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2021年6月12日土曜日

情報の鵜呑みにご注意を! ~第163回 家庭医療 レジデント・フォーラム~

 

今回のメインテーマは「論文との上手な付き合い方」でした。
コロナ禍の影響で、休憩時間に医局でくつろいでいる時に、製薬会社のMRさんから予定外の情報提供を受けることは皆無になりましたが、以前は、自社製品の有用性を示す論文を紹介するために、熱心に足しげく病院を訪問されるMRさんが数多くおられました。
そういった場合、研究のスポンサーが製薬メーカーだったり、その他あやしいことこの上なくて、わざわざ時間をかけて目を通す気が失せるわけです。
今回は、一流雑誌に載るような、一見して自身の診療に活用してもよさそうな立派な雰囲気のいくつかの論文を、専攻医3名が紹介・明快な解説をしてくれました。しかし、丁寧に批判的吟味をしていくうちに、やはり鵜呑みにできないものが潜在していることを再確認する結末となりました。
葛西教授によるシネメディケーションでは、ウイルス感染症パンデミックを描いた映画「コンテイジョン」を教材に、映画で描かれている不確かな情報に惑わされパニックに陥る人々と、現在のコロナ禍にある私たちの状況を重ねて、家庭医として、最新で最良の医学情報の活用と、情報の発信をしていくという私たちの役割について議論しました。



2020年10月27日火曜日

消えたBPSモデル ~第157回 家庭医療レジデント・フォーラム from 喜多方(オンライン)~

20201025日、今回もオンラインで家庭医療レジデント・フォーラムが開催されました。


専攻医からの提示事例は、EBMの実践を通して、終末期の意思決定、家族志向ケアなど、総合診療医に求められる複数の領域にまたがる多くの能力が鍛えられるものでした。

直属の指導医とのやり取りを通じて成長してゆく学びの過程を垣間見ることができたし、フォーラム当日も、他の指導医らから、また別の視点から多彩なフィードバックがなされました。


指導医レクチャーのテーマは「BPSモデル」でした。

家庭医療専門医取得のために課せられるポートフォリオの花形領域であったBPSモデルが、新・家庭医療専門医では姿を消しました。この事実に対して、レクチャーを担当した豊田先生の解釈は秀逸でした。「本物の家庭医を目指すなら、BPSモデルは標準装備でしょ!」と言わんばかりに、BPSモデルは消えたのではなく、根っ子に潜り込んだわけで、つまり、すべての領域において当然のごとく常に意識しておくべき、本幹をなす基礎中の基礎であり、かつ最重要なアプローチであるとの主張でした。

トリを務めた武田先生の講義では、プラセボ効果とノセボ効果の話がとても楽しく興味深く、時間が許せば、一日中 議論をし尽くしたい感じでした。

全体として、運営側も参加者らも徐々にオンラインセミナーに慣れてきて、小グループに分かれてのディスカッションも、さほど違和感を覚えることなくスムーズに進むようになってきました。ウェブで共有できるホワイトボードを用いると、各グループで出た意見がリアルタイムにアップされるので、その場で他のグループの議論内容も直接確認できるし、そのまま記録にも残せるので、参加できなかったメンバーも後で学べます。

より良い学びの機会になるように取り組んでくださった喜多方の指導医陣に感謝申し上げます。

2018年7月12日木曜日

最新・最良のエビデンスと患者の想いを紡ぐ芸術 ~実践家庭医塾~

今宵の実践家庭医塾のプレゼンは、臨床研修医と指導医との二本立て!

無症候性高尿酸血症へのアプローチはどうするか?
シンプルでよく経験する状況だけど、エビデンス的にも未だ結論が出ていない上に、個々の患者さん毎に、その他のリスクや背景は千差万別。
当然、患者中心の医療の方法を駆使して、患者の想いを紡ぐ職人技が必要です。
推奨される二次予防投薬を受け入れてくれない患者さんとどう向き合うか?
こちらはやや複雑で難しい状況ですが、やはり、患者中心の医療の方法を駆使して、患者さんが歩んできた長い病気の経験・物語を紐解いて、丁寧に紡いで行けば、突破口が見い出せるかもしれません。
難しい状況でも、いや、難しい状況だからこそ、諦めずに患者さんと関わり続ける努力と根気が試されます。家庭医療は生涯修行が必要な職人技なので、まさにゴールのない芸術の世界です。

2018年4月21日土曜日

春爛漫の桃畑を抜けて ~第5回 PEACH!!~

早くも第5回を迎えた PEACH!! は、県北の公立藤田総合病院での開催。
快晴の中、せっかく桃の里でのお勉強の機会なので、先ずは地域風土の視察から…
阿津賀志山~白石市往復の18㎞ラン!
春爛漫の桃畑を抜けて、猿の群れを目撃しながら 延べ標高差350mの登山ランに、わたくしの筋肉は喜んでいました。


