2013年7月25日木曜日

映画「風立ちぬ」に学ぶプライマリ・ケアの構築 ~誇りを持って後進すること~ 


わたくし、病的に涙もろいので、たいがい見苦しい状況になるので、夜中にこっそり一人で観てまいりました。
そもそも、自分からすすんで映画館に行くということはほとんどないのに、なぜそうなったのかは、未だにわからない。
かねてから観たいと思っていたわけでもないし、そもそも何の映画かもほとんど知らないのに、自然に足を運んでいた。
結果、やはり自分が足を運んだことには、意味があったのだと感じた。
不思議なことに・・・


先進国でありながら、各国と比して何十年も立ち遅れていると揶揄される日本のプライマリ・ケアのシステム。
先進国で唯一、家庭医療の後進国ワースト6(日本、ネパール、ベトナム、スリランカ、ブラジル、ジンバブエ)に名を連ねちゃったりして・・・

しかしながら、日本には日本なりに発展した、世界に誇れるものがあって・・・
例えば、国民皆保険のように国民すべてが安心して医療を受けることができるシステムや、「医は仁術」という平安時代にまでさかのぼる利益をど返しした伝統的な献身的博愛の精神など、その特長を活かすことができれば、日本でしか提供できないような、他のどの国よりもクールな地域医療を構築できるのではないかと思うことができた。
世界中が驚くような、日本ならではの家庭医療を創ってやろうじゃないの!
数十年の時の差を、一足飛びに縮めてゆくアキレスのように・・・

そして、そんな私の少年のような夢を理解・共有し、支え、後押しし、僕らの残した足跡、飛んだ奇跡、ひこうき雲を 誇らしげに追い求めてくれる最愛の家族がいるということが、何よりもかけがえなく、ありがたいことであることを再確認できる時間を持てたことに感謝し、自身や最愛の家族の生死と向き合うとき、終末期を過ごすとき、何を最も重視して時を過ごすのだろうか?想像しながら・・・

堀越さんみたいに多彩な夢をみたいなぁ~



ところで、映画を観て、私見をしたためてみたわけだが、
当講座では、伝統的にそんな行動を医学教育に活用している。

その教育手法とはズバリCinemeducation

Cinemeducation とは、映画やテレビ番組の一部を用いた医学教育方法で、Cinema+medical+educationを合わせた造語である。
Alexanderにより1994年に提唱されが、私が知る限り、日本で最もこのCinemeducationに入れ込んでいるのは当講座の葛西教授だと思う。

映画の一部のクリップを観て感じたことを言語化すること、他の人が言語化したことを聴くことで自分にはない視点を知ること。
これは、診療所を訪れる患者さんの日常生活全体のごく一部にあたる診察室での言動から、患者さんがどのように辛いのかを深く理解することを求められる、我々家庭医の日常診療に通じるところが多い。

2013年7月24日水曜日

睡眠2時間でも、今日中に書き留めておきたいこと

このままでは決して良くないのだ
このままでは全部共倒れだ

けれど、真心から湧きいづる力を結集すれば
必ずや道は拓かれる

意味のない忙しさは要らない
意味のない忙しさを容認する余裕もない

まして、私利私欲のために
多忙でいられるのであれば
それは、心理・社会的な疾病以外のなにものでもない

人のためになる忙しさなら
頑張れる!

生き甲斐のある苦労なら
生涯つづけられる・・・

人間とは、そういうものであると私は信じている

患者は会議室では診れない 現場の情熱を医療創生の力に!

元々福島の地域医療を何とかしたい。
そんな意思のある医学生や研修医が実はたくさんいることを私は知っている。
そして、彼らの現在の地域医療への問題意識はかなり高く、医療人としての情熱は並々ならぬものがある。

しかし、問題は、その情熱すら打ち砕きかねない今の過酷な環境。
つまり、頑張れば頑張るほど、その人への負担がどんどん重くのしかかって、
終いには燃え尽きてしまうような構造がある。

僕らには、その病魔をぶち壊し、熱意ある未来の医療人に、彼らが生涯使命感を持って働ける環境を残す義務がある。

いま、当院の常勤医の間では、当直業務や救急業務への需要が膨れ上がりすぎて「もう限界である」という声が噴出している。
実際、通常業務への悪影響も出てきている。
どんなに頑張りたくても限界がある。
個々の努力への依存を続ける限り、事態は日に日に悪化する一方・・・

当院も含めて現在いわき市の2次輪番病院陣の機能は絶望的にpoorである。
結果、3次医療を担う磐城共立病院に必要以上の負担を強いてしまっている現状が心苦しくてならないし、
それでも歯を食いしばって、いわきの最後の砦を守ってくださっていることに感謝している。

