2017年2月19日日曜日

臨床技能道場 ~第120回 FaMReF~

今回のFaMReFは、毎年恒例となった臨床技能評価(Clinical Skills Assessment : CSA)でした。
例年は、家庭医療専門医試験前の時期におこなっていましたが、将来 研修修了判定の一つとして採用することを念頭に、年度内に繰り上げて開催しました。
保原中央クリニック家庭医療科の外来ブースを使わせていただき、医師役(受験者)、患者・家族役、評価者、オブザーバーに分かれてロールプレイをします。
あらためて他者に自身の診療を見られるというのは、とても緊張するようで、いつも出来ていることが抜けていたり、いつも出来ているからこそ無意識に出来ていたりと様々でした。
また、立場を変えれば、他の医師の診療を見ることが出来ることもまた貴重な機会であるし、普段とは違う医師以外の立場から診療現場を見ると別の視点が拓かれるので、すべての参加者にとって、とても勉強になったことでしょう。

2017年2月16日木曜日

急患対応で 生物・心理・社会モデルを用いたアプローチをしてみた ~実践家庭医塾~


私たちが、患者さんに発生した「疾病(Sickness)」を包括的・統合的に理解し適切に対応していくためには、医療者側の立場から見た「疾患(Disease)」と、患者側の立場から見た「病気(Illness)」との違いを深く理解しておく必要がある。
同じ疾病であっても、医療者側が抱く当該疾患のイメージと、個々の患者の病気の体験にはズレがある。しかも、そのズレのポイントや内容は患者一人ひとり異なるため、疾患ごとのクリニカル・パス等による画一的な対応のみでは、患者の固有の苦しみを置き去りにすることになる。
生物・心理・社会モデルを用いたアプローチは、疾患と病気の双方をバランスよくケアするためのヒントをくれる。
ところで、疾患管理に偏った対応は、緊急性の有無判断が優先される救急医療の現場で特に起こりやすいように思われる。「救命」が最優先されるべき現場では、それは当然のことである。
しかし、多忙な救急医療の現場であっても、患者の苦痛を短時間の生物・心理・社会アプローチを用いることで、患者の苦痛を軽減し、薬物療法や入院を回避できれば、それはそれで効率的な医療に寄与する可能性もある。
2017年2月16日の実践家庭医塾では、レジデントが体験した事例をもとに、急患対応における生物・心理・社会アプローチについて参加者全員で議論した。
ベテランの実地医家の先生方の意見としては、こういったアプローチが有用なケースは非常に多く経験するし、多忙な救急の現場であっても、うまく活用できれば治療まで完結できるし、結果的に時間の短縮・効率性にもつながることがある。
個々に異なる患者さん一人ひとりの伴走者として、私たちにできる役割を全うできる能力を磨いていきたい。