冒頭に、症例検討とポートフォリオ検討が1事例ずつありました。
前者が議論のフォーカスが傷病中心であるのに対して、ポートフォリオ検討では学習者(事例報告者)の成長の過程が議論の的となります。
同じイベントの中で連続して行うことにより、ディスカッションを通して両者の違いが浮き彫りになり、学習者中心の医学教育の充実のためにも、学習手段としてのポートフォリオの有用性を再認識し、更に有効活用していきたいと思いました。


次に、英国ロンドンから英国総合診療医・指導医の Will Brook 先生による特別講演。
「Images of Primary Care」と題し、London の Welcome Library や New York の The Burns Archive などに収蔵されている、医療に関する古い写真を紹介しながら、世界の医療、プライマリ・ケアの歴史についてお話いただきました。
存在そのものが癒す力をもつ家庭医によるケア、患者中心の医療の方法の奥深さをしみじみ感じる時間となりました。

最後のセッションは、福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座 北村俊晴先生によるワークショップ「すぐできる!エビデンス検索」データベースからの情報検索
短時間で必要な情報にたどり着くための「コツ」、英語が苦手な人でも大丈夫な二次資料のワンランク上の使い方が紹介されました。
情報検索に不慣れな臨床研修医の皆さんでも、ていうか、だからこそ、やってみると色々発見があったようで、先ずはデータベースとお友達となって、毎日触ってみて、自分なりの裏技を見つけたりするのも上達のコツかと感じました。

福島県内の総合診療医育成のための5つのプログラム。
今後、それぞれが益々コラボして、より良い学習の場を提供していけたら良いと思います。






2015年8月24日月曜日

ステテコ、フンドシもOK? 「家庭医療サマー・フォーラム in ふくしま 2015」


 2015822日・23日、夏も終わりに近づいた週末の両日。
2006年から福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座の主催で毎年おこなわれている「家庭医療サマー・フォーラム in ふくしま 2015」が開催されました。
今年は記念すべき10年目の夏!
栄えある開催地となったのは我らがいわき市!
そして会場はかしま病院。
私の記憶が正しければ、いわき開催は2011年以来4年ぶり!
オリンピック並みの待ち遠しさで、ホストとして「おもてなし」の準備してきました。わたくしではなく、主に同僚の専攻医らがですが、、、(笑)
やっぱりサマー・フォーラムは通常のレジデント・フォーラムとは違い「夏祭り気分で参加して欲しい」という思いから、ドレスコードを浴衣もハッピも甚平、アロハやステテコ、フンドシもOK
ということにしました。
さすがにステテコやフンドシ姿の強者は現れませんでしたが、カジュアルな雰囲気で始まりました。
それにしても、今回のアイスブレイクのワークミッションがなかなか難しかったです。
「自己紹介を進めながら、他のチームとかぶらないように、チーム全員の共通点を見つけ出し、チーム名を決定せよ!」
知恵を絞り出してようやくたどり着いた共通点とは…
時間いっぱい使って「iPhone(あいふぉん)」ならぬ「iPone酒(あいぽんしゅ)」というチーム名となりました。
チーム全員が iPhone ユーザーかつ日本酒(ぽんしゅ)好き! ということが判明したのです。


 さあ、初日のメインプログラムは、家庭医が日常診療で持った疑問をどのように解決するかをその場で実体験してもらおうという医大スタッフによる企画「その場で解決! EBMライブ!」
とかく「EBMは質の高いエビデンスを見つけ、目の前の患者さんたちに片っ端から適用していくことである」という風に誤認されがちですが、目の前の患者さんにぴったりあてはまる都合の良い研究は意外に少ないので、エビデンスを患者さんに適用するか否かは、患者さんの背景や価値観や、自身の臨床経験などを考慮して、慎重に判断する必要があります。
EBM5ステップを再確認しながら、各チーム内で挙げられた臨床上の疑問を教材に、限られた時間で問題解決できるように取り組む参加者の真剣なまなざしが印象的でした。
予想通り、患者中心の医療の方法を鑑みるに、既存のエビデンスを無条件に適用できる場合がいかに稀かを、参加者の多くが理解できた様子でした。



そして、初日のお勉強が終わったら、お待ちかねの今回の目玉 特別企画!
2015NHKのど自慢グランドチャンピオンで、いわき市の名誉市民に認定された石井敦子さん、雅子さん姉妹と、そのご家族らが、サマー・フォーラムに来てくださいました。



とは言っても、ただただ民謡を鑑賞するだけでなく、唄って踊って(太鼓を)叩いて、、、
そしてせっかく教わった踊りは、本物のお祭りで実践!!!


というわけで、近所のお祭りに盆踊り要員として集団乱入!!!



みなさん狂喜乱舞し、いわきの夏の夜を存分に楽しんでおられる様子でした。



踊った後は、勿論お酒が旨いですね。


「家庭医は夜つくられる」
というわけで、宴の場を三崎公園の宿舎に移し、熱くて暑くて、ぶ厚い夜は更けていくのでした。


さて、どこからが2日目なのかは定かではありませんが、朝起きると何とか台風直撃を免れた小名浜、、、
荒々しい波を眺めながらちょっとだけジョギング。




 さて、2日目のメインプログラムは 「患者中心の医療の方法」の一部であるEBM(主に診断)を「ドクターG」的に丁寧に考えた後に、それだけでは終わらない「家族志向ケア」の意味するところを深く掘り下げるレジデント企画ワークショップ!
家族会議のVTRを観てからのディスカッションでは、どのチームでも予想通り、いや予想以上の盛り上がりをみせていました。
臨床推論の面白さ、家族と関わることの重要性や家族もケアの対象であること、そして家族志向ケアそのものの楽しさを多くの参加者の皆さんに理解していただけたのではないでしょうか?




