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2021年7月29日木曜日

家族機能のアセスメント ~第164回 家庭医療レジデント・フォーラム(特別編)~

2021年7月25日開催の家庭医療レジデント・フォーラムは、東京慈恵会医科大学附属病院 家族支援専門看護師の児玉久仁子さんに講師を務めていただき、家族機能のアセスメントについてかなり深いところまで突き詰めて学びました。

児玉さんの講義によると、よく言う家族療法はシステム的家族療法で、システム論1980年代までに発展し、そこに徐々にナラティブアプローチが加わり、以降の世代に広がっていて、家族看護は看護学のアプローチが加わっていったもので、メディカルファミリーセラピーは、身体・精神・社会モデルに準じて行われる家族療法で、これが総合診療医になじみ深い家族志向のプライマリ・ケアという位置づけになるそうです。

家族志向ケアでは、ヘルスケアの主役は家族という背景を持った患者であり、治療者もシステムの一部であると考えるのですが、臨床家もシステムの一部というのは、歴史的に新しい考え方のようです。

今回は特に家族システム論の中の家族機能について掘り下げて学びました。

家族機能には相互作用の連鎖(パターン)があり、一定のルールに則った特徴的な行動パターンが繰り返されます。

そこには原因と結果があり、通常では原因をなくすようにアプローチするわけですが、家族関係に当てはめると上手くいかないようです。例えば、アルコールを飲むので生活習慣病の管理が悪いケースで、本人の立場は「妻が怒るからお酒を飲む」というので、妻が怒らなければ解決するのかと思えば、妻からすれば「夫が朝から飲むから怒る」という具合に、悪循環は、それぞれの相互関係で巻き起こっていて、原因はシンプルではないということです。


家族の相互作用を確認し、やりとりを細かく聴取し、ここでは「何があったか」に焦点し、「誰が悪い」「何が悪い」ではなく、「誰も悪くない」とはっきり伝えることが大事で、アプローチポイントは、ネガティブなフィードバックをせずに、実践の中で出てきているポジティブな部分、家族の良いところを探すことのようです。

問題そのものに切り込むのではなく、その背景にある良い部分にフォーカスすることが、悪循環を好転させるきっかけになるようです。


専攻医が提示した事例は、まさに、自宅退院を希望する患者とそれを頑なに拒む家族に対し、家族の行動の背景に潜む優しさや几帳面さに気づきフォーカスしたところ、八方ふさがりにみえていた事態が、一気に好転するというものでしたので、このアプローチの有用性を実感できるものでした。



2021年6月12日土曜日

情報の鵜呑みにご注意を! ~第163回 家庭医療 レジデント・フォーラム~

 

今回のメインテーマは「論文との上手な付き合い方」でした。
コロナ禍の影響で、休憩時間に医局でくつろいでいる時に、製薬会社のMRさんから予定外の情報提供を受けることは皆無になりましたが、以前は、自社製品の有用性を示す論文を紹介するために、熱心に足しげく病院を訪問されるMRさんが数多くおられました。
そういった場合、研究のスポンサーが製薬メーカーだったり、その他あやしいことこの上なくて、わざわざ時間をかけて目を通す気が失せるわけです。
今回は、一流雑誌に載るような、一見して自身の診療に活用してもよさそうな立派な雰囲気のいくつかの論文を、専攻医3名が紹介・明快な解説をしてくれました。しかし、丁寧に批判的吟味をしていくうちに、やはり鵜呑みにできないものが潜在していることを再確認する結末となりました。
葛西教授によるシネメディケーションでは、ウイルス感染症パンデミックを描いた映画「コンテイジョン」を教材に、映画で描かれている不確かな情報に惑わされパニックに陥る人々と、現在のコロナ禍にある私たちの状況を重ねて、家庭医として、最新で最良の医学情報の活用と、情報の発信をしていくという私たちの役割について議論しました。



