2012年9月29日土曜日
豊間地区の復興と子どもたちの未来
久々に豊間・薄磯地区を訪れた。
震災直後、この地に時々訪れる度に徐々に瓦礫は片付き、復興に向けた動きを肌で感じていたのだが・・・
その先の方向性が決まらないこの地では、瓦礫が片付いて更地になって以来、まるで時間が止まったかのように、一見すると目に見える変化が感じられなくなっていた。
しかし、今日は少し違っていた。
先が見えないこの地にも、人々の生活がある。
この地の復興を願う人々の少しずつの行動の積み重ねが、確実にこの地に新たな息吹を起こしているのを感じることができた。
未だ防波堤近くの豊間中には、山のようにがれきが積み上げられ、廃墟のようになっているものの、土台だけになった家々にほどこされた花や魚のスプレーアートがこの地区全体を明るく照らしているようだった。
そして、豊間小学校には、子供たちが戻ってきている。未だこの地に住むことはできなくとも、避難先からのスクールバスで通っている。
小学生ばかりではなく、元の校舎が被災して使えなくなっている豊間中の生徒も間借りして小学校で学んでいる。
再開した小学校の通学路には「がれきに花を咲かせましょうプロジェクト」in豊間の活動により花が植えられた。
奇しくも、本日、豊間地区復興祈念祭が行われた。
子どもたちが将来、「ここが自分のふるさとだ」と誇れる地域を創造したい。未来ある子どもたちのために、未来ある地域を創造して行く。
そんな大人たちの切なる想いが、すでに子どもたちの未来に芽吹き始めていることを信じている。
2012年9月28日金曜日
日本のハワイを訪れたハワイからのお客様
2012年9月28日。
今週、ハワイから福島県を訪問してくれている、ハワイ大学医学部家庭医療科レジデントの伊藤真次先生が、遂に日本のハワイ(別名:陸の孤島)上陸!
早速、いわき名物メヒコのカニピラフとジュネスのサンドイッチとオードブルをつつきながらお勉強!
ここでも、ハワイの医療の現状について楽しく熱くプレゼンをしてくれた。
(今週、県内各地でプレゼンしているので今回で5度目?)
なんか喋り慣れてきてる感じに仕上がってるぜ!
その静かな口調の端々から「故郷の日本の家庭医療をどうにかしたい」という熱い想いがジワジワ伝わってくる。
観光地として華やかな面ばかりが強調されているが、実際のハワイは食生活を始め生活格差が激しいのをあらためて実感した。
今週、ハワイから福島県を訪問してくれている、ハワイ大学医学部家庭医療科レジデントの伊藤真次先生が、遂に日本のハワイ(別名:陸の孤島)上陸!
早速、いわき名物メヒコのカニピラフとジュネスのサンドイッチとオードブルをつつきながらお勉強!
ここでも、ハワイの医療の現状について楽しく熱くプレゼンをしてくれた。
(今週、県内各地でプレゼンしているので今回で5度目?)
なんか喋り慣れてきてる感じに仕上がってるぜ!
その静かな口調の端々から「故郷の日本の家庭医療をどうにかしたい」という熱い想いがジワジワ伝わってくる。
観光地として華やかな面ばかりが強調されているが、実際のハワイは食生活を始め生活格差が激しいのをあらためて実感した。
英国の家庭医療に学ぶ 変わる「勇気」と「本気」 ~家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾~
本日の実践家庭医塾では、先日の第3回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会のメインシンポジウム等で発表された、Roger Neighbour 先生(英国家庭医学会 元会長)の「英国のプライマリ・ケア、その国民医療における役割」のプレゼン内容が紹介された。
個人的には、学会会期中にポスターセッション会場にいる時間が長かったため、やむなく聴き逃していた内容なので、今回の再現はとてもありがたかった。
印象的なメッセージをいくつか紹介すると・・・
「プライマリ・ケア」と「二次ケア」とのいずれが優れているか?
