家庭医療について大まかに解説しようとすると“なるべく簡潔に説明しよう”と思っても、どうしても長くなってしまいます。それは、日本において家庭医療という概念が定着していないからでしょう。医師として仕事をしていると、よく「あなたは何が専門ですか?」と質問されます。例えば内科医なら「内科です」と答えれば大体の内容を理解してもらえるでしょう。更に詳しく「循環器科です」と言えば“心臓の専門なんだぁ~”とか、「救命です」と答えれば“ドクターヘリに乗るやつ?”もしくは“山ピーみたいでカッコイイ!”などと具体的なイメージが湧くでしょう。ちなみに私が「家庭医です」と答えると、ほぼ100%キョトンとされてしまい、前回まで3回にわたって解説した長~い内容を繰り返すことになってしまいます。それは喋る方も聴く方も大変です。そして、説明の最後に照れながら「つまり私はあなたのことを専門にしています」と付け加えます。例えば消化器科の先生が「消化器疾患の診断と治療」を専門としているのと同じように、家庭医は「健康問題をもつ人(あなた)と家族と地域」を専門としているからです。例えば、あなたの大腸にある疾患も、それを気に病んでいるあなたも、外からあなたに影響を与えているあなたの家族やあなたの住んでいる地域も、それら全部を含めてあなたのことを専門にしているということです。次回は、あなたのことを専門にしている家庭医が実践している「患者中心の医療の方法」について解説します。
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