2014年9月13日土曜日

外来・在宅診療から家庭医療の本質に迫る ~家庭医療サマー・フォーラムinふくしま2014(1日目昼の部)~

北は北海道から南は九州まで、全国から家庭医療に興味のある皆さんが遠方からも集まってくださいました。
かく言う我々いわきチームも会場となった福島市までの時間的距離は東京を超える。
のどかな風景を楽しみながら野を越え山越え、同一県内でありながら約120km2時間の旅。
不安定な気圧配置の中ながら、安達太良山が顔を見せてくれた。



「ようこそ家庭医療へ!」
福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座 葛西龍樹主任教授
聴き慣れた教授のプレゼン内容もどんどん進化して、日本における家庭医療の役割や認識も急激に変化している。
そんな時代の流れと、未来への希望を感じられる、そして仲間とともに頑張っていきたいという想いを新たにする機会となった。



Multiple Home Visitの視点を身につけよう」
保原中央クリニック 家庭医療科 望月亮先生
継続的に診るってどういう感じだろう?
当然分かりそうで案外言語化しにくい…
殊に、在宅医療という医療機関から離れた在宅というアウェーの地で、沢山の問題を抱えた患者さん・ご家族に対して、私たちはどのように戦略を錬って継続的なケアを提供していけばよいのか?
家庭医療専門医にして日本在宅医学会認定専門医である講師による実践から生まれた継続性の科学!
まるでいくつかのプラモデルを組み立てていくように、焦らずに一つひとつ、工程の順番を間違えることなく、先ずはラポールの形成など 訪問1回ごとの目的を明確にして、回を重ねるごとに徐々に本質に迫っていく…
患者さんが求めていることに応じる接客スキルと、患者さんが必要性に気づいていないような健康問題に対しても切り込んでいく営業スキルの両方を求められる家庭医の役割を明快に解説してくれた。




2014年9月4日木曜日

いぼ清水 VS まち医者

 症例:10歳男児。1年前から10本すべての指尖にイボを認め、地元でイボを治す効果があるとされる「いぼ清水」なる湧水による治療を試みるも軽快せず、某診療所を受診。医師は「何もしなくていい。もうすぐ治るだろう。」とだけ告げた。少年はその医師の言葉をにわかに信じることができなかった。無理もない。1年も治らなかったのだから…


しかし、翌月には少年のイボはきれいに消失していた。少年はそれまで、医師とは何らかの痛い検査や処置を施したり、苦い薬を処方したりして疾患を治癒せしめることを生業としている。もっと酷い表現をするならば、患者に苦痛を強いながら儲けている人種であると信じていたので、その時は大変驚いた。そして少年は、身近な健康問題全般に熟知し、何の検査も処置も薬も用いることなく疾患の治癒を予言してみせたその医師をカッコいいと思い、心から尊敬するようになった。実はその医師とは、半世紀以上も前に小さな港町で開業し、今も現役で地域医療を実践し続けている私の伯父その人である。そして、その時の患者こそが少年時代の私自身である。
そんな私も今や医師17年目であるが、未だ自身の専門科を選んでいない。実は自分にとってどの科も大事な領域に思えて結局どれも選べなかったのだ。いや、逆にどの科も自分にとってしっくりこないと感じている気もする。そうなったのも、古き良き町医者として活躍している伯父の姿が、私にとっての医師の原風景だからなのかもしれない。
 私はいわゆる専門を持たないことにむしろ誇りを持っている。むしろ、専門を選べなかったことこそが自身の真の専門性であるとさえ思っている。こんな医者でも、きっとこれからの超高齢社会では、かえって貢献できる可能性が高いことを確信しているから… 一方、私と同じような原風景を抱き医師を志した医学生や研修医たちが、臨床実習や研修の現場で、同じ価値観を共有できる指導医やロールモデルと出会うことができずに、目指していたはずの医師像をいつしか忘れ、断念してしまうことがあるなら不幸なことである。福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座では、従来の大学の講座とは異なり、「地域で生き、地域で働くことができる新地域医療人の育成」をコンセプトに、主たる診療・教育の拠点を大学病院以外の県内各地域の診療所や中小病院に置き、地域医療を志す若い医療人たちが、確固たる「家庭医(総合診療医)」としてのアイデンティティーを維持しながら、高い臨床能力を獲得できるよう支援している。私が所属するいわき市のかしま病院は講座の研修協力医療機関の1つとして、医学生や研修医を受け入れている。研修を通し、彼らはみな一様に大学や基幹型臨床研修病院だけでは知り得ない医療の別の側面を体感し、各々の学びを自身の財産として持ち帰ってくれているようである。彼らの学びは私自身の学びでもある。例えば、今やかしま病院では夏休みの恒例企画となっている小学生の医師職業体験プログラム“キッズ医者かしま”は、地域に根ざした医療機関として地域の子供たちに医療を身近なものとして体験してもらうために「この際、子供に医者になりきってもらっちゃおう!」という研修医の斬新な発想から生まれた企画である。これからも若き医療人たちの若い発想力や行動力に鼓舞されながら共に成長していきたいと思う。そして、家庭医育成の取り組みが全国に広がり、国民の誰もが良くトレーニングされた家庭医によるケアを受けることができ、安心して暮らすことができる社会が実現することを期待している。