2次輪番の各病院には、それぞれそうなってしまっている事情があるのだろうし、その状況を互いに認め合い、現状を認識することから改善が始まるのだと思う。

ところが、お世辞にもやれているとは思えない病院のトップの先生に、病院間の会議などで「うちはやってる」という旨の発言をされてしまうと、私は失望と憤りを禁じ得ない。

現場を知らない方の理想論はもう要らない。
もっともっと実際の現場を支えている人間の意見を吸い上げていかないと、いつまでたっても変われないのではないか?と不安になり途方にくれてしまう。

患者は会議室では診れない。 現場の情熱を医療創生の力に!

容赦ない広域搬送

広大な面積を有するいわき市。
市内の基幹病院に急患を集中させず、効率の良い医療を提供するためには・・・

①近隣地域の軽症を担当する医療機関
②やや広域ながら中等症までの入院を担当する医療機関(二次輪番病院)
③重症患者に絞って全域から引き受ける基幹病院

これらの役割分担が不可欠である。
しかし、最近の救急要請の内容を鑑みるに、この分業が破たんしていることを実感せずにはいられない。
特に強く感じるのは、①からすでに崩壊しているということ。
①が機能していれば、②、③の担当医療機関も充分に機能を発揮できるはずなのだが、
軽症であっても近隣で受け入れ先が見つからない状況下では、①+②がまとめて市内+近隣自治体の全域から長距離搬送を要する事態になる。
当然、②までで受け止められずに、比較的軽症も③に溢れだし、①~③すべてが共倒れになっている。

事実、この時間帯(深夜)に、遠方からの軽症の救急車を、同時に2台、今宵 輪番でもない郊外の弱小病院でお受けしなければいけない状況であり、これはどう考えても異常・・・

これでは患者さんも救急隊も可哀想すぎる!

いわき市で地域単位のプライマリ・ケアを、オールいわきで必死に構築しなければならない時が、まさに今この時である。

2013年7月23日火曜日

「ゆる体操」体験会 ~院内リレー学習会~

院内リレー学習会
「ゆる体操」体験会!
今日は頭を使わず体をほぐして能力アップを目指します。

ゆる体操の詳細⇒ http://atsushii.blogspot.jp/2011/06/in.html

当院には私も含め、14名のゆる体操指導員有資格者がいて、この数は一企業としては世界一らしい。
この調子で世界一ゆるい病院を目指していきたいところだ。

毎月第3金曜日17時30分~ と 18時30分~ の2回
かしま病院のコミュニティーホールで無料のゆる体操教室を実施しています。

(8月はお休み)

2013年7月21日日曜日

最良の証拠を良心的、公明にかつ思慮深く用いること ~第84回FaMReF~

2013年7月21日の講座月例のFaMReFのテーマはズバリ「EBM」
氾濫する情報を、いかに有効に活用するか?
多忙な診療の合間に、素朴な臨床上の疑問をどう解決するか?
そもそも、その情報は入手するために時間と労力を費やす価値があるのだろうか?
あれも、これも、EBMだよね~ etc.
様々なディスカッションをすすめながら、今までより少しだけEBMを身近に感じられるようになった。


とかく、エビデンス=EBM という誤解に惑わされるこの分野で、
あるエビデンスを個別の患者にどう適用するのか?
その部分へのアドバイスが指導医にとって重要な役割なんだなぁ~ と再認識した。



「生命の尊厳」医師としてのルーツ ~聖マリアンンナ医大同門会 福島県支部~

『生命の尊厳を基調に、キリスト教的人類愛に根ざした「生命の尊厳」を基調とする医師としての使命感を自覚し、人類社会に奉仕し得る人間の育成、ならびに専門的研究の成果を人類の福祉に活かしていく医師の養成』

というのが、我が母校「聖マリアンナ医科大学」の建学の精神。

その大学は輩出した医師たちの実態は「おばかだけどハートフル」といった感じだろうか?

ここでいう「おばか」とは、単に学力の高低を言っているのではなく、本気で愛と使命感に溢れた「おばかさん」になりきれるというポジティブな意味である。

そんな集団が一堂に会すると、とても独特な雰囲気でアグレッシブな状況になる。


どんなにベテランになっても、医学の道の学びに終着点はない。
時に、限界を感じることもあるけれど、この「生命の尊厳」と「生命への畏敬の念」は、いつまでも、どんな時でも精神的拠り所として存在し、私たちを支え続けていく・・・

昨夜はそんなことを考える貴重な時間であった。


2013年7月20日土曜日

充実の指導医陣でレジデント集中養成中 ~キッズ医者かしま 2013~

我々の活動を地元紙が取り上げてくださいました。
2013年7月23日「福島民友」より


いわき発. 福島に元気, 日本に未来を! 

