2014年9月19日金曜日

ここにしかない景色 ようこそ!僕らの園へ ~郷ケ丘幼稚園30th 記念夏祭り~

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30thおめで鯛!」
おやじギャグをテーマに郷ケ丘幼稚園30周年を記念した夏祭りが盛大に開催された。



当日は朝から土砂降りの大雨で、祭会場の園庭は、ほぼ池状態!
予定外のグランド整備に人手と労力を奪われ、その必死な様子をあざ笑うように一向に降り止まない大雨。
絶望的状況にもかかわらず、早朝から祭の準備のために集まった先生方・父母たちは、迷うことも諦めることもなく黙々と準備を続ける。
そんな想いが届いたのか?午後には徐々に空が明るくなり始め、祭が始まる頃には絶好の生ビール日和へとV字回復した。
今回の夏祭りには、園の30周年記念ということだけでなく、個人的にも特別な思い入れがあった。
まだ幼かった長女が入園したあの日から、次女・末っ子の長男もお世話になり足掛け12年目。
そして遂に今年は末っ子が年長児。
まさに父兄として現役最後の夏祭り!

かくして祭は「ここにしかない景色、ここにしかない時間を楽しんでください」という行事部長の名台詞で無事開幕した。

郷ケ丘幼稚園は、食う 寝る 遊ぶ をモットーに現代の子供達に大きく欠けている逞しさを日々育んでくださっている。毎日のようにリズム遊びを行い、しなやかで引き締まったいい体をつくっていく
勉強などはしない(させない)
幼稚園では、まずは肉体の基礎、情緒の基礎、人間関係の基礎をつくり上げる。
そうすれば、後に勉強するべき時が来たとき、自ずと頑張り抜く力がついている。
勉強・スポーツ・芸術などなど全てに通じる幼児期の遊び、体づくり。
この園の信念は、原発事故による環境汚染による葛藤の中でも決して絶やすことなく、先生方や父兄・子供たちが一丸となって乗り越えてきた。

子供が本気で遊ぶことに付き合うには、大人も生半可な気持ちでは太刀打ちできない。
先生方も父兄も一丸となって、大人の全力を見せつける。

その一つひとつが結晶となって、全てが ここにしかない景色の中で光り輝く。

泥まみれのグランド整備
ガチの手造りねぶたみこし製作
子供を乗せてガチのみこし担ぎ
和太鼓をはじめとしたガチの伝統芸能
手抜きなしのおしゃれな本格模擬店たち
花提灯の優しいゆらぎが醸し出す幻想的風景
花火師さんによる本格打ち上げ花火…

私自身も、字書きまくり、具材仕込みまくり、たこ焼きまくり、みこし担ぎまくり、ビール呑みまくり、客引きまくり、太鼓叩きまくりのほぼ狂喜乱舞、ついでに撤収しまくりの全力投球で、ここにしかない景色の中、ここにしかない時間を楽しみ、心が洗われるような清々しさを覚えた。

僕らは偶然の中で出会って、ここいわきの地で同じ時を子供たちと共に精一杯生きている
郷ケ丘幼稚園だからこそ創り出せる、ここにしかない景色
ここから生まれる未来に夢抱くことができる大切な場所

末っ子の卒園後にも帰ってきたい場所…

どう見てもドジョウじゃない奴も…

2014年9月18日木曜日

終末期の高齢者の想いを、地域と多職種でどう支えていくか? ~第58回 家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾~

終末期の高齢者の想いを、地域と多職種でどう支えていくか?

家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾 恒例の臨床研修医による患者中心の症例検討
いわきでの地域医療の学びの共有の場である


自宅での生活を強く希望する患者さん本人の想いに、家族の介護力が追いつかず、患者さんの希望が容易に叶えられないことも現実には多い。

これからの超高齢社会、多職種でチームを編成し、何が必要か?それを誰が提供できるか?
タスクの見える化をしながら、限られた医療•介護資源を効率良く活用していくことが、ますます求められていく。

今回は臨床研修医の2人が、こういった取り組みのモデルになるような経験を、うまくまとめて発表してくれて、とても良い問題提起の機会を与えてくれた。

さあて、ご褒美に美味いものを食べ(呑み)に行こうじゃないか!