2021年4月4日日曜日

新専攻医オリエンテーション ~第162回 家庭医療レジデント・フォーラム~

 4月の家庭医療レジデント・フォーラムは、新人のオリエンテーションがメイン。

今年度もめでたく3名の新専攻医を迎えることができました。

当面オンライン開催が続きますが、移動時間が要らない分、どうしても外せない別の業務と重なっても、部分参加しやすいのはありがたいです。

私たちが生涯かけて追究し続けている、プライマリ・ヘルス・ケアというものの本質を再確認する時間となりました。




2021年3月21日日曜日

学習機会の設計 ~第161回 家庭医療レジデント・フォーラム from 大原綜合病院~

本日の家庭医療レジデント・フォーラムも、今となっては標準となっているオンライン開催でした。

本日の家庭医療レジデント・フォーラムでは、コロナ禍で形を変える学習機会について深く考え学ぶ機会になりました。

もともと目的があって行われていた勉強会も、これまで通りの開催が難しくなり、「どうすれば開催できるか?」といった視点に重きが置かれ、ともすると開催自体が目的になることも起こりがちです。

今回のフォーラムを通し、「ニーズ」と「ゴール」を明らかにして学習機会を設計し開催すると、勉強会でのディスカッションを通じて新たなニーズに気づき、新たなゴール設定が創出されるという経験をしました。

ちなみにこれは見やすいスライドのセッションの中で、あらためて腑に落ちた一枚です。



2021年2月21日日曜日

コロナ禍を逆手に取ったオンライン診療道場 ~第160回 家庭医療レジデント・フォーラム~

この時期のレジデント・フォーラムは、 例年であれば総合診療専攻医の専門医試験対策を兼ね、臨床技能評価を行うのが恒例となっています。講座スタッフが模擬患者に扮して、対面診察の技能を評価します。

今年はオンライン開催を前提に準備をしていく過程で、これからの時代に益々ニーズが高まるオンライン診療を課題にしてみたら一石二鳥で良いのでは?ということになりました。

で、実際にやってみて本当に良かったと思います。やってみて初めて分かる、普段の診療との勝手が違うポイントや困難さに関して多くの気づきがありました。

診療の様式に合わせて、より良いやり方を模索し、ニーズに順応していくのも、総合診療医にとって大切な役割であり、求められる能力なんだと思います。




2021年1月24日日曜日

慢性の健康問題こそチームプレーのみせどころ ~第159回 家庭医療レジデント・フォーラム from 保原~

本日の家庭医療レジデント・フォーラムも、今となっては標準となっているオンライン開催でした。

本日のメインテーマは「慢性疾患のケア」

継続的に長期に患者とかかわる家庭医にとって、慢性疾患のケアは、それ自体が腕のみせどころですし、最大のやりがいでもあります。

しかし、実際に家庭医が患者さんと共有できる時間は、患者さんの人生全体からみると、ほんの僅かですし、患者さんを取り巻く環境すべてに直接的に介入することは不可能です。

これらの足りない部分を補うためには、公的な資源や多職種を巻き込んだチームアプローチを駆使して、継続的な支援を提供し、患者さんのセルフケア能力を開拓していくことが、良好なアウトカムにつながることを再認識しました。

フォーラムのために充分な準備をしてくださったホストサイトの保原中央クリニック のチーム力に敬意を表します。




2020年12月19日土曜日

シネメデュケーションも復活 ~第158回 家庭医療レジデント・フォーラム from 郡山(オンライン)~

今回の家庭医療レジデント・フォーラムもオンライン開催でした。
Zoomを用いたオンラインでの勉強会にもだいぶ慣れて、小グループディスカッションもスムーズに進行するようになりました。
今回は、Zoomでは不向きとされる動画の共有を含むセッション「シネメデュケーション」も試行錯誤しながら再開され、学びの幅も現地開催と遜色ないレベルになってきました。
オンライン忘年会も同日開催され、各自が勝手に好きなものを飲食しながら、メンバーそれぞれが公私ともに今年を振り返り、来年への英気を蓄えました。





2020年10月27日火曜日

消えたBPSモデル ~第157回 家庭医療レジデント・フォーラム from 喜多方(オンライン)~

20201025日、今回もオンラインで家庭医療レジデント・フォーラムが開催されました。


専攻医からの提示事例は、EBMの実践を通して、終末期の意思決定、家族志向ケアなど、総合診療医に求められる複数の領域にまたがる多くの能力が鍛えられるものでした。

直属の指導医とのやり取りを通じて成長してゆく学びの過程を垣間見ることができたし、フォーラム当日も、他の指導医らから、また別の視点から多彩なフィードバックがなされました。