というわけで、やはり今年もやってきたこの企画・・・ キッズ医者が!

かしま病院夏休み恒例の特別企画 ―小学生の医師職場体験プログラム―

今年もかしまキッズ病院を舞台に過酷な研修が展開。
7月20日、午前の部と午後の部の2回に分けて、延べ35名のキッズ医者たちが大活躍!

ちなみに今年は、おなじみ福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座の面々に加えて、福島県立医科大学や筑波大学のぬいぐるみ病院のスタッフのみなさん。名古屋大学総合診療科の先生方、東京慈恵会科大学臨床研修医のDちゃん、かしまキッズ病院の第5代目院長を立派に務めてくれた臨床研修医のKちゃんなど、強力な指導医陣に恵まれ、充実の研修体制であった。



今年も個性豊かなキッズ研修医たちに恵まれててんやわんやながら、キッズ医者の笑顔を見れて、疲労困憊ながらもかなり嬉しかった。

キッズ医者についての詳細はこちら

2013年7月18日木曜日

医学生と臨床研修医の気づきに学ぶ家庭医療 ~実践家庭医塾~


恒例となった患者中心の症例検討
いつもよりも若者が多い活気に満ちた実践家庭医塾。

本日は、地域・家庭医療を学ぶ医学生と臨床研修医の、診療体験における気づきをテーマに活発なディスカッションがなされた。

普段、無意識のうちに流してしまっていることでも、若い目から見ると、そこに多くの気づきがあったりする。
その成長の過程に立ち会ったり、その瞬間を目の当たりにすると、指導している我々にとって、最も感動できる場面になる。
そして、そのことは、我々にも新たな気づきをもたらしてくれる。
無意識化していた自身の行動を、意識下に戻すことによって、より丁寧で質の高い診療ができるのではないか?
そんな気づきを得た有意義なカンファレンスとなった。

2013年7月17日水曜日

僻地医療サポートの先進地、オーストラリアに学ぶ遠隔教育

先ほど、TVカンファの話題に触れて、2008年にオーストラリアを訪問し、家庭医療の実践と教育システムについて、ちょいと調査したのを思い出した。


その時点でのオーストラリアの家庭医療の教育・認定制度の概要としては、医学部6年間、インターン1年間、レジデント数年間を経てから、試験を受けオーストラリア家庭医療学会(The Royal Australian College ofGeneral Practitioners: 以下RACGP)に入会、そこから家庭医教育プログラムが開始され、認定試験に合格すると家庭医療専門医(Fellow of the Royal Australian College of General Practitioners: FRACGP)の認定を受ける。
地域・家庭医療に関する教育は、卒前は大学、卒後の専門教育はRACGP担当する。

オーストラリアでは各専門に学会は基本的に1つずつしかなく、スペシャリストの医療水準を維持し、社会的な評価を得るうえで学会の役割は大きい。
RACGPの役割は、オーストラリアにおける唯一の家庭医療専門医の集合団体として、家庭医療専門教育プログラム(卒後教育)、生涯教育、家庭医療の社会的アピールなどを行なうものであり、家庭医療の質を高く維持する目的で活動している。
RACGPの教育プログラムは他の専門教育と違い、診療所ベースで指導医のもとマンツーマン体制を基本とする。また診療所外教育として,週半日の小グループカンファレンスを実施している。更にRACGPはオーストラリア医師全体の5060%を占める家庭医に対し生涯教育を義務とし、教育リソースを提供している。RACGP付属の教育機関にGP Education Australia(以下GPEA)とGP Education and Training(以下GPET)があり、GPEAは主にオンラインによる教育リソースを提供しており、家庭医療専門医認定取得後の生涯教育や遠隔地への教育手段として有用性が高い。また、GPETは各地の指導医による主に直接的なトレーニングプログラムを提供しており、家庭医療専門医取得前の教育リソースとして活用されている。
専門医コースの期間は34年間。主に診療所レベルでの研修を通して、家庭医療の基礎、診療技術、コミュニケーション能力、カウンセリング能力、倫理問題などを含む家庭医を特徴づける能力を習得していく。
認定試験を受け、合格すると家庭医療専門医の認定を受けるが、この専門資格には3年に1度の更新義務がある。これに対し、GPEAを中心とした学会主導のバックアップ体制が充実しており、家庭医の診療の質の維持向上に役立っている。特に、オンライン教育の生涯教育や遠隔地の実地医家における教育効果は高い。しかも、オンライン教育の利用者は、一般家庭医だけでなく学生、研修中の医師、教育者、海外家庭医と幅広い層にわたっている。指導医は、自分の指導する研修者がどの分野に弱点を持つのかをチェックすることもできる。内容は、実症例を題材に多肢選択問題とEメール、チャットを使用するもので、解答だけでなく説明と意見交換も行なうことができる。質問は身体疾患と精神的問題、患者の生活環境を複雑に考慮させる実践的なものがほとんどである。
このように、オーストラリアの家庭医教育は、医師全体の5060%を占めるとされる家庭医の実地診療の高い質の維持・向上を目的とした生涯教育体制が充実しており、常にさらなる改善に取り組んでいる。