最後のセッションは葛西主任教授によるCinemeducation
今回の題材となった映画は「Ivory Tower(学歴の値段)」 2014年
非営利的な高等教育機関である大学を襲うビジネス志向。
学生や受験生を集めるために費やされる学生のユーティリティーを重視した莫大な設備投資が、勉強しないで遊びまくる学生を増やし、学費を高騰させ、学生の学力を低下させていく…
未だ学び続けることができている喜びや感謝の気持ちを忘れずに、日々精進していきたいと強く思うセッションとなりました。






ともあれ、ホストとして頑張った、かしま家庭医チーム(チームかしま)が近所の名店で昼食をいただきながらプチ反省会。
とんこつラーメン ならぬ とんかつラーメン!
珍しいので思わずオーダーし、とてもおいしかったのですが「高知では常識」なんだそうです。
近所の小学校には「チームかしま」にエールをくれる横断幕的なものが…
ほっこりした気持ちになれる日曜の午後となりました。


2014年11月27日木曜日

不確実性と向き合うこと ~実践家庭医塾~

月例の家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾
今月も、いわきに地域医療の臨床研修に来てくれている研修医に学びの経験を発表してもらった。


今回、研修医が着目したテーマは、超高齢社会に突入している我が国では、もはや避けては通れない“不確実性への対応”であった。
貧血と心不全を患った とある超高齢者のケアにあたり、どこまでの検査をするべきか?治療はどこまでやるべきか?
まさに不確実性への対応に迫られた体験をもとに、気づいたことや学んだことを見事にまとめあげてくれた。


そもそも、医療には100%確実で安全なものは、検査においても治療においても一つしか存在しない。
その一つとは遅かれ早かれ全員に平等にいつかお迎えが来ること。
極端な話をすれば、医療を利用すると決めた時点で、そのことが裏目に出て命に関わることもあるという現実を受け入れなければならない。
治療や検査をするべきかどうか迷うぐらいなら、むしろ何もしない方がいいかもしれない。
医者に殺されることを100%防ぐ唯一の手段は、医者にかからないことである。
逆に、医療を利用すれば、結果として不利益を被ることもありうるという大前提を理解せずに、検査・治療方針に関する選択の自由なんてありえない。
そのことを許容できないのであれば、医療を利用する権利はないと思う。
医療を受けるリスクを受容するかわりに、医療の恩恵を獲得にいく。
医療とて、賭け事や勝負の要素がある。
そして、患者が高齢であればあるほど、死が不可避な状況が多くなり、どんな戦術をとろうとも、はじめから負け戦の様相が強くなることもまた事実。

こういった大前提を医療の利用者に十分に理解してもらって、ようやく同じ土俵に乗り、そこから各々の倫理観や哲学・死生観などを考慮して、個別の方針決定をしていくという過程には、多彩なコミュニケーション能力・多大な労力や時間を要する。
したがって、こういった内容の話し合いは、例えば患者さんが既に急変し切迫した状況下になってしまった後に家族とじっくり冷静に相談するなんて離れ業はほぼ無理である。
だからこそ、土壇場になってバタバタするのではなく、かかりつけ医の責務として日頃から患者本人の考えを中心とした医療提供に関する要望。特に終末期の栄養管理や延命処置等に関する重要事項に関して予め決めておくとよいし、それは本来そうやって時間をかけて行うべき内容である。
こうした努力を積み重ねて、不要な入院や救急搬送、そして何よりも患者本人に無駄な苦痛を強いる事態を回避できる社会を創っていこうと強く思った。

2014年11月9日日曜日

ようこそいわきへ! ~第97回 FaMReF@いわき~

県内各地で行われる月例の講座の勉強会
家庭医療レジデント・フォーラム(Family Medicine Resident Forum: FaMReF)
今日の会場はいわき!

