2010年9月30日木曜日

「患者中心の医療の方法 ②」

患者中心の医療の方法は、以下の6つの構成要素から成ります。私の経験上、患者さんがどこか不満足そうであったり、“どうも上手くいかないな”と感じる時に再チェックしてみると、たいてい6項目のうちどこかが欠落しているものです。

1)疾患と病気の両方の経験を探る
2)地域・家族を含め全人的に理解する
3)共通の理解基盤を見出す
4)患者-医師関係を強化する
5)診療に予防・健康増進を取り入れる
6)実際に実行可能であること

1番目の「疾患と病気の両方の経験を探る」という項目に代表されるように、患者中心の医療の方法を実践する上で、コミュニケーションが特に重要な役割を果たします。
「医療上の誤りの多くはコミュニケーション不足が原因である1)」
これは、患者中心の医療の方法の生みの親ともいえるイアン・マクウィニー先生の言葉です。コミュニケーションとはまさに人間関係の問題であって、あらゆる場面で相手と自分の感情に配慮していく必要があり、どれくらい充分に「疾患と病気の両方の経験を探る」ことができるかは、コミュニケーションがどれだけうまくいっているかにかかってきます。もちろん、コミュニケーションが重要であることは、家庭医療に限らず医療のすべての場面でも同様です。昨今、目立って増加している医療へのクレームや医療訴訟においても、「コミュニケーションがうまくいっていれば…」と感じさせる例が見受けられます。それでは次回は、1番目の「疾患と病気の両方の経験を探る」について解説します。

1)McWhinney IR. A Textbook of Family Medicine, 2nd ed. New York: Oxford University Press; 1997. 104.

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