そこで、オーストラリアのいいところを日本に応用できるか?という疑問にぶち当たるのだが、オーストラリアでは、前述のごとく充分な教育を受けた数多くの家庭医らが、診療所・公的医療機関での診療を原則無料とした国民皆保険制度(Medicare)のゲートキーパーとして、オーストラリアのプライマリ・ケアを支えている。やはり、これらのシステムには、現在の日本で参考にするべき所が多いと思う。
学会主導の家庭医養成プログラムおよび生涯教育システムの充実や、プライマリ・ケア医に対する更なる教育の充実が急務であることを再認識した。
殊に、オーストラリア国内で充実しているオンライン教育システムは、日本の僻地においても診療・教育の実践のための有力なツールになり得ると考えられ、今後の日本の家庭医養成システム構築に向けて参考にすべきであろう。
当講座のオンラインの教育ツールを、日本でのモデルに発展・充実させていきたい。

遠隔教育の強い味方 ~TVカンファレンス・インターネット講義~

講座員が県内各地に散らばっている当講座では、インターネット等のオンラインツールを駆使して、診療に役立つ情報や、研修内容を充実するための情報の共有に努めている。
特に、毎週水曜日の18時30分から、インターネット会議システムを使って、県内各地を繋いでTVカンファレンスを実施している。

水曜カンファの内容は、英国家庭医療学会で定められているGP Curriculum Statementsの内容と、日本プライマリケア学会の専門医認定医認定制度要綱で掲げられている行動目標の「家庭医が持つ医学的な知識と技術」の内容を網羅できるように、年間プログラムを組んでいる。
具体的には、毎年学ぶテーマのA項目(43項目)と、2年に1回学ぶテーマのB項目(92項目)があり、B項目の「その他」の分野の中には、福島県が東日本大震災の発生後から原発の問題を抱えているという現状を踏まえ、「放射性物質による健康被害」、「小児の甲状腺がんの検査・診断」などを含めている。
また日本の中でも福島県内で発生数が多い「ツツガムシ病」、さらには「漢方診療」といった分野も含めており、福島で診療するにあたって必要な知識や技術の習得ができるようなプログラム内容としている。

発表者は経験した症例やエビデンスに基づいた情報を収集した上で資料を作成し、TV会議を通して講座メンバー間での知識の確認、アップデートに有用なカンファレンスとなっている。

              詳しくは
                ↓
福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座HP
http://www.fmu.ac.jp/home/comfam/study/TVconference.html

こうやって、プライマリ・ケアのジェネラリストとしてのスキルを維持向上する努力を、日々の診療に活かしているわけだが、講座員が持ち回りで資料作成と講義を担当するので、担当の日が近付くと、診療の合間に準備を進めるのでなかなか大変である。

で、今日はプレゼン担当日であったので、いわゆる「風邪」と「風邪に紛れて訪れる風邪以外の疾患」との鑑別に関する注意点のまとめを発表してみた。
今のところ2~3ヶ月に1回程度の頻度のプレゼン。
講座の仲間が増えると、プレゼン担当の順番が回ってくる間隔も長くなるので、じっくりとより質の高い内容に仕上げられるであろうから、仲間を増やすための勧誘頑張ろ~!!!

