2013年3月30日土曜日

三つの幸せ ~三吉(みよし)ロール~

国産『米粉』を使用した、いちご風味の桃色スポンジのロールケーキ。
『米』『苺』『桃』という、三つの吉(しあわせ)を詰め込んだ幸せの三吉(みよし)ロール。
第1回ROLL-1グランプリ全国3位の逸品だけに、期間限定(3月末日まで)数量限定!
予約でようやくGET!
確かに旨い!
「みよし」ロールだけど、いわきの「みよし」じゃなくて郡山の「柏屋」です!

2013年3月27日水曜日

嗚呼、憧れの高湯温泉






現職最後の福島市でのお勤めは家族孝行!
知る人ぞ知る硫黄の名湯 高湯温泉。

普通に月の輪熊が出るこの地。
立ち込める玉子の香りに湯屋の風情は格別!
リピーターが多いことで知られるこの温泉地に以前から泊ってみたかった。
お湯の凄さは言うまでもななく。
毎度 オッペケペ~な我が家・・・ 早速、娘が眼鏡を紛失するも、すんなりフロントに届く・・・
巡るべき風呂が多過ぎて勝手がわからずオロオロしてると、他のお客さんが、数多い庭園風呂のお勧めポイントを教えてくれる。
宿のスタッフとお客とお湯とこの地の旨いものらがタックを組んで、ほんわかした雰囲気を創っている。
楽しいひと時は、提供されるサービスに対して受動的な姿勢だけでは満喫できない。
病いによる苦しく不安な経験もしかり、医療機関のスタッフにお任せという姿勢では乗り切れないだろう。
医療機関のスタッフだけでなく、何よりも患者さん自身、ご家族、医療機関にある医療資源のすべてを総動員して、最良・最善の医療を模索してはじめて、満足のいく医療が実現する。
「おいしい料理をいただく」のではなく「料理をおいしくいただく」のだ!
(by 相葉雅紀 氏)
そんなことを想いながら囲炉裏料理で福島路ビールを楽しんでいる。

2013年3月24日日曜日

屋外活動制限なんのその ~郷ヶ丘幼稚園卒園式~

 曇り空で寒い日だが、桜が咲き始めた。
ここ郷ヶ丘幼稚園の卒園式は単なる卒園証書授与式ではないので、
自分の子が卒園でもないのに、つい様子を見にきてしまう。


卒園式は荒馬踊りをはじめ、しなやかに発達した身体能力を存分に発揮する集大成の舞台!
第4回全国体力テストで原発事故で屋外活動制限があった福島県の小学生の体力低下が指摘されているが、郷ヶ丘幼稚園では除染・食材など子供の安全に徹底的に配慮しながら、子供の健全な発達に不可欠な体力づくりに尽力してくださる。
職員の皆さんのご苦労とご努力に深く感謝!
年長の皆さん。ご卒園おめでとう!
お陰さまで体力があり余っている息子は、じっとして待ってられるはずもなく、
園庭の木に登りはじめたまでは良かったのだが・・・
調子に乗り過ぎて「降りれない~怖い~!」と泣いてSOS!
でも、こうやって裸足で果敢にチャレンジする姿をみると、
2年後、この園から立派に巣立ってくれることを期待せずにはいられない。

2013年3月20日水曜日

悲願の? 彼岸の平和な1日

庭の桃が一輪咲いた麗かな彼岸。
お墓参りの後に立ち寄ったお店・・・ 「TERAS
http://anemoi-teras.petit.cc/banana/
ここは、いわき市 平成団地(いわき市平成1-15-4)にあるお店。
手作りベーコンや燻製サンマ・さば、天然酵母の包み焼きピザ「カルツォーネ」
体にやさしく、おいしいものを提供してくれる。
他にも自家製ソーセージ、自家製チャーシュー、自家製ジンジャーエールなどがたまらなく旨く、スローライフに憧れながらご満悦!
 嗚呼、それなのに それなのに、実家でお線香をあげた後に、お酒をやっつけてしまうと、「まだ食うんかい?」という家族の視線を感じつつも、出てくるものについついサクサク手がでてしまう・・・
だって、奇天烈なものを次々に出してくるんだもん。
キャベツの代わりに白菜を使ったお好み焼きとか、煮玉子のバターロールサンドとか・・・
斬新過ぎる、しかし味が良い!
 庭の柚子の群れが美しい!
ゆっくりと、穏やかな気持ちで過ごすことで生まれる豊かな心と新しい発想。
日々セカセカ過ごしがちな環境の中で、とても貴重なホンワカした1日となった。

