2021年2月20日、今年で96回を数える歴史深い常磐医学会が開催されました。
例年であれば、市内の医療機関で活躍している多職種が一堂に会して学び、直接交流を持ち、演題発表後には盛大な懇親会も催されるのですが、今年はCOVID-19感染対策のため、初のWeb開催となり、懇親会も中止されました。
演題を見渡しても、コロナ禍に関連したものが多く、当院の総合診療専攻医の佐々木聡子先生も「コロナ禍でリハビリ動画が繋いだ家族の絆」と題し、コロナ禍における面会制限下で、患者の想いやリハビリの成果を家族と共有するための新しい試みが、退院調整に寄与した経験事例を報告してくれました。
その患者さんは自宅退院を前提とした回復期リハビリ目的に当院へ転院してきたものの、転院後種々の合併症を発症し、リハビリは計画通り進捗しませんでした。COVID-19流行による家族の面会制限の中、当院での病棟期限が近づいた時点で、家族はリハビリ継続を目的に療養型病院への転院を希望しましたが、主治医の佐々木先生は、本人の意欲を維持・向上させるためには、入院期間を延長することは最善の選択ではないのでは?と感じていました。家族に口頭で説明を試みましたが、意図が充分に伝わらないもどかしさを感じていたようです。
そこで、自宅退院の可否を再検討してもらうため、家族に実際のリハビリの様子を遠くから参観していただいたり、参観できなかった他の家族のために、リハビリの一部始終を動画に収め、皆で供覧し家族会議をしてもらったりした結果、各種サービスや同居の家族のサポートを得ながら介護や看護の指導を行い、当初の目標(自宅退院)が実現しました。
百聞は一見にしかずと言いますが、時間を割いて多くの言葉で説明しても伝わらないことが、写真1枚や動画1本で伝わってしまうことはよくあります。
直接会って相談できるのがベストですが、それができにくい今、電話の音声だけでは伝わりにくいことを、動画やTV電話などを駆使して伝える工夫がとても重要になっています。