2020年12月19日土曜日
シネメデュケーションも復活 ~第158回 家庭医療レジデント・フォーラム from 郡山(オンライン)~
2020年10月27日火曜日
消えたBPSモデル ~第157回 家庭医療レジデント・フォーラム from 喜多方(オンライン)~
2020年10月25日、今回もオンラインで家庭医療レジデント・フォーラムが開催されました。
専攻医からの提示事例は、EBMの実践を通して、終末期の意思決定、家族志向ケアなど、総合診療医に求められる複数の領域にまたがる多くの能力が鍛えられるものでした。
直属の指導医とのやり取りを通じて成長してゆく学びの過程を垣間見ることができたし、フォーラム当日も、他の指導医らから、また別の視点から多彩なフィードバックがなされました。
指導医レクチャーのテーマは「BPSモデル」でした。
家庭医療専門医取得のために課せられるポートフォリオの花形領域であったBPSモデルが、新・家庭医療専門医では姿を消しました。この事実に対して、レクチャーを担当した豊田先生の解釈は秀逸でした。「本物の家庭医を目指すなら、BPSモデルは標準装備でしょ!」と言わんばかりに、BPSモデルは消えたのではなく、根っ子に潜り込んだわけで、つまり、すべての領域において当然のごとく常に意識しておくべき、本幹をなす基礎中の基礎であり、かつ最重要なアプローチであるとの主張でした。
全体として、運営側も参加者らも徐々にオンラインセミナーに慣れてきて、小グループに分かれてのディスカッションも、さほど違和感を覚えることなくスムーズに進むようになってきました。ウェブで共有できるホワイトボードを用いると、各グループで出た意見がリアルタイムにアップされるので、その場で他のグループの議論内容も直接確認できるし、そのまま記録にも残せるので、参加できなかったメンバーも後で学べます。
より良い学びの機会になるように取り組んでくださった喜多方の指導医陣に感謝申し上げます。
2020年10月19日月曜日
鬼中心の鬼退治は鬼満足度を高めるのか?
アニメ「鬼滅の刃」が社会現象レベルの大ブームになっています。家族を鬼に殺された主人公の少年(炭治郎)が、鬼化した妹を人間に戻すために、鬼と戦うというストーリーで、原作は週刊少年ジャンプで連載され、コミックスの累計発行部数は、2020年10月発売の22巻で1億部を突破したそうです。まだ鬼滅の刃を観ていないけれど、これから楽しみたいという方のご迷惑にならないように、ここではストーリー展開には触れずに、私の個人的な解釈を紹介したいと思います。
物語の設定では、鬼は原則として人間の生き血を喰らわないと生きられないし、食べた人間の数が多ければ多いほど強くなれるので、できるだけ沢山の人間を襲います。当然、人間にとって鬼は悪であり、敵であり、恐怖の対象となりますので、人間は鬼から人間を守るために鬼退治に挑みます。
しかし、主人公の炭治郎にとって、鬼=敵という単純な方式は成立しません。そもそも、彼にとって鬼となった妹は敵ではなく救うべき対象です。そういった複雑な境遇にある彼だからこそ、単純に悪い鬼をやっつける勧善懲悪の発想ではなく、襲い来る数多の鬼たちと真摯に向き合い、心を突き合わせて丁寧に対話し、それぞれ異なる個々の事情や想いに耳を傾けることができるのかもしれません。そして、鬼が繰り出す術は、それぞれの背景とリンクしていて、そこに攻略のヒントが隠れていたりします。結果としてそれが窮地から彼を救うことにもなるのですが、炭治郎に斬られた鬼もまた「分かってもらえた」安堵からか、穏やかな表情で最期をむかえます。
医療にあてはめるならば、鬼は「人食病にかかった患者」という共通の疾患カテゴリーに分類されますが、同じ鬼であっても、それぞれの事情や立場、過去や家族・社会背景があり、そこには鬼ごとに異なる固有の苦しみや悲しみの体験、倫理観や人(鬼?)生観があるはずです。そこに焦点を当てて共通の理解基盤を築き、個別のケアに活かしていくアプローチが、患者中心の医療の方法であり、患者満足度や治療成績を高めるという多くの報告があるわけですが、鬼中心の鬼退治の方法を実践する炭治郎は鬼満足度が高いかもしれませんね。
2020年9月27日日曜日
いわき-只見 瞬間移動(オンライン) ~第156回 家庭医療レジデント・フォーラム~
例年であれば、いわきから移動に片道4時間ほどかけて参加する只見での勉強会も、Zoomでのウェブ開催なので、開始直前まで呑気に自宅近くでランニングしていても間に合いました。
確かに効率は良いのですが、秋の只見へのプチ旅行も素敵なので、ちと寂しくもあります。
本日の専攻医からの提示事例は、総合診療医に求められる能力が、他領域にわたり複雑に絡み合いながら学ぶことができた示唆に富むものでした。単純でない事例では、診療の中で少なからずモヤモヤした感情や、しっくりこないストレスを感じるものです。しかし、その状況に耐えたり、ひたすらもがいたりすること自体が、総合診療医を育てるんだな~ と実感しました。
本日のレクチャーのテーマは「医療者自身のケア」でした。
職場のチームが良好であるとは、どのような状態でしょうか?
