2016年6月12日日曜日

第7回 日本プライマリ・ケア連合学会 学術大会 ―みんなでつくる地域医療、みんなで育てる総合診療医―

2016611日・12日の両日、「地域医療と総合診療医 ―みんなでつくる地域医療、みんなで育てる総合診療医―」というスローガンのもと、東京の下町“浅草”を舞台に 第7回 日本プライマリ・ケア連合学会 学術大会が開催された。総合診療が19番目の基本領域として導入される新専門医制度が始まる2017年に向けて、時代は総合診療医に何を期待しているのかを認識する上で注目すべき大会となった。
「地域を診る」医師の必要性が、わが国でもようやく認識されつつあるが、そもそも、それを担う総合診療医はどのような医師であるべきなのか?私見を述べれば、それは「その地域に必要とされる医療を分析・認識し、提供する能力を有する医師」と考える。これば「あたり前の医師」と言い換えることもできるだろう。―みんなでつくる地域医療、みんなで育てる総合診療医―。主催者が掲げたスローガンには、今も昔も変わらない、医療を利用する地域住民を主軸に置いた医療の本質があると思う。
まずは開会式冒頭、学会理事長の丸山泉 先生による「学会の仕事は未来づくり」という力強い言葉が心に浸みた。夢に向かって飛び込んできてくれる若者たちを守れるように、確固たる一本の筋、つまりアイデンティティーを確立できるように、学会運営に協力していきたい。
大会長の台東区立台東病院 山田隆司 先生による大会長講演では、医師個々の診療領域上の得手不得手に関係なく、地域にはそれぞれの医療ニーズがあって、同じ地域で同じ患者さんたちを診続けることがいかに重要かを、ご自身の僻地での診療実践経験を紹介しながら訴えられた。そこから生まれる、まさに“みんなでつくる地域医療、みんなで育てる総合診療医”なのだと理解した。

さて、いくつかのシンポジウムを通してビビッと来たフレーズがある。それは、「腹の見える連携」「心のつながる連携」である。今 全国各地で地域包括ケアの確立・実践のために、「顔の見える連携」を目指す動きが盛んであるが、わたくし自身、このことに何となく違和感を禁じえなった。表面だけ見えるのは最低限の必要条件ではあるが、中身も見えてこそ次のステップに進めるのかもしれない。
 ところで、年々規模を増す学術大会であるが、今回は東京開催ということもあり、宿泊や会場の心配は要らず、通常なら巨大な国際会議場を借り切れば事足りるはず。ところが、あえて大きな会場のない浅草を選択し、複数会場を梯子するたびに心も体もリフレッシュされるし、ついでに街の経済にもいくらかの恩恵ももたらすという素晴らし過ぎる計らいがあった。梅雨入り後にもかかわらず雨にもたたられずに、浅草の街並みを存分に楽しむことができた。

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