「力を合わせて全体の進歩を図る」
かしま病院の病棟にある熱い日めくりカレンダーも、いわき開催を祝福しているようだ。


レジデントからの話題提起

日々の診療を通して高齢者の転倒の問題は多いし重大であるということを実感をしているというあるレジデント

しかしながら、転倒・骨折を予防するために有効な手段や・指導方法は、案外良く分からなかったりする。

玄関などのマットにつまずかないように配慮する
ヒッププロテクター
バリアフリーや手すりなどのハード面の整備
栄養管理や健康体操などによる身体機能の維持・向上
多職種の意見や協力をあおぐ
薬剤の副作用の可能性の吟味・・・

本当に有効なのか?
何が最も有用で効率的なのか?
この問題ひとつとっても臨床上の疑問は尽きない・・・
こういったところから新しい研究テーマを見出していこう。


次のレジデントは、最近たまたま予測し難いような病態の患者さんを立て続けに経験し、ある程度検査や治療ができる環境だと、検査や治療をどこまでやるべきか迷うという。

まず、難しい病態なのにどうして診断できたのかを振り返ってみよう。
そこに、どんな時は検査を省けるのかというヒントが隠されているかもしれない。

次に、診断はついたものの、どこまでの治療をすれば良いか?
超高齢社会では、患者がどうありたいのかという健康観を考慮せずに治療方針は決められない。
しかも、多様な要素が複雑に絡み合ったなかで、総合的に判断してくことが求められる。

一人ひとりの患者さんに対して、この時は、こう判断してこうした。
そういった積み重ねのデータが、医療経済への寄与も含め、今後の医療界の財産にできるよう、まとめあげていくことになった。

そして本日のメインのプレゼンは、後期研修医のS先生
「地産地消」と題し、いわきへの熱い思いを持つ仲間として、地元から地元を支える医療人を輩出していこうという、妄想半分・本気半分の作戦会議となった。
震災を経験した子供たちは、社会貢献したいという傾向が強まったという(ベネッセ教育総合研究所調べ http://berd.benesse.jp/magazine/opinion/index2.php?id=2013 )
地元愛の強い若者の夢が叶えられるように、私たちが憧れの大人として影響を与えていこうじゃないか!

2014年1月26日日曜日

内部被ばく講演会に学ぶ患者中心の医療の方法

昨日、郷ケ丘幼稚園で保護者・職員向けに内部被ばくについての講演会が行われた。

講師は、東京大学医科研の坪倉正治先生。
南相馬市立総合病院などで実施された内部被ばく検査のデータをもとに、私たちが今置かれている状況が分かるように、丁寧かつ明快にお示しくださった。


単に「心配いらない」という結論を押し付けるのではなく、この地で被ばくによる健康リスクを高めることなく生活することが可能であるというデータに基づいた根拠と、安全に生活するための注意点を正確に伝え、その情報をもとに個々人が身の振り方を自分達で選択できるようにすること。
費用対効果を高く保ちながら被ばくを低減しつつ、被ばく以上にずっと重大で明確なその他の多くの健康リスクを包括的に管理していくこと。
そういったことが、福島で医療を提供する者に求められる使命であることを再認識した。

恐らく、坪倉先生のお話がひじょ~に分かりやす過ぎて、かつツッコミどころもなかったためだと思うが、フロアからの質問も少なめだった。
同じいわき市に住んでいても、不安や苦しみの経験は、その程度も種類も千差万別。
そんな個々のコンテクストに配慮しながら、大事な情報を正確に伝えて個々人の判断材料を提供する。
そんな坪倉先生のスタンスに惚れた。

どんな場でも、EBMとNBMをバランスよく駆使しながら、家族・社会背景に配慮することを忘れてはいけない。
患者中心の医療の方法実践の修業中の身としては、坪倉先生の講演内容もさることながら、そういった優れたコミュニケーション能力を魅せていただき、自分にとってメチャクチャ勉強になる有意義な時間となった。

で、当然のことながら頑張って学んだ後に行きつく先は… デレスケ!


午前様で、今日は ホロスケ!!!

2014年1月11日土曜日

記念すべき? 第90回 FaMReF@福島医大

今回はプレゼンの機会をいただいた。
テーマは「高齢者」
老化や死を恐れる患者さん本人や家族と
医学のプロとして
また、医学の限界を知る者として
関わることの重要性を強く感じる毎日。



高齢者に対して質の高いプライマリ・ケアを提供するために有用と思われるCGAComprehensive geriatric assessment について、とある患者さんの実例を通して、あらためて参加者の皆さんと一緒に考えさせてもらった。
その中で多剤併用にまつわる問題が いかに多いか再認識したのでその辺のエビデンスを「高齢者に対する適切な医療提供の指針」厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)高齢者に対する適切な医療提供に関する研究(H22-長寿-指定-009)研究班 を参考に確認してみた。

想像通り、高齢者では薬剤による有害事象が起こりやすいようだ。
Akishita M, Teramoto S, Arai H, Mizukami K, Morimoto S, Toba K.Incidence of
adverse drug reactions in geriatric wards of university hospitals. Nihon Ronen
Igakkai zasshi. Japanese journal of geriatrics. May 2004;413:303-306.
Gurwitz JH, Field TS, Harrold LR, et al. Incidence and preventability of adverse drug
events among older persons in the ambulatory setting. JAMA. Mar 5 2003;2899:1107-
1116.

薬物動態や薬力学の加齢変化があるので当然といえば当然!
McLachlan AJ, Pont LG. Drug metabolism in older people--a key consideration in
achieving optimal outcomes with medicines. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. Feb 2012;67
2:175-180.
McLachlan AJ, Hilmer SN, Le Couteur DG. Variability in response to medicines in older
people: phenotypic and genotypic factors. Clinical pharmacology and therapeutics.
Apr 2009;854:431-433.