2013年7月12日金曜日

魂の腰痛診療 ~レジデント成長記~


本日は、ハナキン(死語)のアフターファイブ(これも死語)にもかかからず、地域の熱心な臨床検査技師さん達を交えて臨床検査勉強会症例検討会。
そこで、うちのレジデントが、腰痛診療において数々のクリニカルパールを与えてくれたいくつかの症例提示をしてくれた。

彼の凄いところは、応用能力と自学能力がズバ抜けているということ。

ひとつの学びの経験をもとに、それが、より多くの診療の現場で、より多くの人に役立つためにどう一般化して伝えていけばよいか?を常に考えている。
そのため、こちらがビックリするほど末広がりな学びを勝手に自分で成し遂げていく・・・

その成果や姿勢は、これまでも、数々の院内でのレクチャーなどで発揮され、診療の標準化などに寄与してきた。
学習者としても指導者としても、ピカリと光るものを感じずにはいられない。
注:頼みもしないのに手前でいい味出してるのは慈恵医大の臨床研修医Dちゃん


更に感心するのは、本日の勉強会は、臨床検査を診断に活かすことに特化した内容であったけれど、日頃の彼のアプローチは、ポリシーとして、どんな時も、重大な疾患の診断・マネジメントを最優先しつつ、同時進行で、いつもいつも患者さんや家族の psycho-social な側面への意識・対応を怠らないこと。
こういったレジデントの成長を見るのは最高の喜びであり、自分も刺激を受けて身の引き締まる瞬間でもある。

そんなこんなで、あらためて腰痛のRed Flagsと呼ばれる危険信号を丁寧かつ敏感に察知することの重要性を再認識。
分かりやすくまとめられた彼のプレゼンに、参加された皆さんの反応も良好であったようである。

今日の発表は、情熱をもって真摯に患者さんに向き合ってきた ひとりの家庭医療後期研修医の、かしま病院における研修での学びの集大成とも言うべきエクセレントな内容だったので、このまま隠れ家に潜入して慰労会に突入することにした。
そして美味すぎる酒に撃沈したのであった。
注:頼みもしないのに手前でいい味出してるのは慈恵医大の臨床研修医Dちゃん

学生の振り返り ~地域・家庭医療 臨床実習~

福島県立医大の5・6年生は、大学病院を離れて、地方の診療所や中・小規模病院で、地域・家庭医療の臨床実習を行っている。
中には、未知の土地でホームステイをしながら実習している学生もいる。
ホームステイ型医学教育研修プログラム⇒詳細はこちら
同時に複数個所で実習を行っているので、実習サイト毎に経験できる内容も様々。
だから、一週間の学びをみんなで共有しよう!
というわけで、インターネットを使ったカンファレンス中である。
いわきで実習中の学生も、患者・家族・地域に根ざした医療というものを直に学び取ったらしく、その体験を語ってくれていた。
頑張った分だけ、きっと美味しいご褒美が待っていることであろう・・・

2013年7月9日火曜日

第89回いわき緩和医療研究会 ~緩和リハビリテーション~


昨日は、第89回いわき緩和医療研究会
磐城共立病院の看護師さんから
「がん患者の倦怠感に緩和リハビリテーションを取り入れて」
と題した試みが紹介された。
疼痛緩和に関してはある程度マニュアルが整備されてきたが、
終末期には疼痛以外にも、多彩な症状が出現する。
殊に倦怠感は終末期であれば不可避に感じられるし、
とかく「仕方のないこと」と考えがちだが、
個々の状態、例えば、低栄養状態はないか? うつ状態はないか? など、
一般的な禁忌がなければ、もしくは、たとえ禁忌があっても、
内容を考慮し多職種が情報共有・協働しながらリハビリを施行するという手段は考慮して良いと感じた。

2013年7月8日月曜日

豪・タスマニアでみえてきた家庭医と家庭医療の未来像

本日発行の週刊医学界新聞に、当講座の後期研修医で、現在かしま病院で研修中のミッチェル先生のタスマニア視察報告が掲載された。
福島県立医科大学のホームステイ型医学教育研修プログラムで家庭医療の魅力を知り、ぶれることなくこの道を真っ直ぐに驀進してきた彼らしい熱い想いがつまっている。

詳しくはこちら


うつ病ならぬ、認知症にも2質問法?

こんな記事を見つけた。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/23773305/?i=5&from=/9785148/related

Usefulness of 2 Questions About Age and Year of Birth in the Case-Finding of Dementia.

Ventura T, et al.

Journal

J Am Med Dir Assoc. 2013 Jun 15. pii: S1525-8610(13)00277-6. doi: 10.1016/j.jamda.2013.05.006. [Epub ahead of print]

Affiliation

Psychiatry Service, Hospital Universitario Miguel Servet, Zaragoza, Spain; Department of Medicine and Psychiatry, Universidad de Zaragoza, Zaragoza, Spain; Centro de Investigación Biomédica en Red de Salud Mental (CIBERSAM), Ministry of Science and Innovation, Madrid, Spain; Instituto de Investigación Sanitaria de Aragón (IIS Aragón), Zaragoza, Spain.

