2015年1月25日日曜日

目指せ!偉大なるお節介症候群

樋野興夫先生(左)と私

2015124日、順天堂大学の樋野教授を招いて、いわき市医師会 44回市民公開講座「がん哲学外来・カフェ」開設記念講演会が開催されました。

天候がよい土曜の午後、絶好の行楽日和にもかかわらず、多くの市民の皆さんが、会場に足を運び、熱心に聴講してくださいました。

前半の基調講演では、いわき市内でご活躍中で、がん患者さんへの関わりの深い専門職の方々にご発表いただきました。
担当理事の私が座長を務めさせていただきました。
看護師の立場からは、地域がん拠点病院として歴史のある、福島労災病院 がん化学療法看護 認定看護師の金澤かつみさんから、がん拠点病院としての取り組み、緩和ケア認定看護師を中心に行うカウンセリングの仕組みづくりや緩和ケアへの取り組み、看護師としてのがん患者さんへのかかわりについて紹介してくださいました。
そして、金澤さんから患者さんへ、正しい知識を得て欲しい、がんの診断と当時に緩和ケアを開始してもらって欲しい、スタッフとたくさん話して欲しいというメッセージがありました。
薬剤師の立場からは、この度、新たに地域がん拠点病院に加わった、磐城共立病院 がん薬物療法認定薬剤師の草野元さんから、抗がん剤を安全に使用してもらうための取り組みや、注意点などについてお話いただきました。
最近では優れた内服の抗がん剤も増えてきて、院外の調剤薬局で薬を受け取るケースも増えてきているので、医師と薬剤師・患者間の情報共有が重要になってくるというメッセージをいただきました。
行政・政策の立場からは、いわき市平地区保健福祉センター保健係指導保健技師の飯塚てい子さんから、いくつかの困難事例が紹介され、多職種連携によるチームケアの重要性と、行政にしかできない役割・仕組みづくり、地域包括ケアシステムの構築への意気込みが示されました。

後半はいよいよ、順天堂大学 医学部 病理・腫瘍講座 樋野興夫教授(一般社団法人「がん哲学外来」理事長)による特別講演
「がん哲学外来 ~医療の隙間を埋める~」
チャウチャウ犬のもしくは森本レオさんのような風貌と独特のマイルドな語り口で、がん哲学外来の歩みを紹介してくださった。
がん哲学外来の提供に適するのは、偉大なるお節介症候群を呈している人間だそうだ。
偉大なるお節介症候群の3徴候は、暇げな風貌(たとえ忙しくても歯を食いしばって人を褒めるこ)、他人の必要に共感する(自分を押し付けない)、速効性と英断(いいと思ったらすぐ実行)だそうだ。
偉大なるお節介と、余計なお節介との違いは、原動力が、前者が他人の必要で、後者が自分の価値観ということ。
返答に困るもしくは会話に沈黙があれば、まずは黙ってお茶を飲めばよい。
診療でも相談でも、はたまた患者の会でもないこのがん哲学というものを少しは理解できた気がした。

さて、演者・講師を交えた打ち上げ懇親会。
いわきのがん哲学外来・カフェはどのように運営していくか議論がなされた。
医療機関や患者会、大学など全国各地で様々な組織が主導して運営されているそうだが、私はかねてからいわきのがん哲学外来・カフェでは、医療機関間、患者会間などの垣根をとっぱらって、誰もがぷらっと立ち寄れる空間を創りたいと思っていた。
「それなら医師会が主催すればいい」
樋野先生からありがたいアドバイスをいただいた。
「じゃあ、医師会でやりましょう!」
がん哲学外来を医師会が主導するのは日本初とのことで、がん哲学外来自体が日本発祥の概念なので、自動的に世界初の試みとなる。
こういう場合、言いだしっぺが担当することになるわけで、即決で がん哲学外来担当理事を拝命することに…
これが、速効性と英断なのか?
すこしだけ、偉大なるお節介症候群を発症しかけている自分を感じる宵であった。

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