特に、多剤併用(特に 6 剤以上)に伴って予期せぬ相互作用や薬物有害事象の危険性は高くなるので、可能な限り多剤併用は避けるべきなようだ。
Chrischilles E, Rubenstein L, Van Gilder R, Voelker M, Wright K, Wallace R. Risk
factors for adverse drug events in older adults with mobility limitations in the
community setting. J Am Geriatr Soc. Jan 2007;551:29-34.
Field TS, Gurwitz JH, Harrold LR, et al. Risk factors for adverse drug events among
older adults in the ambulatory setting. J Am Geriatr Soc. Aug 2004;528:1349-1354.
Agostini JV, Han L, Tinetti ME. The relationship between number of medications and
weight loss or impaired balance in older adults. J Am Geriatr Soc. Oct 2004;5210:1719-
1723.
Larson EB, Kukull WA, Buchner D, Reifler BV. Adverse drug reactions associated with
global cognitive impairment in elderly persons. Ann Intern Med. Aug 1987;1072:169-173.
Kojima T, Akishita M, Nakamura T, et al. Polypharmacy as a risk for fall occurrence in -  13
geriatric outpatients. Geriatrics & gerontology international. Jul 2012;123:425-430.
Kojima T, Akishita M, Nakamura T, et al. Association of polypharmacy with fall risk
among geriatric outpatients. Geriatrics & gerontology international. Oct 2011;114:438-
444.

認知機能の低下、巧緻運動障害、嚥下障害、薬局までのアクセス不良、経済的事情、多剤併用など薬剤療法に対するアドヒアランスを低下させる要因は多岐に渡るので、服薬アドヒアランスについて、本人だけでなく家族や介護者からも定期的に情報を収集し、アドヒアランスを低下させる要因を同定し、予防・改善に努めたり、合剤の使用や一包化、剤形の変更など服用が簡便になるよう工夫することが大事だと思う。
Kaur S, Mitchell G, Vitetta L, Roberts MS. Interventions that can reduce inappropriate
prescribing in the elderly: a systematic review. Drugs & aging. 2009;2612:1013-1028.
Osterberg L, Blaschke T. Adherence to medication. N Engl J Med. Aug 4 2005;353
5:487-497.
Haynes RB, Ackloo E, Sahota N, McDonald HP, Yao X. Interventions for enhancing
medication adherence. Cochrane Database Syst Rev. 20082:CD000011.
Kripalani S, Yao X, Haynes RB. Interventions to enhance medication adherence in
chronic medical conditions: a systematic review. Arch Intern Med. Mar 26 2007;167
6:540-550.

ただし、実際にずっと飲んできた薬を中止することに抵抗を感じる患者さんやご家族は多い。
上手な服薬整理の実際についても議論がおよんだ。

2013年9月19日木曜日

実践家庭医塾 ~日本流プライマリ・ケアの構築のために~

本日、中秋の名月の夜の実践家庭医塾は2部構成!

先ずは、前回に引き続き、地域医療研修のために東京慈恵会医科大学からいわきを訪れている臨床研修医の気づきをもとに家庭医療の専門性をさぐる試み!
現在ローテート中の彼女は、わが国のプライマリ・ケアの現場で噴出している多くの問題を実感せずにはいられない事例を、僅か2週間あまりの間に数えきれないほど目の当たりにしてきた。
そのもどかしさを参加者に伝えるべく、当日の家庭医塾開始直前まで鋭意準備してくれた。
日本の医療を良くしたい。
誰もが安心して暮らせる国にしたい。
そんな熱い想いを受け止めることができた。
これからも、日本の未来を創る仲間として一緒に頑張っていきたい。


次に、夏休みを利用していわきを含む福島県を訪問してくださっている、オーストラリアのJames Cook大学家庭医療学のClare Heal准教授から、家庭医の臨床研究について、ご自身の研究のご紹介を交えてレクチャーしていただいた。

プライマリ・ケアの現場から生まれた素朴な疑問やニーズをきっかけに、日常診療に役立つエビデンスを、日常診療をしながら生み出していく文化が根付いていることにあらためて感心した。

プライマリ・ケアの整備という面では、診療にせよ、教育にせよ、研究にしても、ずっと先を行くオーストラリアなどの先輩諸外国の姿を参考にしながら、日本流のプライマリ・ケアを構築していくのが僕らの使命である。

2013年8月17日土曜日

第16回福島アドバンスド・コース(FACE) ~須藤博先生をお迎えして~

今回のスペシャルゲスト講師は、大船中央病院の須藤博先生。
初日のメインは「SpPinな身体所見」ということで、確定診断に有用な身体所見について、指先から頭頸部に始まり足先まで全身に至る身体所見を、実際の病歴と照らし合わせながら、丁寧に解説していただいている。


あらためて学んだ大切なことは、日常病ほど非典型例が多いし、実際の臨床はとても難しく奥が深いということ。
そして、考えられる疾患を広く想起できることは最も重要である。緊急度や重要度が高い疾患はもちろんのこと、実は頻度が高いのにも関わらず、あまり知られていない疾患は案外多い。それらを常に想起できれば、多くの患者さんに多くの恩恵をもたらすことができる。