年齢で短気記憶を、誕生日で長期記憶をチェックするというしくみなんだろうか?
認知症にも2質問法が登場か?
サマリーだけ見てちゃんと批判的吟味してないが、効率的なケアを提供するために、短時間でルールアウトできるツールは大変興味深い。


スペイン・ミシェル・セルヴェ大学病院のTirso Ventura氏らは、年齢と誕生日を尋ねる2つの単純な質問が、臨床において概して認知症をルールアウトするのに有効であるという仮説について検証した。その結果、特異度および陰性適中率がほぼ100%近かったことが明らかになった。感度は約61%、陽性適中率は約45%であった。これらの結果を踏まえて著者は、「この単純な質問テストは現在までに報告された最善の方法であり、認知症のルールアウトに用いることが普遍化されるかもしれない」と述べている。

研究グループは、認知症発症について注目した住民ベースの長期前向き研究を行った。ベースラインで、認知症の症例群と非症例群を特定するために2つの標準化されたスケール、構造化面接(Geriatric Mental State)とHistory and Aetiological Schedule(HAS)を用いて認知機能の評価を行った。症例の診断はDSM-IV基準を用いて行い、参照基準とした。本検討では、単純認知機能テストとして、2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」という質問をした。

主な結果
・参加者のテストの受け入れは良好で、30秒以内に回答が得られた。
・基準と比較して、「2つの質問への回答がどちらも誤答である場合は認知症である」とする判定について、感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった。・この超短時間での試験は、特異性と陰性の検出力が非常に良好であった。

2013年7月7日日曜日

ラベル一覧

ブログの投稿数が増えたので、各投稿にラベルをつけて、その一覧を右側に表示してみた。
自己流で始めたので、こんな初歩的なことも、google先生にききながら今更やることになる。

小暑? むしろ猛暑 夏本番だぜぇ~

今日は七夕、またの名を小暑とも言い、今日から暑中お見舞いという言葉がつかえるらしい。
残念ながら曇りがちで天の川は厳しかったが、朝からとても蒸し暑かった。

朝回診のために病院に着いた時点で車外の温度が朝7時前にして30℃に達している始末!



これだけ暑ければ、暑さに不足はないぜ!
夏祭りに向けて、おもいっきり太鼓たたいちゃおうじゃないかぁ~

暑苦しすぎる夏がやってきた。
そんな休日であった。
で、悲しいかな、今は病院にお泊りなり!


家庭医療セミナーinいわき「実践家庭医塾」の紹介


 福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座では、福島県内の医療機関と協力して、すでに地域で医療を実践されている先生方やコメディカル等を対象に、質の高いプライマリ・ケア、地域医療を提供するために必要な知識・技術・態度・価値観を身につけ、その能力を維持するためのセミナー形式の家庭医療生涯教育プログラム(家庭医療セミナー「実践家庭医塾」)開講しています。社団医療法人養生会かしま病院も協力医療機関の一つとして、平成19年度から現在に至るまで、家庭医療セミナーinいわき「実践家庭医塾」を、コミュニティーホールを主な会場として月1回程度継続開催しています。これまでの実践家庭医塾では、家庭医を特徴づける能力(患者中心の医療、家族志向ケア、地域包括プライマリ・ケア、健康問題の心理・社会的アプローチ、共感できる人間関係の維持・強化)に関する基礎知識と基本スキルを身に着けるためのレクチャーがおおむね終了し、最近では、一方向性のレクチャーだけではなく、参加者が実際に経験した患者さんのケアの実例を通して、より良いケアを提供するための、より実践的な方法の紹介やインタラクティブなディスカッションが展開されています。
 今日の医師不足、特に地域医療の担い手の不足は社会的問題になっていますが、地域医療に従事する医師確保につながる有効な打開策は確立していません。また、日本では、すでに地域で医療を実践している医師の多くは臓器専門医です。専門外の症状を訴える患者を診療することへの不安やスキル不足が、病状の軽重を問わず診療応需困難を招いているというケースもあるでしょう。また、すでに地域で開業している先生方の多くは、質の高いプライマリ・ケア、地域医療を提供するために必要な能力を開業前に系統的に研修できる機会を持てず、各自が診療の現場で必要な知識や技術を後になって独学で学ばなければならなかったりと、個人的努力に依存せざるを得ない場合も多く、円滑かつ質の高い地域医療の実践は容易ではない現状です。
地域医療を実践している開業医が提供する医療サービスを充実させるために、どのような生涯医学教育プログラムが有用であるかを示すエビデンスに関しては、老年医学領域の生涯教育に限定した研究において、従来の講義とスライドショーによる生涯医学教育は効果が不充分であり、インタラクティブで到達目標が明確なプログラムが有効である1ことが示されていますが、地域医療全般を対象にした研究エビデンスとしては、インターネットに拠点を置く生涯医学教育の有用性を示唆する研究にとどまっています。しかも、それらの研究の多くは受講者(医師)満足度調査データに基づいており、受講により診療行動の改善に至ったことを示すいくつかの研究はあるものの、患者や地域の健康問題に対するアウトカムを評価した研究エビデンスはまだありません2。この実践家庭医塾が地域住民の健康問題に関するアウトカム改善につながるかどうかは未だ明らかではありませんが、より有効なセミナーになるよう、よりインタラクティブで到達目標が明確なプログラムを目指していきたいと考えています。
過去の実践家庭医塾受講者のうち開業医師22名を対象としたアンケートでは、実践家庭医塾で取り上げて欲しい内容(複数回答可)として

