今回は、患者中心の医療の方法の3番目の構成要素「共通の理解基盤を見出す」について御説明します。これまで解説した2つの要素「疾患と病気の両方の経験を探る」、「地域・家族を含め全人的に理解する」を経て、家庭医と患者さんが共通の理解基盤、いわば「同じ土俵」の上に立ち、何が問題になっているのか?何をゴールにするのか?患者・家族・家庭医などがそれぞれどのような役割を担うのか?などを充分に話し合いながら、相互理解の上に意思決定をしていきます。
今日の我が国の医療は、医師が治療方針を決定し、それを患者に従わせるという上から下への流れがまだ主流ですし、患者さんも多くは「そういうものだ」と思っているかもしれません。いわき弁だと「どうしますか?って言われでもぉ~先生が全部決めでくんねがったら、おいら素人だがらわがんねべした!」、「全部先生にまがせっから・・・」って感じですかね?これを日本人の国民性という人もいますが、長年、患者不在の医療を行ってきた医療者側の責任もあるかもしれません。看護師だって「先生の言うごと聞がねっが、駄目だっぺ!」って言いますもんね。インフォームド・コンセントがことさら強調されるまでもなく、患者・家族にとって、医師が「同じ土俵」で考えていると思える安心感が、彼らの満足度と健康度の改善に大きく貢献することが臨床研究で明らかにされています1)。
1) Little P et al. Observational study of effect of patient centeredness and positive approach on outcomes of general practice consultations. BMJ 2001 October 20 323:908-11
0 件のコメント:
コメントを投稿