自分が経験の無いような症状を訴える患者さんに出会ったときこそ「自分が知らない疾患ではないか?」と疑いながら、より慎重に自分の経験を記録し、検証・検討し、解決していきたい。


2013年7月21日日曜日

最良の証拠を良心的、公明にかつ思慮深く用いること ~第84回FaMReF~

2013年7月21日の講座月例のFaMReFのテーマはズバリ「EBM」
氾濫する情報を、いかに有効に活用するか?
多忙な診療の合間に、素朴な臨床上の疑問をどう解決するか?
そもそも、その情報は入手するために時間と労力を費やす価値があるのだろうか?
あれも、これも、EBMだよね~ etc.
様々なディスカッションをすすめながら、今までより少しだけEBMを身近に感じられるようになった。


とかく、エビデンス=EBM という誤解に惑わされるこの分野で、
あるエビデンスを個別の患者にどう適用するのか?
その部分へのアドバイスが指導医にとって重要な役割なんだなぁ~ と再認識した。



2013年7月8日月曜日

うつ病ならぬ、認知症にも2質問法?

こんな記事を見つけた。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/23773305/?i=5&from=/9785148/related

Usefulness of 2 Questions About Age and Year of Birth in the Case-Finding of Dementia.

Ventura T, et al.

Journal

J Am Med Dir Assoc. 2013 Jun 15. pii: S1525-8610(13)00277-6. doi: 10.1016/j.jamda.2013.05.006. [Epub ahead of print]

Affiliation

Psychiatry Service, Hospital Universitario Miguel Servet, Zaragoza, Spain; Department of Medicine and Psychiatry, Universidad de Zaragoza, Zaragoza, Spain; Centro de Investigación Biomédica en Red de Salud Mental (CIBERSAM), Ministry of Science and Innovation, Madrid, Spain; Instituto de Investigación Sanitaria de Aragón (IIS Aragón), Zaragoza, Spain.

年齢で短気記憶を、誕生日で長期記憶をチェックするというしくみなんだろうか?
認知症にも2質問法が登場か?
サマリーだけ見てちゃんと批判的吟味してないが、効率的なケアを提供するために、短時間でルールアウトできるツールは大変興味深い。


スペイン・ミシェル・セルヴェ大学病院のTirso Ventura氏らは、年齢と誕生日を尋ねる2つの単純な質問が、臨床において概して認知症をルールアウトするのに有効であるという仮説について検証した。その結果、特異度および陰性適中率がほぼ100%近かったことが明らかになった。感度は約61%、陽性適中率は約45%であった。これらの結果を踏まえて著者は、「この単純な質問テストは現在までに報告された最善の方法であり、認知症のルールアウトに用いることが普遍化されるかもしれない」と述べている。

研究グループは、認知症発症について注目した住民ベースの長期前向き研究を行った。ベースラインで、認知症の症例群と非症例群を特定するために2つの標準化されたスケール、構造化面接(Geriatric Mental State)とHistory and Aetiological Schedule(HAS)を用いて認知機能の評価を行った。症例の診断はDSM-IV基準を用いて行い、参照基準とした。本検討では、単純認知機能テストとして、2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」という質問をした。

主な結果
・参加者のテストの受け入れは良好で、30秒以内に回答が得られた。
・基準と比較して、「2つの質問への回答がどちらも誤答である場合は認知症である」とする判定について、感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった。・この超短時間での試験は、特異性と陰性の検出力が非常に良好であった。

2013年4月15日月曜日

エビデンスに基づく?患者中心のダイエット (運動療法編)


〇〇するだけで痩せられるほど世の中甘くない。

そう思いつつも、魅力的な宣伝文句に釣られて、健康食品や健康器具を購入される方は多い。
確かに、購入行動自体がすでに行動変容ステージの「準備期」から「実行期」に差し掛かっていることを意味するのだが、「〇〇するだけで楽に痩せられる」と思っている場合はたいがい、〇〇すら続かないものである。
それ(〇〇)すら続かない人が、「〇〇するだけで」のフレーズに惹かれたりする。
当然、購入するだけで痩せられるグッズは私が知るかぎり存在しない。

〇〇するだけダイエットで成功した人は、行動変容している分、きっと〇〇以外のことも無意識に努力していると思う。
だから、〇〇するだけ(〇〇単独)で、どれだけ効果があるかははっきり言って分からないもの。

オイラの場合も、少なくとも糖質制限しながら〇〇しているわけで・・・
〇〇の効果は分からないという前提で聞いて欲しいのだが、

その〇〇とは、加圧パンツ。

糖質制限だけだと、燃やしたい脂肪だけでなく、分解させたくない蛋白質までエネルギーとして動員される恐れがある。
だから、筋肉量だけは維持・向上させながら、脂肪を燃やしたい。
十分なアミノ酸を摂取しながら、最低限の筋トレをして、糖質制限すれば、あとは脂肪を燃やす以外に生きられない。
兵糧攻めだ!
では、最低限の筋トレをどうするか?
まとまったトレーニングができなくとも、短時間の犬の散歩や階段の昇り降りや子供との鬼ごっこなど、日常生活程度の活動はしている。
日常生活自体を効果的な筋トレに変えてくれるというのが売り文句のこの商品。