指導医レクチャーのテーマは「BPSモデル」でした。

家庭医療専門医取得のために課せられるポートフォリオの花形領域であったBPSモデルが、新・家庭医療専門医では姿を消しました。この事実に対して、レクチャーを担当した豊田先生の解釈は秀逸でした。「本物の家庭医を目指すなら、BPSモデルは標準装備でしょ!」と言わんばかりに、BPSモデルは消えたのではなく、根っ子に潜り込んだわけで、つまり、すべての領域において当然のごとく常に意識しておくべき、本幹をなす基礎中の基礎であり、かつ最重要なアプローチであるとの主張でした。

トリを務めた武田先生の講義では、プラセボ効果とノセボ効果の話がとても楽しく興味深く、時間が許せば、一日中 議論をし尽くしたい感じでした。

全体として、運営側も参加者らも徐々にオンラインセミナーに慣れてきて、小グループに分かれてのディスカッションも、さほど違和感を覚えることなくスムーズに進むようになってきました。ウェブで共有できるホワイトボードを用いると、各グループで出た意見がリアルタイムにアップされるので、その場で他のグループの議論内容も直接確認できるし、そのまま記録にも残せるので、参加できなかったメンバーも後で学べます。

より良い学びの機会になるように取り組んでくださった喜多方の指導医陣に感謝申し上げます。

2020年9月27日日曜日

いわき-只見 瞬間移動(オンライン) ~第156回 家庭医療レジデント・フォーラム~

 例年であれば、いわきから移動に片道4時間ほどかけて参加する只見での勉強会も、Zoomでのウェブ開催なので、開始直前まで呑気に自宅近くでランニングしていても間に合いました。

確かに効率は良いのですが、秋の只見へのプチ旅行も素敵なので、ちと寂しくもあります。


本日の専攻医からの提示事例は、総合診療医に求められる能力が、他領域にわたり複雑に絡み合いながら学ぶことができた示唆に富むものでした。単純でない事例では、診療の中で少なからずモヤモヤした感情や、しっくりこないストレスを感じるものです。しかし、その状況に耐えたり、ひたすらもがいたりすること自体が、総合診療医を育てるんだな~ と実感しました。


本日のレクチャーのテーマは「医療者自身のケア」でした。

職場のチームが良好であるとは、どのような状態でしょうか?

講師の若山先生から「心理的安全性」が保たれている状態であることが重要であることが示されました。自分の意見を自由に述べても理不尽に非難されたりせず、互いに信頼感や共通の目的意識、社会的使命に向かって、仲間とともに個々が役割を果たしていくことがとても大切だと思います。



2020年6月21日日曜日

新人の自己紹介を聴いて指導能力を拓こう! (第155回 FaMReF)

診療・教育を県内各地の拠点施設に分かれて行なっている当講座は、もともと日常のカンファレンスやミーティングをTV会議システムで行っています。
「リモートは元々慣れっ子だい!」
しかしながら、月一回の勉強会(家庭医療レジデント・フォーラム)だけは オフ会的に いずれかの施設で一堂に会してワイワイガヤガヤ語り合えるのを楽しみにしているわけです。
今回は かしま病院が幹事で、テーマは「指導医の発展」でしたが、残念ながら、本日は新型コロナの影響でリモート開催となりました。
本来ならば、いわき観光を兼ねて皆さんに いわきの風土を楽しんでいただきたかったのですが、せめてリモートでも出来る限り楽しく学んでもらうにはどうしたらよいか無い知恵絞って準備しました。
新型コロナの影響で、新人レジデントの歓迎会すら疎かになっている状況を逆手にとって、講座のメンバーへの自己紹介を兼ねて、彼らには自由な形式で、自由な内容(できれば講座のメンバーにとって未知なる世界)を、自己アピールするプレゼンテーションをしてもらいました。
次に、指導医がその内容に対してフィードバック。
自己紹介にフィードバックという状況自体が斬新かもしれませんが、今回のセッションはそれにとどまらず、更に指導医のフィードバックの手法・内容に対して、別の指導医がフィードバックをし、次に その他の参加者や、最上級指導医(主任教授)から自由にコメントをもらう形式で進めました。
新人のプレゼンの内容が、絵画・旅行・グルメと、いずれも参加者の興味を引く内容であったことも手伝ってか?和やかな雰囲気ながら活発な議論が展開する良い学びの機会が創出されたように感じました。
フィードバックを担当した指導陣も、各々次のステップへの具体的な方略を見出だせていたことが何より嬉しかったです。