2014年8月31日日曜日

医商連携 ~いわき街なか健康フェスタ in かしま~


2014年8月31日、鹿島ショッピングセンター“エブリア”北側駐車場にて、いわき街なか健康フェスタがおこなわれました。
地域の医療・福祉と商業が協力し合い、高齢者が生涯 安心して過ごせる住みやすい街づくりをテーマに掲げる“ネーブルシティかしま(鹿島事業所会)”の主催で、子どもからお年寄りまで楽しめるステージでのライブ・コンサートや各種イベントが盛りだくさん。








共催する養生会も、介護・福祉・医療の立場で各種相談・体験ブースを開設し、かしま病院看護部が誇るY画伯特製ポスターが、お客様を集めていました。


健康食堂ではバランスのとれた食事が提供されました。


ゆる体操体験コーナーでは、お約束のゾーン体操も炸裂!



わたくしは医療相談のブースに詰めて、フリーな質問、相談などを承りました。
賑やかなステージ前とは違う雰囲気で、敢えて派手な呼び込みなどはせず、ひっそりと ゆったりと、、、
その効果はどうかは分かりませんが、結果、普段かかりつけ医の外来では多忙そうで ゆっくりじっくり聞けないような持病についての一般的な質問
リスクを伴う治療への不安
健診異常後のフォローについての相談
サプリメントの効果についての相談
種々の症状の原因や治療について などなど
小児からご高齢の方まで のべ20名程の健康相談に対応させていただきました。
中には、深〜い悩みを打ち明けてくださる方がおられたり、実際の受診行動に結びついたり、治療の参考にしていただけそうなケースもあり、それなりに1日詰めていた甲斐がありました。


医商連携!
来たる超高齢社会にむけて、とても重要かつ素晴らしい取り組みだと思います。

2014年8月24日日曜日

一堂に会するということ 〜第94回 FaMReF@福島県立医科大学〜

第94回 FaMReF@福島県立医科大学

家庭医療レジデントフォーラム Family Medicine Resident Forum : FaMReF
月齢の家庭医療後期研修医の振り返りと学びの機会
日々の診療の中で、自身に無力感や未熟感を覚えることも まだまだ多いレジデント
そういった不全感などを実際に言語として表出して初めて気付くことも多い

先ず、自身の診療体験を他者と共有するために言語化すること自体が自身を客観視することになる
そして、その客観化された情報を受け取った他者の、その事象の受け止め方や受ける印象は、個々により異なり まさに千差万別
9年目をむかえた当講座
指導医層もそれなりに厚くなり、豊富な経験や知識を動員した様々なアドバイスや斬新なアイディアが飛び出す
また、幸いなことに、最近では他職種や他分野からのフォーラム参加者も増え、私たちの医師として凝り固まった発想を、別角度から解きほぐしてくださる

他者から多くの意見やアドバイスをもらえると、案外出来ている自分や、改善できる要素に気付き、明日への自信や活力へとつながるようだ

こうして学習者本人だけでは気付き得なかった多くの視点をもたらし、より視野を広げた診療へと発展させることができるのが、普段県内各地に分散して活動している私たちが月に1度 遠方からわざわざ一堂に会して学ぶ狙いであり醍醐味でもある

2014年8月10日日曜日

記念すべき第20回FACE (Fukushima Advanced Course by Experts)

参加者のリクエストに応え、ご高名な先生方をお呼びして、合宿形式で夜を徹して学ぶということで全国的に有名となった勉強会FACEも、今回で20回を迎えました。

今回のメインゲストは、「やさしイイ呼吸器教室」でお馴染みの滋賀医大呼吸器内科の長尾大志先生

呼吸器疾患のメカニズムなどの基礎知識の解説に始まり、徐々に実践の参考になる豊富な画像をお示しいただきながら、大変に解りやすく、やさしイイく教えてくださいました。


対する常連講師による主なレクチャーは、会津医療センターの宗像源之先生による「キビシー高血圧教室」と、鎌ケ谷総合病院・新松戸中央総合病院の宇藤薫先生による「キツーイ夜の救急教室」
お2人とも大変ご多忙の中での準備はキビシーくてキツーイものであったことと思いますが、愛と情熱と心のこもった丁寧にまとめられた内容に毎度ながら感銘を受けました。