本当は、糖質制限の効果、加圧パンツの効果、という具合に、1つずつ検証しなければそれぞれの効果は分からないが、残念ながら1個ずつ実験するほど、暇じゃないし気が長くもないので、今のところ、糖質制限+加圧パンツの効果を、自身の身体で実験している状況である。
ある程度落ち着いた頃に、どちらか1つずつ止めてみることにより、それぞれの効果を検証してみようと思っている。

で、今のところ、平成251月中旬~4月中旬(3ヶ月間)の成果として
体重:82㎏⇒72(-10)
BMI29.425.8
ウエスト周囲径:92㎝⇒82(-10)
理想体重まで丁度5合目といったところで、おおむね順調な経過である。
思わず、ダイエット商品の宣伝で使われるお約束のアピールをしてみたくなる。
そもそも、ダイエット意欲にスイッチが入ったトリガーは、
体重が池中玄太80キロを超えたこと、
購入するズボンの胴周りが、ズボンの長さを超えたこと・・・
自分にも「尋常な体型でいたい」という色気が残っていたというわけだ!

2013年4月14日日曜日

エビデンスに基づく?患者中心のダイエット (食事療法編)


「痩せたいけれど、美味い肴と晩酌だけは譲れない!」
「ついでに、定期的かつまとまったエクササイズの時間は確保しにくい」

これがオイラの(今のところの)結論。

このポリシー(といえば格好いいが)というか、悪しき習慣は、生涯変わりようがない気がする。

ああそれなのにそれなのに

「痩せるにはどうしたらいいか?」

オイラの切なる思いへの周囲からのアドバイスは・・・

「簡単ですよ!大酒飲みをやめれば絶対痩せますって!」
「単なる運動不足っすよ!」

「はいはい、ヤブでも一応医者なんで、そんなこたぁ~百も承知ですよ~!・・・でも、酒は絶対やめませんし、運動だッて無理っすよ~!!!」

っていう感じにいつもめでたくまとまるわけです。(全然まとまってない)

人が行動を変える(行動変容する)場合は「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」「維持期」の5つのステージを通ると考えられています。
これは、1980年代に禁煙の研究から導かれたモデルですが、その他、ダイエットなど健康に影響する生活習慣などの行動について、幅広く応用され、研究と実践がなされています。

オイラの場合、晩酌や断酒関しては、見事に変容ステージモデルの「無関心期」を貫き、そこから前に進めないでいるわけですが、痩せたいという思いに関しては、少なくとも「関心期」に入っているわけです。
つまり、この強固な無関心の壁を打破して前に進むには、晩酌と肴を犠牲にせずに実行できて続けられる方法を編み出せばよいわけです。

そこで目をつけたのが、自分が「甘党」ではないという事実。
言いかえれば、美味いお酒が飲めて、それに合うツマミさえあれば、それ(酒やビール)以外の糖質への執着はあまりないのです。
つまり、日本酒やビールは我慢できなくても、その他の糖質を制限することはオイラにとって、それほど自制を強いるものではありません。
そこに、晩酌と肴を犠牲にせずに痩せる突破口を見出したいと考えました。

では、糖質はどこまで制限して良いものなのでしょう?

「糖質(当時は炭水化物)は脳の栄養として不可欠だから適度にとりましょう」
「特に、朝は十分に脳が働くようにしっかりご飯を食べてきましょう」
なんてことは、小学校の時から口を酸っぱく教育されてきました。

まるで、主食や甘いものをしっかり摂らないと脳が働かないかのような言いようですね。

しかし、たっぷりと体内に蓄えてある脂肪を燃焼させるためには、そこに優先的に消費される燃料である糖質を注ぎ込むのは非合理的。

オイラが知るかぎり、体脂肪を減らす有効な手段は、有酸素運動をするか、それが無理なら普通に活動(基礎代謝)しながら糖質制限することで、代わりのエネルギー源として蓄積している脂肪を利用するよう誘導するかです。

有酸素運動を生活習慣に取り込むことが難しいという事情を考慮して、「超低糖質食評価研究から見えてきた食事指導の問題点」J. Lipid Nutr. Vol.19, No.1 (2010)という論文を見てみました。
以下、その内容を紹介します。

2008年度から開始された特定健診は、メタボリックシンドロームの人を特定して、将
来の糖尿病を予防して、心筋梗塞や脳卒中といった心血管系疾患の発症を防ぎ、高齢化
により増大する医療費を抑制することを目的としています。
厚生労働省.標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)、20084月。

複雑な階層化により特定されたメタボおよびその予備群に対して、特定保健指導と名付けられた生活指導が行われます。この時の食事指導として食事バランスガイドが使われています。
厚生労働省.食事バランスガイド http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html (2009.12.02)