・日常診療のノウハウ 77.3
・スキルアップを図れるもの 63.6
・これからの家庭医療について 59.1
・患者中心の医療について 50.0
・すぐに使える診断ツール 45.5
・良くある症例・見落としがちな症例などの診断及び読影法 31.8%
・家族志向ケアについて 31.8
・効率的なケアについて 27.3
・コミュニケーション技法 27.3
・最新の医療情報 27.3
・不得意な診療科目の各論 27.3
・持ち寄りによる症例検討 18.2
・臨床教育について 18.2% 
 など

家庭医療実践のために重要なスキルの修得へのニーズの高さがうかがわれました。また、フリーコメントとして「(参加して)今までとは異なる視点から医療を見ることが可能となりました。今まで自分で何となく行っていた診療が、学問的、データ等に裏付けられることを知り、非常に役立っています。」「開業後、プライマリ・ケアの技術論にのみ目を向けてきましたが、数ヶ月のセミナーを通じて基本理念の大切さに気づきました。ケアの基本理念を診療の上でより意識化することで、私自身のコミュニケーションスキル、ケアスキルが向上していることを実感します。今後も総論的テーマを随所に織り交ぜながら、セミナーを進められることを期待しています。」など、当セミナーへの期待を示すご意見が寄せられ、家庭医療後進国と位置づけられている日本でも、家庭医療の教育および家庭医療を活用した医療サービスの提供のためのシステムを整備することが必要であると実感しました。セミナーの継続的開催が、地域住民と地域で働く医師との強固な信頼関係の構築につながり、いわき地域のプライマリ・ケアの質の向上に寄与することを目指して活動を続けてまいりたいと思います。
実践家庭医塾は、過去の講座を受講していなくても各回単独で内容が理解できるように配慮しています。また、医師向けのセミナーでありながら、コメディカルはじめ他職種の方々にとっても学びの機会になるように工夫していますので、家庭医療に興味のある方ならどなたでも大歓迎です。先ずはお気軽にお問い合わせください。みなさんのご参加を心よりお待ちしています。

<次回開催のご案内
平成25年7月18日(木) 19時~(1時間程度)
「患者中心の症例検討」
かしま病院 コミュニティーホール

[お申込み・お問い合わせ]
かしま病院 地域医療連携室
TEL: 0246-76-0350
FAX: 0246-76-0352



1)   Thomas DC, Johnston B, Dunn K, Sullivan G, Brett B, Matzko M, Levine SA.Continuing medical education, continuing professional development, and knowledge translation: improving care of older patients by practicing physicians.Journal of the American Geriatrics Society. 54(10):1610-1618, October 2006.

2)   Curran VR, Fleet L. A review of evaluation outcomes of web-based continuing medical education. Received 9 February 2004; editorial comments to authors 17 May 2004, 22 June 2004; accepted for publication 19 July 2004

2013年7月6日土曜日

かしま病院30周年記念


理事長から地域医療に対する職員の熱意と努力への感謝の気持ちとして創立30周年の記念品が配られたが、むしろ、前理事長・現理事長の熱意と努力に、我々職員が突き動かされてここまでやってこれた感じである。
これからは、職員一人ひとりがこれまで以上に主体的に動いて、地域に求められる医療・福祉を追究し、法人や地域の皆さんに恩返しをしていく番だと思う。



中を開けると病院ロゴの鹿の焼印入りのかすていらなり。
このために焼型創ったんか?
この遊び心が活力の源なんだな!