2014年9月15日月曜日

朝風呂からの~家庭医療 ~家庭医療サマー・フォーラムinふくしま2014(2日目)~






呑み疲れもなんのその、朝風呂で充電!
水をくべなければⅠ°熱傷になりそうな熱~い源泉を必死に冷まして入湯!
川沿いの温泉はなんとも風情がある。
荒れ模様の天気予報とは裏腹に吾妻連峰が綺麗な爽やかな朝。
今日も張り切って参りましょう。

2日目の冒頭は



家庭医療一日体験 外来編
当講座の精鋭レジデントらの心のこもったセッション!
当講座生え抜きのスーパーエース指導医による外来診療のデモストレーションという贅沢で貴重な企画(無茶振り)もあり、日頃我々がどのように何を学んでいるのかを多くの参加者の皆さんに体感してもらえたのではないだろうか。
卒前教育として受けたことのある診療スキルだけでは賄いきれない高度な個別性や対応力を求められる日常の外来診療の難しさと面白さを伝えられたような手応えを感じた。



続いて、当講座で学び、家庭医療専門医となり、指導医としても燻銀の輝きを放ち続ける菅家智史氏による入魂のレクチャー!
「解剖!外来診療 ~明日(連休なので明後日かも)から役立つ5つのポイント~」
日頃は患者さ「来た球を打て!」的に、ガ~っときて、ガ~っと打って… のように直感ベースでケアしている(らしい)彼が、(今回のプレゼンにおいて)産みの苦しみを味わいながらも、あえて外来診療のコツを言語化するというチャレンジをしてくれた。
そもそも患者さんは何のために外来を訪れるのだろうか?
患者さんは医師のどのような行動から「この医師は信頼できる」と思うのだろうか?
そんな素朴でありながら明快な回答がしにくい問いに答えながら、医療を提供するプロとして、いかに患者さんの過去と現在と未来に寄り添っていくか?そして自分自身をメンテナンスしていくかを考え直すいい機会となった。

参加者の皆さんの反応をみると、常日頃私たちが心がけている、ある意味常識化してきている、つまり私たちにとってはもはや何気ない日常(無意識されたもの)となっている外来診療のスタイルが、とても新鮮に感じられたようで、やはり卒後教育ではないがしろにされ、自己流になりがちな外来診療教育と、ある程度の診療の標準化の必要性を再認識した。
また、日々 患者中心の医療の方法を実践することで、それがイイ感じに進化し、それ自体が利用する患者さんやご家族にとって有用なものになっている(育っている)気がして、ますます頑張ろうという想いを新たにした。


すべてのプログラムを修了し、美しい山とお別れ。
後ろ髪(そんなものは無いか…)を引かれながら いわきに帰還したのであった。



2014年9月14日日曜日

懇親会から家庭医療の本質に迫る ~家庭医療サマー・フォーラムinふくしま2014(1日目夜の部)~

飯坂温泉といえば、その昔 大学入試センター試験会場がいわきになかった時に集団で泊りがけで受けに来た想い出の土地。
TVカメラも入ったりして勉強しているフリをしていたが、結果は…
試験会場の福島北高までの道。
雪道に慣れていない磐城の輩は次々にコケていた(笑)
そんなことを想い出しながら楽しく旨い酒を呑んで話が弾む。
泊りがけで学ぶ醍醐味ともいえよう。

話題の内容はコア過ぎて公表できないけれど…



2014年9月13日土曜日

外来・在宅診療から家庭医療の本質に迫る ~家庭医療サマー・フォーラムinふくしま2014(1日目昼の部)~

北は北海道から南は九州まで、全国から家庭医療に興味のある皆さんが遠方からも集まってくださいました。
かく言う我々いわきチームも会場となった福島市までの時間的距離は東京を超える。
のどかな風景を楽しみながら野を越え山越え、同一県内でありながら約120km2時間の旅。
不安定な気圧配置の中ながら、安達太良山が顔を見せてくれた。



「ようこそ家庭医療へ!」
福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座 葛西龍樹主任教授
聴き慣れた教授のプレゼン内容もどんどん進化して、日本における家庭医療の役割や認識も急激に変化している。
そんな時代の流れと、未来への希望を感じられる、そして仲間とともに頑張っていきたいという想いを新たにする機会となった。