2013年3月19日火曜日

タスマニアに学ぶ、クール・ジャパンなプライマリ・ケアの構築

当講座の新任研修医と新任指導医は、いち早く世界を知り、自身の未来像の礎を築くため、初年度に世界の家庭医療の先進地を視察に行くならわしになっている。

今年度は、いわきで研修しているレジデントの「へき地での診療・教育・研究について学びたい」という要望を考慮して、オーストラリアの南の島タスマニアへの訪問となった。
そこで得た知見を踏まえた土産話を聴かせてもらい、彼が日本との違いを明確に理解してきたことが分かった。
情熱的な彼に刺激を受け、おいらも私見を述べてみたくなった。

プライマリ・ケアを担う開業医の多くがひとりで診療している日本に対し、タスマニアでは診療所はグループ診療が基本。

「ひとりなんだから夜間・日祝日は休診やむなし」というのが、日本の常識なのだが、そもそも全員同時に休んだらどうなるかは、学者さんじゃなくても容易に想像がつくだろう。
「出来ないからやらない」と言ったところで、誰かがやらないといけないわけで、日本ではその役割を、時間外でも医師が当直している病院や、時間外対応しているごく少数の診療所が担っている。
「出来ないからやらない」というのは医療を提供する側の事情であり、利用する側の患者さんを向いていない。
現状で「出来ない」のであれば、「やるためにはどうしたらいいのか?」本気で考えるのが筋である。
「ひとりなんだから夜間・日祝日は休診やむなし」というのであれば、ひとりでやらなければいい!
こんなに単純明快なことを本気でやろうともせず、何十年も放置してきた責任を誰かに問うつもりは毛頭ないが、少なくともこれからは放置することはできないと思う。
もしも、今後もこれまでと同様に放置していいというお考えの方がいるとすれば、申し訳ないけれど、その方には、国や地方自治体、医師会、関連学会など、これからの日本の医療制度を動かす責任ある立場には居座らないでもらいたい。

「ひとりでやらなければいい!」

と一言で戦略を語ってしまったが、そのためには信頼できるパートナーが必要である。
医師の立場になった時、どんなパートナーと組みたいか?
ちゃんとした信頼できる人(質の高いプライマリ・ケアが提供できる医師)と組みたいにきまってる。

つまり、ちゃんとしたプライマリ・ケアの専門医が大勢いれば、いま日本で起きている地域医療崩壊の波を食い止めることができるのだ。

つまり、総合診療医によるグループ診療が日当直業務に疲弊する病院勤務医を救うことになる。

グループ診療のメリットは医学教育や医学研究にもある。
日本で医学教育や医学研究といえば大学病院や大病院が中心であるが、タスマニアでは診療所も医学教育の多くを担っているし、診療所に勤務しながら研究もしている。
へき地であるのにもかかわらず・・・
しかし、診療所でなければ学べない地域医療があるし、診療所を受診する患者さんに適用できるエビデンスは、診療所からしか発信できない。
そう考えれば、教育・研究のフィールドを診療所に置くことは、質の高いプライマリ・ケアを提供するためにいかに重要か理解できるし、実に理にかなっている。
そしてそれは、グループ診療でマンパワーがあるから実行可能なようだ。

彼は、海外から見えた日本や福島の良さとこれからの展望も語ってくれた。
病院総合医という医師のニーズが高い環境の中で、救急医療や入院管理に長けたジェネラリストが多く存在するということは、日本の大きな強みだ!
彼らの多くは、自ら画像診断し、内視鏡やエコーのスキルもある。
そういえば、英国の家庭医がいわきを訪問した時、僕らが聴診器代わりというノリでエコーを活用している姿を見てとても驚いていた。
その国や地域のニーズに合わせて進化できることが総合診療医に必要な能力のひとつ。
他国の良いトコ取りをしつつも、日本の良いトコを更に伸ばして、これまでの世界のどこにも存在しないような、最もクールなプライマリ・ケアのシステム構築が、今の日本には求められている。