という議論はナンセンスで、
「プライマリ・ケア」と「二次ケア」のそれぞれは、他方がしっかりしている時に最良の機能を果たす。
「日本は英国型のヘルスケアを取り入れるべきである」ということを提案してるのではなくて、英国とは異なった歴史、文化、制度をもつ日本では、それに見合ったヘルスケアを目指すべきである。
しかし・・・
質の高いプライマリ・ケアが、国のヘルスケア・システムに貢献することを確信して欲しい。
ヘルスケア・システムのプライマリ・ケアの部分を強化した時、日本がどれだけ恩恵を被るか想像してもらいたい。
科学としての医療、スペシャリストとしての医療、結果が出る医療、余命を延長する医療が強く求められる現代では、費用が膨れ上がり、健康不平等が顕著になっている。
その中で、「プライマリ・ケア医」か「スペシャリスト」のどちらかで提供されるサービスを比較した研究の大半が、プライマリ・ケア医を使うと、ケアの質や患者のアウトカムに不利益をもたらさずに、費用を抑制し、患者満足度を向上させることを示している。
ところで、プライマリ・ケアとは何ぞや?
<WHOのアルマ・アタ宣言(1978)での定義>(抜粋)
・・・必須のヘルスケアであり、実際的で科学的根拠があり、社会に受け入れられる方法と科学技術を基盤として、地域にいる個人と家族に彼らの十分な参加を通して、そして地域と国が自立と自己決定の精神で発展するすべての段階で維持可能な費用によってあまねく利用可能になっている。
つまり、essenntial (健康や幸福にとって必要なものすべて)であり、universal (すべての国民の権利)であり、in the community (患者の自宅内やその近隣で提供されるもの)であり、affordable (国家と患者個人の両方にとって入手可能)なのである。
現代のすぐれたプライマリ・ケアは・・・
①健康の最適化と資源配分の公平性とバランスをとる
②多数の病気を持つ患者のケアを統合する
③個々の患者の健康問題への反応を認める
④予防・治療・リハビリテーションのサービスを地域で提供する
⑤病気の社会的・感情的・心理的・家族的・経済的コンテクストをあつかう
⑥専門分化した資源(例:二次ケア)の使用を組織化し合理化する
これらを実現させるために、英国家庭医学会は、以下の指導的役割を果たしてきた
①医療ジェネラリズムと臨床ジェネラリストの役割の定義する
②家庭医療を法的に正当で地位の高い専門分野として確立する
③未来の家庭医のための必須包括研修を発展させる
④新しい家庭医のためのカリキュラムと評価基準を設定する
⑤大学・医学校に影響力のある家庭医療またはプライマリ・ケア講座を確保する
⑥率先してヘルスケアの政策立案に患者を関与させる
そして、学会は、国民・医療者・政治家ときちんと向き合ってきた。
結果、世論調査によると、国民は終始一貫、職業全体の中で家庭医を以下の理由から最も高く評価している。
①親密で個人的な医師-患者関係
②時間をかけたケアの継続性
③患者の家庭医への容易なアクセス
④臨床能力
⑤「患者の弁護者」としての役割
プライマリ・ケアの高い診療水準を促進するために
①最も優秀な医学卒業生を募集
②すぐれた研修と高い地位の認定を提供
③国民に高い水準を期待するよう教育
④金銭上のインセンティブ(実績に関連した支払い)
不要な医療でも支払われる日本の出来高払いとは全く違う!
⑤生涯教育
⑥評価と再認定
ここまで聴いていて、日本では想像すらできないような、とても凄いことが実現している英国への羨望のまなざしをもちながら、日本とは決定的に違う あることに気付いてしまった。
英国では、国民が受けるヘルスケアの水準を高めるためにはどうしたらいいか?医師を含む医療者も、政治家も、学会もみな同じ方向をむいて、本気で考え、本気で実行しているということを。
日本の医者は、医師会は、政治家は、学会は・・・
みな同じ方向を向いているだろうか?
本気で考え、本気で実行しているだろうか?
本当に国民目線だろうか?
必死に、我武者羅にもがいていると言えるだろうか?
