2011年5月7日土曜日

I have a family, too. ~蕎麦を打つ家庭医~

いつ取れるか分からない私の休暇・・・
だからそれはいつも突然やってくる。
いつもいつも行き当たりばったりのasshi家の家族旅行。
GWも終盤となり、ようやくとれた家族のための時間。
「福島県を盛り上げよう」と“今日泊まれる宿”を福島県内限定で検索してみる。

ムムムッ・・・

予感はしていたが、嬉しい悲鳴というかほとんどヒットしない。

GWの前半は閑古鳥だった県内各地の観光地。
原発から遥か120km以上も離れていて、放射線レベルも事故後とほとんど変わらない会津地方ですら風評被害で死活問題となっていた・・・
その事態が報じられてから駆け込み被災地支援の輪が拡がって沢山の方々が東北へ足を運んでくださっているようだ。

なんとか一件ヒットした南会津のとあるペンションをゲット!

朝一で向かったのは世界遺産「大内宿」
江戸時代の宿場町にタイムスリップ。
屋外で家族とのんびり散歩できる幸せを感じながら、お昼はお約束の長ネギ一本を箸代わりに名物の蕎麦をいただく。

ペンションでは、ご主人から正真正銘の十割蕎麦打ちを伝授してもらう。

極めてシンプルながら、一切の誤魔化しの利かない世界。

「こうすれば成功する」というマニュアルが無いかわりに、失敗する度に得る「あの時こうすれば違ったかも…」という情報を身体に蓄積させていく…
初めて知ったことだが、蕎麦打ちに粉:水=○:△などというレシピは存在しないのだという。
その日の気温・湿度・打ち手の体温・手際・気圧・妖気・霊気などなど、打つ度に異なる種々の条件が微妙な差を生じさせる。
打ち手はその微妙な違いを生地の手触りだけで感じ取るしかないそうだ。
家庭医療にも通じるところがある。
医学には動かしがたい科学的な事実を記したテキストは存在するかも知れないが、成功を保証するマニュアルは存在しない。
同じ疾患であっても患者さん1人1人全く違う経験をしつつ医療機関を訪れる。
同じ疾患であっても医療機関を訪れない患者さんすらいる。
更に、それを拝見する医師の技量・その日の医師の体調・医師との相性もその後の患者さんの病気の体験を大きく左右する。

医師は日々自身のコミュニケーション能力を磨き、その微妙な違いを肌で感じ取るしかないのだ。
だから我々は、毎日反省しながら「もっと素敵に!」と医療のアートの部分を鍛錬しているのだと改めて実感した。

それにしても家族旅行しながらこんなこと考えている時点でほとんど病気!
職業病なだけまだましか・・・

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