根がしつこいのでもう一度!
今後もこれまで通りでいいというお考えの方がいるとすれば、申し訳ないけれど、その方には、国や地方自治体、関係省庁、医師会、関連学会など、これからの日本の医療制度を動かす責任ある立場には居座らないでもらいたい。

2013年3月18日月曜日

梅咲き誇るデートスポット 水戸偕楽園


長年の念願が叶い、梅が見頃の偕楽園を訪れることができた。
いつも咲く前か、散った後だったので・・・
咲き誇る梅園が、桜とは違う美しさで出迎えてくれた。
それにしても、アベック(死後)、じゃなくてカップルが多いこと多いこと・・・
高萩のゆるキャラ「はぎまろ」と、水戸のゆるキャラ「みとちゃん」も、偕楽園で初デートしていた。

2013年3月17日日曜日

福島県立医科大学家庭医療学専門医コース第4回 後期研修修了祝賀会


2013316日「福島県立医科大学家庭医療学専門医コース第4回 後期研修修了祝賀会」がおこなわれた。
今回、送り出された4期生3名に対し、三者三様とか三位一体とか表現されていたが、それぞれ強みを持っている。
得意分野はそれぞれ異なるけれど、みんな家庭医療への想い入れが滅茶苦茶強いという伝統を受け継いでいることを改めて確信した。
福島で地域医療を継続する者も新天地に羽ばたく者もいるが、彼らがそれぞれの立場で更なる活躍をしていくことはもはや間違いない。

2013年3月16日土曜日

温故拓新 ~FaMReF@三春~

勉強会の類で遠出をする場合、可能な限りその土地の風土を感じるようにしている。
その土地のいにしえを知り、新しい知見を持ち帰る。
特に、今回のFaMReF会場は三春町。
自分が育った小さな城下町である。
幻の三春素麺と名物三角揚げのほうろく焼きをいただけば最強である。
食べたらお散歩。
久々の三春舞鶴城址からのぞむ安達太良山は爽快だ!
城山公園の懐かしい急峻なすべり台に上ったら軋むこと軋むこと・・・
三春駒は三春町では狛犬的存在なのだ。

天澤寺の彫刻も見事!
こうして、ご満悦で会場入りした。
Reflection of the Month 後期研修2年目 鷲阪公昭先生
1年間の研修を通していくつかのハードルを乗り越えてきた経験をもとに、診療において医師として留意すべき点について一般論と学習者の私見が述べられた。
深く学んだ患者中心の医療を今後実施していってもらいたい。

・タスマニア視察報告 後期研修1年目 中村光輝先生
僻地におけるプライマリ・ケアの診療・教育・研究の先進地であるオーストラリアと、そららの体制が十分に整備されていない本邦とを明快に比較しながら、日本の地域医療における総合診療の役割が示された。

・「2013FaMReFが変わります!」
研修医がより学べるよう、月1度 講座員が一堂に会する場ならではの活発なディスカッションを実現させる具体的な提案が示され承認された。

・研修修了記念講演(後期研修4年目)
 この3月で家庭医療後期研修を修了する3名が、4年間の研修の経験で得た、若き家庭医としての知見と持論を、自由な発想で語った。プレゼンを通して、大変よく育ってくれたという印象であった。それとともに、彼らは今後当講座がより発展するための、多くの示唆を残してくれた。今後彼らが家庭医として大きく羽ばたいていくことを確信している。
Cinemeducation 葛西龍樹教授
「ライフ いのちをつなぐ物語-(2011)
人間のことを忘れて動物を観てみようというCinemeducation史上初めての試みであった。しかし、無償の親子愛であったり、遺伝子が覚えている過去の経験を活かした叡知の結集であったり、結局のところ人間も動物も同じなんだと感じた。


2013年3月15日金曜日

心筋梗塞じゃないよ… MI (Motivational Interviewing) ~家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾~

実践家庭医塾担当ファカルティーのT先生がプロデュースする患者中心の世界。

患者さんがご自身の健康問題に対して積極的に向き合っていけるよう、
私たちがどのように関わっていけるか?
そのひとつのツールとして、今日は動機付け面接(motivational interviewing:MI)が紹介された。
ちょっと自身の健忘録・・・

