2019年8月25日日曜日

家庭料理が養い生みだす家庭医療 ~第147回 家庭医療 レジデント・フォーラム~



皆さんは「いつだれkitchen」をご存知ですか?いつだれkitchenは、障がい者や高齢者を支援するNPO法人「布紗」さん が運営し、いわき市平上荒川にある共助拠点「あらたな」内で毎週木曜のお昼にオープンしています。いつでも、だれでも大歓迎の「みんなのお勝手」をコンセプトとしたお母さん食堂です。採れ過ぎて余ってしまい、食べられるのに廃棄される運命の野菜などの食材を募って、それらを有効活用し、ボランティアのお姉さま方が腕に縒りをかけて美味しい家庭料理を提供します。料金は原則無料の投げ銭制ですので、だれでも足を運ぶことができ、お年寄りや障がいを持つ方々を含めた交流の場になっているようです。食品ロス(もったいない)を抑制しながら食材費までも抑えられるなんて、たいへん素晴らしいアイディアですね。
福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座の月例勉強会「家庭医療レジデント・フォーラム」は県内各地の教育拠点持ち回りで開催されています。20198月はいわきの順番でした。いつもは病院内の会議室等で開催するのですが、今回は会場としていつだれkitchenを特別に臨時貸切オープンしていただきました。私自身初めて訪問しましたが、元々は焼肉屋さんだった建物を、これまた余った建材等を活用して格安でバリアフリーにリフォームされたそうです。その内装は、光溢れるとても明るい快適空間でした。
家庭医は患者さんやそのご家族だけでなく地域全体を診る医師です。勉強会では、養生会かしま病院総合診療科のメンバーが、医師会活動や学校保健・市民教育活動などの地域への取り組みを紹介し、更に、いつだれkitchenと同様にいつも美味しい家庭料理でいわきの医師の胃袋をガッチリ掴んでいる「いわきの医師を応援するお姉さんの会」代表の宮野由美子さんから特別講演をいただき、課題の多いいわき市の医療を、自治体や医師会・多職種・市民らが一丸となって乗り越えていこうとしていることを参加者に伝えました。
ランチタイムに振る舞われた温かくて美味しい家庭料理の数々は、間違いなく参加者の活力をい、よいパフォーマンスをみだしていました。食を基礎とした地域住民の養生を考えることができる広い視野は、家庭医に求められる大切な能力です。わざわざ病院を飛び出して、いつだれkitchenで勉強会を開いて本当に良かったです。