2011年4月13日水曜日

患者さんとの奇跡の再会

今日の外来予約患者さんのリストの中に1人だけ安否が分からない患者さんがいた。
住所も職場も津波で壊滅状態になった地域で、行方不明者名簿にその方の名前が載っていた。
最近はご自身の努力で生活習慣病のコントロールが改善し、そのことをとても喜んでいた。

外来も終盤に差し掛かり「やはり会えないのか」と諦めかけた時、その方のカルテが診察室に届けられた。
いわゆる

「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」

って感じだろうか?
「いやー津波をなめてたらあっという間に飲まれちゃった・・・でもまだ足はついてるよ!」
とおどけながらも偶然が重なって九死に一生を得た体験を語ってくれた。
肉親や多くの隣人を失った中で、ご自身が奇跡的に助かったことの意味を噛みしめている様子だった。
最後に真面目顔で「家も無くなっちゃったけど、とにかく拾った命だから大切にする」と宣言されると、前頭葉が老化している私は涙をこらえることが出来なくなってしまった。
診察室を後にする姿を見送りながら“一緒に頑張りましょう。心して拝見致します”と誓った。

2 件のコメント:

  1. 家庭医自体の言葉の存在が知らない人が多いと思われますが、先生の行われている、診療・治療また医療人としての志しの高さ・純粋な思いは必ずや「脚光を浴びるものと信じています」今後も、地域の皆様の健康・・・病気の早期発見・早期治療に力を注いで下さい。

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  2. あたたかい励ましのコメント、どうも有り難うございます。
    今は目の前の問題に対して一つ一つ地道にやっていくことしか出来ませんが、いつか実を結ぶことを信じてやっています。

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