2022年12月18日日曜日

ウィンター・オンライン・フォーラム2022(第176回 家庭医療レジデント・フォーラム with 望年会)

 今回は、外部参加を募っての開催でした。

前半では複雑困難事例への対応を学び、後半には未来の総合診療医が提供するプライマリ・ヘルス・ケアの質を高めるための方略を議論しました。

番外編では、内輪限定で、忘年会ならぬ、未来を見据えた語り場としての望年会が開催され、数多くのぶっちゃけトークを通して、伸びしろしかない家庭医・総合診療医の未来を展望しました。



2022年11月14日月曜日

臨床技能評価 2022 ~第175回 家庭医療 レジデント・フォーラム~

2022年11月13日、久々の現地対面開催となった家庭医療レジデント・フォーラムは、毎年恒例の福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座オリジナルの臨床技能評価でした。今年度から総合診療専門研修プログラムの修了判定に用いることになりました。

指導医陣作問の完全オリジナル新作5題が提供され、模擬患者も指導医陣が担当し、今年度で研修修了予定の専攻医が受験しました。

通常は今後の改善につながる前向きな表現を中心とした形成的評価を行いますが、今回は受験者に対する合否判定に用いるため、不慣れな総括的評価をしなければなりません。

とはいえ、まだまだ成長過程にある専攻医ですので、いつも通り更なる発展を期待した形成的評価を加えます。

少なくとも私は、専攻医が良く学んでくれたことを確認できて、とても嬉しい時間を過ごすことができました。

2022年9月18日日曜日

普段使いの家庭医外来 ~第173回 家庭医療レジデント・フォーラム~

本日の指導医レクチャーは、高齢者診療を中心とした普段使いの家庭医外来をテーマに
定期通院している目立たない普通の患者さんの緩やかな変化への対応について考える機会になりました。

静かに進行する高齢者の貧血や癌。
人知れず高血糖になっていた高齢者。
典型的でない病歴で受診し、実は重篤な病態の高齢者。

これらに対応するために、定期的な体重測定、定期的な血算・血糖の測定、体調不良で受診時の血算・CRP測定、肺癌高リスク者への定期的胸部画像チェック、バイタルサイン・身体所見の確認を外来のルーティーンにすることが提案されました。


2022年5月15日日曜日

この方 本当に胃ろうが必要? ~第172回 家庭医療 レジデント・フォーラム~

本日の家庭医療レジデント・フォーラムの指導医レクチャーのテーマはリハビリテーションでした。
胃ろう造設後の患者さんの事例を通して、国際生活機能分類を用いたグループワークを行い、ケアの目標設定などについて議論しました。
胃ろう造設後は、当然、経管栄養が行われるわけですが、そのまま長期に経腸栄養が継続されることが多いです。
その多くは、経腸栄養継続にもかかわらず、徐々に衰弱が進行したり、肺炎を合併して急激に容体が悪化したりして、生命維持の限界に向かっていきます。
しかし、その後の経過は個々により様々で、胃瘻造設を要した時点では、嚥下機能が不十分だったものの、経腸栄養が奏功し、栄養状態が改善した結果、嚥下機能を含めた身体機能が改善し、結果として胃ろうが不要になる方もおられます。
こういった場合、国際生活機能分類をあらためて適用してみて、実際におこなっている活動と、できる活動に乖離がないか?を確認しながら、ケアの目標を再設定することはとても有用だと思いました。

2022年4月3日日曜日

しあわせな集団へようこそ! ~第171回 家庭医療 レジデント・フォーラム~


 年度初ということで、福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座の総合診療医 新人専攻医のオリエンテーションを兼ねたものでした。今回もオンライン開催となりましたが、先輩研修医や指導医も、自身のビジョンやプランについての考えをまとめられる語りの機会が設定されるというハイブリット構造で、よく工夫されたとても良い企画でした。

残念ながら、私は所用が重なり細切れ聴講となってしまいましたが、フォーラム全体を通して確認できたことは、講座のメンバー 一人ひとりが、それぞれの立場で、ウェル・ビーイングを目指し、取り組んでいるということです。しかも、新人専攻医らも、そのような既に志を抱いて、私たちの仲間入りしてくれていることも彼らの発言を通して確認できました。

ウェル・ビーイングとは、幸福で肉体的・精神的・社会的すべてにおいて満たされた状態のことですが、総合診療医として働くこと、総合診療医を育てること、地域住民に広く総合診療医を正しく理解してもらうこと、総合診療医が活躍できる仕組みをつくること、こういった取り組みすべてが地域社会のウェル・ビーイングに寄与する、それを確信している、そんな共通認識が講座のメンバーにはあるようです。

