2021年10月17日日曜日
家庭医の予防医療 ~第166回 家庭医療レジデント・フォーラム ~
2021年9月26日日曜日
マインドフルネスの活用 ~第165回 家庭医療レジデント・フォーラム~
本日の家庭医療レジデント・フォーラムの指導医レクチャーでは、日頃からプライベートでも仕事でもマインドフルネスを取り入れている若山先生から、ワークを交えたマインドフルネスのお話がありました。
ネガティブな思考の反芻や心配事は、うつ病などの精神疾患を引き起こす要因になりますが、マインドフルネスに基づく介入は、反芻や心配を減らすのに有効であるという複数の報告があります。
1970年以来、マインドフルネスの臨床応用が開発され、心の健康に関する問題の予防や治療効果があるようです。
すぐに自身の診療に活用するのはなかなか難しい概念のようにも感じつつ、振り返ると実はすでに無意識のうちに活用している部分もあるような…
自身の日常では、ひたすらランニングしている時が、この状態に当てはまるように思います。
その瞬間 瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれない状態で、ただ観るとという境地を目指していきたいと思います。
2021年7月29日木曜日
家族機能のアセスメント ~第164回 家庭医療レジデント・フォーラム(特別編)~
2021年7月25日開催の家庭医療レジデント・フォーラムは、東京慈恵会医科大学附属病院 家族支援専門看護師の児玉久仁子さんに講師を務めていただき、家族機能のアセスメントについてかなり深いところまで突き詰めて学びました。
児玉さんの講義によると、よく言う家族療法はシステム的家族療法で、システム論1980年代までに発展し、そこに徐々にナラティブアプローチが加わり、以降の世代に広がっていて、家族看護は看護学のアプローチが加わっていったもので、メディカルファミリーセラピーは、身体・精神・社会モデルに準じて行われる家族療法で、これが総合診療医になじみ深い家族志向のプライマリ・ケアという位置づけになるそうです。
家族志向ケアでは、ヘルスケアの主役は家族という背景を持った患者であり、治療者もシステムの一部であると考えるのですが、臨床家もシステムの一部というのは、歴史的に新しい考え方のようです。
今回は特に家族システム論の中の家族機能について掘り下げて学びました。
家族機能には相互作用の連鎖(パターン)があり、一定のルールに則った特徴的な行動パターンが繰り返されます。
そこには原因と結果があり、通常では原因をなくすようにアプローチするわけですが、家族関係に当てはめると上手くいかないようです。例えば、アルコールを飲むので生活習慣病の管理が悪いケースで、本人の立場は「妻が怒るからお酒を飲む」というので、妻が怒らなければ解決するのかと思えば、妻からすれば「夫が朝から飲むから怒る」という具合に、悪循環は、それぞれの相互関係で巻き起こっていて、原因はシンプルではないということです。
家族の相互作用を確認し、やりとりを細かく聴取し、ここでは「何があったか」に焦点し、「誰が悪い」「何が悪い」ではなく、「誰も悪くない」とはっきり伝えることが大事で、アプローチポイントは、ネガティブなフィードバックをせずに、実践の中で出てきているポジティブな部分、家族の良いところを探すことのようです。
問題そのものに切り込むのではなく、その背景にある良い部分にフォーカスすることが、悪循環を好転させるきっかけになるようです。
専攻医が提示した事例は、まさに、自宅退院を希望する患者とそれを頑なに拒む家族に対し、家族の行動の背景に潜む優しさや几帳面さに気づきフォーカスしたところ、八方ふさがりにみえていた事態が、一気に好転するというものでしたので、このアプローチの有用性を実感できるものでした。
2021年7月22日木曜日
指導医のモヤモヤについて気軽に語り合おう!