「日本の底力」は本当に素晴らしいと思う。
けれど、それは日本人特有の現状のまま頑張り続ける我慢強さが基盤になっている気がしてならない。
しかし、我慢には必ず限界がくる。
もはや、現状維持し続けることは不可能なのである。
限界の時がおとずれる前に、日本は今、変わる「勇気」と「本気」が求められているのだと思う。
個人的には、学会会期中にポスターセッション会場にいる時間が長かったため、やむなく聴き逃していた内容なので、今回の再現はとてもありがたかった。
印象的なメッセージをいくつか紹介すると・・・
「プライマリ・ケア」と「二次ケア」とのいずれが優れているか?
という議論はナンセンスで、
「プライマリ・ケア」と「二次ケア」のそれぞれは、他方がしっかりしている時に最良の機能を果たす。
「日本は英国型のヘルスケアを取り入れるべきである」ということを提案してるのではなくて、英国とは異なった歴史、文化、制度をもつ日本では、それに見合ったヘルスケアを目指すべきである。
しかし・・・
質の高いプライマリ・ケアが、国のヘルスケア・システムに貢献することを確信して欲しい。
ヘルスケア・システムのプライマリ・ケアの部分を強化した時、日本がどれだけ恩恵を被るか想像してもらいたい。
科学としての医療、スペシャリストとしての医療、結果が出る医療、余命を延長する医療が強く求められる現代では、費用が膨れ上がり、健康不平等が顕著になっている。
その中で、「プライマリ・ケア医」か「スペシャリスト」のどちらかで提供されるサービスを比較した研究の大半が、プライマリ・ケア医を使うと、ケアの質や患者のアウトカムに不利益をもたらさずに、費用を抑制し、患者満足度を向上させることを示している。
ところで、プライマリ・ケアとは何ぞや?
<WHOのアルマ・アタ宣言(1978)での定義>(抜粋)
・・・必須のヘルスケアであり、実際的で科学的根拠があり、社会に受け入れられる方法と科学技術を基盤として、地域にいる個人と家族に彼らの十分な参加を通して、そして地域と国が自立と自己決定の精神で発展するすべての段階で維持可能な費用によってあまねく利用可能になっている。
つまり、essenntial (健康や幸福にとって必要なものすべて)であり、universal (すべての国民の権利)であり、in the community (患者の自宅内やその近隣で提供されるもの)であり、affordable (国家と患者個人の両方にとって入手可能)なのである。
現代のすぐれたプライマリ・ケアは・・・
①健康の最適化と資源配分の公平性とバランスをとる
②多数の病気を持つ患者のケアを統合する
③個々の患者の健康問題への反応を認める
④予防・治療・リハビリテーションのサービスを地域で提供する
⑤病気の社会的・感情的・心理的・家族的・経済的コンテクストをあつかう
⑥専門分化した資源(例:二次ケア)の使用を組織化し合理化する
これらを実現させるために、英国家庭医学会は、以下の指導的役割を果たしてきた
①医療ジェネラリズムと臨床ジェネラリストの役割の定義する
②家庭医療を法的に正当で地位の高い専門分野として確立する
③未来の家庭医のための必須包括研修を発展させる
④新しい家庭医のためのカリキュラムと評価基準を設定する
⑤大学・医学校に影響力のある家庭医療またはプライマリ・ケア講座を確保する
⑥率先してヘルスケアの政策立案に患者を関与させる
そして、学会は、国民・医療者・政治家ときちんと向き合ってきた。
結果、世論調査によると、国民は終始一貫、職業全体の中で家庭医を以下の理由から最も高く評価している。
①親密で個人的な医師-患者関係
②時間をかけたケアの継続性
③患者の家庭医への容易なアクセス
④臨床能力
⑤「患者の弁護者」としての役割
プライマリ・ケアの高い診療水準を促進するために
①最も優秀な医学卒業生を募集
②すぐれた研修と高い地位の認定を提供
③国民に高い水準を期待するよう教育
④金銭上のインセンティブ(実績に関連した支払い)
不要な医療でも支払われる日本の出来高払いとは全く違う!
