2012年10月30日火曜日
診療時間外の急患がたらい回しになる理由
今宵も病院は穏やかでは無いようで救急車が縦列している。
(私、今夜は当直では無いですが・・・)
残念ながら、今のいわき市は、診療時間外の急患に関しては、たとえ発症現場の目の前に立派な病院がそびえ立っていたとしても、すんなりそこに搬送してもらえるとは限らない。
「はいどうぞ!」
と言ってくれる医師が当直している病院に救急車が集中してしまうしくみになっている。
なぜか?
医療ニーズが多様化した現代では、「診てさしあげたい」という気持ちだけでは出来ない事情がある。
昔なら医療を受けられるだけで幸せだった。
今は助からなければ医師のせい。
そんな風潮があるかぎり、必然的に医師はちゃんとトレーニングした自信のある領域以外は診れない(診たくない)ということになる。
残念ながら、診てもらうことへの患者側の感謝の気持ちも、拝見させていただくことで成長できることへの医師側の感謝の気持ちのいずれも持ちにくい社会になっている。
医師にも問題がある。
診もしない段階で「専門外だから診れない」と決めつける傾向はあり過ぎる。
軽症の患者さんの多くは、実際に診ない限り、診れないかどうかすら判断できないし、実際に診てみると対応できない患者さんは実は少ない。
主な症状だけ聞く限り「専門外」だと思われた患者さんを実際に診てみたら、どんピシャリで「専門領域」の疾患だったりすることもある。
例えば、「泌尿器科当直だから診れない」と診療を断られた「腹痛」の患者さんが泌尿器科疾患の「尿管結石」であったり、消化器科の先生に「循環器科へ」と診療を断られた「胸痛」の患者さんが消化器科疾患の「逆流性食道炎」であったりする。
漫談ではなく実際にこんなことが起きている。
だから
「はいどうぞ!」
と言ってくれる医師が当直している病院に救急車が集中してしまうしくみになっている。
必然的に・・・
そして、
たまたま
「はいどうぞ!」
と言ってくれる医師が当直している病院が無い夜は、ほとんどの患者さんが、最後の砦である三次医療機関(救命センター)に搬送されてしまうのだ。
救命センターに軽症の患者さんも殺到すれば、当然 重症患者さんへの対応が立ち行かなくなる。
そんなことが、いわき市で日々繰り返されている。
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