2017年5月31日水曜日

今宵、いわきの医療は安泰になりました


豆粒みたいな僕らには真似できないような行動力と発信力がおありでご高名な先生のご見解ですので、穴が開くぐらい繰り返し読んで、100回かそれ以上噛みしめ、無い知恵絞ってその真意を理解しようと努力しましたが、残念ながら私には無理難題でした。
ですので、実際にいわきで医療・福祉を支える方々や、いわき市外からいわきを案じてくださっている方々のご意見を伺ってみました。
結果、まことに僭越ながら、発信されている情報には不正確な内容が含まれていることが分かりました。
どこがどう間違っているかを指摘できるような立場ではありませんので、それは差し控えますし、ハッキリ言って そんなことは私にとってどうでも良いことに思えてきました。
なぜなら、本件を通して結果的に私の心の中に生まれた かけがえのない化学反応があったからです。
それは「信頼の確認」です。
極端に人手不足な いわきで医療・介護の現場を担っている人間は、ハッキリ言ってみんな大変です。半端なく…
それなのに、みんなメチャクチャ頑張っているのです。
なぜ続けるのか?
それは…
それぞれが「使命とやりがいと誇り」を持って生きているからだと再認識しました。
逆に言えば、いわきで働くことに「使命とやりがいと誇り」を感じなければ、既にどこか別の土地に転居しているはずですし、とっくの昔に いわきの医療は崩壊どころか消滅していたでしょう。
一方で、人間は弱い者ですから、頑張り過ぎて心身ともに疲弊すると「自分だけが辛い想いをしているのでは?」という考えが大きくなり「うちは頑張っているのに、あっちはサボってる」とか疑心暗鬼になることもあるでしょう。
しかしながら、本記事で批判の対象になっている団体も、賞賛の対象になっている団体も、その現場を支える個々人は、「使命とやりがいと誇り」を持って、日々必死に生き、職務を全うしています。
そのことを再確認させてくださったこの記事は、ある意味スゴイです。
凡人には出来ないスーパーコンピューター並みの驚愕の計算力です。
既に いわきでは、行政・医師会・病院協議会・多職種・市民活動など、一丸となって難局を乗り切ろうと汗水を流していましたが、本件をきっかけに、その動きは加速するでしょう。
結果として、いわきの医療は崩壊しません。
全てに感謝申し上げます。

2017年5月23日火曜日

「縮充」して、地域の魅力を凝縮しよう! ~第8回 日本プライマリ・ケア連合学会 学術大会~

2017512日~15日、第8回 日本プライマリ・ケア連合学会 学術大会(以下、学会)が、香川県高松市を会場に開催されました。「うどん県」での開催だけあって、参加賞として「うどん券」が配布され、学会会場には屋台が…(笑)。コシの強いうどんを美味しくいただきました。

今回は、超高齢社会を見据え、いわき市医師会やいわき市・養生会が近年注力している地域包括ケア、病院外看取りに関する新しい知見を求めて、関連するシンポジウムを中心に参加しました。学会では、地域包括ケアに関する、各地での先進的な取り組みが紹介されていました。いずれも素晴らしい試みでしたが、そもそも今のいわき市と全く同じ状況の地域は存在しないので、そのまま模倣してもうまくいかないであろうことは容易に想像がつきました。
一方で、地域住民一人ひとりが、その地域の風土や特長を活かしながら、自分や家族、周囲の well-being(幸福・健康)の実現に向けて主体的に参加・行動し、結果として地域コミュニティーを住民自身がより豊かなものに変えていこうとする「参加」と「自治」をキーワードとした取り組みには、いわきでも参考にできる部分が多いと感じました。気候が穏やかで、観光資源にも恵まれ、農林水産業や工業も盛んな当地のアドバンテージを「参加」と「自治」の住民力で最大限に活用できれば、いわきはまだまだ頑張れると思います。

更に、鹿島地域の動きと照らし合わせて考えてみました。学会のシンポジウムを通して、「医商連携」「一円融合」のまちづくりを目指す鹿島地域の取り組みを加速させるためには、「参加」と「自治」に加えて、「縮充」という発想が重要であることに気付くことができました。縮充の語源は、ウールをアルカリ水のなかで揉むとできる、縮んで中身の詰まったフェルト状の素材(縮充ウール)です。縮充は縮小でも縮退でもなく、かといって拡充でも補充でもありません。縮みながら充実していくという発想です。人口を増やすとか、市街地を拡大するとか、経済成長を目指すようなまちづくりは、これからの人口減少時代、殊に原発事故にともなう避難から帰還への動きが加速し、更に小名浜にオープンするイオンモールとの競合が必至となる当地には不向きで、これからはむしろ縮充のまちづくりが求められるでしょう。縮充という視点から言えば、人口が減ったとしても積極的にまちづくり活動を展開する人の割合が増えれば良いのです。「自分たちのまちは自分たちで経営していくんだ!」という意識を共有する人の割合が増えることが重要であり、そういった意味では鹿島地域における地域住民主導の熱い取り組みは、超高齢社会を乗り切る「鹿島モデル」として世界に発信できる先行事例に発展する可能性を秘めていることを確信して帰還した次第です。