<基本スピリット>
協働
思いやり
喚起
受容

<プロセス>
関わる
フォーカスする
引き出す(鍵はチェンジトーク ⇔ 維持トーク)
計画する

<道具>
Open Question:開かれた質問
Affirmation:是認
Reflection:聞き返し
Summarize:サマライズ

動機付け面接の基礎を学びながら、患者さんのチェンジトークをスルーしない(気付く)集中力や、チェンジトークを引き出す技術を、日々の診療の中で磨いていきたいと心から思った。

3月16日 FaMReF in 三春 のお知らせ

地域・家庭医療学講座では後期研修医の学びの場として月に1回勉強会を行っています。
後期研修医対象で家庭医療を学ぶ内容ですが、医学生の方、初期研修医の先生の参加も歓迎します。多くの方のご参加をお待ちしています。


日時:3月16日土曜日14時-17時
場所:町立三春病院 
   〒963-7752 田村郡三春町字六升蒔50
   TEL : 0247-62-3131 
(交通手段のない方はご相談ください 郡山駅からの移動手段を検討します)


内容
①自己紹介 14:00~14:05
 
②Reflection of the Month 鷲阪公昭先生 14:05~14:50
③タスマニア視察報告 中村光輝先生 14:50~15:10
④「2013、FaMReFが変わります!」 15:10~15:20
      休憩
⑤研修修了記念講演(後期研修4年目)15:25~16:40(各々25分程度ずつ)
 この3月で家庭医療後期研修を修了する3名が、4年間の研修の経験で得た、若き家庭医としての知見と持論を、自由な発想で思う存分に語ります。
 若山隆先生
 佐藤寿和先生
 早坂啓伸先生
⑥Cinemeducation 葛西龍樹教授 16:40~17:00
FaMReF終了後には郡山に移動し、研修修了祝賀会を盛大にとりおこないます。

江戸切子で振り返る楽しい日々…

大学教員としてスタッフルームに足を運ぶのは昨日で最後であった。
この期に及んでも腹がよじれそうな珍事が起きて笑いが絶えない空間。
本当に楽しい5年間であった。
そして最後に講座スタッフの皆さんからのサプライズ!
職人 瀧澤利夫さん入魂の美しい江戸切子のプレゼントが・・・
昨夜はありがたく美味しい〇〇をそれでいただいた。
講座スタッフの皆さん、これまでインチキおじさんにお付き合いいただきありがとうございました。

2013年3月11日月曜日

3.11

3.11

今年もこの日をむかえた。
あれから2年・・・
振り返れば、相変わらず未熟な自分。
失敗を繰り返しては反省の毎日・・・
ただ、自身の成長を感じる部分がある。
それは、失敗を活かして前に進みたいという気持ちが
以前よりも うんと強いということ。
目の前の仕事・家族etc.を前に・・・
毎日毎日思うようにならないことばかりだけれど
失敗した分、成長して、社会に還元したい。
いま心からそう思っている。

このように、若干暑苦しい感情と、
身勝手な使命感に支配されている自分がいる一方で、


“後ろ向きの歌” 岡田恵和

世界中の敵に降参さ 戦う意思は無い
世界中の人の幸せを祈ります
世界の誰の邪魔もしません 静かにしてます
おかしいですか 人はそれぞれ 違うでしょ でしょ でしょ?
だからお願いかかわらないで
そっとしといてくださいな
だからお願いかかわらないで
私のことはほっといて (「泣くな、はらちゃん」より)

こんな感じで、ゆる~く静かに生きていきたい自分もいて、
それも本音だったり・・・

一見、自己矛盾しているようにも感じるが、
実は、どちらの自分も、

自分が変わることで、自分の住む世界が より良く変わればいい

そんな切なる願いを持った真実の自分である。


そんな風にしてみんな、歯を食いしばりつつも、
時にだらけたりして 生きている

身の周りのどんなに憎たらしい人にも敬意をもって生きていくことができれば
私たちの世界は今よりずっと住みやすくなるに違いない

2013年3月7日木曜日

FUKUSHIMA Lives on the Line

福島県立医科大学が発行する「FUKUSHIMA いのちの最前線」
東日本大震災の活動記録集の関係者行動記録<手記とメッセージ>に、
gooヘルスケア( http://health.goo.ne.jp/ )と、かしまHOThot通信( http://www.kashima.jp/hothot/hothot_index.htm )への連載記事を掲載していただきました。
gooヘルスケアの方は、英語版もございます。
gooヘルスケア
「家庭医が綴る福島からのメッセージ」
http://www.fmu.ac.jp/univ/dbook/index.html#page=109
「Messages from Fukushima Family Physicians」(英語版
http://www.fmu.ac.jp/univ/dbook-e/index.html#page=97