講師の若山先生から「心理的安全性」が保たれている状態であることが重要であることが示されました。自分の意見を自由に述べても理不尽に非難されたりせず、互いに信頼感や共通の目的意識、社会的使命に向かって、仲間とともに個々が役割を果たしていくことがとても大切だと思います。
2020年7月17日金曜日
コロナ禍を学びのチャンスに変えるには…
世界的に猛威をふるい続ける新型コロナウイルス。私たちは今、このコロナ禍から「何を学び、どう行動すべきでしょうか?」1学期の終業に際して生徒さんたちに贈ったメッセージの内容の一部を紹介します。
私は以前から、そして今こそ「医療に携わる者は、医学教育を通して社会に貢献するべき」と考えています。医学教育といっても、それは必ずしも、学校や大学で行われるものだけではなく、医療従事者が、患者さんに行う指導や、一般の方々に行う啓発活動も含みます。つまり、一人ひとりが、医療のプロとして、自覚を持って正しく行動していくこと、それ自体が立派な医学教育になります。
「教育は未来への贈り物」という言葉があります。1人の医療従事者が直接的に関わることができる社会貢献はほんの僅かですが、教育を受け、巣立った人たち、それぞれが、それぞれの持ち場で社会貢献し、更に次世代の人材を育てていけば、教育のバトンを未来へ繋いでいくことができます。
いまの私から未来への贈り物があるとすれば、それは「ピンチをチャンスに!」という言葉です。現在、コロナ禍による不安と恐怖 が社会全体を覆っているように感じます。医療の現場でも先行きの見えないことが多く、それ故に、正論を振りかざして他者を厳しく批判したり、感情的になったり、という場面が多くみられます。不確実なことが大変多い状況にありますが、だからこそ、できるだけお互いの立場や状況を想像したり、配慮したりすることに意識を向けて欲しいのです。社会が混乱している今だからこそ経験できる、学びのチャンスが、そこら中に転がっています。患者さんのケアに携わる者にとって、こういった経験の積み重ねが、いつかかけがえのない財産になるはずです。
夏休み期間中、生徒さんたちが医療人としての自覚を忘れずに行動し、コロナ禍を自身が成長するチャンスととらえ、来学期には人間としても、医療人としても、より成長した姿で登校されることを期待しています。
2020年6月21日日曜日
新人の自己紹介を聴いて指導能力を拓こう! (第155回 FaMReF)
フィードバックを担当した指導陣も、各々次のステップへの具体的な方略を見出だせていたことが何より嬉しかったです。
2020年4月22日水曜日
本日はアースデイ! 新型コロナウイルスは地球にやさしいのか?