2013年7月4日木曜日

和みの空間

療養病棟ナース兼Y画伯による月替わりの壁一面の大作!
7月のテーマは七夕ということで、レジデントの名前にかけて家庭医チームをモチーフに描いてくださいました。
病棟の食堂を兼ねたホールをほんわかと和ませてくれています。

2013年7月3日水曜日

会津の温かさに触れて・・・

本日は、レジデントの研修環境調整のための面談のために、オープン間もないピッカピッカの会津医療センターに行ってまいりました。
当講座は、多くの方々のご協力を仰ぎながら、個々の研修医のニーズにあわせて、前例にとらわれずにより良い研修をカスタマイズしていこうという文化があります。
それは、とても誇れる特長だと自負しています。

で、会津での交渉ごとの前には、やっぱりソースカツ丼でしょう!
というわけで閉店間際の院内食堂へ!

お店は既に撤収モードでお鍋などの片づけも終了している様子だったのにもかかわらず、重いメニューを注文するお客を笑顔で大歓迎してくださり、こちらの我がままのせいで待ち時間が長くなったのにもかかわらず、その間、サービスでコーヒーをふるまってくださいました。
きっと、私はお店の方々を残業させたでしょうに・・・
客を第一に考えてくださる店員さんから、会津の温かさを強く感じ、本日会津を訪れて良かったと心から思いました。
最近の自分は、受付終了後に受診された患者さんに、同じように振る舞うことができているだろうか?
多忙にかまけて心を亡くして(忙しくして)いないか?
自分を頼って訪れてきてくださった方々への感謝の心を亡くして(忘れて)いないか?
こういった気づきや振り返りのチャンスを与えていただけたことに感謝しています。

参加者大募集中!!! 家庭医療サマー・フォーラムinふくしま

 
福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座では、今年も例年通り「家庭医療サマー・フォーラムinふくしま」を開催します。
 福島医科大学では、2006年から毎年夏に初期研修医、学生を対象に当講座スタッフ、レジデントが企画したレクチャー、ワークショップ、Cinemeducationを行いより深く家庭医療を学んでもらうイベントを開催しています。今年で7年目の企画になります。
 今年は、8月24日(土)、25日(日)を予定しています。もしも、2日間での参加が難しい場合は、どちらか1日での参加も可能です。1日のみでの参加の場合はお問い合わせください。

 今年は
 「外来診療のイロハ」
 「訪問診療のABC」
 「後期研修レジデント1日体験」
 「Cinemeducation」
 をメインコンテンツとして用意させていただいております。
 これから外来を始めようと思っている方、
 外来診療に興味のある方、
 訪問診療をやってみたいという方、
 興味があるという方、
 実際に家庭医療・総合診療の研修ってどんなことをするの?という疑問をお持ちの方、
 などなど もしよければ一緒に楽しく学びませんか?

 場所は、福島県の喜多方市で開催しますが、希望者は東北新幹線・郡山駅から講座スタッフが送迎なども行いますのでお気軽にご相談ください。
 
 日時 平成25年8月24日 15時30分開始
             8月25日 12時30分終了予定
 場所 喜多方市 地域・家庭医療センター カンファレンス室
     郡山駅に14時 集合 送迎あり
 宿泊施設 あづま旅館   
 タイムスケジュール 
     8月24日 15時30分~15時45分 開会式(15分) 喜多方市長・講座教授挨拶
           15時45分~16時45分 「外来診療のイロハ」(1時間)
           16時45分~17時           休憩
           17時     ~19時    「後期研修レジデント1日体験」(2時間)  
           20時   ~       旅館チェックイン、懇親会開始
     8月25日 9時     ~10時45分 「訪問診療のABC」(1時間45分)
           10時45分~11時           休憩
           11時   ~11時45分 「Cinemeducation」(45分)
           11時45分~12時    閉会式

 参加費(宿泊・懇親会費込み)
     学生    6000円
     初期研修医 8000円
     その他   12000円
    **1日のみの参加の場合は下記連絡先までお問い合わせください**
 
 申し込み方法
  電話・メールで対応します
   電話 024-547-1516  (受付時間 月曜日~金曜日 午前9時~午後5時)
   mail:   comfam@fmu.ac.jp  
    メールでの応募の場合は
    件名を 「サマーフォーラム参加申し込み」
    本文に 氏名 所属 役職(研修医、学生、その他)
        卒後何年目 もしくは 今何年生かもご記入ください
        郡山駅からの送迎希望の有無 
        をご記入ください。

 
 さらに詳しい内容は、こちらのホームページをご参照ください

 喜多方でみなさんとお会いできるのを楽しみにしております!
 一緒に楽しく学びましょう!