ほぼ東京生まれ東京育ちの臨床研修医が今回初めて東京を出て研修して見たものは…
経験した2つの事例を踏まえ、大学病院とかしま病院の違いについて考えてくれた。
もちろん、高度先進医療を提供する大学病院や地域の基幹病院と、中小規模の病院や診療所の役割は違う。
かしま病院やクリニックかしまには、地域医療の中核として、地域住民の疾病予防・診断・治療・リハビリ・在宅医療・福祉までのシームレスかつ継続性を持った医療・福祉サービスの提供が求められている。(と思う)
しかし、研修医の気づきは、医療機関ごとに役割の違いはあっても、患者さんに最良の医療を提供するという目的に変わりはないということ。
患者さんの考えだけでなく、現在に至るまでの物語を深く知ろうとすることで、提供する医療も変わってくることを、経験事例を通して実感してくれたようだ。
これまでの大学での診療でも、患者さんの背景を考慮しようとはしてきたけれど、患者さんの物語を知り、それを診療に活かす具体的なアプローチ法であるNarrative‐Based Medicineの考え方を学び、実践し、慈恵医大の建学の精神である「病気を診ずして病人を診よ!」の真意を、入学から8年目にして ようやく理解できた様子である。
「地域医療とは地域で行う医療のことではない! 地域医療とは地域で必要とされる医療。 患者さんをその物語も含めて診ることは、どの場所、どの病院であっても必要なことだと感じた」
研修医からの最後の力強いメッセージである。
ここまで学べば、東京の大学病院に戻っても、ここでの経験を応用して活かしてくれるものと確信している。
研修開始当初、地域医療=田舎で医療 という感じに混同している様子があった研修医の成長の過程が確認できて、幸せな気持ちになれる宵となった。