2014年10月19日日曜日

オランダに学ぶ家庭医療 ~第96回FaMReF@喜多方~


秋晴れの日曜。
福島県内は、郡山で開催されているB1グランプリで盛り上がっているが、今朝はいわきを出発し、郡山をスルーして、美しい磐梯山の懐も通過して、喜多方入り!

今日は第96回FaMReF@喜多方
そう、紅葉も始まった絶好の行楽日和でもお勉強である。


当講座では、新人を対象にした海外の家庭医療先進地視察が好例となっている。
今年の第一陣はオランダ隊!
一週間の視察を終えて帰国したばかりのレジデントらがその報告をしてくれた。
診療記録がそのままプライマリ・ケア領域の疫学的なビッグデータとして研究に活用できるシステム、結果として多くの家庭医が研究を意識しながら診療していること、充実した外来教育のシステム、活気あるカンファレンス、美しい診療環境...

世界トップクラスの家庭医の診療・教育・研究の現場を実際に目の当たりにして、見るもの聴くものすべてに、強い印象を受けて、自分たちが目指すべき具体的な目標を見つけ、高いモチベーションを獲得して帰ってきたことがよく伝わってきた。


次に、今回は急遽 韓国家庭医学会 秋期学術大会に招待されてポスター発表してきたレジデントからの報告。
韓国でも家庭医が増えてきて、医療機関の規模を問わず、(賛否はあるらしいものの)大病院の中でも活躍していて、持っているスキルも様々で、お国柄 女性の脱毛処理まで自身で行う家庭医も珍しくないとのこと。


レジデント持ち回りのプレゼン
国の政策を知り、理解し、活用し、所属医療機関を健全に経営し、社会的役割を果たしていくことも家庭医に求められる重要な能力である。
今回は臨床医としての立場よりも、あえて制度・経営という視点に重きをおいて、在宅医療の業務改善をテーマにまとめてくれた。
医療費は医療の利用者・医療職員双方に、結局は国民一人ひとりにふりかかってくる国全体の問題である。
病院病床・在院看取りが頭打ちとなり、国の政策としては、かかりつけ医として責任をもって看取りまで在宅で管理する医療機関を評価する方向に改定されているので、その意図が反映されるよう、主治医としての責任を果たしている医療機関は、終末期に算定できる種々の診療報酬をきちんと請求する責任がある。普段あまり意識していない視点を与えてくれる内容だった。
国の政策も、限られた医療資源を有効活用できるような視点で舵をとってもらいたい。


最後に主任教授によるCinemeducation
「カルテット!人生のオペラハウス」(2012)
イギリスの田園地帯にある、引退した音楽家たちのための老人ホーム
その存亡をかけ、一致団結して いま一度音楽に覚醒する入所者たち
高齢者のケアにおいて、共通の興味や、輝ける姿、認められる喜びへの配慮が、第三のADL(Advanced ADL)の維持、生きがいの維持につながる。
日本の高齢者施設は、最低限の 衣・食・住 以外のリクリエーションはかなり画一的で、個々の人生を充分に尊重できていないかもしれない。
そう言う意味では、今後の高齢者ケアの環境を整えていく上で、とても参考になる題材であった。

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