2013年10月24日木曜日

自然体であること

人生のクライマックスを自宅や長年お世話になった介護施設で!

そんな素朴な望みに応えていきたい。

今日は強くそう思った。

ご本人も、ご家族も、残りの人生がそう長くないであろうことを受容し、大切な時間を大切な人と過ごしたい。
そんな純粋で素朴な思いをお持ちの方は多い。
しかし、それは簡単にできることではないだろうとはじめからあきらめてしまっていることも多いように思う。
事実、終末期を在宅で過ごすためには、多くの介護力、訪問看護や訪問診療などの医療的サポートが必要になる。
現在のわが国では、これらの供給体制が絶対的に不足していて、特に医療的なサポート体制がとれずに希望が叶わないという話をよく耳にする。
家族もまた、自宅でも多くのサポートが受けられる可能性があることを知らずに、「絶対無理!」と、はなからあきらめてしまうこともあるだろう。
結果、多くの方々が、望む望まないにかかわらず、医療機関で最期をむかえることになる。

入院治療が救命につながらず、また、本人・家族もそれを望まないのであれば、病院のような日常からかけ離れた場所で過ごすべきではない。
個人的には強くそう思うのだが、現実には沢山の方々が、病院の中でやがて来るであろう臨終のときを待っているのである。

一方、今日は、退院後お初となる2件を含む計4件の終末期の方々の訪問診療をさせていただいて、住み慣れたところで最期の時を過ごすことが、どれだけ自然なことかを見せつけられた。
皆さん“たたずまい”がとにかく自然なのだ。

水の中で泳ぐ魚。
こたつにもぐる猫。
やたら吠える躾のなってない犬。
休みの日にはトドみたいに家でゴロゴロしている親父。
いくつになってもイケメンにときめいちゃう女子。
「やるな」言われたことは必ずやって見せるキカンボウ!

このようなあたりまえの光景と同じく、あたりまえの患者さんの姿がご自宅にはあった。

好きなように過ごし、好きなことを言い、機嫌が悪ければ何もせず、病院では決して許されない本当の自由がそこにある。

このような自然をサポートしたい。
こころからそう思う。
そして、一人でも多くの方々が、自然に帰ることができるように、同じ価値観を持った医療人たちが力を合わせてゆくことが大切だと思う。

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