2021年7月21日、初めて開催された「ふくジェネトレーナーズラウンジ(ジェネトレ)」に参加してみました。ジェネトレは、福島県⽴医科⼤学 医学部 総合診療医センター主催の指導医向けオンライン講習会で、指導医養成が専門領域の及川沙耶佳先生(福島県立医科大学 医療⼈育成・⽀援センター)をアドバイザーに招き、学⽣や研修医の教育にやりがいを感じながらも、教育に対してモヤモヤや不全感を感じる指導医らが、教育について気軽に語り学べる場を提供する目的で企画されました。
栄えある事例提示のトップバッターとして、先ずは私自身の拙い医学教育の実践例を紹介させていただきました。私が医学生の臨床実習教育を担当する際に注力している点は、なるべく多く実際の臨床経験(患者さんを診るということ)をしてもらうことです。座学や机上の自学だけでは定着しなかった記憶や技術が、患者さんやご家族との関りを通して定着し、学習を促進すると信じているからです。実際に多くの学生は、臨床経験を通して高いレベルの気づきを得てくれます。中には指導医の期待をはるかに上回る深い学びを得る学生もいます。一方で、同じように臨床経験を積ませても、その経験の意義をあまり理解してくれない学生もいて、この差はどこから生まれるのか?というモヤモヤがありました。参加者の先生方と賑やかに語り合いながら、私のモヤモヤについても共感していただきました。
その後、アドバイザーの及川先生から私の事例について解説をしていただき、経験的学習理論の理解が重要であることを知ることができました。やみくもにたくさん経験させるだけでなく、学生の過去の経験とリンクして、もともとある知識と関連化し臨床に応用できるように、指導医として、一人ひとり違う学生に関心を持ち、それぞれにとって最適な気づきの促進の仕方を探求していこうと思います。
2021年6月26日土曜日
家庭医療/総合診療 サマー・オンライン・フォーラム 2021
福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座では、家庭医療/総合診療を学びたいという医学生・研修医向けに、2006年から毎年サマー・フォーラムを開催しています。
第1部では、在宅医療をテーマに、家庭医とともに訪問診療を疑似体験できるワークショップでした。参加者はこのセッションを通して、患者の病状にフォーカスした視点、家族・社会背景を含めた全体を見渡す視点、流れを読み戦略を練り実行する視点、これら3つの目を駆使して、より良いケアに活かしていく患者中心の医療の方法の有用性や楽しさ・やりがいを体感できたようです。
第2部では、健康の社会的決定要因をテーマに、患者の現状を整理し、そうなっている原因を探り、実現可能な具体的な支援を導きだすワークをおこないました。健康の社会的決定因子には、収入・教育・住居・医療サービスへのアクセス・幼少期の体験・社会的支援・コミィニティ・仕事・食事や栄養状態などがあります。これらの状況をそれぞれ確認することで、いま起きている問題点が整理しやすくなり、更に、何故そうなっているのかを分析することで、これからの戦略が立てやすくなることを実感することができました。
このサマー・フォーラムは、昨年からオンラインでの開催となっていますが、今年も医学生・研修医を中心に40名を超える参加があり、大盛会となりました。
2021年6月12日土曜日
情報の鵜呑みにご注意を! ~第163回 家庭医療 レジデント・フォーラム~
2021年5月19日水曜日
世界家庭医の日
5月19日は世界家庭医の日です。この家庭医の日は、世界中の医療システムにおける家庭医とプライマリ・ケア チームの役割と貢献にハイライトをあてる日として、世界家庭医機構が2010年に制定しました。「なぜ5月19日なのか?」それは私に質問してはいけません。なぜなら、私が調べた限り理由は不明だったからです(笑)。正解が分かった方はコッソリ教えてくださいね(笑2)。
この日が制定された経緯や日付の由来もよくわからない私が言うのもなんですが、普段とても地味で地道に、あたりまえで身近な医療を、身近な皆さんに、包括的かつ継続的に提供している家庭医が、年に一度ぐらい主役として注目される日があってもいいな~って思います。
2021年の世界家庭医の日のテーマは「家庭医と未来を構築しましょう!」です。そして、より良い未来に向けて課題を克服するための要員として、4つのパートナーが示されています。
1つめは「プライマリ・ケア チーム」です。言うまでもなく、多職種連携はより良いケアの要です。
2つめは「患者さん」です。医療の利用者である患者さんが、医療の提供者側に全部お任せすることなく、主体的にケアに参加することは、質の高い患者中心の医療を実現するための源です。
3つめは「最新の技術」です。患者さんが最新の技術や知見による恩恵を適切に享受できるよう常に自身の医学知識をアップデートし続け、適切な医療連携を提供することは、家庭医に課せられた重要な使命です。
そして、最後の4つめは「あなた」です。家庭医は「あなたの専門医」です。あなたの脳でもなく、心臓でもなく、胃腸でもなく、あなたとあなたを取り巻くすべての環境や状況、あなたの大切な人たちやペットや物、すべてをひっくるめて、いまのあなただけでなく、昔のあなたも、これからのあなたも、あなたのお子さんも、お孫さんも、ずっとずっとケアし続けていきたいと考えています。
いまのところ、家庭医の日を知る人は相当のマニアだけかもしれませんが「打倒 父の日!」ぐらいの気概で頑張っていきます(笑3)。