2015年2月28日、今年で90回を数える歴史深い常磐医学会が開催されました。
①各医療専門職、②研修医、③専門医からの3部門に分かれ、それぞれの立場からの経験や取り組みが報告されました。私は第1部の座長として参加させていただきましたが、このように、市内の医療機関で活躍している多職種が一堂に会して学び、交流を持つことはとても意義深いものです。発表演題を見渡しても、単なる疾患のマネジメント方法に関する内容にとどまらず、危機的ないわきの医療を未来につなげるため、より広い視野に立って、多職種や複数の医療機関や福祉施設が力を合わせ、地域全体の医療を良くしていこうというメッセージが込められた発表が多いように感じられました。
さて、研修医部門では、かしま病院で家庭医療の後期研修中の渡邉聡子先生が「ありのままの姿みせるのよ、ありのままの自分になるの
~多死社会に向けた施設看取りへのチャレンジ~」と題して発表してくれました。これからの超高齢社会は言うまでもなく多死社会という側面を持っています。しかし、病院で看取ることができる数は病床数に依存して頭打ちとなり、むしろ在宅医療を推進する国の政策により、既に減少に転じています。しかも、核家族、老老介護があたりまえのご時世…
介護のマンパワーが絶対的に不足しているため、介護保険等のサービスをフル活用しても、思うように自宅での看取りが増えていない現状です。ここで重要になってくるのが第3の看取りの場としての老人介護施設です。家族にとっても施設職員にとっても、施設で看取るという選択肢は まだまだ定着していない印象ですが、長い間お世話になった場所、お世話になったスタッフに見守られて最期をむかえることは、とても自然なことだと思います。聡子先生の発表では、施設での看取りを希望する患者さんやご家族をサポートするために、施設職員の意識改革にも取り組んで行こうという強い意気込みが感じられ、見事に研修医部門賞を獲得しました。
医療の利用者も、古典的なお姫様が白馬の王子様に救われるのを待っている、つまり医療資源に頼りっぱなしで「すべてお任せします」というのではなく、個々が元来の自分らしさを保ちながら自立した最期、つまり現代のお姫様であるアナや雪の女王が王子様に頼ることなく、むしろ王子様を蹴って、ありのままの自分らしい生き方を自力で切り開いたように、ありのままの自分らしい最期を自ら選択し獲得していける時代を創っていきましょう!