かしまHOThot通信
「家庭医が見た東日本大震災」
http://www.fmu.ac.jp/univ/dbook/index.html#page=147

患者さんが教えてくれた 家庭医の役割

春休み状態で閑散とした医大。
しかも、成績評価とは無関係の講義に、朝から集まってくれた医学部4年の学生さん達に感謝の気持ちを伝えたい。
最後の授業のアメル先生になれたかどうかは分からないけれど、実症例の診療を模擬体験してもらいながら、いくつかのワーク、ロールプレイを通して、家庭医として生きてゆくことのやりがいや醍醐味を紹介した。
参加してくれた学生さんが、将来医師として生涯誇りをもって生きていけるような選択をして欲しい。
その選択の一つに家庭医があるということが伝わったならうれしい。

講義室の外では、医大の合格発表がされている。
しかし、ネット社会・・・
直接結果を医大まで確認しにくる受験生はほとんどなく、ていうかほぼ報道陣だけであった。
本講義も参加を希望しながらスケジュールが合わなかった学生がいると聞いていたので、共有できる内容は公開することにする。

「患者さんが教えてくれた 家庭医(総合診療医)の役割」
 診断医としての家庭医
n  診断
q  あらゆる健康問題が持ち込まれる家庭医外来
q  質の高いケアを提供するために重要なスキル
q  限られた検査手段で診断を絞っていく
q  考える診断 効率的ケア
q  家庭医に求められる多彩な役割のうちのほんの一部

診断手法① Semantic Qualifier
n  直訳:「意味のある限定詞」
n  臨床推論手法の一つ.  患者に関する情報を普遍的な医学用語に 置き換えたもの 1)
n  疾患の想起, 文献検索, 鑑別診断の絞り込みを容易にすることが期待でき, 医学教育分野の研究において,  SQを多用することが正確な診断に寄与することが示されている 2)
1) Nendaz MR, Bordage G. Promoting diagnosic problem representation. Medical Education. 2002, vol.36, p.760-766.
2) Chang et al. The Importance of Early Problem Representation during Case Presentations. Acad Med. 1998, vol.73 issue10, p.109-111.
                                        
Semantic Qualifier 抽出トレーニング
n  73歳男性 今朝からの突然の胃の痛みで受診
  → SQ:高齢男性・急性・突然発症・心窩部痛
       胆石発作 胃アニサキス症 急性心筋梗塞(下壁)など
n  23歳女性 1ヶ月前からの空腹時の胃の痛みを訴えて受診 症状は食後に軽快するとのこと
  → SQ:若年女性・慢性・空腹時・心窩部痛
       十二指腸潰瘍 など
n  83歳男性 昨夜から右膝の発赤・腫脹・熱感をともなう痛みと倦怠感と歩行困難を訴えて受診 転倒など外傷の病歴はない
  → SQ:高齢男性・急性・外傷なし・単関節炎  
      注:倦怠感・歩行困難は鑑別を絞れないのでSQとしてはNG
       偽痛風 痛風 化膿性関節炎 など

n  40歳女性 3ヶ月前からの両手指・両足趾の発赤・腫脹・熱感をともなう痛みを
訴えて受診
  → SQ:中年女性・慢性・末梢優位・多関節炎
       関節リウマチ など

診断手法② 網羅的鑑別診断列挙法“VINDICATE!!! P"
n  Vascular (血管系)
n  Infection (感染症)
n  Neoplasm (良性・悪性新生物)
n  Degenerative (変性疾患)
n  Intoxication (薬物・毒物中毒)
n  Congenital (先天性)
n  Auto-immune (自己免疫・膠原病)
n  Trauma (外傷)
n  Endocrinopathy (内分泌系)
n  !atrogenic (医原性)!diopathic (特発性)!nheritance (遺伝性)
n  Psychogenic (精神・心因性)
解剖学的・臓器別な鑑別に加えて病態別の鑑別をもらさず挙げる方法
R. Douglas Collins; Differential Diagnosis in Primary Care; Lippincott Williams & Wilkins; Fifth(2011) 等より改変

診断手法③ 鑑別疾患の2軸
頻度:もっとも有力な(可能性の高い)疾患は?
重大性 (初診においては特に重要):見逃してはいけない疾患は?