しかし、その内容は全体で 1722 単位に対して、主食 57 単位、副菜(いも類を含む)56 単位、主菜(大豆を含む)35単位、果物2単位となっています。それぞれの摂取エネルギーに占める炭水化物の比率は、主食が約90%、芋類が約95%、大豆が約30%、果物が約4590%と、非常に多くの炭水化物を含んでいます。日本人成人の1日摂取エネルギーが女性約 1,700kcal~男性約 2,000kcal ですでの、1 単位が約 90100kcal に相当します。これから計算すると1200300gの炭水化物摂取でバランスの良い食事としていることになります。これは国民健康栄養調査での炭水化物摂取量が成人女性平均242.3g~男性平均296.8gとほぼ一致しています。
厚労省 平成19年国民健康・栄養調査の概要 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/dl/s0302-8i.pdf (2009.12.02)

朝・昼・夕の摂取エネルギー比率を1.01.52.0とすると、夕食では100130gの炭水化物を摂取することになります。現代人が摂取している主食とされている食材では炭水化物のほぼ 98%が糖質なので、正常人でも糖質 1g 当たりが食後のピーク血糖値を1mg/dl上昇させるので、夕食後の血糖値が100mg/dl以上上昇する食事を勧めていることになります。夕食後に運動する人は少なく、忙しい日本人では就寝までの時間が短く、これが夜間高血糖にもつながっていることが考えられます。糖尿病患者に対しても、摂取エネルギーの5560%を炭水化物で摂取するようにとされています。
日本糖尿病学会編.2008-2009糖尿病治療ガイド第4刷、文光堂、2009.

カロリーを1,500kcalに制限しても、夕食で炭水化物を7090g摂取することになります。糖質1gに対して 2 型糖尿病患者では食後血糖値が約 3mg/dl 上昇するため、夕食後の血糖値は200mg/dl以上上昇することになります。糖尿病発症を予防するには膵臓ベータ細胞への負担を減らすことが最も重要です。これには糖質摂取量の削減が最も効果的です。また、糖尿病患者では食後高血糖を無くすことが合併症の予防となり、ベータ細胞の疲弊を防ぐことになります。欧米では糖尿病の予防と治療で糖質制限食の流れが出来つつあります。
Atkins RC. Dr. Atkins' new diet revolution, Harper, New York, 2002.
American Diabetes Association. Life with Diabetes Third Edition. American  Diabetes Association, Alexandria, 2004.
Bernstein R. Dr. Bernstein's diabetes solution Newly revised & Updated. Little  Brown and Company, New York, 2007.

しかし、日本では厳しい糖質制限食に対しては体に悪い影響を与えるのではないかとの懸念を抱く人もいます。この研究は、長期にわたり超低糖質食(very low- saccharide dietVLSD)を実践している人を対象とした調査です。

主な結果として、糖質制限食は厳しい糖質摂取制限にも関わらず、最も懸念されるアシドーシスが起きていないことがわかりました。血糖値の上昇は抑制され、脂質がエネルギー源となっていることが分かりました。

世界で100万人が実践したとされるアトキンス式ダイエットは、VLSD ですが、短期的な安全性は実証されています。
Atkins RC. Dr. Atkins' new diet revolution, Harper, New York, 2002.

日本でも、必須栄養素は、9種のアミノ酸、6種の脂肪酸、14種のビタミン類、14種の無機質であり、糖質は必須栄養素に含まれません。

脳は糖質を優先的にエネルギー源にするが、糖質が少ない時にはケトン体が主たるエネルギー源となります。
Manninen AH. Metabolic effects of the very-low-carbohydrate diets: Misunderstood "Villains" of human metabolism. J Int Soc Sports Nutr, 1(2):7-11, 2004.

ところがです!

極端な炭水化物制限「生命の危険も」...学会警鐘
2012 727()読売新聞>
主食を控える「糖質制限食(低炭水化物食)」について、日本糖尿病学会は2012726日、「極端な糖質制限は健康被害をもたらす危険がある」との見解を示した。
同学会の門脇孝理事長(東大病院長)は読売新聞の取材に対し、「炭水化物を総摂取カロリーの40%未満に抑える極端な糖質制限は、脂質やたんぱく質の過剰摂取につながることが多い。短期的にはケトン血症や脱水、長期的には腎症、心筋梗塞や脳卒中、発がんなどの危険性を高める恐れがある」と指摘。「現在一部で広まっている糖質制限は、糖尿病や合併症の重症度によっては生命の危険さえあり、勧められない」と注意した。

というわけです。

ですが、学会の公式見解にしては、ざっと調べた限りその根拠がはっきりしなかったので、深刻には受け止めていません。

それ以前に、自身を現状の体重のまま放置することが危険であることは明白だと自己責任で判断したわたくしは、比較的厳格な糖質制限を断行したのです。

糖質制限は、少なくとも2年間は安全(アメリカ糖尿病学会)

これを信じることにして・・・

で、どうなったか知りたいですか?

知りたいですよね。

少なくとも健在です。
ていうか、むしろ短期的アウトカムは極めて順調です。

続報は後日・・・