2012年5月28日月曜日

お祭りに学ぶ地域医療

地域に生き、地域で働くことのできる医師の育成が、福島県立医科大学が提案するホームステイ型医学教育研修プログラムのモットーであり、それは家庭医という職業人にとっても極めて親和性の高い目標と言える。

地域を深く理解するための手段としてどのようなものが良いのか?

日頃、それぞれがそれぞれの生活を営んでいる中で、地域住民同士が深く交わることができる機会は案外少ないように思う。
隣組のお付き合いですら軽薄になりつつある現代。
地域の催しに積極的に参加する人も減ってきている。

そんな折…

昨日、ひょんなきっかけで地域のお祭りの神輿の担ぎ手として駆り出されることになった。

出陣前 (まだ)呑んでませんよ!

昨年は震災の影響で開催できなかったため2年ぶりの地域のお祭りである。
私たちの復興への願いを後押しするような見事な快晴の中、祭りは始まった。


担ぎ手の集合時、例年お祭りに備えて肉体を鍛え抜いているという屈強な方から、私を含め勝手が分からずに借りてきた猫状態の者まで様々であるが、常連の皆さんですら日頃ほとんど交わることはないという。
そんな連中が集まり、酒を酌み交わし、力を合わせて一つの神輿を担ぐ。

一人ではできないことをみんなでやる。

このシチュエーションに身を置くと、現在の地域医療の現状を思い出さずにはいられない職業病な私。
各自、主体的に自身の役割を理解し、その役割を全うする。
それらが集合体として機能してはじめて目標を達成することができる。

そして、皆が目的意識を持って同じ方向を向いている限り、参加者は多ければ多いほど、一人ひとりの重荷は軽くなる。


正直、神輿はとても重くてメチャクチャきつかったけれど、互いに顔を見合わせ歯を食いしばりながら威勢のよい掛け声で励まし合い、なんとかやり遂げていく・・・

住み慣れた街も、日頃は車で通過してしまう路をゆっくりと練り歩くことで、より愛着がわいてくるというもの。
担いでみなければ分からない公道を堂々と占拠できる快感と、一人ではできないことをみんなでやり遂げる達成感を味わうことができた。

勿論、様々な事情で祭りに参加できなかった方々にも、ちゃんと役割はあって、沿道からの掛け声は大変ありがたく、勇気をもらえるものだったりする。

しかし、

担ぐ阿呆に 観る阿呆!
同じ阿呆なら 担がなきゃ損!損!

というわけで、喜びの大きさは中にドップリ浸かってしまった者には到底敵わないのである。
今回、地域を愛し互いに支え合おうという熱い気概をもった人たちの中に、思い切って中に飛び込んだことで、この地域の今まで知らなかった部分を身をもって深く理解できたように思う。

で、美味い酒が呑めるのだから言うことないわけで・・・

地域を深く理解するための手段としてその地域の祭に参加することは超おススメである。



今のいわき市の医療事情を鑑みるに、

日頃、医療従事者それぞれが、それぞれの診療に勤しんでいる中で、地域医療を支えている者同士が深く交わることができる機会は案外少ないように思う。

そんな折…

一昨日、日頃お世話になっている某医療・福祉法人のお祝い事にお呼びいただき参加してきた。

会には、日頃親しくさせていただいている方々が大勢いらしていた一方で、最近お会いできる機会がめっきり無くなっていた方々や、日頃お世話になっているにもかかわらず直接的な面識がなかった方々までが大集合し、まさにいわき市内の医療・福祉関係者総出の大パーティーとなった。

「みんなで力を合わせて、いわき市の医療・福祉を支えて行きましょう!」

招待客が多くなった事情は、理事長先生のそんな思いからくるものだと理解している。
理事長先生は良好な医療・福祉の連携をとるために、日頃から顔の見える付き合いを大切にしている。

一人ではできないことをみんなでやる。

各自、主体的に自身の役割を理解し、その役割を全うする。
それらが集合体として機能してはじめて目標を達成することができる。

そのためには、日頃いわきのために歯を食いしばって頑張っている者同士が、一堂に会し直接語り合い、励まし合ったり、互いの目標を確認し合ったりできる場が必要なのかもしれない。

皆が目的意識を持って同じ方向を向いている限り、いわきの医療・福祉を支える人間は多ければ多いほど、一人ひとりの重荷は軽くなる。

無論、昨日の神輿がとても重くてメチャクチャきつかったように、今のいわきの医療・福祉事情は担ぎ手の数が足りずに神輿の歩を進めることが困難な状況にある。
それでも、互いに顔を見合わせ歯を食いしばりながら励まし合い、なんとかやり遂げていきたい!
私たちには、いわきに生きている者にしか分からない喜びと、一人ではできないことをみんなでやり遂げる達成感を味わう権利をもっているのだから・・・

様々な事情でいわきを去ることを余儀なくされた方々にも役割はちゃんとあって、いわきへのご支援や励ましは何物にも代えがたい勇気となる。

今のこの時代に「いわきに生き、いわきで働くことができる」こと、そのこと自体 少なくとも私にとっては最高の喜びなのである。

「同じ阿呆なら いわきじゃなきゃ損!損!」

今のいわきだからこそ味わうことができることが必ずあるはずだ!

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