診断手法④ EBM
腰痛における red flags  (癌に対する red flags )

感度%
特異度%
50歳以上
77
71
癌の既往
31
98
意図しない体重減少
15
94
夜間の安静時痛
90
46
治療に抵抗(1ヶ月)
31
90

感度が高い項目を満たさない「がん」じゃなさそう
特異度が高い項目を満たすかなり「がん」らしい
Jarvik JG,et al. Diagnostic evaluation of low back pain with emphasis on imaging. Ann Intern Med 137:586-597,2002

高齢者医療の実際
高齢者の実地診療においては
ハイリスク and/or 苦痛が強い 検査・治療を患者・家族が希望しない場合も多い
限られた情報での診断および治療方針決定が求められることがある

まとめ
n  あらゆる健康問題が持ち込まれる家庭医外来において診断能力は質の高いケアを
提供するために重要なスキル
n  適切な診断をすることは、あくまでも家庭医の役目の一部でしかない
n  不要な苦痛・リスクを回避したり、医療経済を考慮した効率のよい検査の選択が
重要
n  治りにくい疾患の診断に至っても家庭医による ケア・マネジメントは続いて
いく・・・

Narrative Based MedicineNBM とは?
Narrative:言葉、対話、物語
Narrative Based Medicine
患者の言葉に耳を傾け、病いという試練を可能な限り理解し、患者の語る病いのNarrative(物語)の意味づけを尊重し、目にしたことに心を動かされて患者のために行う医療
Rita Charon, 訳 斎藤清二, 岸本寛史, 山本和利, ナラティブ・メディスン,  医学書院, 2011, 378p.

病気の経験を探る
n  解釈 ideas    心身に起こった変化についての患者の解釈
患者にとっての「病気の意味」
n  期待 expectations 患者がその解釈したものについて何を期待しているのか
                                             ケアの具体的な要求、病気の経過への期待や不安
n  感情 feelings   どんな気持ちでいるのか 何をどんなふうに恐れているのか
n  影響 functions      日常生活、家族、仕事、人生の質や機能へ与える影響

病気の経験を探る(質問例)
n  解釈 ideas            「何が起こったのだと思いますか」「なぜ、そう思ったのですか」
n  期待 expectations 「どんなことを期待しますか」「どうしてほしいですか」
「それには何か理由がありますか」
n  感情 feelings  「どんな気持ちですか」「どんなふうに心配ですか」
n  影響 functions     「どんな気持ちですか」「なにが起きるでしょう」
葛西龍樹編著. スタンダード家庭医療マニュアル-理論から実践まで-, 永井書店,2005年より改変


診断・治療方針を検討する上で重要なこと
n  診断
q  診断確定の意義は?
 そもそも、診断が患者の予後・QOLを改善するのか?
q  診断確定で得られるメリット、デメリットの整理
q  患者・家族の考え、周囲の状況
n  治療
q  治療で得られるメリット、デメリットの整理
 医学的意義(予後改善)だけでなく、治療による社会的・経済的損失も考慮
q  患者・家族の考え、周囲の状況

家庭医を特徴づける能力
n  患者中心・家族志向の医療を提供する能力
n  包括的で継続的、かつ効率的な医療を提供する能力
n  地域・コミュニティーをケアする能力
一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会専門医・認定医認定制度要綱 201041日制定 20121028日改定

まとめ
n  家庭医の役割は、診断だけでは完結しない
n  実際の診療の現場では、単にエビデンスに基づく医学的に正しいと思われる(推奨される)診断・治療手法を用いればよいとは限らない
n  「医学的に最善」 「患者・家族にとって最適」
n  EBMNBMをバランスよく駆使して、患者中心の医療の方法を実践していく
必要がある
n  家庭医療は 家庭医を特徴づける能力を駆使した複雑なマネジメントが求められる職人芸である
n  家庭医は 一生涯 修業が必要なプライマリ・ケアの専門家!