⑤生涯教育
⑥評価と再認定
ここまで聴いていて、日本では想像すらできないような、とても凄いことが実現している英国への羨望のまなざしをもちながら、日本とは決定的に違う あることに気付いてしまった。
英国では、国民が受けるヘルスケアの水準を高めるためにはどうしたらいいか?医師を含む医療者も、政治家も、学会もみな同じ方向をむいて、本気で考え、本気で実行しているということを。
日本の医者は、医師会は、政治家は、学会は・・・
みな同じ方向を向いているだろうか?
本気で考え、本気で実行しているだろうか?
本当に国民目線だろうか?
必死に、我武者羅にもがいていると言えるだろうか?
「日本の底力」は本当に素晴らしいと思う。
けれど、それは日本人特有の現状のまま頑張り続ける我慢強さが基盤になっている気がしてならない。
しかし、我慢には必ず限界がくる。
もはや、現状維持し続けることは不可能なのである。
限界の時がおとずれる前に、日本は今、変わる「勇気」と「本気」が求められているのだと思う。
2012年9月27日木曜日
ハワイの家庭医療に学ぶ日本の家庭医療の方向性
2012年9月26日。ハワイ大学医学部家庭医療科レジデントの伊藤真次先生をお招きしての懇親夕食会。
伊藤先生から、ハワイの医療の現状を問題点も含めて教えていただいた。
何より、伊藤先生が「日本の家庭医療の発展のために貢献したい」という熱い志をもっている僕らの仲間であることを実感できたことが嬉しかった。
アメリカでは、国民皆保険でないことによる弊害が大きい。
当然、無保険者の定期受診率は低く、急患としての受診率が高くなる。
一方、国民皆保険制度のある日本では、医師不足と言われつつも、医者は比較的身近な存在だったりする。
僕らプライマリ・ケアを担う医者達が もっともっと医療の利用者にとって身近な存在になれるように努め、医療の利用者は もっともっと上手に僕らを活用して、ちゃんと機能するように仕向けていけば、うまくいかないはずはない。
日本は未だ家庭医療の後進国ではあるけれども、日本の良いところを活かしながら、一つひとつ障壁をクリアしていけば、必ずや世界に誇れる日本流の優れたヘルスケアシステムを構築できるような、そんな希望や勇気・予感がもてるような素敵な時間になった。
なぁ~んて、堅苦しい話は抜きにして、本当は、美味い酒と肴があれば頑張れる自分である。
で、うちら 結局最後はこうなっちゃうわけで・・・
なんだこの一体感は?
伊藤先生から、ハワイの医療の現状を問題点も含めて教えていただいた。
何より、伊藤先生が「日本の家庭医療の発展のために貢献したい」という熱い志をもっている僕らの仲間であることを実感できたことが嬉しかった。
アメリカでは、国民皆保険でないことによる弊害が大きい。
当然、無保険者の定期受診率は低く、急患としての受診率が高くなる。
一方、国民皆保険制度のある日本では、医師不足と言われつつも、医者は比較的身近な存在だったりする。
僕らプライマリ・ケアを担う医者達が もっともっと医療の利用者にとって身近な存在になれるように努め、医療の利用者は もっともっと上手に僕らを活用して、ちゃんと機能するように仕向けていけば、うまくいかないはずはない。
日本は未だ家庭医療の後進国ではあるけれども、日本の良いところを活かしながら、一つひとつ障壁をクリアしていけば、必ずや世界に誇れる日本流の優れたヘルスケアシステムを構築できるような、そんな希望や勇気・予感がもてるような素敵な時間になった。
なぁ~んて、堅苦しい話は抜きにして、本当は、美味い酒と肴があれば頑張れる自分である。
で、うちら 結局最後はこうなっちゃうわけで・・・
なんだこの一体感は?
2012年9月23日日曜日
2012年9月22日土曜日
日本の家庭医 vs 嵐
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