2021年6月26日土曜日

家庭医療/総合診療 サマー・オンライン・フォーラム 2021

 福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座では、家庭医療/総合診療を学びたいという医学生・研修医向けに、2006年から毎年サマー・フォーラムを開催しています。

 第1部では、在宅医療をテーマに、家庭医とともに訪問診療を疑似体験できるワークショップでした。参加者はこのセッションを通して、患者の病状にフォーカスした視点、家族・社会背景を含めた全体を見渡す視点、流れを読み戦略を練り実行する視点、これら3つの目を駆使して、より良いケアに活かしていく患者中心の医療の方法の有用性や楽しさ・やりがいを体感できたようです。

 第2部では、健康の社会的決定要因をテーマに、患者の現状を整理し、そうなっている原因を探り、実現可能な具体的な支援を導きだすワークをおこないました。健康の社会的決定因子には、収入・教育・住居・医療サービスへのアクセス・幼少期の体験・社会的支援・コミィニティ・仕事・食事や栄養状態などがあります。これらの状況をそれぞれ確認することで、いま起きている問題点が整理しやすくなり、更に、何故そうなっているのかを分析することで、これからの戦略が立てやすくなることを実感することができました。

 このサマー・フォーラムは、昨年からオンラインでの開催となっていますが、今年も医学生・研修医を中心に40名を超える参加があり、大盛会となりました。



2021年6月12日土曜日

情報の鵜呑みにご注意を! ~第163回 家庭医療 レジデント・フォーラム~

 

今回のメインテーマは「論文との上手な付き合い方」でした。
コロナ禍の影響で、休憩時間に医局でくつろいでいる時に、製薬会社のMRさんから予定外の情報提供を受けることは皆無になりましたが、以前は、自社製品の有用性を示す論文を紹介するために、熱心に足しげく病院を訪問されるMRさんが数多くおられました。
そういった場合、研究のスポンサーが製薬メーカーだったり、その他あやしいことこの上なくて、わざわざ時間をかけて目を通す気が失せるわけです。
今回は、一流雑誌に載るような、一見して自身の診療に活用してもよさそうな立派な雰囲気のいくつかの論文を、専攻医3名が紹介・明快な解説をしてくれました。しかし、丁寧に批判的吟味をしていくうちに、やはり鵜呑みにできないものが潜在していることを再確認する結末となりました。
葛西教授によるシネメディケーションでは、ウイルス感染症パンデミックを描いた映画「コンテイジョン」を教材に、映画で描かれている不確かな情報に惑わされパニックに陥る人々と、現在のコロナ禍にある私たちの状況を重ねて、家庭医として、最新で最良の医学情報の活用と、情報の発信をしていくという私たちの役割について議論しました。