THE LANCET誌ウェブサイト→ http://www.thelancet.com/japan
我が国の皆保険制度導入50周年を記念し、英国の世界的医学雑誌『THE LANCET』の日本特集号が9月1日に日英で同時刊行された。
過去50年の日本の国民皆保険制度を検証し、今日の主要課題を明らかにして、長期的な高齢化社会と3月11日の東日本大震災でもたらされた衝撃的な危機を踏まえた上で、日本の将来に向けての道筋を提唱するという趣旨のようだ。
20世紀後半に国民の健康状態を改善し強固な保健医療体制を構築した日本の実績は、国際的に高く評価されてきた。
第二次世界大戦終了時の日本人の平均寿命は、男性で50歳,女性で54歳。
それなのに、1970年代後半までにはスウェーデンを抜いて世界一の平均寿命となった成果は世界的に注目されている。
今年、日本は国民皆保険の達成から50周年を迎えた。
すべての国民にさまざまな医療へのアクセスを保証している割に、医療費は2008年でGDPの8.5%にとどまり、OECD諸国では20位という低さである。
なぜそんなことが可能だったのか?
世界的に不思議がられている。
公衆衛生政策、高い教育水準、伝統的な食習慣と運動、経済成長、安定した政治環境などが重要な要因として挙げられるが、その真意は未だ謎と言えば謎のようだ。
その中で、誌面にはこんな記載がある。
「開業した医師は自らを専門医と位置づけていたが、病院のように設備が整っていないために、ほとんどがプライマリ・ケアを提供していた。このような構造は今日に至るまで続いている。」
誤解を恐れずに大雑把に述べるなら、日本では今も昔もプライマリ・ケア専門外の先生方がプライマリ・ケアを提供してきたということになる。
9月1日に東京都内で開催された、『THE LANCET』日本特集号出版記念シンポジウムで、橋本英樹先生(東大大学院医学系研究科臨床疫学・経済学教授)はこう語ったそうだ。
「高度医療のアウトカムは、欧米と比較して遜色ない。特に、消化器外科手術のアウトカムは、優れている。これに対して、高血圧や高脂血症の未診療・未治療患者の割合は、米国よりも日本の方が高い。国民皆保険で、医療へのアクセスが保たれているのに、非常にショッキングな発見だった」
橋本教授は、2008年度から開始した特定健診・特定保健指導で、状況は改善しているかもしれないものの、「日本ではプライマリケアがシステムとして位置づけられていない。医療保険では予防がカバーされておらず、予防医学と医療との間で連携の悪さがある」と指摘。さらに、専門医に偏重した医師養成に問題があるとし、「地域のニーズと必要とされる専門医・総合医の数や、大学における人材養成・教育内容にミスマッチがある。これは今後、見直していかなければならない課題」とコメントしたそうです。
名古屋大学総合診療医学の伴信太郎教授は、誌面でこう述べている。
「日本の保健医療システムが他国のモデルになるためには、プライマリ・ケアを専門分野として認定することと、この専門分野を国家の保健医療政策の優先事項として重視することが最も重要である。この施策を支えるためには、すべての医学部・医科大学に総合診療学科を創設すべきである。そのことによって、総合診療医と家庭医が、地域の保健医療関係者と連携して初期診療・長期的な患者中心医療・包括的医療を提供する訓練を受けることが可能になるだろう。また、この施策を重視すれば、病院勤務医を受診する必要性が少なくなり、ひいてはその負担が軽減され、日本の保健医療体制はもっと効率的になるだろう」
名古屋大学総合診療医学の伴信太郎教授は、誌面でこう述べている。
「日本の保健医療システムが他国のモデルになるためには、プライマリ・ケアを専門分野として認定することと、この専門分野を国家の保健医療政策の優先事項として重視することが最も重要である。この施策を支えるためには、すべての医学部・医科大学に総合診療学科を創設すべきである。そのことによって、総合診療医と家庭医が、地域の保健医療関係者と連携して初期診療・長期的な患者中心医療・包括的医療を提供する訓練を受けることが可能になるだろう。また、この施策を重視すれば、病院勤務医を受診する必要性が少なくなり、ひいてはその負担が軽減され、日本の保健医療体制はもっと効率的になるだろう」
もともと予防医学も守備範囲とする家庭医。
日本の医療をより向上させるための役割は大きいようだ。
日本の医療をより向上させるための役割は大きいようだ。
ことはじめに、近日中に仮設住宅の実態を把握するため訪問を開始する。
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