しかし何といってもFACEの魅力は夜の勉強会の自由度の高さ!
結果として、熱弁と爆睡が隣接して競演される様子を観ることができます。

で、前回同様に今回も呑みながらエピペンの打ち方が話題になったのでおさらいしておきます。







2014年8月9日土曜日

いわきの祭りシリーズ

今年も いわきの夏祭りシリーズは盛り上がっているようです。
仕事の合間に 平の七夕飾りをチラ見しに行ったり、
なによりも、今年も いわきおどり に参加することができたのが嬉しかった。
今年は理事長夫妻やクリニック院長、呼吸器科部長、外科部長などの重鎮にも参入していただけて、更に若いレジデントらとのコラボで狂喜乱舞。
浴衣姿の森まさこ大臣によるサプライス声援までも・・・
いずれにせよ、まつりは観るより参加するに限る!
ビールの美味い宵でした。








2014年8月8日金曜日

柏プロジェクトに学ぶ いわきの地域医療

2014年8月7日 職場の協力を得て業務調整の上、柏プロジェクト見学ツアーに参加させていただきました。

今回の説明会場となった柏地域医療連携センターは、いつまでも住み慣れた地域で安心して暮らせるまちを目指して、地域医療•介護の連携を強化し、広めるための取り組みをしてきた柏市の庁舎の一つという扱いでありながら、地域医師会•歯科医師会•薬剤師会等の関係団体の事務局も入り、地域医療•介護の発展と、市民の療養生活を支援するための中核拠点として整備された施設で、医療や介護に関する相談•啓発、在宅医療が必要な方への調整支援、医療•福祉の連携強化といった機能を担っています。
これまでの市の取り組みが実ってか?毎月50件程度の相談があり、日々地域医療の充実のために貢献しているようです。
とはいえ、今年度オープンしたばかりの新しい施設でまだ存在が市民に周知されていないのか、柏駅で拾ったタクシーのおんちゃんが「地域医療連携センター???」状態になってしまったので、説明会開始時刻ギリギリの到着となってしまいました。(笑)







午前中は、柏市の保険福祉部 福祉政策課の方から参加者全体(計4自治体や医師会等から約45名の参加者)に向けて下記の解説をしていただきました。

①UR都市機構による豊四季台団地の建替え事業について
②柏市福祉政策課による柏市における長寿社会のまちづくり
 ~豊四季台プロジェクト~

昭和39年から一気に分譲され、入居者が一気に高齢化し、局地的に超高齢社会が出現したこと。
バリアフリー仕様でない古い団地の建物で、生活困難となった要介護者が、住み慣れた団地を後にしなければならない状況になっていたことなどがきっかけに生まれたこのプロジェクトについて紹介していただきました。

豊四季台団地の中心エリアを案内していただきましたが、街には古い建物と、機能的な真新しい建物が混在し、今まさに生まれ変わろうとしている姿を感じることができました。
特に、地域包括ケアシステムの先駆的なモデルとして誕生した「ココファン柏豊四季台」は、住まい•介護•医療•生活支援•地域サービスがすべて一体化した複合拠点となっていて、居ながらにして包括的サービスが受けられるように、
1階部分には、診療所や訪問看護ステーション、居宅介護ステーション、ケアプランセンター、地域包括支援センターがズラッと軒を連ねている理想的な構造でした。




午後には、この日 福島県から参加した喜多方市の方々と、このプロジェクトのアドバイザーとなっている 吉江悟先生(東京大学 高齢社会総合研究機構・医学部 在宅医療学拠点 助教)と、柏市で在宅医療を実践されている家庭医療専門医の織田暁寿先生(ホームクリニック柏 院長)を囲んでの、ディスカッションの時間を設けていただきました。プロジェクトに関する詳細や実際のご苦労が見えてきて、とても参考になりました。

今回の視察を通して、多職種連携の在宅医療研修プログラムの実施や、主治医ー副主治医体制(グループプラクティス)の整備などによる、24時間365日在宅療養支援体制の確立への柏のみなさんの熱心かつ地道な努力の足跡を感じ取ることができました。
そして、柏市のように在宅医療推進の取り組みにおいて有名かつ様々な条件に恵まれた地域であっても、在宅医療への参加•協力が得られていない先生方がまだまだ多く、実際のところ派手で劇的な特効薬も魔法のような変身もなくて、むしろ変化に対応するために現在進行形の課題をたくさん抱えていることも知ることができました。
それでも、多職種が全体を見渡す視野を獲得しつつ、その中における自分の立場での役割を理解し行動することの積み重ねが、地域全体を動かし、変えていく原動力になっていくことを証明しつつあります。

もはや私たちいわき市民も、四の五の言ってないで、行政と医師会•地域住民らがガッチリと力を合わせ、今目の前に与えられた環境の中で考えうるベストを目指して、地道かつ根気強くひたすら前に進むしかありません。
そういう意味では、今の現状はともかくとして、いわき市や市議会•いわき市医師会が目指している方向性は間違っていないと思います。大事なのは歩みを止めないこと、そして諦めないことだと確信しました。