本日は「地球の日(アースデイ)」です。米国の上院議員のゲイロード・ネルソンが1970年4月22日に環境問題についての討論集会を開催し、以来4月22日のアースデイ集会は世界各地に広まりました。それから記念すべき50年の節目を迎えた今年ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で大々的な集会は行えませんね。実は、新型コロナウイルス防止のための外出制限や生産活動の停止などが、皮肉にも地球環境改善に寄与しているかもしれないことが指摘されています。
NASA(米航空宇宙局)提供の衛星画像をもとに、2020年1月と2月の二酸化窒素濃度を比較すると、500μmol/m2レベルの高濃度地域が消えて、大半が100μmol/m2以下に減少しています。これは、世界的な移動制限や生産活動の制限を行った結果であると考えられています。二酸化窒素は、自動車や航空機の排気ガスや工場の排煙など高温燃焼に伴って発生する有害ガスです。二酸化窒素の濃度が低下したということは、地球温暖化の主因とされる二酸化炭素やPM2.5なども減少…要するに空気がきれいになったのです。
人間の活動と地球環境は切っても切れない関係にあり、人間が自由に行動すればするほど地球環境は悪化します。人間は元来地球にきびしい存在なのかもしれません。一方、新型コロナウイルスは、そんな身勝手な人間どもを戒める(地球にとっては)救世主で、皮肉にも地球にやさしい存在ということになります。
いやいや、私たち人間もコロナなんかに負けちゃいられません。確かに人間は自分のことだけしか考えられなくなったら、これほど恐ろしい存在はないかもしれません。過去の数多の戦争や環境破壊の歴史がそのことを証明しています。
しかし、私たち人間は同時に相手を思いやることができる生き物です。皆さんの多くは、コロナに翻弄されながらも、きっと仲間を励まし助け合いながらお過ごしのことでしょう。活躍の場を失っていて、辛い境遇の中にあるであろうアスリートやアーチスト、芸能人の皆さんが、社会貢献のために配信している動画を視聴したり、患者さんから労いのお言葉を頂戴するたびに胸が熱くなり、「今の自身にできることは何か?」足りない知恵を絞って考え、行動する原動力になっています。
東日本大震災に伴う原発事故を経てもなお、好き勝手な行動をし続ける人間に対し、顔を蹴られた地球が怒って火山を爆発させているのでは?私は今、そう思えてならないのです。人間がこの美しい地球の住人としてふさわしいかどうか?一人ひとりが思いやりをもって行動できるか?私たちは今、問われているのかもしれません。
2020年4月5日日曜日
それぞれの出発 ~オンライン 第154回 家庭医療レジデント・フォーラム(新レジデントオリエンテーション)and いわき准看護学校入学式~
2020年4月1日水曜日
初孫を産みました
前略
とにもかくにも 密閉 密集 密接 を回避してください。
マラソンの本番レースが軒並み中止になったため、あり余るオッサンパワーを活かして初孫を産みました。
産み方としては、ピッコロ大魔王さんを手本としてみましたが、正直 出産がこんなに辛く命懸けだとは思いませんでした。
これなら、フルマラソンの方が ずっとずっと楽勝です。
考えてみれば、本来の そのトンネルの通常の太さよりも極端にデカいものを絶妙に通過させるわけで、出産って 不可能を可能にする奇跡の難業なんですね。
世界中のお母様方に心より敬意と謝意を表します。
ところで、今のところ我が東北地方は、COVID-19 の発症患者数が他地域に比して少ないレベルに制御出来ています。
この状況を維持しつつ、近隣の関東甲信越地方の急激な医療需要の増加に対する医療支援を可能にするべく、福島県議会は「白河の関・勿来の関 再稼働条例(不要不急の みちのく立ち入り禁止条例)」を可決。
当面の間、栃木県・茨城県⇔福島県境の許可なき往来は出来なくなります。
福島県知事は記者会見で「今こそ 東日本大震災の時に全世界から寄せられたご支援への恩返しの時! 東北地方におけるCOVID-19 蔓延と医療崩壊を全力で阻止し、他地域からの医療支援要請に応じられる体制を整えます」とコメントしました。
2020年3月14日土曜日
新型大規模災害襲来! 今こそ国民総人生会議
2020年2月25日火曜日
「雪」「台風」「コロナ」
2020年2月16日日曜日
福島県立医科大学 家庭医療学専門医コース 臨床技能評価 ~第153回 家庭医療レジデント・フォーラム~
CSAは、評価を受ける者(医師役)が模擬患者の診療にあたり、その技能を評価します。
評価基準として、英国 RCGPで専攻医のトレーニング中に利用される、診療所外来のフィードバックツールを用いました。
【Consultation Observation Tool:Detailed Guide to the Performance Criteria】
PC1 患者が診療に積極的に関われるよう促している
この項目は医師のアクティブリスニングスキルや、オープンクエスチョンの使い方、不要な会話の妨げ、非言語的メッセージの利用についての評価です。ただ、多くの診療では促すことの必要性は低いです。促しが必要なときに適切に対応できるか、という点の評価です。
PC2 患者の問題の深い理解につながるようなサイン(キュー・きっかけ)に反応している
この項目は、重要なキューに対応できているかどうかの評価です。患者の非言語的なキューに対して反応できているでしょうか。キューに対する医師の反応は、言語的反応(動揺や心配している患者への声掛け)、非言語(沈黙の使用)、動作(体勢を変える、患者に触れる、ティッシュを差し出す)などのいずれもあり得ます。
PC3 主訴をコンテクストを通して理解できるよう、心理社会的情報を適切に利用している
医師には、健康問題の心理的側面、社会的側面(職業的側面を含む)を考慮することが期待されます。それらの側面は事前に情報が得られているかもしれないし、患者が自発的に話すかもしれないし、医師が尋ねて話すかもしれません。健康問題を検討する際に、これらの情報を利用する能力が備わっているでしょうか。