2020年4月5日日曜日

それぞれの出発 ~オンライン 第154回 家庭医療レジデント・フォーラム(新レジデントオリエンテーション)and いわき准看護学校入学式~


 第154回 家庭医療レジデントフォーラムは、この4月から迎えることができた3人の総合診療専攻医のオリエンテーションでした。本来ならば講座のメンバーが集合してワイワイガヤガヤ賑やかに歓迎したいのですが、COVID-19対策として、完全オンラインでの開催となりました。 


 かく言うわたくしですが、実は上記のオリエンテーションは欠席でした。というのも、今年度から、いわき市医師会附属いわき准看護学校の副校長を拝命したからです。本日は同校の入学式が,丸かぶりで挙行されました。今年も行われたAO選抜試験を含め、女性47名、男性3名の新入生50名が、満開の桜の下。校舎講堂に集い、入学生一人ひとりの名が告げられ、洪浩彰 新学校長より入学を許可されました。
COVID-19対策のため多くの学校で入学式が中止となるなか、新入生の春休み中の行動確認や規模縮小など、細心の感染対策の上、入学式はつつが無く終了することが出来ました。



2020年2月16日日曜日

福島県立医科大学 家庭医療学専門医コース 臨床技能評価 ~第153回 家庭医療レジデント・フォーラム~

本日の家庭医療レジデント・フォーラムは、日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医試験で用いられている臨床技能評価 Clinical Skills Assessment;CSA を行いました。
CSAは、評価を受ける者(医師役)が模擬患者の診療にあたり、その技能を評価します。
評価基準として、英国 RCGPで専攻医のトレーニング中に利用される、診療所外来のフィードバックツールを用いました。

【Consultation Observation Tool:Detailed Guide to the Performance Criteria】
PC1 患者が診療に積極的に関われるよう促している
 この項目は医師のアクティブリスニングスキルや、オープンクエスチョンの使い方、不要な会話の妨げ、非言語的メッセージの利用についての評価です。ただ、多くの診療では促すことの必要性は低いです。促しが必要なときに適切に対応できるか、という点の評価です。
PC2 患者の問題の深い理解につながるようなサイン(キュー・きっかけ)に反応している
 この項目は、重要なキューに対応できているかどうかの評価です。患者の非言語的なキューに対して反応できているでしょうか。キューに対する医師の反応は、言語的反応(動揺や心配している患者への声掛け)、非言語(沈黙の使用)、動作(体勢を変える、患者に触れる、ティッシュを差し出す)などのいずれもあり得ます。
PC3 主訴をコンテクストを通して理解できるよう、心理社会的情報を適切に利用している
 医師には、健康問題の心理的側面、社会的側面(職業的側面を含む)を考慮することが期待されます。それらの側面は事前に情報が得られているかもしれないし、患者が自発的に話すかもしれないし、医師が尋ねて話すかもしれません。健康問題を検討する際に、これらの情報を利用する能力が備わっているでしょうか。
PC4 患者の健康観を探っている
 この項目には「患者の受診理由を探索する」という目的で「Idea, Concern, Expectation」(考え、気がかり、期待)を探索することが含まれます。患者が実際に考えていることを見つけ出すことができるかどうかです。「あなたはどう考えているのですか?」という質問には答えは何も返ってこないでしょう。「あなたに何が起こったのだと思いますか?」「この症状であなたが最も恐れていることは何ですか?」などの質問は、有用な反応をもたらすでしょう。
PC5 可能性の高い疾病の診断に有用な情報を的確に入手する
 可能性の高い診断仮説(鑑別診断)に関連する質問をしているかどうかで評価できます。この能力は診療中のどの段階でも発現されることがある(身体診察中でも、診察後でも、説明のときでも、診療後でも)。この納涼区において、Closed Questionは効果的な質問方法である。健康問題を定義するための一部分として、十分な症状についての情報と病歴の詳細を得られるかどうかです。患者の安全に配慮しつつ、General Practice における疫学的現実も考慮すする必要があります。
PC6 診断仮説に合致した、または患者の関心に合致した、的確な身体・心理診察を選択する
 この能力は、診察の方法の選択を評価する項目です(実施方法の正誤を評価する方法としては適していないため。議論することは可能)。
PC7 臨床的に的確な診断にたどりつける
 臨床的に適切な診断、または診断仮説が作られているかどうかで評価します。
PC8 適切な表現で問題や診断について説明する
 この項目は、患者が抱えている問題に対する説明を評価します。患者と共有された所見の内容、説明内容の質が要点です。優秀な研修者は患者の「健康信念」(PC4で評価した内容)を取り入れます。この能力はPC4が欠如している状態では達成されないでしょう。場合によっては、促さなくとも患者が自分から健康信念を表明するかもしれませんが。
PC9 診断に関して患者の理解を確認する
 この能力は、説明後にどの程度理解されているかを確認できることです。「わかりましたか?」と訪ねて患者のうなずきを確認するだけでは不十分です。積極的に患者の理解を確認することが必要です。「確認のために、今日ご理解いただいたことを教えてください」など。医師と患者の会話で、理解を確認し説明が理解され受け入れられたかを確認することが必須です。
PC10 診療方針(処方も含む)が診断と合致しており、現代の医学知見と照らし合わせて適切である
 治療計画が診断仮説と合致していることはもちろん、現代で認識されている医学知見と照らし合わせて適切であることは必須です。薬剤の選択も「好み」で選ぶのではなく、安全で理にかなっていることが重要です。
PC11 患者は重大な診療方針の決定において選択に加わる機会がある
 治療の選択肢を共有して、医師と患者が共同で意思決定を行うことが求められます。患者の望み、希望も意思決定において検討され(希望通りにいかないこともあり)、エビデンスを参考にした決断を行います。
PC12 リソースを効果的に利用する
 時間を有効に使えているか、他職種を有効に使えているか、など医師が利用可能な「リソース」を有効に利用できているかどうかを評価します
PC13 再診の間隔および再診が必要な条件を明確にする
 この項目は、受診を効果的に活用できるようにするために必要です。いつ来るべきか、どんな状況であればどうするべきかを患者に伝えられているかを評価します。