そして、それは医療を受ける側だけでなく、提供する側である総合診療医にとっても、自身のウェル・ビーイングにつながることが再認識されました。総合診療医は医師である前に、一人の人間です。自分がやりたいことに熱意をもって取り組んだ結果、それが広く社会のウェル・ビーイングにつながるなら、これほどやりがいのあり、幸福なことはないでしょう。

要するに、人の“しあわせ”にかかわることができること自体が“しあわせ”で、そんな“しあわせ”な仲間に囲まれて仕事ができることは、私にとっても とても“しあわせ”なことです。

2022年4月1日金曜日

かしま病院が社会貢献し続ける組織として発展するために

令和441日から 渡辺 修 前院長の後任として、社団医療法人 養生会 かしま病院4代目 院長に就任しました 石井 敦 です。私は 平成14年に当院に赴任し、総合診療の実践・教育に携わりながら、病院の変遷を見つめてきました。医療を取り巻く情勢がめまぐるしく変化している今般、この重責を託されたことに、身の引き締まる思いですが、全力を尽くし、病院運営の責務を果たしてまいります。

急性期・回復期・慢性期・予防医療から施設・在宅ケアまで、医療・介護において一貫した連携体制を整備し、家庭医・総合診療医の育成に積極的に取り組んできた当法人の使命は、質が高く切れ目のない地域医療を提供することに他ならないと考えます。私は、当院の基本理念「地域医療と全人的医療の実践」のために全力で取り組み、地域の皆さんと協力し、安心して暮らすことができるまちづくりをライフワークとしていく所存です。

院長としての私のミッションは、中山 大 理事長が示されている「面倒見の良い病院」を創ることと考えています。そのために「かしま病院は、地域住民が抱え、地域社会に存在する問題を解決するために存在する」ということを全職員に周知徹底します。職員一人ひとりが「面倒見の良い病院」の一員として、どんな小さなことでもよいので、「自分が地域に貢献できることは何か?」を主体的に考え行動し、それぞれの立場で社会の持続可能性に貢献できる枠組み、つまり、自分オリジナルな「面倒見のカタチ」を創出できるように教育してまいります。

当法人は創立から39年を経て、各部署に世代交代の波が押し寄せていますが、幸い当院には常日頃から多職種が連携し合い機能する団結の文化が醸成されています。その強みを生かし、次世代においても、地域社会に求められ発展し続けられるよう努めます。無論、当院はまだまだ発展途上ですが、言い換えれば、更に成長できる伸びしろがあると思います。

私の夢は、まるで電気・ガス・水道などのライフラインのように、病める時も健やかなる時も常に生活必需で、職員が院内外の隔たりなく地域社会に浸透し、社会貢献し続ける仕組みを構築することです。職員から斬新なアイデアを募り、既存のルールや慣習に縛られることなくチャレンジし続けます。ゆるぎない信念と変わる勇気をもって前進し、新しいかしま病院を創ってまいります。

全世界がコロナ禍やウクライナ情勢などに翻弄されている今だからこそ、ただひたすら苦しみに耐え忍ぶのではなく、職員一人ひとりが目的意識と使命感を持ち、難局さえも楽しみながら、やりがいと達成感に満ち溢れる病院にしていきたいと思います。地域の皆様におかれましては、その様子を見守り、時に励ましのお言葉やご指導をいただけますようお願い申し上げます。

令和4年4月1日

社団医療法人 養生会 かしま病院 院長  石 井 敦

2022年3月20日日曜日

延び延びの研修修了記念プレゼン ~第170回 家庭医療 レジデント・フォーラム~

本日の家庭医療レジデント・フォーラムでは、2年も前にとっくに研修を修了し、専門医としてご活躍の遠藤芽依先生の研修修了記念講演が行われました。本来は対面で聴講し、その後に盛大な修了記念式典が挙行されるのが慣例でしたが、コロナ禍で延び延びになっていたわけです。

で、おめでたい記念講演の冒頭で「自分のお葬式の弔辞で、何を言われたいか?」という、なかなかな質問が投げかけられました。

自分だったら間違いなく「変わり者(要するに変態)でした」と言われると思うのですが、そのように語ってもらえれば本望です。私にはどうも「普通じゃつまんない」という本質が練りこまれているようです。

遠藤先生は「愛に満ちた人でした」と言われたいとのことで、某消費者金融会社のCMを連想する内容でしたが、プレゼンを通して、もうすでに「そこに愛はあるんだな」と実感しましたし、これから家庭医として歩む中で、ますます愛に満ち溢れていくであろうことを確信しました。遅ればせながら、本当に研修修了おめでとうございました。