PC4 患者の健康観を探っている
この項目には「患者の受診理由を探索する」という目的で「Idea, Concern, Expectation」(考え、気がかり、期待)を探索することが含まれます。患者が実際に考えていることを見つけ出すことができるかどうかです。「あなたはどう考えているのですか?」という質問には答えは何も返ってこないでしょう。「あなたに何が起こったのだと思いますか?」「この症状であなたが最も恐れていることは何ですか?」などの質問は、有用な反応をもたらすでしょう。
PC5 可能性の高い疾病の診断に有用な情報を的確に入手する
可能性の高い診断仮説(鑑別診断)に関連する質問をしているかどうかで評価できます。この能力は診療中のどの段階でも発現されることがある(身体診察中でも、診察後でも、説明のときでも、診療後でも)。この納涼区において、Closed Questionは効果的な質問方法である。健康問題を定義するための一部分として、十分な症状についての情報と病歴の詳細を得られるかどうかです。患者の安全に配慮しつつ、General Practice における疫学的現実も考慮すする必要があります。
PC6 診断仮説に合致した、または患者の関心に合致した、的確な身体・心理診察を選択する
この能力は、診察の方法の選択を評価する項目です(実施方法の正誤を評価する方法としては適していないため。議論することは可能)。
PC7 臨床的に的確な診断にたどりつける
臨床的に適切な診断、または診断仮説が作られているかどうかで評価します。
PC8 適切な表現で問題や診断について説明する
この項目は、患者が抱えている問題に対する説明を評価します。患者と共有された所見の内容、説明内容の質が要点です。優秀な研修者は患者の「健康信念」(PC4で評価した内容)を取り入れます。この能力はPC4が欠如している状態では達成されないでしょう。場合によっては、促さなくとも患者が自分から健康信念を表明するかもしれませんが。
PC9 診断に関して患者の理解を確認する
この能力は、説明後にどの程度理解されているかを確認できることです。「わかりましたか?」と訪ねて患者のうなずきを確認するだけでは不十分です。積極的に患者の理解を確認することが必要です。「確認のために、今日ご理解いただいたことを教えてください」など。医師と患者の会話で、理解を確認し説明が理解され受け入れられたかを確認することが必須です。
PC10 診療方針(処方も含む)が診断と合致しており、現代の医学知見と照らし合わせて適切である
治療計画が診断仮説と合致していることはもちろん、現代で認識されている医学知見と照らし合わせて適切であることは必須です。薬剤の選択も「好み」で選ぶのではなく、安全で理にかなっていることが重要です。
PC11 患者は重大な診療方針の決定において選択に加わる機会がある
治療の選択肢を共有して、医師と患者が共同で意思決定を行うことが求められます。患者の望み、希望も意思決定において検討され(希望通りにいかないこともあり)、エビデンスを参考にした決断を行います。
PC12 リソースを効果的に利用する
時間を有効に使えているか、他職種を有効に使えているか、など医師が利用可能な「リソース」を有効に利用できているかどうかを評価します
PC13 再診の間隔および再診が必要な条件を明確にする
この項目は、受診を効果的に活用できるようにするために必要です。いつ来るべきか、どんな状況であればどうするべきかを患者に伝えられているかを評価します。
2020年1月19日日曜日
ACPについて じっくり学んでみた ~第152回 家庭医療レジデント・フォーラム~
2020年1月17日金曜日
2020年1月5日日曜日
How you do not feel even more painful, when you catch a cold 風邪をひいてしまった時、更に辛い思いをしないために…
In addition, if you fall under any of the following ① to ⑦, you should have a consultation.
① Symptoms worsen or do not decrease after 3 days
② If you have chronic disease such as COPD (chronic obstructive pulmonary disease)
③ Once recovered, it returns
④ You can not stop shivering yourself
⑤ Strong pain never experienced in the past (head, throat, chest, etc.)
⑥ Cough lasts more than 3 weeks
⑦ With breathlessness
Symptoms and situations where influenza is highly suspected, we diagnose it as flu, because it cannot be ruled out even if the result of a rapid test is negative.
But even if you have influenza, if you are a low-risk patient, rest and hydration and the minimum necessary symptomatic treatment are basically the same as for a cold.
2020年1月3日は当院が休日当番医でした。発熱で受診される方が殺到し トータルで100名を超えました。そうなると、入院や転送が必要など中等症以上の患者さん
内心「自分だったら絶対家で寝てるだろう」と思う病状の
たまたま 1月4日の朝刊折り込み「La ・暮らす」で小生の駄文を掲載していただきましたので、
以下、投稿内容の引用
紙面の都合で、インフルエンザについては大胆にも一切触
インフルエンザが強く疑われる症状や状況であれば、迅速