2018年7月24日火曜日

家庭医療レジデント・フォーラム in ふくしま 2018(第135回 FaMReF)

 2018年7月21日・22日の両日、福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座の主催で毎年夏期に行われる「家庭医療レジデント・フォーラム in ふくしま」が福島県立医科大学を会場に開催されました。この企画は、家庭医療・総合診療の専攻医を主な学習者対象としている講座月例の家庭医療レジデント・フォーラムよりも、より若い世代(医学生・初期研修医)にも、家庭医療の魅力を分かりやすく紹介しながら、家庭医のシゴトを深く理解したり、疑似体験学習してもらったりすることを目的としています。幸いなことに、家庭医療に興味を持ってくれた20名程の医学生らが全国から参加してくれました。これほど多くの医学生が、このイベントに参加してくれたのは初めてです。特筆すべきは、その過半数が福島県立医科大学の現役医学生でした。これは、非常に重要な意味をもつと思います。
 福島県立医科大学では、2006年から全国に先駆けて本格的に家庭医育成に取り組み、いち早く医学生に対する系統講義も始めました。家庭医・総合診療医の役割が広く認識され始めている現在ですら、家庭医療に深い興味を抱いてくれる医学生は決して多くはない印象です。そんな中、今回のような盛会に至ったのは、決して偶然でも、単なる幸運でもないものと確信しています。
 家庭医療は大学にとっても新しい挑戦。大学の他科のスタッフの認知度も低いところからのスタートとなります。ぶっちゃけ、他科の先生方から見て「あいつら一体なにやってんだか分んない!」と思われていたことでしょう。無理もありません。他科の先生方は学生時代も医師になった後も、家庭医療を学ぶ機会がなかったわけですから、、、。その魅力も専門性も重要性も必要性も理解し難いかもしれません。一方で、私たちは医学生・初期研修医への家庭医療の教育を地道に実直に真剣に取り組み続けて来ました。彼らが家庭医療・総合診療への道の門を叩くか否かを問わず、彼ら一人ひとりに家庭医療の魅力・専門性・重要性・必要性を熱く伝え続けて来ました。その結果、他の科を選択した若手医師の中にも、家庭医の役割を充分に理解し、私たちを信頼して協働してくれる動き・空気を実感できる今日この頃になりました。
 私用で2日目(厳密にいえば1日めの懇親会)からの参加となりましたが、専攻医による渾身のロールプレイを交えたワークショック「家庭医は患者をこう診ている」を通して、医学生たちが活き活きと家庭医を演じてくれている様子を高見の見物させていただきながら「ガシガシ種を蒔き続けてきて良かったな!」と、静かに目頭を熱くしていました。




2018年7月12日木曜日

最新・最良のエビデンスと患者の想いを紡ぐ芸術 ~実践家庭医塾~

今宵の実践家庭医塾のプレゼンは、臨床研修医と指導医との二本立て!

無症候性高尿酸血症へのアプローチはどうするか?
シンプルでよく経験する状況だけど、エビデンス的にも未だ結論が出ていない上に、個々の患者さん毎に、その他のリスクや背景は千差万別。
当然、患者中心の医療の方法を駆使して、患者の想いを紡ぐ職人技が必要です。
推奨される二次予防投薬を受け入れてくれない患者さんとどう向き合うか?
こちらはやや複雑で難しい状況ですが、やはり、患者中心の医療の方法を駆使して、患者さんが歩んできた長い病気の経験・物語を紐解いて、丁寧に紡いで行けば、突破口が見い出せるかもしれません。
難しい状況でも、いや、難しい状況だからこそ、諦めずに患者さんと関わり続ける努力と根気が試されます。家庭医療は生涯修行が必要な職人技なので、まさにゴールのない芸術の世界です。

2018年7月1日日曜日

ようこそフラの街へ! ~第4回 北海道・福島 合同 FaMReF 兼 第134回 家庭医療レジデント・フォーラム @ ハワイアンズ~

2018年6月30日・7月1日の両日、いわきが誇るテーマパーク「スパリゾートハワイアンズ」において 第4回 北海道・福島 合同 家庭医療レジデント・フォーラムが開催されました。
このフォーラムは、2015年に始まった北海道家庭医療学センターと福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座との交流企画です。
今回は、北海道家庭医療学センター理事長の草場鉄周先生からリクエストをいただき、北海道の皆さんをいわきにお招きすることができました。
更に嬉しいことに、日本プライマリ・ケア連合学会理事長の丸山泉先生ご夫妻も、スペシャルゲストとしてセミナーに駆けつけてくださいました。
ホストサイトとなった「かしま病院」からは、指導医レクチャーと専攻医の振り返りの2セッションを担当しました。
指導医レクチャーでは、当院スタッフ(劇団かしま)がシナリオから演出、出演、撮影等のすべてを担当した名演(迷演?)動画を教材に、参加者の皆さんには、映像をもとにした限られた情報から想像力を駆使して、患者さんの病気の体験・物語に寄り添っていただきました。
準備段階では、どうすれば各グループが議論しやすいか悩みましたが、蓋を開けてみると、放っておいても議論は膨らむ一方で、与えられた時間だけでは全く足りない事態となり、嬉しい悲鳴となりました。いただいたフィードバックから、働く場所は違っていても、家庭医療という共通言語を共有する仲間が目指すところは、やはり一緒なんだということを再確認することができました。
一方で、普段用いている教育手法には若干の相違もあるようで、大変勉強になりました。
専攻医の振り返りでは、丸山理事長を含む多くの皆さんから数多のご質問やご意見・激励を頂戴し、駆け出しの専攻医にとってとても贅沢な時間になりました。議論に華を咲かせてくださった皆さんに感謝申し上げます。

さて、思えば16年前。
母校から故郷のいわきに戻り、たった一人で細々と家庭医療を始めました。
ずっと一人なんだろうな~
それでも続ける覚悟をもってやっていました。
そんな中、2006年3月に当時北海道家庭医療学センター理事長だった葛西龍樹先生が、福島県立医科大学教授に就任され、かしま病院での専攻医の受け入れが2008年から始まりました。
そして今回、30名を超える家庭医の皆さんをいわきにお迎えできたことはとても感慨深く、胸に込み上げるものがありました。
地域のプライマリ・ケアを担うコミュニティー・ホスピタルとして、家庭医の医育施設として、かしま病院が担うべき役割は大きいと改めて感じました。