、アルコール依存、虐待、家族構成員それぞれの役割、セクシャルマイノリティーを受容し支援する家族…。
困難事例のオンパレードで もう満腹です。


満腹と言えば本日のランチは喜多方ラーメン ツアー!
市内120程あるという数ある名店の中から、主催者が厳選した会場近隣の3店舗に、参加者が3チームに分かれて昼ラーしてくるという新しい企画。
食堂や酒蔵、農業など、家族のつながりが強い家業が多い地域で、ラーメン店も家族経営感満載ですし、日曜ということもあり訪れる客も家族連れも多く、家族について深く考え振り返る絶好のシチュエーションでした。
勿論、美味しゅうございました。他の2チームも同様のようでした。