2018年11月1日木曜日

「おひとりさま」をケアするということ… ~実践家庭医塾~

今宵は、SDF(超医師〇〇)氏が、天涯孤独な患者さんと関わった経験事例から、健康の社会的要因の影響をダイレクトに受けやすい「おひとりさま」のケアについての省察を発表してくれました。


一般的に健康の社会的決定要因には以下のものがあります。
①社会格差
②ストレス
③幼少期の環境
④社会的排除(少数民族・外国人・身体障害者、避難民・ホームレス等)
⑤労働(裁量権のない環境等)
⑥失業
⑦社会的支援
⑧薬物依存
⑨食事
⑩交通
⑪検診受診率
その他の新たな問題となる可能性がある要因として…
・ジェンダー(LGBTQなど)
・難民・移民・留学生
・思想(SNSを含む)
・雇用の流動性・不安定性
・高齢化

直接的な診療という形でのサポートがしにくい事例では、家庭医だけの力では如何ともし難いところ…
社会を動かす大きな力が必要です。

日本プライマリ・ケア連合学会でも、実は地味に下記の内容の「健康格差に対する学会の行動指針」を示していることが紹介されました。
1) あらゆる人びとが健やかな生活を送れるように社会的な要因への働きかけを行い、健康格差の解消に取り組みます。
2) 社会的要因により健康を脅かされている個人,集団,地域を認識し、それぞれのニーズに応える活動を支援します。
3) 社会的要因に配慮できるプライマリ・ケア従事者を養成し、実践を通して互いに学び合う環境を整えます。
4) 健康格差を生じる要因を明らかにし、効果的なアプローチを見出す研究を推進します。
5) あらゆる人びとが、それぞれに必要なケアを得られる権利を擁護するためのアドボカシー活動を進めます。
6) 上記 1-5 を達成するために、患者・家族および関係者や関係機関(専門職・医療や福祉の専門機関・地域住民・支援ネットワーク・NPO、行政・政策立案者など) とパートナーシップを構築します。
(日本プライマリ・ケア連合学会の健康格差に対する見解と行動指針)

何とも壮大な話ではありますが、生活習慣病などの疾患でも、患者個人のがんばりだけでは解決しにくい、生活背景に潜む隠れた健康リスクを洗い出したり、独居高齢者の生活支援など、社会的サポートが得られるのに 受けていない ということはないかチェックしたり…
こういった部分は家庭医として果たすことができる役割なのではないだろうか?というTake Home Messageで、SDF氏のプレゼンは締めくくられました。

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