第26回 学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーに行ってまいりました。
参加者が多すぎる熱い企画のためか?会場とは全然ちがうトトロが出そうな宿を確保し、まずは温泉でくつろいでからの出陣!
夜の懇親会熱い!勿論気温も暑い!そして、将来の家庭医層が厚くなることを確信できる素晴らしい盛り上がりでした。
さて、今回は、災害医療と家庭医療を絡めたセッションを1席設けて欲しいという、とてもありがたいご依頼をいただきました。
どんな内容がふさわしいか?
無い知恵絞って考える過程で、きっとこのテーマのセッションへの参加を希望してくれる若者は、災害時のトリアージを含む初期対応のシュミレーションとか、すぐに役立つスキルの伝授とか、そういう感じのものを期待するんだろうな~
ということは、早々に感づいていました。インタラクティブなやりとりを通して頭と体を動かし、既存の災害時マニュアル的なことを演習してみるのも悪くないし、そんな風に参加者のニーズを予測してセッションを組み立ていくのが王道!
それが無難と考える自分がいる一方で、どうしてもその内容に最後までゴーサインを出さない本音の自分がいました。
それはなぜか?
地震・津波・原子力災害・風評被害・被災者同士の軋轢などなど、今まで経験のなかったような現在進行形の複合災害の中、僕らが直面している現実は、そんなに甘いもんじゃなくて、既存のマニュアルやシュミレーションがほとんど役に立たなくて、既存の災害医療支援体制も現状にうまくマッチせず、残酷なほどに思い通りにさせてもらえないことばかり、格好よく活躍できる状況もなく、むしろ無力感に苛まれ、そんなもどかしさの中、悩み苦しんでいる人たちがいること、それでも未来を見据えて地道に歩み続けている人たちがいること、しかし、それは家庭医療の発展と日本の未来を切り拓く「FRONTIER」そのものであること… このことを強く熱く伝えなければ、自分がこのセッションを任された意味が薄れてしまうと思っていました。
こうして実際にできあがったセッションは…
大好きなアイスブレイク… ⇒ させない どころかアイスメイク
災害医療のセッションなのに災害医療の知識やスキルを… ⇒ 教えない
大好きな模造紙… ⇒ 使わない
大好きなディスカッション… ⇒ させない
演者は… ⇒ 永遠にしゃべり続ける
参加者には… ⇒ しゃべらせない
予定された内容を… ⇒ 途中までしかやらない
質問は… ⇒ 受け付けない
要約すると、演者が時間いっぱい言いたいことを言いまくって終了!!!といった感じ。
斬新すぎて はからずも…
参加者の皆さんに「どうだ、世の中は自分の思い通りにならんだろ!」と言わんばかりに、いきなり冒頭のアイスブレイク(メイク?)から最後の瞬間まで一貫して良い意味でも悪い意味でも参加者の期待を裏切り続け、セッション全体を通して複合災害の恐ろしさを体験してもらうような内容となっていたのです。(これはやった本人も、やった後に気づいたことです)
ちなみに最近の学生さんは幸せ者だと思います。
とっつきにくい学問も、分かりやすく教えてくれて、楽しく学べるようなセッションを提供してくれるような指導者に恵まれている。
今回の夏期セミナーも、そんな親切なセッションばかり…
そういう意味では、今回の僕のセッションは異彩を放っていたかもしれません。
でも、もう一度ふりかえって欲しいのです。
そうやって楽して得られた知識やスキルが、本当に実際に役に立ったのか?いま役に立っているのか?これから役に立っていくのか?
斯く言うわたくしも、いつも「学習者中心の教育」とか言って、学習者のニーズを意識しようなんて心がけているので、今回のように、指導者主導で、ほぼ一方的な情報発信。つまり、言いたいことを力説する青年の主張的なセッションになったことには、とても違和感も感じていました。
参加者の皆さんへのアンケートを見ると、確かにその辺のところをちゃ~んと(ある意味あたり前に)指摘してくれていました。少数ではありましたが、最低ランクのキビシーご評価も頂戴し、しかしそれはまさに想定内でした。一方で、参加者のニーズとマッチしないセッションでありながらも、多くの皆さんがソコソコの評価をしてくれたことは意外でした。コメントを見ても、やはり報道や書籍などだけでは伝えきれない微妙なニュアンスが伝わった様子もあり嬉しかったです。
設計ミスが生んだ新しい建築様式?
こういった破壊的な挑戦を繰り返しながら、これからの新しい教育の形を模索していきたいと思います。
私のような変人の企画に付き合ってプレゼンしてくれた看護師の岡田聡子さんと家庭医療後期研修医の豊田喜弘君、そして参加者(被害者?被災者?)の皆さん、本当にありがとうございました。そして扱いにくい人間でどうもすいません。
あ、それと、セミナー期間中に、宿舎で捕えたカブトムシの入った虫かごと虫取り網と拳銃を所持したBOYに襲撃された被害者(被災者?)の皆様。
あれは私のヤンチャな末っ子でございます。
やんごとなき事情で、同伴しておりましたが、逃げ足が速く容易に目の届く逸材ではないので、多くの方々にご迷惑をおかけしたと思います。
申し訳ございませんでした。
そして、これぞまさに災害と捉え、ご容赦くださいませ。
そして、これぞまさに災害と捉え、ご容赦くださいませ。
参加者のディスカッションや質問の時間を奪ってでも伝えたかった内容のキースライドを共有します。
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