これらのことができているかを模擬診察を通して評価されるわけですから、ほとんどの被検者は緊張しますし、実際の診療現場とは勝手が違うため、普段の診療の通りにやるのは難しいですが、実際にやってみると、自身の癖や抜けやすいところに気付いたり、限られた時間の中で優先度を考慮して対応するトレーニングにもなり、とても勉強になるようです。

2020年1月19日日曜日

ACPについて じっくり学んでみた ~第152回 家庭医療レジデント・フォーラム~


本日は保原に移動して月例の勉強会。
いわきに長く住んでいるので、雪山を観るだけでワクワク興奮してしまうわたくしです。

今回のFaMReFのメインテーマは「ACP」でした。
人生会議などと堅苦しい感じに和訳されたACPですが、日頃あらためて「ACPしましょう!」と言って、あらかじめ「いざ」という時のことを話し合っても、本人・家族ともにピンとこない(実感がなくイメージがわかない)状況をよく経験します。
とかく、終末期の栄養管理や急変時の蘇生処置の希望の有無にフォーカスされがちなACPですが、ACPの本質は「本人が どのような人生を歩んできて、どのような価値観を持っているか」を、ケアに関わるすべての人たちが共有し、以後に起こりうる種々の状況に応じて、本人の価値観にかなう柔軟な判断・意思決定ができるようにするプロセスなんだと思います。
医師としてどのようにACPにサポートができるか? 日々の診療を通じて追究していきます。


2019年9月29日日曜日

喜多方で どっぷり家族に浸かる ~第148回 家庭医療レジデント・フォーラム~

本日の家庭医療レジデント・フォーラムは、蔵のまち喜多方での開催。
テーマは家族志向ケアでした。


夫婦のありかた、親の役割、アルコール依存、虐待、家族構成員それぞれの役割、セクシャルマイノリティーを受容し支援する家族…。
困難事例のオンパレードで もう満腹です。


満腹と言えば本日のランチは喜多方ラーメン ツアー!
市内120程あるという数ある名店の中から、主催者が厳選した会場近隣の3店舗に、参加者が3チームに分かれて昼ラーしてくるという新しい企画。
食堂や酒蔵、農業など、家族のつながりが強い家業が多い地域で、ラーメン店も家族経営感満載ですし、日曜ということもあり訪れる客も家族連れも多く、家族について深く考え振り返る絶好のシチュエーションでした。
勿論、美味しゅうございました。他の2チームも同様のようでした。