Multiple Home Visitの視点を身につけよう」
保原中央クリニック 家庭医療科 望月亮先生
継続的に診るってどういう感じだろう?
当然分かりそうで案外言語化しにくい…
殊に、在宅医療という医療機関から離れた在宅というアウェーの地で、沢山の問題を抱えた患者さん・ご家族に対して、私たちはどのように戦略を錬って継続的なケアを提供していけばよいのか?
家庭医療専門医にして日本在宅医学会認定専門医である講師による実践から生まれた継続性の科学!
まるでいくつかのプラモデルを組み立てていくように、焦らずに一つひとつ、工程の順番を間違えることなく、先ずはラポールの形成など 訪問1回ごとの目的を明確にして、回を重ねるごとに徐々に本質に迫っていく…
患者さんが求めていることに応じる接客スキルと、患者さんが必要性に気づいていないような健康問題に対しても切り込んでいく営業スキルの両方を求められる家庭医の役割を明快に解説してくれた。




2014年9月4日木曜日

いぼ清水 VS まち医者

 症例:10歳男児。1年前から10本すべての指尖にイボを認め、地元でイボを治す効果があるとされる「いぼ清水」なる湧水による治療を試みるも軽快せず、某診療所を受診。医師は「何もしなくていい。もうすぐ治るだろう。」とだけ告げた。少年はその医師の言葉をにわかに信じることができなかった。無理もない。1年も治らなかったのだから…


しかし、翌月には少年のイボはきれいに消失していた。少年はそれまで、医師とは何らかの痛い検査や処置を施したり、苦い薬を処方したりして疾患を治癒せしめることを生業としている。もっと酷い表現をするならば、患者に苦痛を強いながら儲けている人種であると信じていたので、その時は大変驚いた。そして少年は、身近な健康問題全般に熟知し、何の検査も処置も薬も用いることなく疾患の治癒を予言してみせたその医師をカッコいいと思い、心から尊敬するようになった。実はその医師とは、半世紀以上も前に小さな港町で開業し、今も現役で地域医療を実践し続けている私の伯父その人である。そして、その時の患者こそが少年時代の私自身である。
そんな私も今や医師17年目であるが、未だ自身の専門科を選んでいない。実は自分にとってどの科も大事な領域に思えて結局どれも選べなかったのだ。いや、逆にどの科も自分にとってしっくりこないと感じている気もする。そうなったのも、古き良き町医者として活躍している伯父の姿が、私にとっての医師の原風景だからなのかもしれない。
 私はいわゆる専門を持たないことにむしろ誇りを持っている。むしろ、専門を選べなかったことこそが自身の真の専門性であるとさえ思っている。こんな医者でも、きっとこれからの超高齢社会では、かえって貢献できる可能性が高いことを確信しているから… 一方、私と同じような原風景を抱き医師を志した医学生や研修医たちが、臨床実習や研修の現場で、同じ価値観を共有できる指導医やロールモデルと出会うことができずに、目指していたはずの医師像をいつしか忘れ、断念してしまうことがあるなら不幸なことである。福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座では、従来の大学の講座とは異なり、「地域で生き、地域で働くことができる新地域医療人の育成」をコンセプトに、主たる診療・教育の拠点を大学病院以外の県内各地域の診療所や中小病院に置き、地域医療を志す若い医療人たちが、確固たる「家庭医(総合診療医)」としてのアイデンティティーを維持しながら、高い臨床能力を獲得できるよう支援している。私が所属するいわき市のかしま病院は講座の研修協力医療機関の1つとして、医学生や研修医を受け入れている。研修を通し、彼らはみな一様に大学や基幹型臨床研修病院だけでは知り得ない医療の別の側面を体感し、各々の学びを自身の財産として持ち帰ってくれているようである。彼らの学びは私自身の学びでもある。例えば、今やかしま病院では夏休みの恒例企画となっている小学生の医師職業体験プログラム“キッズ医者かしま”は、地域に根ざした医療機関として地域の子供たちに医療を身近なものとして体験してもらうために「この際、子供に医者になりきってもらっちゃおう!」という研修医の斬新な発想から生まれた企画である。これからも若き医療人たちの若い発想力や行動力に鼓舞されながら共に成長していきたいと思う。そして、家庭医育成の取り組みが全国に広がり、国民の誰もが良くトレーニングされた家庭医によるケアを受けることができ、安心して暮らすことができる社会が実現することを期待している。