2019年8月25日日曜日

家庭料理が養い生みだす家庭医療 ~第147回 家庭医療 レジデント・フォーラム~



皆さんは「いつだれkitchen」をご存知ですか?いつだれkitchenは、障がい者や高齢者を支援するNPO法人「布紗」さん が運営し、いわき市平上荒川にある共助拠点「あらたな」内で毎週木曜のお昼にオープンしています。いつでも、だれでも大歓迎の「みんなのお勝手」をコンセプトとしたお母さん食堂です。採れ過ぎて余ってしまい、食べられるのに廃棄される運命の野菜などの食材を募って、それらを有効活用し、ボランティアのお姉さま方が腕に縒りをかけて美味しい家庭料理を提供します。料金は原則無料の投げ銭制ですので、だれでも足を運ぶことができ、お年寄りや障がいを持つ方々を含めた交流の場になっているようです。食品ロス(もったいない)を抑制しながら食材費までも抑えられるなんて、たいへん素晴らしいアイディアですね。
福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座の月例勉強会「家庭医療レジデント・フォーラム」は県内各地の教育拠点持ち回りで開催されています。20198月はいわきの順番でした。いつもは病院内の会議室等で開催するのですが、今回は会場としていつだれkitchenを特別に臨時貸切オープンしていただきました。私自身初めて訪問しましたが、元々は焼肉屋さんだった建物を、これまた余った建材等を活用して格安でバリアフリーにリフォームされたそうです。その内装は、光溢れるとても明るい快適空間でした。
家庭医は患者さんやそのご家族だけでなく地域全体を診る医師です。勉強会では、養生会かしま病院総合診療科のメンバーが、医師会活動や学校保健・市民教育活動などの地域への取り組みを紹介し、更に、いつだれkitchenと同様にいつも美味しい家庭料理でいわきの医師の胃袋をガッチリ掴んでいる「いわきの医師を応援するお姉さんの会」代表の宮野由美子さんから特別講演をいただき、課題の多いいわき市の医療を、自治体や医師会・多職種・市民らが一丸となって乗り越えていこうとしていることを参加者に伝えました。
ランチタイムに振る舞われた温かくて美味しい家庭料理の数々は、間違いなく参加者の活力をい、よいパフォーマンスをみだしていました。食を基礎とした地域住民の養生を考えることができる広い視野は、家庭医に求められる大切な能力です。わざわざ病院を飛び出して、いつだれkitchenで勉強会を開いて本当に良かったです。



2019年4月14日日曜日

はやく人間にならねば… ~第144回 家庭医療レジデント・フォーラム~


冒頭の葛西教授による新入専攻医の歓迎プレゼンでは、
Canadian Family Physician に投稿された
Roger Ladouceur 先生の専攻医の選考基準についての論文が紹介されました。
http://www.cfp.ca/content/65/4/238
良い家庭医は、何よりも他人の幸福に興味を持ち、傾聴し、安堵し、献身的で思いやりのある人です。
良い家庭医は、感情的な知性を持った人で、笑い、泣き、関わり、そして共感することができます。
つまりは、良い家庭医は、単純に 何よりも先ず人間なのです。

というわけで「はやく人間にならねば…」

2019年3月16日土曜日

第10期 研修修了記念講演 ~第143回 FaMReF~

本日の主役は、間違いなく 晴れて家庭医療学専門医コースを修了する 森薗健太郎 先生です。

その晴れ晴れとした表情から、福島県内各地での後期研修を通して、各地で多くの人たちの支えを得ながら、深く充実した研修ができたことがうかがえます。
彼の研修修了記念講演では、研修を通して出逢った心に残った200程の言葉の中から、厳選6つを紹介してくれました。

① カルテを置く位置を、意識しなさい
  患者さんに向かう 心の位置を意識すること

② 医者を、演じる
  悩みながら、立ち止まりながら、それでも医師として生きていく

③ GPのところに、何しにいくんだい?
 (シドニーのタクシーの運ちゃんの言葉)
  家庭医療先進地では、一般の方にとっても家庭医は当たり前の存在

④ 海の見えない いわき って、なんだって思いますよ
 (いわき市民の言葉)
  スーパー防潮堤が、いわきの景観を一変させている…

⑤ 安心を処方する
  自分は安心を処方できているだろうか? 自問自答していく…

⑥ Be there
  生物学的に何もできなくても、医師として患者に寄り添うことはできる
  普遍的な医療の原点

2019年1月18日金曜日

福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座 & CFMD家庭医療/総合診療レジデンシー東京 合同リトリート(第141回 FaMReF)

2019年1月12・13日の両日 開催された第141回 FaMReF…
歴史あるFaMReFの記念すべき第141(石井)回目は、CFMDの皆さんとの合同リトリートという形で賑やかな開催となりました。



初日は
西村真紀先生の 明日から診療所で使えるOC/LEP
葛西龍樹教授の Cinemeducation



2日目は
当講座がガイドする Clinical Skills Assessment
喜瀬守人先生の キャリアに関する考察 

懇親会では、福島までお越しいただCFMDのみなさんと、親交を深めることができ、充実した学び多い2日間となりました。

2018年12月16日日曜日

「大人の学び盛だくさん」 ~140th FaMReF in 大原綜合病院~

学習について学びを深めるユニークな企画!






大人の学びって、経験によって必要に迫られて、問題を解決するために、自ら目標を立てて、取り組むわけで、とても主体的で能動的!
カリキュラムがきっちり決まっている義務教育とは真逆ですね。

冒頭のレクチャーでは、ホスト病院である大原綜合病院の菅藤賢治先生が、Uirich Boser 著の「Learn Better」学びの6つのステップを紹介してくれました。

1. 価値を見いだす
何故それをしようと思うのか? その意味を自ら発見する。

2. 目標を決める
学習の効率を高めるために、目標を設定し思考の質を上げる。

3. 能力を伸ばす
学びの過程をモニタリングし、外部からのフィードバックを受ける。

4. 発展させる
人に教えるつもりで実際にやってみる
不確実性を受け入れ、多様性のある環境をつくる

5. 関係づける
たくさんの具体例を学び、それらの関係性を推論する。

6. 再考する
過信を捨てて、実は自分は分かっていないことを知る
静かな環境で内省する必要性
そして繰り返し学ぶ

ある意味、当たり前のことで、日頃 無意識下でやっていることですが、こうやって言語化してみると、それ自体が格調高くて、アカデミックな感じになりますね。
これを踏まえて参加者らが日頃の学習の経験を語り合いましたが、みんなそれぞれ限られた時間の中で、臨床上の疑問に工夫・模索しながら対応していることが分かりました。

今回の専攻医の振り返りは、Significant Event Analysis:SEA 形式でおこなわれました。
SEAは、事例や症例に関して当事者が深く振り返り、言語化し、今後の改善に対する提言をするという下記の流れで実施します。

1.significant event の記述
2.最初に考えたこと、そのときの感情
3.うまくいったこと
4.うまくいかなかったこと
5.こうしたらよかったと思うこと
6.次のアクションプラン、学びの計画

今回は、現在のかかりつけ医への相談なしに、直接受診(初診)となった患者さんへの対応についての振り返りでした。
こんな時、医師としてどんな気持ちになるでしょうか?
私はどうしても陰性感情を抱きがちです。
しかし、そういう行動に至った患者さんには、必ず何らかのコンテクストが潜んでいます。
このような状況下で、いかに ニュートラルな気持ちで対応できるか?
むしろ、やりがいをもって対応できるか?
わたし自身にとっても深い省察にもなるテーマでした。

2018年11月18日日曜日

在宅医療に必要な知識と技術を学ぼう ~139th FaMReF@ほし横塚クリニック ~

まず、在宅医療に関する制度的な内容や郡山市における現状や取り組みについてレクチャーがありました。
訪問診療のニーズがある時に、かかりつけ医が積極的に在宅医療に取り組みやすい社会やシステム、ネットワーク創りの重要性を再認識し、いわきで取り組んでいる在宅医療ネットワークを、更に推進していくことが重要だと思いました。

次に、在宅でのポケットエコーの活用法についての紹介があり、だいぶ注目されるようになってきている肺のエコーについても解説してもらい、いつでも、どこでも、誰のどこにでも使える気軽さで、ますます活用していきたいと思いました。

次に、ほし横塚クリニックにおける訪問診療の現状について報告がありました。
入院治療の限界と考えられ、退院時に予後不良と評価されていた患者さんが、自宅退院・訪問診療導入後に、ご家族の献身的な介護などに支えられ、生き生きと過ごすことができて復活し、結局 元気になったという印象的な事例が紹介されました。関わった人達が、それぞれの役割を果して、きめ細やかな対応をして、すべての歯車がかみ合った結果、在宅療養のメリットが最大限に発揮されたようです。

ホストの ほし横塚クリニック家庭医チームは、なんともアットホームな感じで、日頃の診療もあたたかみに溢れている のだろうな~ というのが連想できました。